今回は久々にそういったものを書いても良いだろうという気分になった為に書いているのですが……1話で終わらせようとした所収まりがつきませんでしたので前編と後編に分けて書いていきます。(因みに後編は全然仕上がっておりません……)
また今回は一部本作のネタバレを含む箇所があります。(私が書こうとしている内容も含めて)ですので特別読まなくてもストーリーには影響ございません。まぁ何はともあれ後編も書き上げます。
前書きの時点で支離滅裂な文章になっている事は自分でも把握していますが、何卒読んで頂ければ幸いです。
特別回 七陰達とのクリスマス《前編》 R-15
今日は世でいうところのクリスマス。俺が転生する前に普通に根付いていた風習だが、まさかこの世界でもこのイベントが受け入れられるとは思っていなかったな。
(というのもこれも兄さんがアルファ達に語った陰の叡智からだが……)
アルファ達がシャドウガーデンを結成し、ガンマがミツゴシ商会を設立。それから数年後にクリスマスと言うイベントを貴族向けに試しに開いた。
するとそれは大好評となり、今では世間一般に広まった。そしてその前日がクリスマス・イブであり、その日から王都ではお祭り騒ぎなのだ。かく言う俺達もその日は大いに楽しんだわけだが……
(その前に邪魔しそうなディアボロスの奴らは殲滅したし、あちらさんは今だと立て直しとかに必死だろうな)
各地に俺の分身を10名くらい放って偵察&破壊工作をもれなくしてきた。分身達と俺は互いに情報共有が出来ているから、必要な情報とそうでない物は取捨選択しつつ、後から面倒になりそうな案件は早々に潰しておいた。
(まぁ勝手にするのは嫌だったから、アルファ達には相談済みだがな)
何せイブの前日に急遽やろうと思ったからな。彼女達を結果的に困らせてしまっただろうが、これも彼女達の事を思ってこそだ。その代わりにイブとクリスマス当日は彼女達を名いっぱい甘えさて、そして俺自身も甘える気だ。
(それにしても昨日は昨日で色々と大変だったな……)
————回想————
クリスマス当日に向けて色々と準備をする必要がある。その為にまずクリスマスケーキを準備するところから始めたんだが、丁度イプシロンもキッチンに立っていて俺と同じ事をしようとしていた。なんなら2人で一緒に作ろうと言ったら、それはもう輝く程の笑顔で肯定してきたから、それが可愛いと思ってついつい頭を撫でてしまった。
彼女にとってはそれが不意打ちとなり、顔を瞬く間に赤くしてアタフタしていた。
「も、もぅ! 不意打ちはダメですよアルジ様‼︎ 私にも心の準備が必要なんですから‼︎」
と、怒られてしまった。確かに不意打ちだったからと思って素直に謝ったのだが……
「べ、別に嫌だったら訳じゃ無いんです! 寧ろもっと撫でて欲しい……です」
と、後半小さな声だったが俺の耳にはハッキリと聞こえてしまった為、今度は許可を取って撫でて良いかを聞いた。そうしたらイプシロンは、ゴニョゴニョ言いながら「良いですよ」と言ってきたので、言質を取った俺は彼女の手入れされている髪をさっきと同じく優しく撫でた。
そうされたイプシロンは、何かをじっと耐えて顔を赤くしているが、それでも逃げないところを見るに悪い感じはしないんだろうなと思って撫で続けた。
それから数分後には本来の目的に取りかかる。今回はケーキ以外にも作る者が多いから、ケーキの生地を焼いている間に別の料理も並行して作っていく。イプシロンも俺の補助をしながら別の物を作ってくれているから、本来俺が思っていたよりも早く済むだろう。
「アルジ様、生クリームの味見をして欲しいです」
イプシロンが先ほど出来上がった生クリームを味見して欲しいと言ってきた為、俺もそれに応える。味見用のスプーンで生クリームを少量救い、口に入れる。舌先が生クリームの食感を感じ取った瞬間……幸せな気分に陥ってしまった。くどい甘さも無く、程よい味わいが口一杯に広がる。流石は緻密の名は伊達じゃあないと言う事だな。
「あっ、アルジ様。少し動かないで下さいね……んっ……はむっ……ちゅっ……」
イプシロンが何かに気付いて俺にそう言ってきた。何だろうかと思って動かずにいると、彼女が俺にキスをしてきた……っ⁉︎ それもディープに近しい事を……
「い、いいいイプシロンっ⁉︎」
「ペロッ♡……フフッ、唇に少し生クリームが付いていたので……お味は如何でしたか?」
(えっ……? それってどう言う意味で?)
