陰の復讐者となりて   作:橆諳髃

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読者の皆様お久しぶりです。投稿が1ヶ月以上空いてしまいました。理由としては引越し先を決めたり等色々とやっていた事もあり、最近ようやく落ち着いたからという事もあります。

そして今回は普段よりも4000字ほど文字数が少なくなっておりますので、読み応えは微妙に感じるかと思いますが、何卒ご了承の程よろしくお願い致します。

また、最新話までに新たにお気に入りと評価を付けてくださった方々に対しましても本当にありがたく思います!

それでは最新話をどうぞご覧下さい。


14話 復讐者、贈る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side シド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕とニューとでアレクシアさんを襲っていた2人を撃退した。

 

(それにしてもこの程度で僕達『シャドウガーデン』の名を語るなんて……舐められたものだよね〜)

 

「兄さん、そっちの首尾はどうだ?」

 

 そんな事を思っていたら、また気配も無くアルジがそこにいた。それも片腕で僕達が追っていた方とは逆方向に逃げた2人組を担いで……

 

「こっち? まぁぼちぼちかな? 1人は僕がやってもう1人逃げそうになった敵をニューが捕らえたってところだよ。アルジの方は?」

 

「あぁ、どちらとも気絶させてある。まぁ対峙した時にどっちとも身体の一部分の骨を折っちまったからな。それだと後の尋問に差し支えると思ったから治しはしたが……」

 

「へぇ〜、そうなんだ」

 

「んでそっちは見るからな流血沙汰だな……まぁ死ぬまではいってなさそうだからいいと思うが。念の為治しとくか」

 

「ありがとう。にしても相手の表情を見るに今回も相変わらずえげつないよね?」

 

 シドの言う通りアルジが暇に括り付けてきた不届き者達の顔は、まるでこの世の絶望を見たと言ってもおかしくない程だった。その為シドはアルジのことをえげつないと評価する。

 

「それはそうだろ? 何せ俺の友人を傷付けるだけに飽き足らず、アルファ達に汚名をなすりつける程の事をしたんだ。これぐらい軽いもんだろ?」

 

「(えぇ……それで軽いって言っちゃうの?)「この程度が軽い……とかって思ってるよな兄さん?」えっ……なんで言ってないのに心を読めるの?」

 

「それは勘としか言いようがないが……ともかくこの程度は俺からしたら軽いだろ? 何せ俺からしてみての重いというのは……輪廻の輪に戻れない程に相手の可能性全てをぶち壊す、って意味だからな」

 

(ヒェッ……これガチで言ってるやつじゃん⁉︎ ……アルジの機嫌は極力損なわない様にしないと)

 

「さ、流石ですアスタロト様! 完全なる敵と見なした相手に容赦しないその姿勢……私も見習いたいです‼︎」

 

(えっ⁉︎ そこ尊敬する様なところ⁉︎ この場でおかしいのって……僕だけ?)

 

 と、シドさんは思っていました。因みにニューさんは、アルジの言った事に対してはシドも同意見だろうと勘違いしていますが、この場でその間違いを正す人は誰もいません……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 三人称

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 不届き者達をニューに任せて翌日の事、我らが主人公のアルジの機嫌は……すこぶる悪い。何故か? その理由は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ聞いた? アルジくんのお兄さん、昨日帰る時大変だったらしいわよ?」

 

「あぁ聞いた聞いた。あれの事よね? アルジくんもあんなお兄さんを持って可哀想に……」

 

「全くだよな〜……なにせ帰る途中に腹が痛くなったからってー自主規制ーしながら帰ったって話だろ? 魔剣士学園の評判が落ちたらどうしてくれるんだろうな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とまぁ、そんな話が聞こえてしまったのだ。自分の事ではないにしろ、これは看過できるものではない。その為……

 

 

 

 

 

 

 

「今俺の耳に届いているとある噂、というより悪ふざけににしか思えない話なんだが……それを吹聴して回ったのは貴様らだよな? なぁ……ヒョロとジャガ?」

 

「え、えっ? な、ななな何のことかなぁ⁉︎」

 

「そそそそうですよ! 僕達何も悪いことなんてしてないですよ⁉︎」

 

