「ねえ。昨日、シズクとしたでしょ」
紫色の髪色のキリリっとした目の女の子とあった瞬間にそう言われた。
「そんなことないよ」
反射的にそう言ってしまった。冷や汗が流れる。女の子は瞬きせず、ずっとこちらをみてくる。耐えられなくなり目を逸らした。
「55回」
女の子はそう告げた。意味が分からない。そっぽを向いたまま、聞き返す。
「何を言っているの?」
「アンタは一度、はまったらまともじゃなくなるから。これに関しては覚えてなくて仕方ない」
意味が分からない。このまま、一方的に言われるのも良くない気がする。だから、話を逸らさないと。そう思い女の子に目を合わせる。やっぱりずっとこちらを見続けている。私がどこに行っても必ず捕まえるそんな意志を感じる。
「そういえば、今度はどんなお宝をぬす」
「話を逸らすな」
きつい一言をもらった。この状態の女の子はまずい。良くない。淑女的に立ち向かわないと。
「冷静に考えてみて。私は昨日あなたに会っていないわ。だからあなたはシズクと私が会っていたなんて分からないでしょう?」
「アタシの勘はよく当たる。それでアンタは黒。言い逃れはできない」
「はぁ。でも、勘でしょう? あくまでも推測でしかない。そんなものでつめられても困るわ」
決まったと思う。勘が当たることはよく知っている。だけれども勘なのだ。勝ったな。女の子の前でドヤ顔を決める。いつの間にか冷や汗も出なくなっているし、自分が高揚しているのを感じる。
「ねえ。もしもアンタが嘘をついていたらどうする?」
ふふん。もう私にはもう怖いものなんてない。
「何でも言うことを聞きましょう」
右手の人差し指をビシッと前方に突き出して放ってやった。これも決まった。と思ったが、女の子は物怖じしない。全くも。不思議だ。そう思っていると、女の子が指で私の後ろの方をツンツンと指している。
謎の動作に思わず振り返る。そこには、金髪の女の子。素肌にレディースの黒スーツ。
「はーい。どうもアテラ」
「えっ!?」
私は固まってしまった。さっき言った言葉を取り消したかった。
「パクはずるいって」
そう告げるとパクは長い腕で私をそっとギュッとした。
「ちょっと待って。だめ。ほんとダメだから。待って!!」
引き剥がそうとする私を強い力でぎゅっとする。まずい。やばい。パクはチートだよ。こういうのはなし。後ろから抱かれつつ、後方のパクへと振り返りながら抵抗する。
「55回であっているわね。マチ」
「待って。そんなにはおかしい。絶対おかしい」
「あら、アテラ。間違いないわ。10回ぐらい確認したわ」
「今の瞬間で!?」
パクノダは人の記憶を見ることができる。だからといって、今の10秒ぐらいでそんなにまで把握できるとはね。素直にパクノダに感心した。そして恥ずかしい。10回も? そんなに。あれを? そんなことを考えている私に冷や水をかけたような話を始めた。
「何でもするっていったよね?」
「えっ。言ったけど待って」
パクノダに依然と後ろからぎゅっとされながら、マチの居た正面にふと向き直ると、目の前にマチが居た。呼吸を感じられるぐらいの距離だ。
「ふぇっ」
変な声が出た。びっくりするぐらいガン見されている。弁明をしなければ。このままだとやられる。
「私は悪くない。シズクから誘ってくれたから。私の制約を知っているでしょう?」
「ふーん。そう言うんだ。でも、アンタのその制約は、家のなかで誰にも会わず過ごしてれば問題ないはずでしょう? アタシ言ったよね。1人で居るようにと。覚えてなかった?」
「うっ。それは、そう言ったのを覚えているけど、ずっと1人で居るのは落ち着かないから」
私は立て続けに言い訳をする。顔を逸らそうとするが両手で、ほっぺたを押さえつけられて強制的に顔を合わせられる。
「でも、たったの十分。アタシがご飯を買いに外へ行った隙にとは、どういうこと? 10分後には戻ってくるはずだったわ」
「そ、それは」
思わず言い淀む。
「ねえ、どういうこと?」
「んと、そ、それは。何と言うか。その」
私は言えない。はっきり言うと恥ずかしい。さっきから至近距離で見られているのもだし、パクノダにぎゅっとされているのもそうだし。
「はっきり言って!!」
「はい!」
今度は背筋が伸びる。これは言うしかない。
「さ、流石に、1週間どんなときも連続は体がもたないと思って逃げました! だからちょっと体調を落ち着けるためにシズクの家に向かいました!」
言ってしまった。
「マチは上手すぎるから。訳わからなくなるから」
ほんとは思いっきりマチから顔を背けたい。だけど許してくれない。体がものすごく熱い。ものすごくドキドキしている。だけれどもマチは至って普通だ。真剣にこちらの目を見ている。
「ふーん。やっぱり。そう思っていた」
マチはエスパーかな。初めて会った時からずっと私の心を見透かす。今日のこのやりとりもマチにとっては当然の流れなのだ。
「そう言えば、なんでもするって言ったよね。ちょうどパクもいるし、3人で1ヶ月間、1秒たりとも欠けず続けましょう。こんどは逃さないから。縛るから」
「え。ちょ。待って。1ヶ月は無理よ! 絶対。パクも何か言って!」
ほんとやばい。あれはやばい。最後の頼みだ。パク。お願い。私の最終兵器。今も何となく気持ちを読み取っているでしょう? お願いよ。パク。
「ええ。愉しみだわ」
無惨。
「アテラの念はする度に、アテラと相手の強さが増すのよね。女の子限定で。微々たるものだけど、1年もすれば2倍強くなるよね。そして、濃密なほどに増す。実際、アタシは強くなったわ。パクも。まあ制約で女の子からの誘いは絶対だから、どんな娘の相手もしないといけなくなるのは欠点だけど。まあこれはアタシがずっとアテラを見ていれば問題ないわ。これからはより厳重にするし。何の問題もない。あら? ちょっと引いている? 何でもするって言ったからには、何でもしてもらうわ。当然よ。ただこれだけじゃないのよね。アテラは可愛い。同性だけど、びっくりするぐらい可愛いと思うし、ずっと見ていたくなるし、もっと近づきたくなるし、離れたくなくなるし、ひたすらお世話したくなるし、ぐちゃぐちゃにしたい。初めて会った時からそう思っている。そしてこれらもね。だから、逃さない」
そう言ってマチは両頬に手を添えたまま私にキスをして、その後に念糸で私を縛り上げパクと共に私を連れ帰った。
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登場人物
● アテラ・レル
主人公。女の子。マチやパクと小さい頃から一緒に過ごしている。人を戦うのが苦手。幻影旅団にも入ってない。とても可愛い。同性をコロッと落とせるぐらい。特別、女の子が好きというわけではなかったが、マチによって女の子好きに染められる。あんまり賢くない。よく思ったことをマチに当てられている。
● マチ
アテラに初めて見た時から添い遂げると心に決める。年々アテラとのイチャイチャが激しくなっている。ほんとはアテラと2人が良いけど、幻影旅団の女性は許容している。パクノダの能力でアテラをいじめるのも好き。原作よりも強い。念糸の強度も1m以内問わず、1km離れても1tを越えて10tは普通に余裕。
● パクノダ
マチと同じくアテラを好き。ただ、マチほどではない。念能力でよくアテラの記憶を見て愉しんでいる。パクノダも原作よりも強くなっている。特に質問せず触れた数秒の間に何度も好きなように記憶を見て、感情を掴むことができる。