生クリームという意味かそれともイプシロンにキスされてという意味か……どっちに対しての問いかけだろうか? 彼女も俺に告白してきて既に彼女という立場にある。まさか兄さん一筋だと思っていたイプシロンが、実は俺の事が好きだったとは予想もしていなかったが……だが嬉しい限りだ。
(って、そう感慨深くなっている場合じゃあないな……それにしても答え方を間違えてイプシロンを悲しませたくないし……)
頭を捻ってどう答えような考えていると、イプシロンが俺の様子を見てクスクスと笑う。
「ごめんなさいアルジ様。アルジ様が困っている様な顔を見たかったものですからついついイタズラしてしまったんですけど……そんな顔も可愛いですね♡」
イプシロンにそんな事を綺麗な笑みで言われた。
(クッソあざといっ……)
全くもって俺はこの世界に来てからというもの、主に惚れ込んだ相手に対しての耐性がミジンコレベルになってしまった様だ。少しの仕草でも可愛くて愛でたくなってしまうし、ドギマギさせられてしまう。
(まぁそんなやり取りも、知らず知らずのうちに願っていたかもしれないが……)
何はともあれ、彼女達のそんな仕草や反応を見るのは好きだな。
ケーキや料理作りを終えて次に向かったのはイータの所だった。イータは飾り付けの担当を行っていて、それらをスライム操作で行っている。彼女は王都のミツゴシ本店を僅か2週間で建ててしまうほどに、スライム操作に長けていた。まぁ彼女曰く1日でも立てる事が可能というから、俺としては脱帽なんだが。
そんな事を思い返しながらイータの所に行って飾り付けの手伝いをしようとしたのだが……
「なぁイータ」
「なにマスター?」
「俺は飾り付けを手伝いに来たんだが……」
「うん、マスターがそう思って来てくれるのが私はとても嬉しい」
「そ、そうか。でもな……
そう抱き締められたら手伝いたくても手伝えないんだが?」
そう、現在進行形でイータに抱き締められていた。そしてイータの今の格好は……いつもの研究する時に来ている服装では無くスライムスーツを纏っている。その為に彼女から伝わる感触が彼女の肌と同じくらいスベスベでもっちりしている。その為に俺の中にある男子高校生と同じくらいの欲が強く反応してしまって……
「んっ……マスター……する?」
「いや何をっ⁉︎ というか手伝えないから離れて貰えると助かるんだがっ⁉︎」
「マスターは十分手伝ってくれている」
「いやこの状況見て⁉︎ 俺飾り付けを取れてすらいないんだけどっ⁉︎」
「マスターがここにいるだけで、私が抱き付いてアルジ様成分を補給。そうする事で私が操作するスライムもより活発に、いつもよりも早く動けている。ねっ? アルジ様は十分手伝っている」
「いや訳分かんねぇしそもそもそのアルジ様成分って本当に何だよっ⁉︎」
何というか……イータは俺を見かける度に抱き付いてくる。それもアルジ様成分っていう、もう全くもって未知の成分を俺からその都度補給しているらしいんだが……本当に何ソレ?