「だったら今朝から廊下を歩いているだけで聞こえたあの内容は何だ? 虚偽とはいえどう考えても情報の巡りが早いよなぁ〜? そこに関してどう思うよ?」

 

「だ、だから俺たちじゃ……」

 

「まだ罪を重ねるか? そんな事をしても、貴様らへの罰がどんどん増えるだけだが?」

 

「はぁ〜……もう諦めなよヒョロ、ジャガ。アルジがこうなったら、本当の事を言うまで止まらない事は理解してるだろ? 正直言って事実無根だし、100歩譲って路地裏でしたって言うのが本当の事だったとしても、これは流石に僕も酷いなって思うんだよ」

 

「100歩譲ってって実際にそうしたんじゃないのかよ⁉︎」

 

おい、今は俺と話してるんだろ? 話を逸らそうとするな

 

「ヒィッ⁉︎」

 

 シドにそう言うヒョロだが、アルジに威圧された為それ以上は言えなくなってしまう。

 

(な、なぁジャガ……これは素直に謝った方が良いよな?)

 

(そ、そうですね……これは僕達も流石に悪ふざけが過ぎましたよね……こ、ここは素直に謝りましょう……)

 

 両者がアイコンタクトで意思疎通を行う。そして……

 

「ご、ごめん‼︎ 流石に今回は悪ふざけが過ぎました‼︎」

 

「今回“は"?」

 

「あっ……いえ、今回も……です」

 

「ぼ、僕達……シドくん達が昨日綺麗なお姉さんにアンケートに連れられたのを根に持ってしまって……しかもアルジくんはともかくシドくんは陰でモテてしまうから、それで今回の悪ふざけを……」

 

「は? それで今回の事か? というよりそもそもテメェらがモテないのは男を磨いていないからと昨日も言ったはずだが? それと兄さんはこれでも、こんなにしっかりしていない様に見えても影では男を磨いているからな? だからその結果が出てんだよ。それを理不尽にこんな形で悪ふざけするとか……お前らそれでも男か? この愚か者どもが」

 

「うっ……せ、正論過ぎてぐぅの音もでねぇ……」

 

「まぁこれが兄さんが1人っ子であり、俺も兄さんの血縁でなければ説教はここまでだったんだがなぁ〜……」

 

(えっ? と言う事はまだ説教が続く……のか?)

 

(えっと……えっと……これってどう言う……)

 

「あぁ、説教が続くのかって言うのと、どう言う意味なんだって顔してるな?」

 

「「えっ?」」

 

 ヒョロとジャガは2人して心の底で考えていた事を言い当てられてしまったので、鳩が豆鉄砲をくらった様な顔になる。そんな2人に対してアルジは更に続けた。

 

「そんなの続くに決まってんだろ? まぁ兄さんが血縁どうこうの話はこの際無視して……この事で俺の姉さんにまでいらぬ気苦労をかけさせるよなって意味だ。この噂が広まる速さ……当然俺の姉さんの耳にまで入る。それで今回の事を噂した奴らは理解しているだろうか……? 俺の姉さんにまで泥を塗る様な行為だと。だから……

 

「「ひっ⁉︎」」

 

 ヒョロとジャガは首根っこを掴まれる。それもガシッと擬音が聞こえるぐらいの音量である事からかなり強く握られ……

 

「じゃあ……行こうか?」

 

「い、イヤだぁ〜っ⁉︎」

 

「た、助けて下さい⁉︎ シドくん! 助け……」

 

(ヒョロ、ジャガ……ドンマイ。君たちの事は忘れないよ)

 

 アルジはいい笑顔を浮かべながら恐怖に染まった顔のヒョロとジャガを引き摺って行く。そしてシドは引き摺られた2人を心の中で敬礼しながら送った。

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side アイリス

 

 

 

 

 

 

 

 

 先日での王都襲撃は、『シャドウガーデン』という組織が引き起こしたものだと分かった。そして標的となったのは『ディアボロス教団』の構成員……らしい。

 

 らしいというのは私もあの夜初めてその名を聞いたからであって、今のところその者達がなんなのかが分かっていないからで……

 

(でも何もしないでいる事は出来ない)

 

 自分達がこうしている間にも、その存在達は陰で何らかの事を企てているに違いない。確証は得られないけれど、まずは被害にあった施設や地区を隅々まで調査する必要がある。

 

