陰の復讐者となりて   作:橆諳髃

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凡そ4日5日振りの投稿になりましょうか。さて、今回のサブタイトルですが……あまり良い物が浮かばなかったのでそのままです。サブタイトル自体が話のネタバレとなっている状態ですが、何卒ご了承下さい。




23話 復讐者、の友人の姉は困惑する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後……俺とローズ先輩はリンドブルムに到着していた。着く間の数日間は……なんというか殆どローズ先輩と一緒にいたと思う。朝のおはようから夜のおやすみまで……。流石にシャワールームまでは来なかったが、それでも毎回なんでこんな状況なのかが分からなかった。

 

(というよりもこれ……後で絶対にアルファに叱られるパターンだ)

 

 だってローズ先輩……ほぼ俺に寄り添っていた様なものだったし……兄さんなら、これはモブの役目じゃないとかなんとか言ってやり過ごすんだろうが……残念ながら俺には無理だったよ。

 

(過ぎた事は仕方ないし……アルファに叱られよう)

 

 俺は半ば諦めた様に思いながら、ローズ先輩とリンドブルムの地へと踏み入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side アレクシア

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

————アルジがリンドブルムへ行くよりも2日前————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は姉様と一緒に『ミツゴシ』へと買い物に出ていた。私も学園が襲撃されるよりも前に『紅の騎士団』に所属していて、その一員として何かやりたいと姉様に進言したの。そしたら、丁度数日後にリンドブルムで女神の試練が執り行われるから、それに合わせて教会の調査をお願いされたわ。

 

 姉様が言うには、教会が何か不審な動きをしているといった情報が寄せられたの。でも自分は学園の襲撃と、先の王都内の襲撃事件が立て続けに起こっているから行くことが出来ず、私が名代で行くということになった。

 

 それと同時に女神の試練の来賓にも呼ばれたから、それ専用のドレスコードとかも買うということになって、今は姉様の付き添いありで来ていたわ。

 

 まぁ私も普段からここにはお世話になっていたけど、今回は正式な催しに出る為に『ミツゴシ』の支配人に直接相手をしてもらっていたところね。

 

「本日は『ミツゴシ』にお越し頂き誠にありがとうございます! 支配人の『ルーナ』といいます。以後お見知り置きを」

 

 その支配人は……数年前に廃業寸前だったものを一代で立て直し、ここまでの大規模な商会へと発展させた人だと聞いたわ。外見は……悔しいけど綺麗な人だった。肌は色白でシミ1つない、まるで卵肌と言っても言い過ぎじゃないくらい綺麗で、髪も藍色でツヤがあって、照明に反射されたそれがキラキラと輝いているんじゃないかというくらいに映った。そして見に纏っている衣服の類も……どこのパーティーに行っても恥ずかしくない、いえ逆に10人中10人が美しいと言うくらいに纏った色合いで、それを堂々と着こなしていたわ。

 

「それにしてもここにはお世話になっていますが、毎回毎回品揃えが流行の最先端だったり、市民の人達にも手を出しやすい価格設定ですよね。その分品揃えも良いとは……」

 

「はい。私達も貴族の方々や一般階級の皆様方まで、ありとあらゆる階層の方々が生活面でもより豊かになる様にと思っていますから。勿論ご贔屓にして下さる方々には、それ以上のサービスもさせて頂いております」

 

 支配人が私達に対して綺麗なお辞儀をしながらそう答えた。なんだかここまで来ると完璧な人間に見えてしまうわね……

 

(そういえばアルジくん……元気かしら?)

 

 魔剣士学園を襲撃された時……私は学園の外にいたの。姉様から言われた調査で少しだけ学園を離れていたんだけども……帰ってきた時に異変を感じた。学園の門は閉じられているし、守衛は襲われて倒れているし、おまけに学園全体に妙な結界が張られていたの。

 

 無理をすれば突入する事は出来たけれど、その結界に触れた瞬間に魔力が吸われる様な……そんな感覚がした。だからその結界をどうにかしない限りは私にはどうする事も出来ないと感じたの。

 

 それで襲撃事件も収まって聞いたの……アルジくんが重傷を負ったって。

 

 あれだけ強い彼が重傷を負ったのは……何かの間違いだと思いたかった。でも話を聞く限りで彼らしいとも感じたわ。魔力を上手く使えない状態で他の生徒を庇ったからだと。私が行った時には、彼が安静にしていただろうベットには誰もいなくて、代わりにポチといつも一緒にいる2人組がグースカと眠っていて、後ローズ生徒会長もいたわ。2人は偶にアルジくんと一緒にいるから分かるけど……なんで会長がいたのかしら?