(そう言えば姉さんも偶にそう言っているんだよなぁ〜……)
俺の事を抱き締めて、胸元をスリスリしながら俺から醸し出ている成分を補給しているとか何とか……それもアルジ成分という物質らしいが……
(全くもって考えても全然答えが出てこないんだが……)
「アルジ様……キス……しよ?」
(今度もまたドストレートだなおい……)
イータが小首を傾げながら問うてくる。というか本当にエゲツない精神攻撃だよな……これ絶対狙ってやってるだろ。
「ダメ……?」
今度は今とは反対方向に小首を傾げながら問うてくるが、その時の表情が悲しげ+瞳を少しうるっとさせている。こうなってしまえば、惚れてしまった子に甘い俺は首を傾げざるを得ない。
「……はぁ〜。分かったよ。その代わり、これしたら俺にもちゃんと手伝わせてくれよ?」
「分かった。それじゃあ……んっ」
イータが目を瞑って唇を突き出してくる。それに対して俺も応えた。と言っても1回キスをした程度だな。だがイータは……
「これじゃあ足りない……もっとしたい」
「いや、でもキスしたら俺も飾り付けを手伝う約束だったろ?」
「私が足りない……アルジ様成分がもっと欲しい。だからもっとする」ガシッ
「えっ? い、イータさん? ちょっと無理矢理はなしd「それじゃあ……いただきます♡」えっちょ⁉︎ まっんむっ⁉︎」
俺はイータのスライムに後頭部を押さえつけられてしまい、そのままディープキスをされてしまった。イータは俺の口内の至る所を蹂躙するかの様に舌を這わせてきて、その都度唾液も交換してしまう程に濃厚なキスとなった。
その間飾り付けをしていたスライム達の動きが先程よりも見るからに早くなり、結局俺は飾り付けを1つも出来ないままそこを去っていく。その時のイータについては……凄く恍惚とした表情になっていた。
イータのクリスマスの飾り付けを手伝い終わった後(厳密に言えば俺は何もしてないし、ただイータに抱き付かれながらキスされただけだが……)イプシロンとは違う料理の担当から食材が足りなさそうだからと食材調達の話が持ち上がっていた。
偶々居合わせた俺が調達してくる事を言って、何が足りないかのリストを貰った。野菜や果物云々は王都の市場でまだあるから良いとして、問題は肉だな。これだけの量は流石にどこも在庫が足りていないだろう。だから近隣の森で狩をしようとしたんだが……
「あっ‼︎ アルジ様‼︎ アルジ様も狩をしに来たのっ⁉︎」
デルタが何頭か巨大な猪を既に狩っていた。デルタに聞くと保存用の食料を調達しにこの猪達を狩った様で、クリスマス用では無いとのことだった。まぁ俺1人で調達する予定だったし、猪も良いが、やはりなんと言ってもクリスマスはチキンに限るからな。だからそこでデルタとは別れようとしたんだが……
「アルジ様の狩りならデルタも一緒に見たい‼︎」
そう言って結局デルタも付いてきた。ただ着いてきたは良いが、狩ってきた猪が少し邪魔になるなと思った俺は、それらを四次元空間に放り込む。そうするとデルタは身軽になったからか、俺の肩に飛び付いて、まるで俺がデルタの事を肩車している様な構図になった。そしてデルタは胡座を描く様に座って俺の頭を掴んでくる。
まぁそうされても俺は特に起こりはしない。寧ろデルタは元気に接してくれた方が俺も嬉しか感じるからな。
(にしても……なんで女性の下腹部はこんなにも暖かいのだろうか?)
何というか……使い捨てのカイロよりも温かいと感じてしまう。それもカイロみたく途中から急に熱くなる様なことはなく、ずっと定まった温度で温めてくれる感じで……
「あっ! アルジ様っ! あっちにちょうど良い大きさの鳥がいるのです‼︎」
「あぁ……そこか」
俺は直ぐに弓と矢を魔力で作る。そして構えた後、獲物の頭目掛けて矢を離した。すると矢は真っ直ぐ獲物の頭目掛けて飛んで行き……命中した。狙われた鳥は自分が死んだ事にすら気付かず絶命したかの様に血に倒れ伏した。
