陰の復讐者となりて   作:橆諳髃

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最新話まで新しくご評価とお気に入りを付けてくださった読者の方々、誠にありがとうございます!

さて今回から本格的に魔剣士学園襲撃会になります。キリの良いところで終わらせているので文字数は少ないですが……

それと前回チラッとアルジとアルファの絡みを書きましたが、あれに対して書いて欲しいかどうかのアンケートも今回から受付します。

書いて欲しいといった意見が多かったら構成を考えて書きますので、何卒ご協力よろしくお願いいたします!

それではどうぞご覧下さい。


18話 復讐者、騙る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 無事に武神祭も終わって数日後……今日は生徒会の仕事内容を1年生に教える為に生徒会の役員が来る事になっていた。因みにローズ先輩が直接来る様になっていて、俺達のクラスを最初に訪れる様で兄さんやヒョロ、ジャガコンビも同じクラスだ。

 

 それでローズ先輩と他の役員の人達が来て、生徒会とはどういったところでどんな役割があるのかを丁寧に話してくれた。誰が聞いても分かりやすく言ってくれて、まぁそれ程生徒会は学園にとって大事な所だから当然っちゃ当然かもしれないが……

 

(にしてもこっちに笑みを浮かべてくる場面が頻繁に多いんだが……)

 

 確かにローズ先輩とは姉さんと一緒にいる事が多いから会う機会もそれなりにはあるが……

 

(だけどあんな露骨に笑みをこちらに向ける事って無かったよな……)

 

 ローズ先輩と最後に会ったのは数日前の武神祭が最後だったな。今日の準備の為に生徒会で用事があるからって事で、姉さんの所に行ってもいない事が多かった。

 

 そんな訳で武神祭が終わってから数日ぶりに会ったんだが……武神祭前と比べて、別人って程ではないけど……意識的に俺を見る目が変わった様に見える。

 

(まぁとりあえず今は生徒会についての話を聞くか)

 

 もしかしたら俺自身も関係が出てくるかもしれないし、こう言った事は聞いてて損になる事は無いだろう。

 

 そんな訳で先輩方が話し始めて数十分経った頃……学園全体に何か結界の様なものが張られた。同時に教室の中に黒ずくめの男が数人入ってくる。

 

「何者ですかっ⁉︎ ここは神聖な魔剣士学園ですよ‼︎」

 

 それに対してローズ先輩は強気で返したんだが、入ってきた奴らは明らかにニヤケ面しているのが分かる様に下卑た笑いを浮かべて剣を突き付ける。

 

 ローズ先輩は負けじと学校から支給されている剣を引き抜いて応戦しようとするんだが、どうやらローズ先輩はさっき張られた結界のせいで上手く魔力制御が出来ず、逆に相手はその中でも魔力を剣に纏わせて先輩の剣を叩き斬った。

 

「ふんっ! 魔力を使うことも出来ない奴が俺達に勝てる訳ないだろう?」

 

 そう言葉にしながら黒ずくめの1人がローズ先輩に斬りかかろうとする。

 

(そんな事……俺が許す訳ないだろうっ‼︎)

 

 俺は座っていた椅子を蹴飛ばしてローズ先輩の前に躍り出て……そして黒ずくめに斬られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ローズ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(そ、そんな……う、うそ……ですわよね?)

 

 私の目の前では……とても信じられない事が起こった。いきなり黒ずくめの者がこの場に乱入してきた為に、私も剣で応戦しようとしたのですが、何故か魔力を上手く纏わす事が出来ずに逆に剣を折られてしまったのです。

 

 そして直ぐ様私に剣が振り下ろされるのが見えました。

 

(っ⁉︎ 咄嗟の事で避けれないっ⁉︎)

 

 魔力を纏っていれたのなら別だったのですが、今の状況ではそうもいかず、まるで走馬灯の様にゆっくりと剣が振り下ろされるのを見ているだけで……

 

 そんな時に、誰かが私と黒ずくめの間に割って入ってきたんです。その割って入ってきた人物が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あ、アルジくん……? どうしてそんな所に……?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう思った瞬間……何かが何かを引き裂く様な音が聞こえて、アルジくんの方から何か液体の様な物が飛んできました。

 

(これは……血? ……っ⁉︎)

 

 気付けばアルジくんがこちらに倒れかかってきました。倒れかかってきたアルジくんを見ると……彼の左肩から右脇腹にかけて一筋……深い傷が出来ていて、そこから湧き出る血も床をドンドン紅色に染めて行きます……