 

(でも本当に……自分よりも他人の事優先よねアルジくんは……)

 

 思えば最初からそうだったと思う……彼は自分そっちのけで誰かの手伝いをしていたし、他の人が悪さしてたら叱っていたし、それで学力も剣術もトップクラスで、最初は私も物凄く嫉妬していた。

 

 でも今はそうは思わない。彼の事を1人の人間として尊重してる。それに偶に私の所に来て剣術も見てくれる様になったわ。私が夜1人になってた所を襲われて以来……また彼に助けられてしまった事が、嬉しくもあったけど情けなくて……だからそれがあった次の日にアルジくんにお願いしたわ。今以上に自分に訓練を施して欲しいと。

 

 最初彼は、あまり無理してはいけないって諭す様に言ってきたけれど……自分の身1つ守れないのが嫌だと強くお願いしたら……溜め息を吐きながらだけど快諾してくれたわ。

 

 それからはミリアさんと訓練だけでなくて、アルジくんも頻繁に顔を出してくれる様になったわ。それで私は……あの時よりも格段に強くなれたと思ったの。だってほぼほぼアルジくんと模擬戦してたもの……それも私の全力を遥かに覆す程の力で……

 

 それはミリアさんにも施されたわ。ミリアさんの時は私以上の実力を出していたけど……あの域は本当に見た事が無かったわ。それもゼノンと対峙していた時がまるでお遊戯だったと見えるくらいに……

 

(本当にアルジくんは才能もそうだけど……それだけに頼りきらない努力をしてきたのよね)

 

 ミリアさんとの模擬戦を見ていて分かる。彼の動きには無駄がない事を。偶に無駄が見えるけど……それも巧妙で相手にわざと打たせて隙を作る為……あの打ち合いの中でどれ程先を見て動いているのかしら。

 

(でも私もその強さを手に入れたい!)

 

 一朝一夕にはいかないけど、でもこのまま突き進んでいけば……今の私よりももっと強くなれる気がする。

 

 そう思う様になったのもアルジくんのお陰で……彼には助けられてばかりな気がするわね。

 

(何か彼に対して恩返しみたいな事が出来ないかしら?)

 

 そういえばある時……いつもとほぼほぼ変わらなかったけれど、少し疲れた様な笑みを浮かべていたわね。彼も普段から誰かの事ばかりで動いているから疲れが溜まっているのかしら?

 

(なら……身体の疲れも取れるのと一緒に精神的な疲れを取れる様な事が出来れば……)

 

 そう思いながらだろうか……アレクシアはこんな事を呟いた。

 

「ドレスの類は大丈夫だけど……もう少し普段使いのものがあれば嬉しいわね」

 

「ちょ、ちょっとアレクシア⁉︎ ドレスの類はって、それ以外でも結構買ったでしょ⁉︎ これ以上何がいると言うのっ⁉︎」

 

「普段使い……ですか。ではこういうのはどうでしょうか?」

 

 するとルーナさんが手を叩いて他の従業員に何か準備をさせていたわ。それで持ってこられたのが……

 

「こ、これはっ……⁉︎」

 

「はい! 我が社でも最近売り出し中の人気商品になります‼︎ 女性の肌着でございます‼︎」

 

 目の前に陳列されていたのは、女性の肌着……と言っていたけれど、全くもって見たことのない類だった。私達が今まで身に付けていた物よりも布面積は小さいし……

 

(で、でもこれならっ……‼︎)

 

 私は謎の焦燥に駆られてその肌着に手を伸ばしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side アイリス

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(な、なんなんですかこれはっ⁉︎)

 

 私はアレクシアの付き添いで『ミツゴシ』に来ていました。常日頃からも王家としてはお世話になっているという事もあってVIP席に案内されていました。

 

 まぁ買う物は一通り頼んだので大丈夫だと思ったのだけど、ここでアレクシアが普段使いの物も見たいと言い出した。もう随分買ったと思うんだけど……

 

 それで持ってこられたのは……余りにも薄い女性用の肌着だった。私達の常識からは逸脱し過ぎている様な物で……一体これを誰が買うというのか……

 

「って、アレクシア⁉︎ 何をしているのですかっ⁉︎」

 

 目の前の物に手をかけている我が妹の姿が目に入って、お店の中だというのについつい叫んでしまいました。でもアレクシアはそんな事は関係なく……

 

「お姉様……これ……欲しいです」

 

「何を言っているのですかアレクシアーッ⁉︎」

 

 ま、まさかの錯乱? 錯乱してそんな事を言っているのですかアレクシアっ⁉︎ でも確かにこんな衝撃的なものを見てしまったら錯乱してしまうのも……

 