それを確認した俺とデルタは狩り取った獲物の元まで向かい、羽むしりや血抜きなどを早急に終わらせる。それからも何羽か手頃な大きさの鳥がいたから、それらも同じ様に狩って下処理を済ませて行く。
「さて、大体こんな物で良いだろう。デルタも手伝ってくれてありがとうな」
「うぅん! デルタ、アルジ様と狩が出来て楽しかった! でもこのまま戻るのは勿体無い気がするのです! だから一緒に雪遊びしよっ‼︎」
「デルタは相変わらず元気だな。良いぜ、少しだけ遊んでいこうか」
「わーいっ‼︎」
それから少しの間デルタと雪遊びをする。雪だるまを一緒に作ったり、何箇所かに壁を作って雪合戦したり、しまいには丁度良い傾斜ががあったから大きめのソリを作って滑ったりもした。
ただソリで最後に滑ってた時に、デルタが凄くはしゃぎ回ってて、滑り終える一歩手前で体制を崩して放り出されそうになっていた。それに気付いた俺は、直ぐ様デルタの身体を抱き締めて、デルタに怪我がない様に俺の背を地面にしながら着地する。
(まぁこの程度なら問題ないだろうな)
衝撃自体はあまり無かったし、この程度だとデルタにも被害は無いだろう。そう思いながらデルタ大丈夫かと一声かけた。
「アルジ様、大丈夫? 怪我とか無い?」
するとデルタからもこちらを心配そうに見ながら問うてくる。俺は問題ないと口にして笑って見せた。するとデルタも安心した顔になった。
「ごめんなさい……アルジ様とこうして過ごすのが楽しくて……つい調子に乗っちゃった」
安心した顔になったかと思ったら、今度は反省した顔になる。アルファに怒られる頻度は昔よりも減ったとはいえ、それでも偶に叱られる事がある。その時に見せる表情と今の表情が一緒で、言ってしまえば悪いが……こんな表情を見せつけられてしまうと庇護欲を掻き立てられて仕方が無い。だから……
「っ⁉︎ あ、アルジ様⁉︎」
ついついこうしてデルタを抱き締めたくなる。他の七陰になると何故か逆の立場になってしまうんだが……ともかく彼女を抱き締めつつも彼女のサラサラな髪を優しく撫でる。そうしながら俺は優しく語りかける。
「別に俺は何ともなってないから。だからそんな心配そうな顔になる必要も無い。俺としては、デルタが元気な表情をしている時が1番好きなんだ。まぁ今の様にしょんぼりした様な顔も可愛くて好きだけどな?」
「う、うぅ……っ///そんな事急に言われたら恥ずかしくなるっ///」
急に俺からそう言われた為か、デルタが俺の胸をポカポカと叩いてくるが、単に照れ隠しだって事は様子から見ても分かるし、叩かれても全く痛みは感じない。まぁじゃれ合い程度みたいな感覚だな。
それで数分間はデルタにポカポカと叩かれていたのだが……それも急に止まった。どうしたんだろうかと思って様子を伺おうとしたら、デルタがずずいっと、まるでそんな効果音が鳴るかの如く顔を近づけてくる。
その時のデルタは頬を赤らめて、それで切なげな目で俺を見ていた。
「ねぇアルジ様……デルタ……今ここの辺りが凄くドキドキしてる……抑えようとしても全然収まってくれない!」
デルタは左胸を強く押さえ付けながら言ってくる。どことなく興奮している様で、息も荒々しい。
「アルジ様……あれ、しても良い? あの甘い感覚に浸れるの……デルタこのままだと……」
多分今のデルタの様子から見て、内から湧き出る高揚感というか興奮というか、ともかくそれに似通った脳内物質が分泌されて身体中を駆け回っている事だろう。デルタがこの状態に陥ってしまったら、元の状態に戻るまで物凄く時間がかかる。それも発散方法は暴れて物を壊してしまうとか、そう言った解決方法しかないくらいには……
(まぁそんな事はさせないんだけどな?)