 

「アルジくん……アルジくんっ!」

 

 その光景を見て私は……彼の名前を呼ぶしか出来なかった。クレアさんと話している彼は、時たま疲れた様な顔をしながらも笑みを絶やす事はなく優しく接していて、そして私に対しても優しくしてくれました。それだけでなく、武神祭の時には私の限界以上の力を見たいと鼓舞してくれて……

 

(そこからでした。彼を意識する様になったのは……)

 

 最近は生徒会の事で忙しかったのもあって中々彼と会う事が出来なかったのですが、何かしている度アルジくんの事を考えたりもして……

 

(いつの間にかアルジくんの事を考えている時が多くなっている気がしますわね)

 

 だからでしょうか? 久々に彼に会えて嬉しいと感じてしまったのは……露骨に彼に対して笑みを浮かべてみたり、本当はアルジくんと2人きりでなんでもない様な話をしたかったり、触れ合ったりしたかった。触れたら触れたでアルジくんは驚くでしょうけど、そんな所も揶揄ってみたら可愛く見えてしまったりして……なのに……

 

「アルジくん……どうして……どうして庇ったのですかっ⁉︎」

 

 自身が生徒会長であるという立場や人前である事すらも忘れて……私は彼を起こそうと揺さぶりながら泣いていました。彼の姿を見て本当はもうダメだと理性では分かっているのに……感情がそれを止めてくれませんでした。

 

「うるせぇぞこのガキ!」

 

 黒ずくめからまた剣を振られました。それは私を殺めようとするものなのに、その軌道がアルジくんにもあたる勢いで振られて……

 

(これ以上アルジくんは傷付けさせません‼︎)

 

 だから私は……咄嗟に彼に覆い被さりました。誰が見ても無駄死にで馬鹿な行為だと言われてしまうでしょう。

 

 でも私は……例え彼が死んでいてもこれ以上傷付けられたくなかった。全生徒の代表なのに、ある生徒に肩入れしている時点で生徒会長は失格だと言われても仕方ありませんが……それでも私は彼が……

 

(彼が……アルジくんの事が……)

 

 そう思いながら私は剣に斬り裂かれ……

 

(……えっ? 痛みが……無い?)

 

 ゆっくりと黒ずくめ達の方を振り返ってみれば、今まさに私へ剣を振り下ろそうとしていました。でも何故か振り下ろそうとする途中で静止していて……よく見れば黒ずくめの顔から大量の汗が流れ出ていました。それも剣を振り下ろそうとした者だけでなく、他の黒ずくめの者達も皆同じ状態で……

 

「……っ⁉︎ お、おいっ⁉︎ し、死にたくなかったらさっさとこの教室から出ろ! いますぐにだぁっ‼︎」

 

 黒ずくめの1人がそう言いながらこの教室にいる生徒全員に向けて言いました。生徒の皆は、アルジくんが目の前で殺されて自分達もそうなりたくないと思ったのかその指示に従っていたのですが……

 

(何かを恐れている?)

 

 私にはそうとしか見えませんでしたが、今はその指示に従うしか他になくて……

 

(それに私がいつまでもこの調子では……アルジくんに嫌われてしまいますわね)

 

 私は、これ以上他の生徒に危害が加わらない様に皆と一緒に黒ずくめの言う通り教室から出る事にしました。

 

 でもその前に———

 

「アルジくん……守ってくれてありがとう。それと……ごめんなさい。この騒動が終わったら……直ぐに迎えに行きますから」

 

 そう言って私は……彼が生きている前にしたかった事を、彼の唇に自分の唇を押し当ててその教室を後にしました。

 

 そして彼の唇は……まだほんのりと暖かかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 三人称視点

 

 

 

 

 

 

 ローズ達がその教室から出てから数分後、1人の男が死体となったアルジの近くに寄ってきた。

 

「お疲れ様アルジ」

 

 それはアルジの兄であるシドで、彼もローズ達と一緒に出て行ったはずで本来この場にはいない筈だった。だが彼はまるでそんな事はなかったかの様にその場にいたのである。

 

 そしてシドがその言葉を放った数秒後……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く……1回首謀者達を欺くとはいえこんなやり方を取らないといけなくなるなんてな」

 

 その声はさっき敵の攻撃によって命を落とした筈のアルジのもので、その声も本人の口から通して聞こえていた。

 