「私……物凄く欲しいんですお姉様!」

 

「とりあえずその手にかけている物から離しなさいっ‼︎」

 

 未だにその肌着に手をかけているアレクシアを止めるべく、私もアレクシアの肩を掴んだ。

 

「お姉様……私……お尻の形には自信がありますっ!」

 

「そんな事は誰も聞いてないでしょうっ⁉︎」

 

「店員さんっ! 他の物とか無いかしらっ‼︎」

 

「それでしたらこちらも如何でしょうか?」

 

「あなたもあなたで勧めないでくださいっ⁉︎」

 

「それにこの肌着は男性の為の物でもありますので、そちら向けの方々にもとても人気なんです!」

 

「ありがとう! ならそれも試着します‼︎」

 

「ちょっ、アレクシアっ⁉︎ 待ちなさいっ⁉︎ というかこんな……いくら何でも布面積も小さい物を……って、男性の為ってどういう事ですか⁉︎」

 

「確かに男性の為の物でもありますが、女性の為の物でもありまして」

 

「さっきと言っている事が真逆じゃないっ⁉︎」

 

「では試着してきますっ!」

 

「ちょ、ほ、本当に待ちなさいってアレクシアっ⁉︎」

 

 あれよあれよとアレクシアはその薄い肌着を数点取って行って試着室へ……私はアレクシアの奇行を止める為に一緒に入りました。

 

「何を考えているのですかアレクシアッ⁉︎ 考え直しなさいっ! いくら何でも王族としてはしたないです‼︎」

 

「これのどこがはしたないというのですかお姉様? さっきの方も言っていたではないですか。女性の為の下着だと」

 

「でも男性の為の下着とも言っていたでしょう⁉︎ 目を覚ましなさい‼︎」

 

「でも見て下さいお姉様……これなんてとても肌触りが良い物ですよ?」

 

「肌触りがというより身に付けた時点で薄過ぎて肌が見えるでしょうが⁉︎」

 

「お姉様……私……お尻の形には自信があります」

 

「だからそれはさっきも聞きましたっ! というよりもその発言自体関係ないでしょうっ⁉︎」

 

「姉様っ‼︎」

 

「っ⁉︎」

 

 私はアレクシアの圧を感じて試着室の壁際に追いやられる。そんな私をアレクシアは顔の横の壁に手を押し付ける様な感じで私に迫り……

 

「姉様……姉様がどうしてもダメだというのなら私は諦めましょう。この肌着をどうしても履きたいけれど」

 

「な、何を言って……」

 

「どうしても履きたいのです! これは私自信の為でもあります‼︎ それでもお姉様がダメだと言うのなら……仕方なく、本当に仕方なく諦めましょう‼︎ でもこれは女性の為の肌着なのです! それでもお姉様は……私にこれを履いてはダメと言うのですか?」

 

「そ、それは……うぅ……ダメと言うわけでは……「では買います! 店員さん! これとこれを買います‼︎」「毎度ありがとうございます! それではおまけというわけではないですがこちらもどうぞ‼︎」「ありがとうございます‼︎」……」

 

 とりあえずその時のアイリスは疲れた顔をしていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リンドブルムに入ってからというもの……やはり女神の試練目当てで観光客や魔剣士の人達が多い。それに伴って市場やお土産屋さんも大変賑わっている様だ。

 

「あっ、アルジくんっ! これ見て下さい‼︎」

 

 そうして今も俺と一緒に行動しているローズ先輩が土産物の1つを手に取って俺に見せてくる。どうやら剣に何かの腕が絡みつく様な作りだが……

 

「これは遥か昔にこの世界を襲ったディアボロスという怪物を討ち果たす為に、三英雄の1人である『オリヴィエ』がこの地でディアボロスと対決しました。その時にオリヴィエが魔人ディアボロスの右腕を身体から斬り放したという逸話があったので、こういったモチーフとして売られているんです! なんでも魔除けとかに良いと聞きました‼︎」

 

「魔除けか……(迷信ではあるし、その逸話もどれ程本当の物か分からないな。分からないが……姉さんや大切な人達が傷付かないに越した事はないし……何個か買うか)」

 

 俺はローズ先輩に紹介されたそれを複数手に取って纏めて買った。それでオマケになんか小さいキーホルダーみたいな物もくれたんだが……

 

「これは……」

 

「あぁ、なんか言い伝えによると英雄オリヴィエの妹だとか妻だとか……色々と話は聞くが、どれが本物か分からなくてな。それと人気なのはオリヴィエの方だから、こっちは売れ残ってて困ってたんだ。だからこれもオマケに付けようと思ってな」