「ねぇアルジ様……デルタ……」
「あぁ。思いっきり発散させてあげるからな」
「っ‼︎♡ うんっ‼︎♡」
それで何が起こったかと言えば……毎度お馴染みの光景になりつつあるディープキスだ。勿論デルタの昂りを晴らす為に俺の舌をデルタの口内に入れて歯茎をなぞったり舌を絡めたり唾液を交換したりもするが、彼女の場合はこれだけだと治りが遅い為に他の事もしている。
それというのが、デルタの身体を撫で回す事だ。まぁイメージをしやすい表現にするのなら……犬を滅茶苦茶撫で回すと言ったものだ。ディープキスをしながら俺は片方の手で彼女の頭を優しく撫で、もう片方の手は背中を上から下へと撫で上げる。それも尻尾の付け根部分まで……
何故尻尾の付け根部分を撫で回すのかと聞かれればそれは簡単な話で、その方がデルタの中に燻っている熱が発散されやすくなるからだ。それで付け根あたりを撫でた際にデルタから甘い吐息やら喘ぎ声が漏れ出ていて、これについては男子高校生並みの性欲を持つ俺も、理性という鎖で獣を押さえ付けるのに必死になったりする。
(でもこんな所で彼女の肌は見せたくねぇからな)
こんな発言をしている時点で俺はど畜生な人間に成り下がったものだなと、自分自身に対して落胆してしまうものだが……今はデルタの昂りを抑える事に神経を注ぎつつも甘いひと時を過ごした。
「はぁ……はぁ……アルジ様……デルタ、凄く気持ちよかったのです」
対処をして数分後、漸く元の状態に戻ったデルタが蕩けた表情になりながら言ってくる。まぁディープキス+身体全体(主に頭とか背中を重点的に)を撫でたからな。流石にこんな表情になる事は仕方なかろうて。
「ねぇアルジ様……興奮した?」
「……えっ?」
唐突に何を言われたか分からなかった俺の顔は、まるで鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている程に面白いんだろう。そんな俺の事を、デルタが優しく抱き締めてきた。
「デルタ……凄く興奮してたけど……でもアルジ様もデルタに興奮してた事……気付いてた。だってアルジ様の……が、デルタの足に当たってたから///」
(あぁ〜マジかぁ〜……まぁ確かに俺も理性で反応を縛るのに必死だったからな……俺自身気付いてなくても身体はそうなってたか……あぁ〜恥ずか死ぬわ……)
「でもね……それが……凄く嬉しかったのです。デルタで興奮してくれるアルジ様がいる事が……とてもとても嬉しいのです!」
未だに蕩けた表情は抜けきっていなかったが、いつもの元気な笑みでそう言ってくる。そんな彼女の事を俺は……
「ねぇアルジ様……もう1回して欲しいのです」
「……あぁ、分かった」
そんな彼女の唇にまたキスを落とす。だけどさっきの様に昂りを抑え付けるためのものじゃあなくて……ただ彼女が愛しいと心の底から思いながらの優しいキスをした。
デルタと食料調達から戻った俺は、その後食材調達を頼んできた子達を手伝おうとした。だが彼女達からこれ以上俺の手を煩わせたくないと言われてしまい、今は談話室のソファにかけて読書をしていた。
(それにしてもベータが書いた小説……本当に元俺がいた世界そのまんまって感じだな)
所々オリジナルは挟んでいるものの、元ネタが何なのかが普通に分かってしまうほどに分かりやすかった。しかしながら元の世界でも暇つぶし程度に読んでいただけだからな。こうして他の人の考察なども入るとはいえ読んでいると面白く感じる。
そう思いながらも1冊読み終わってしまったから、読んだ物を本棚に戻して別の物をまた1冊取り出して、さっきまで座っていた位置に座る。そしてまた読み始める。1冊目を読んでからまだあまり時間は経っていないが、こうして何かに没頭していると時間が経つのが早いなという思いになってしまう。
そんなこんなで2冊目を読み始めて数分経った頃だ。
「アルジみぃ〜っけ!」
背後から誰かに抱きしめられる。首に手を回されて、後頭部は柔らかい何かに包まれる。まぁこうしてくる相手は1人しかいないのだが……
「おかえりゼータ。さっきまで任務に行ってたんだよな」
「うん。アルファ様に言われて少しね。といってもディアボロス教団の動向を窺ってたんだけど、アルジのお陰で立て直すのに必死って感じだね」
「まぁアイツらは調子に乗り過ぎたからな。世界の覇権を手中に収めて尚且つ不老不死に至るとか……全くもってつまらん」