 そしてアルジがそう言った瞬間、受けた筈の傷がみるみるうちに塞がっていったのである。それも床に溢れた筈の血も、まるでそれ自体が意思を持つかの様に彼の体内へと戻って行った。その現象が起こって数秒後には、裂かれた衣類はそのままであるものの、傷は完全に塞がったのである。

 

「にしてもこの魔力の制御が効きづらい中でよくこんな芸当が出来るよね?」

 

 因みにシドが言った芸当というのは、勿論死を偽装する事も含まれてはいるが、シドがあたかも他の生徒と一緒に教室から出たと見せかける事である。

 

 アルジは敵に斬られる前にシドへ偽装魔法をかけていた。それは魔力制御が難しい中で、しかも自分から離れている対象に対してかけ続けるといった、まさに常人では理解不能な芸当だった。それをアルジはさも当然の様にやってのける。

 

 それともう一つある。それは黒ずくめが恐怖した現象……あれは他の生徒達には見えていなかったが、アルジから巨大な陰が出来ていたのだ。それも紅い魔力の塊で……

 

 見た者達からするとそれは……紅い鬼の様な存在が静かに佇みながら青い瞳で黒ずくめ達を睨みつけていたのだ。それを見た黒ずくめ達はローズ達に攻撃をやめて早々に立ち去りたかったのである。だからこそあんなに焦っていたのだ。勿論それはシドに見えていて、シドから見ても関わりたくない類に思ったのだ。

 

「まぁ兄さんよりも早い段階で魔力制御をしているんだ。これぐらい出来て当然だろ?」

 

「ま、まぁそっか……」

 

「んで? 兄さんはどうするんだ?」

 

「う〜ん……まぁいつも通りかな?」

 

「そうか。まぁ俺も今回は敵を片っ端から屠るだけだし……まぁ今回の件を追ってるガンマ達も学園を包囲して、相手が隙だらけなところから潜入するだろうからな。俺はそれのフォローするかってところだな」

 

「へぇ〜……ガンマ達も来るんだぁ〜」

 

「兄さん……少しくらい興味を持てよな? まぁ今更言ったところでこの会話すら忘れるんだろうけどな?」

 

「あぁっ⁉︎ 酷いよアルジ⁉︎ 僕だって一生懸命考えながらやってるんだよ⁉︎」

 

「はいはい。取り敢えず俺も準備するからさっさと出ていってくれないか?」

 

「はぁ〜……なんか最近アルジ僕に冷たくない?」

 

「そう思うんだったら中二病とかモブがうんたらかんたらとか、そういった日頃の行いを改めるんだな兄さん」

 

「へいへい……じゃあ僕は行くよ」

 

 アルジの言葉に嫌そうな顔をしながらも、シドは教室を去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて……兄さんも充分遠くに行った様だし、俺も早速始めていくか」

 

 俺は自分の魔力が体内を循環していく事に意識しつつ、それを加速させて行った。それが十分な速さで巡っていくと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺……至る——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルジは右手親指と人差し指をほぼ直角に立て、手の甲を正面に向ける様にした状態で手を挙げ、一言呟く。その一言をまるで呪文を唱えるかの様に呟いたその時、アルジを中心に魔力が迸り、それはアルジを包み隠した。その色はいつもの様な紅色ではなく、金色と青が互いに交差する様なものだ。次第にそれは膨らんでいき、一気に魔力が拡散されて行く。それも学園を覆っている結界を一度解除するぐらいの爆発力を伴って……

 

 そして魔力のベールが解かれたアルジの姿は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ〜て……こんなオイタをやらかした奴らに天誅喰らわせに行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルジとは全く別人の姿をした男が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という事で……キリの良いところで終わらせたので今回は5000文字にも満たないくらいの内容になっています。

多分次回は今回の文字数を超えていくと思いますが、まぁ気分次第で次の話に持っていっているので……読み応えがないと感じたら申し訳ございません。

また今回最後に出てきた男の存在……まぁ中身がアルジなのは変わらないのですが、スペックとかは元の人物にアルジのスペックの5割をプラスしておりますので……まぁどちらにせよチートな事には間違いないですね。

それとアルジが呪文の様に放った言葉と、アルジが変身した後に発した言葉……それこそが誰に変身したか分かると思います。あと呟いた時の動作ですね。

さて次回は魔剣士学園襲撃編のクライマックス前編の様な感じで書いていく予定です。ではこれにて……

第17話であったアルジさんとアルファさんの絡みを書いて欲しい方

  • R-18で書いて欲しい。
  • R-17.9までで書いて欲しい。
  • 本編をとにかく進めて欲しい。
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