 

「へぇ〜……追加料金は無しって事で良いんだよな?」

 

「あぁ、と言うか逆に何個でも持って行って欲しいくらいだよ」

 

「そうか……ならそのオマケの奴をもう2つぐらい貰おうか。それらはこっちでお金を払わせて貰うから」

 

「オイオイ、別にこっちの方はお金はいらないんだが」

 

「まぁ俺のエゴってもんだ。だからこれの分も払っとくぞ」

 

「あ、あぁ……それなら受け取っておくよ。悪いなあんちゃん」

 

「良いさ。そのお金が何かの役に立つなら、俺はそっちの方が嬉しいからな」

 

 そう言って料金を払って品物が入った袋を受け取る。それでローズ先輩の所に戻って、買った一つを渡した。

 

「えっ? これを私に?」

 

「まぁ魔除けって話だし……先輩もこれから何か変な事に巻き込まれない様にって事で」

 

「まぁ! 嬉しいです! ありがとうございますアルジくんっ‼︎」

 

 先輩はそれを嬉しそうに受け取った。そこからもまた散策を開始していたんだが、そこでとある人物と会った。

 

「あっ⁉︎ あ、あれはもしかしてナツメ先生っ⁉︎」

 

 と、ローズ先輩が興奮した様に声をあげていた。ローズ先輩の視線を追うと、そこには人だかりができていて、その人達は1冊2冊と本を手に持って一列に並んでいたんだ。そこにローズ先輩も並んだから、俺も後を追う様にして向かった。

 

 因みにナツメ先生というのは、この世界での小説家だ。数年前に彗星の如く現れて、世に出した作品は貴族や庶民関わらず物凄く人気がある女性作家だ。俺も読んだ事があるが、確かに作品としてとても良く仕上がっていると感じた。この世界ではあまり見られない様な独自の物語だから、そこが心に響いたりするんだろうな。

 

(まぁそれが完全オリジナルの話ならだが……)

 

 そう、あくまでも完全オリジナルではの話であって、これは異世界の、それも俺と同じ様な地球出身者ならば必ず分かるもので……つまりパクっているのだ。

 

 そしてそのナツメ先生……ペンネームはナツメ・カフカと言うのだが、それはペンネームであり本名ではない。何を隠そう彼女こそ『シャドウガーデン』で結成当初の最初の7人である『七陰』のメンバー、ベータなのだ。彼女は小説家として活動しており、その傍ら情報収集を行なっている。

 

 彼女の場合、小説を書く為の取材で施設や観光地を見学したいという理由で怪しまれる事なくその施設に出入りする事が出来る。まぁ結構な確率でその施設が『ディアボロス教団』に関連ある所が多いから、その都度作戦を練って襲撃する。というぐらい彼女の役割は非常に大事だ。

 

 それて今回は……普通にこの都市が怪しいからという理由で来ているんだろう。そして敵側に気取られないようにサイン会を実施していた。

 

「それにしてもまさかここでナツメ先生自らサイン会を開いているなんて知りませんでした! これはとても運が良い事ですよアルジくんっ‼︎」

 

「そうなんですか? まぁ俺もナツメ先生の作品は結構好きですけど、サイン会は並ぶ人が多いしその都度別の用事が入っているので行ったことはなかったんですけど」

 

「まぁ! そうだったのですかっ⁉︎ それだったら早く私もそんな話題を出すべきでした‼︎

 

「まぁ俺の方も、基本的に姉さんと一緒にいる時じゃないと会話とかなかったですし、それにローズ先輩は剣術とかの方のイメージがあったから、こういったのはあまり興味がなかったかなと思って……」

 

「そんな事ありませんわ! ナツメ先生の代表作の時から好きで、その世界観がとても素晴らしいんです! 読めば読むほど引き込まれる様な感覚がして、気が付けば読み終わっている事も多いんです‼︎」

 

「へぇ〜……それ程好きなんですねナツメ先生の作品が」

 

「はいっ! でもアルジくんもナツメ先生の作品がお好きだと知れてとても嬉しいですっ‼︎ 良かったらこの後もナツメ先生の作品について語り合いませんかっ⁉︎」

 

「あ、あぁ……まぁ時間があれば大丈夫ですけど……」

 

「本当ですかっ⁉︎ う、嬉しいですっ! 同学年でもあまりこの話題で語り合える子がいなかったものですから……ではサインの順番が回るまでお話ししましょう‼︎」

 