「そうだね。それにもし世界を収めるんだったら……それはアルジが1番適任だと思うよ」
「おいおいまたその話かよ……俺は不老不死とか世界の覇権とか興味ないって前も言っただろ?」
「ふふっ、冗談。ただ私がアルジのそんな顔を見たかっただけだから♪」
なんだ冗談か。それなら別に良いが、またそんな事を本気で言ってこようものならゼータの事をどう説得しようかとまた頭を悩ますところだったな。
「そう言えばアルジ……さっきまでバカ犬と一緒にいた?」
「バカ犬って……まぁ確かにデルタとは一緒にいたが……それがどうした?」
「いや、ただの確認ってところかな。それで話は変わるけど……膝枕しても良いかな?」
「えっ? あぁ……まぁ構わんが」
「良かった。それじゃあアルジ、ここに頭乗せて」
ゼータが俺の隣に座って、自身の太ももをポンポンと叩いた。彼女に言われた通り俺は自分の頭を彼女の太ももに乗せて、身体は楽な姿勢をとった。要するに膝枕な訳だが。
「うん……やっぱりこうしてアルジと一緒にいるのが1番の癒しだね」
「そうか? まぁそう言われるのなら俺も嬉しいが……だが俺が膝枕されていてゼータが癒されるのは少し矛盾している様な気がせんでもないな」
「そんな事ないよ。まぁいつも言っていることかもしれないけど、現に私はアルジをこうして甘えさせて癒されているって感じるんだ。だから矛盾もしていないよ」
「そ、そうか。まぁゼータがそう言うんだったら良いんだが」
「ふふっ、そうそう。私がそう感じているんだから良いんだよ。さぁアルジ……頭を私のお腹の方に向けてくれないかな?」
ゼータにそう言われ、それに俺は素直に従った。断ったら断ったでゼータは無理矢理にでも俺の頭を身体ごと彼女の方に向かせてくるだろうし、それに労力を使うのもまぁ勿体無いと感じたから素直に従う。
そうしたと同時に、ゼータが俺の後頭部を優しく撫で付けてくる。その手つきは……いつもながら気持ち良いの一言でしかない。
ただそれだけじゃあなくて、徐々に俺の顔をゼータのお腹に寄せようと絶妙な力加減で後頭部を押してくる。それで気付けば俺の鼻先は彼女のお腹に当たっていた。
「んっ……アルジの息がお腹に当たってくすぐったい。ふふっ……やっぱりアルジは可愛いな♡」
ゼータは少し恥ずかしげに呟く。ただその時の彼女の頬は、赤らんでいながらも余裕そうな顔をしていた。俺から見て彼女はクールビューティー……と言うのだろうか? そんな彼女が俺に優しい笑みを向けてくると言うのは……何回やられても慣れる気がしない。そもそも今こうして俺の顔が彼女のお腹を向いた状態で膝枕をされる事自体恥ずか死んでしまう案件になり得る。
(そこにゼータからの微笑みが加わってしまえば、もう赤面するしかないっていう……)
「何だか変な事を考えているねアルジ。でもそんなところも可愛いよね」
どうやらゼータには俺が変な事を考えている事がバレてしまったらしい。それ程までに俺の顔には自分の考えが出ているのだろうか?
「何だろうね……アルジに告白してからそれが一気に分かる様になった、というのが正しい表現かもしれないけど、でも私はアルジの事なら何でも知っておきたいからね」
そう言われながらも優しい手つきで俺の頭を撫でるゼータ。側から見ると少し歳の離れた姉弟に見えてしまうだろうか? あっ、因みに精神年齢は勿論俺の方が上なのだが、身体年齢は彼女の方が上だ。だからこの場合は彼女が俺の姉という事になるか……
「私がアルジのお姉さん……か。うん、確かにそれはとても良いね。毎日が幸せに溢れている様な……そんな風景が見えてきそうだよ」
(なんかまた思っていた事を読まれたな……)
でもまぁ……もし俺がゼータの弟になったとしたら、か。それはそれで今と全く変わらない日常を過ごしていそうだが、まぁ彼女が幸せになれるのならそれでも良いか。
(にしても少し眠いな……)
「眠い? ふふっ、私はこのまま撫で続けているから、ゆっくり休んで」
「そう、か。なら少しの間だけ……」
そこから俺は優しい微睡に誘われて意識を手放した。
それからどれくらいの時間が経ったか分からないが、気が付けば窓から差し込む陽の光がオレンジ色に染まっていた。昼を少し過ぎた辺りから眠った気がするから、かれこれ数時間ぐらい寝ていただろうか?