 そこで見つかったのがとあるアーティファクトで、丸型の物と十字形の物だった。こればっかりは私達もどう調べれば良いかが分からなかったから、その分野に精通する専門家に任せる事にしたわ。

 

(それにしてもアレクシアと同じ年齢でその手の物に詳しいなんて……本人さえ良ければ卒業後にスカウトしてみようかしら)

 

 そう思ってしまうのも、最近私個人で騎士団を率いる様になったからだ。その名を『紅の騎士団』と名付けていて、由来となったのは私の髪色に起因するといっても過言ではないわ。それと……

 

(あの日私達を助けてくれた紅い甲冑を身に纏った人……あの人の強さにあやかりたいというのもある)

 

 その事については、私が勝手に助けられたと思っているだけで、あの大規模攻撃のうち偶々私達に向けられた物を王都ごと防いだ結果に過ぎないのかもしれません。ですが……

 

(それでも私はあの強さに惹かれました。どれ程強大で物量差があっても、怯まず立ち向える強さと勇気を……)

 

 あの戦いを見た時に思いました。私が目指すべき強さはあの強さなのだと……

 

「もっと強くなりたいですね……」

 

 出来る事ならあの紅い人に会って師事したい……心の中でそう思っているアイリスであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(全く……いらない時間を取った)

 

 あの後下世話な2人に対してO☆HA☆NA☆SHIした。どんな事をしたかは言わないが……まぁ兄さんに対して吹聴した噂話以上の罰を与えたって所か。その後は兄さん達の所に帰したが……今回の様な事は金輪際やめて欲しいと感じる。

 

(兄さんに対しては別に構いやしないが……それが姉さんの方にまで悪影響を及ぼすのは嫌だからな)

 

 そんな事を考えながらアルジはとある場所を目指す。それは先程まで考えていた姉であるクレアが所属する教室で、先程の事を考えながら歩いていた為か早々に教室の前まで辿り着いた。

 

「あらアルジくん、どうかなさいましたか?」

 

「あぁ、ローズ先輩。ちょうど良い所に」

 

「ちょうど良い……ですか?」

 

「えぇ。姉さんとローズ先輩に用があって来たんですけど、姉さんはいますか?」

 

「えぇ、クレアさんならいますy「どうしたのアルジ! まさか私に会いに来てくれたの⁉︎」全く……クレアさんは相変わらずですわね」

 

「はは……まぁそうだね。これを渡そうと思って」

 

 俺は手に下げていた紙袋から長方形の物を取り出して姉さんに渡した。

 

「これは……」

 

「昨日丁度兄さん達とミツゴシに行って来てさ。それで買ってきたんだ。今流行しているチョコレートをね」

 

「っ⁉︎ ま、まさか……告白⁉︎」

 

 姉さんの発言が聞こえたのか、さっきまで思い思いに話していたクラスの人達が一斉にこちらを向いて来る。

 

「(姉さん……)告白……って訳じゃあないんだけど、いつも姉さんの世話になってるから、その恩返しがしたかったんだ」

 

「そ、そうなの? でもそんな事気にしなくても良いのに……」

 

「俺がやりたいからやってるだけさ。だからあまり気にしないで欲しいかな。それとローズ先輩にも」

 

「わ、私にも……ですか?」

 

「いつも姉さんの事で世話になっているから、そのお礼も兼ねてで」

 

「う、嬉しいです! ありがとうございますアルジくん‼︎」

 

「まっ、今回の用件はそれだけなんで戻りますけど。っと、その前に……確かブシン祭に参加するんでしたよね?」

 

「えぇ、今回も出る予定ですよ。それとクレアさんも。もしかしてアルジくんも出られるんですか?」

 

「えぇ。まぁ自分の実力がどの程度か確かめたいというのもありましたから」

 

「そうなんですね。私もアルジくんの噂は聞いていますから、もし予選で当たる事があればよろしくお願いしますね!」

 

「えぇ、その時は是非! それと姉さんも出るんでしょ?」

 

「当たり前じゃない! 私もアルジと久々に本気で戦いたいと思っていたんだから‼︎」

 

「本気で……か。うん、その時はお手柔らかに頼むよ」

 

 そう言って俺は姉さん達のクラスから離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

side クレア

 

 

 

 

 

 

 

 

(アルジからチョコレートを貰っちゃった‼︎)

 

 これは一種の告白と捉えても良いのかしら⁉︎ 本人はいつも世話になっているからって言ってたけど……

 

(理由はどうであれ嬉しい事に変わりないわ! 早速開けてみましょうか‼︎)

 

 丁寧に包装された包み紙を、あまり傷つかない様に開けていく。アルジから貰った物だから、それが何であれ大切に取っておきたい。例えそれが包装用の紙であっても!