 という事で唐突に始まったナツメ先生に対しての話題……振られたものについては基本的に作品のどの場面がどうこうで、それに対して自分は〜みたいな、そんな感想を語り合う時間だったと思う。俺は……まぁ元々がパクられた作品だから感慨深さを感じないんだが……適当に相槌を打っておいた。そうしておいてなんだけど、先輩はその都度瞳を煌めかせるものだから悪いな〜、と心の中で思ったのは秘密だ。

 

 それでいよいよローズ先輩の番になってサインを書いてもらい、その次は……

 

「いつも応援して頂いてありがとうございます!」

 

 ローズ先輩やその前の人達にもやってた様なお礼を言って、俺が持っていた小説の最後のページにサインを書き始める。

 

(ん? これは……古代文字か)

 

 ベータがそれを書き終わったと同時に俺に顔を近付けてきて……

 

「作戦の概要はこちらに……それと作戦が完了した後に時間があったら付き合って下さい♪」

 

 それも一瞬の事で他の人達には分からなかっただろうが、最後に機嫌良く言ってウィンクをしてくる。

 

(何というか……ベータって俺に対してこんな態度を取っていただろうか?)

 

 いや、確かに尊敬の念は幾らか感じてはいたが……ただそう言った類は兄さんにさりげなく見せていた筈……何故俺なんかにそうしたんだろうか? まぁ偶に気まぐれでそうする人も中に入るし、そういう部類だと思う事にしておこう。

 

 とアルジさんは思っていますが、この時点ではまだベータさんの気持ちに気付いている様子はありません……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サインをして貰った後、適当な所に座ってサインして貰った内容を見せ合った。先輩の方はちゃんとしたマトモなサインだったが、俺の方は古代文字で書かれていたから驚かれた。まぁそれは作戦概要だから誰かに読まれた場合の事を配慮する事、簡潔に俺に伝える為だろう。先輩には適当に古代文字でサインが書いてあるとだけ伝えているが……

 

 後は適当に露店とかをぶらつきながらお昼ご飯を食べたりして、キリの良い時間のところでローズ先輩と分かれた。その時に先輩は俺の借りる宿屋とかの情報を聞きたがっていたが、それだけは勘弁して欲しいという事で……そこは諦めて帰って貰った。

 

 それで俺は借りる予定の宿屋まで赴いていた。来る前までにどんな感じなのかを調べていて、この宿屋にはなんと露天風呂があるんだ! 寮では基本的に湯船には浸かれるけれども開放的ではないから……だからこういった所も偶には良いだろうと思って調べておいたんだ‼︎ 幸いにも露天風呂がありながらもそこまで高くはなかった。それで泊まる人もそこそこでって所で無事に泊まれた。

 

(さて、今日は遅いから部屋に備えてあるシャワールームを使わせて貰うとして……明日の朝は露天風呂に浸かりながらゆっくりとするか)

 

 と思いながら部屋を借りて割り当てられた部屋に向かったんだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルジ……こんなにも女性の匂いを漂わせてどう言う事かしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が借りた筈の部屋には……さもそこにいる事が当然だという様にアルファがいたんだ。それもいつものスライムスーツを纏って……

 

「あ、あの……」

 

「何かしら?」

 

「その……何でこの部屋に?」

 

「あら、そんなの当然じゃない。アルジにも手紙で私達がリンドブルムでやる事があるって伝えておた筈だけど?」

 

「いや、それは分かっているんだが……聞いているのはそういう事じゃあなくてだな……何故俺が借りたばかりの部屋にいるのかって事で……」

 

「フフッ……またおかしな事を言うのねこの子は♡」

 

 アルファが妖艶な笑みを浮かべながらこちらに近づいて来て……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方にお仕置きをする為よ?

 

(あぁ……やっぱりこうなってしまったか……)

 

「ふふふ……そんなに悲観的な顔にならなくても大丈夫よ? 貴方の事は……優しく丁寧に……可愛がってあげるわ♡

 

 ……まぁ断りきれなかった俺が悪い。これが俺の甘さであり、これまでの世界では持つ事が許されなかった想いでもある。だからそれを楽しむ……と言ったら変な話にはなるが……ともかくアルファを不安にさせてしまったと言うのなら、それが罰になるのかどうかは分からないが甘んじて受けようと思う。

 

 そう思ったアルジさんは、アルファさんとその宿屋で一夜を共に過ごしました……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、今回は主にアルジさんと言うわけではなく、アレクシアさんとアリシアさんの話になりましたね。書いていたなんか忘れているなと感じて急遽書いていって、それでキリの良い所で終わらせています。

今度は露天風呂の話になる予定です。私もそろそろ戦闘シーンを書きたい所ですが、順を追って着実に買いていきたいと思います。

それではまた次回お会い致しましょう!
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