「ん、おはようアルジ。よく眠れた?」
「あぁ……おはよう」
俺が目覚めた事に気付いたのか、ゼータがそう聞いてくる。それに俺は挨拶で返したんだが……目を開けたらゼータの顔が間近にあったんだ。膝枕をしているから当然……という意見も出てくるだろうが……
(だんで今の体制……多分というか十中八九ゼータに覆い被されてる体制なんだよな……)
現にゼータのお腹と俺のお腹がくっ付く位置にあるし……彼女の……む、胸も俺の胸板に押し当てる様な体制になっているから。
「ふふふ、どうアルジ。気持ち良いかな?」
こんな体勢を取っているゼータ自身も少し恥ずかしいのか、顔をほんのり赤くしながらそう聞いてくる。それで聞いてくる最中もわざと彼女は自らの肢体を俺に擦り付けたり押し付けたりしてくる。
「ぜ、ゼータ? そもそも何でこんな体勢に……」
「何でって……ここにくる途中デルタの匂いが色濃くアルジから漂ってたからね。多分外で戯れついてきたんだなって分かったけど……その上から自分の匂いをアルジに上書きしたくて……ね」
「さ、さいで……」
「そういう事。だからさアルジ……甘えても……良いかな?」
「っ⁉︎」
ゼータのその仕草に……ドキッとした。今の俺の顔は……途轍もなく赤くなっている事だろう。だが彼女もそれなりに勇気を出したのかさっきよりも顔が赤くなっている。いつもの彼女なら余裕がある顔でそう言ってきたんだろうが、今日はクリスマス・イブだ。それなりにムードとかを考えながら、しかしいつもとは違う状況で気分が高揚している事もあるんだろうな。
(まぁそんな事はどうでも良いか)
そう思いながらも俺はデルタの頭に手を回してキスをした。やられた彼女はいきなりの事で驚いたのか、自分が何をされたのか把握できていない様子で……
「ちょっ……不意打ちはズルい……」
「はは、悪いな。ゼータがあまりにも可愛くてつい」
「もぅ……さっきのじゃ分からなかったから……もっとやって欲しい」
「仰せのままに。それじゃあ……俺からも君に甘えさせてもらうよ」
「っ‼︎ うん、分かったよアルジ。さぁ……来て♡」
その言葉を合図に、ゼータに再びキスを落とす。たださっきのとは違って、お互いの存在を確かめ合う様に、唇同士を触れ合わせながら舌同士も絡め合う。それだけにとどまらず、俺は彼女の身体を優しく撫でて行った。時折デルタと同じく尻尾の付け根辺りを撫でると、彼女から甘い喘ぎ声が聞こえてくる。それは俺の理性の鎖をガリガリと削っていく。それもほぼクリティカルヒットの状態で……
(が、我慢だ……我慢しろ俺‼︎)
内なる獣が這い出てこない様に必死に抑え付けながら、俺はゼータを甘えさせて、逆に俺からも甘えていった。
「ふふっ、とても気持ち良かったよアルジ♡本当はその先もしたいと思ってたんだけど……」
「あぁ〜……それは……すまん」
「うぅん。これは私の我儘だから気にしなくても良いよ。それにアルジが私に甘えてくれて嬉しかったし、今の状態でも満足している。それに……
アルジとはまたいつでも出来るって思ってるから♡」
「っ⁉︎/// ま、全く……あざと過ぎるだろ……」
「ふふふ……本当に、アルジは可愛いね♡それじゃあ私は自室にいるから、何か様があったらいつでも訪ねて」
そう言ってゼータは、まるで最初から何事もなかったかの様に談話室から去っていった。
(……いや、尻尾が結構揺れてたから内心上機嫌である事は間違い無いだろうが)
俺が生きていた世界とこの世界での基準は全くもって分からないが……まぁ彼女がとても嬉しそうにしていたんなら俺も満足だな。
という事で今回はデルタ、イプシロン、ゼータ、イータを中心に話を進めて行きました。
次回はアルファ、ベータ、ガンマを中心に物語を展開してまいります。
七陰の中でクリスマスを一緒に過ごすとしたら……
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アルファ
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ベータ
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ガンマ
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デルタ
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イプシロン
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ゼータ
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イータ