 

(っ⁉︎ こ、これって……)

 

 私はアルジからの贈り物で、それが例え安物であったとしても想いがこもっていれば嬉しいと感じるわ。あまりに高すぎる物だったら少し困ってしまうけど……それもアルジが考えに考えて贈ってくれた物なら、その気持ちを尊重したいと思っている。

 

(でもこれは……)

 

 アルジが私に贈ってくれた中身は……アルジが自作してくれた物だった。その証拠に外箱はどこのブランド品の物じゃない、アルジがデザインしてくれたものだった。正直知らない人であれば高級ブランドと思ってしまう代物だけど……

 

(と、という事は中身も……)

 

 箱を開けると、中にはこれも綺麗に形取られたチョコレートが規則的に並べられてあった。形としては円柱の形や正方形、それに……

 

(こ、これ……は、ハートの形‼︎ こ、これはもうあれよね⁉︎ そう受け止めても良いのよね⁉︎)

 

 あぁ……今私はとても幸せだと思ってる。いつも世話になっているからとこうしてチョコを自作してくれた事もそうだけど……

 

(こんな事されて好きにならない訳ないじゃない♡ 私もこれ以上にお返ししないとね!)

 

「まぁ! これは素晴らしいですわね! 正に芸術ですわ‼︎」

 

「……えっ? (な、何でローズの方にもハートの形が……ど、どういう事なの……ま、まさかアルジ……ローズに気があるって事⁉︎ これは……早めに手を打たないと……)」

 

「く、クレアさん? 私の方をマジマジ見てどうかなさいましたの? それと目が怖いですわ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(それにしても兄さんもチョコを買っていたが……誰に渡すんだろうな?)

 

 アレクシアさんは……多分ないだろうな。この前斬られたばかりだし、適当に誰かに渡す光景が目に浮かぶ。

 

 それとあの馬鹿者の2人組は、渡そうとして玉砕+手痛い仕打ちを受けるって事も予想が付く。アイツらも普段から自分達の言動に気を付けて自分磨きすればワンチャンあるかもしれないが……

 

(まぁ兄さんに至っては、そこの所ただモブらしい事が出来ればいいと考えてるからな……)

 

 そこまで考えて自分のクラスに戻ろうとした時、俺の肩にいつぞやの白い鳥が止まった。それは昨日詰所を出た後直ぐに情報伝達をしたコトハさんの使い魔だった。使い魔が止まったと同時に念話が始まる。

 

『アルジ様、聞こえますでしょうか?』

 

『あぁ聞こえているよ。それで……何か進展が?』

 

『はい。どうやら今回の事件の首謀者は、学園の関係者という所まで絞り込めました』

 

『……また学園関係者か。それも講師のうちの誰か、か?』

 

『はい。ただ気になる事が一点あります。首謀者と思しき者が活動している際、こちらでマークしている人物は別の所にある事が確認されていて……』

 

『何らかのトリックがある……か』

 

『はい。現在調査中ではあるのですが……』

 

『分かった。こっちでも可能な限り調べてみるよ』

 

『ありがとうございます』

 

『あっ、そうだ。いつもコトハさんにもお世話になっているからチョコを持って来たんだけど……いる?』

 

『ほ、本当ですか⁉︎ ……っ! し、失礼しました。もし宜しかったら……』

 

『分かった。じゃあこの使い魔に運んでもらう様にするよ』

 

 そこでアルジは念話を終了し、コトハの使い魔に重量を限りなく減らす術式を付与したチョコレートを持たせた。

 

 因みに使い魔はしっかりコトハの元まで戻りチョコレートを届け、それを食べたコトハは普段なら見せる事の無い笑みを浮かべていた。

 

 

 

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