陰の復讐者となりて   作:橆諳髃

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今回の話を投稿する前に……


お陰様で評価の投票者数が100名に至りましたっ!いやはや嬉しい限りの事でして、いつも応援頂いている読者の方々には感謝しかありませんっ‼︎本当にありがとうございますっ‼︎

さて、今回は女神の試練に入る前までとなっております。本当は導入部分までやりたかったのですが……それは次回に回します。

では、早速物語をご覧下さいませ!


25話 復讐者、と友人である女王は観光地を一緒に歩く。またそこを見られて叱られる事が確定してしまう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は今アレクシアさんと手を繋ぎながらリンドブルムを観光していた。それもアレクシアさんと手を繋いだ状態でだ。アレクシアさんの方を見ると、いつもとは少し違った笑顔で俺の隣を歩いている。

 

 結構忘れがちではあるが、彼女は元々我儘な気質がある。それは兄さんからも聞かされた話だが、確かにそんな気質はあるなと感じてはいたんだ。

 

 だけど彼女は誘拐事件を折に変わった。それも勿論良い方向でだ。最初俺を毛嫌いしていたのが、それ以降はよく話す様になったり、その過程で結構仲良くなったとも思ってる。俺に対しても友人同様の笑みを浮かべる様になったのを見た時は、正直嬉しくもあったなぁ〜……

 

(ただ今浮かべてるこの笑みはなんだっ⁉︎ 正直友人に対して浮かべる笑みなのか全く判断が付かないっ‼︎)

 

 俺は兄さんがアレクシアさんに告る前から、彼女が幾人もの男子を振ったのを目にしている。そして兄さんと付き合ったのも、許嫁に見せつける為の演技であって、兄さんの事を好きだったからという理由でない事も分かっている。

 

 それを分かった上で、今度は俺と接しているアレクシアさんを考えてみよう……俺と手を繋いで歩き、そして普段以上の笑みを見せてくれる。

 

「ねえアルジくん。アルジくんってお昼ご飯はまだだったかしら?」

 

「えっ? あぁ、そう言えば昼から何も食べてなかったな」

 

「じゃああそこのお店に行かない? なんだかお洒落だし、あのおすすめメニューもとても美味しそうだわ! あっ……でもアルジくんが行きたいお店があるなら、私もそっちに行くんだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ね? なんか最初の頃と別人の様だよね? それに凄く気遣い出来て優しい子だし……)

 

 まぁ兄さんが言う情報も間違っていないんだろうが……今のアレクシアさんも間違いでは無いと思うんだよなぁ〜。でも他の人に対してこういった気遣いをしているところなんて見た事ないし、ミリアさんとはよく話す様になったけど……でもミリアさんと話している状況と今とではまるで違うよな……

 

「アルジくん? どうかしたの?」

 

 おっと……どうやら彼女の反応に対して深く考えすぎてしまってたらしい。

 

「いや、確かにあのお店も良さそうだなと思ってさ。それで何を食べようかなって。まぁ中でゆっくり決めようか」

 

「っ! うんっ‼︎」

 

 それで俺とアレクシアさんはそのお店の中に入って遅めの昼食をとった。そこからは色々と露店とかお土産屋さんを巡ったりして、気付けば日も暮れて街中も灯りで溢れていた。多分高台から見たら綺麗な夜景として見えるんだろうな……

 

「なんか誰かとこうやって歩きながら買い物をするのって……初めてな気がするわ」

 

「えっ? でも兄さんと恋人の関係だったんでしょ?」

 

「あっ、あれは……あの時は許嫁のゼノンに見せつける為にやった事で……ポチ……シドくんとはここまでにはならなかったのよ? 確かに買い物には付き合ってもらってたし、私も素の状態でいられたから気が楽な方ではあったけど……アルジくんとこうして歩いていたら……なんか安らぐの」

 

「安らぐ? 俺と歩いて?」

 

「えぇ。何だか……変な気を張らないでも良いし、こんな気持ちになったのが初めてだからあまり上手くは言えないんだけど……」

 

 あぁ……まぁそうだよな。だってアレクシアさんも本来は王族だし、こうして気の許せる友人を作るって時点で難しかったのかもしれない。いつの時代でも、王族や有力貴族の周りにはその地位や権力に縋ろうとして取り巻きがいたりするもんだ。まぁ真面目に国の事を思って一緒に行動する奴も中にはいるんだろうが、それも僅かだ。

 

 だからアレクシアさんも、そこら辺が敏感なんだろう。それに優秀な姉がいて、その姉と比べられて……

 

(分からないでも無いが、どう考えても下らないな……普通に反吐が出る

 

 でも俺といる間はそんな事を気にせずに過ごせるって言うのなら……まぁ親友くらいにはなれたのかな。

 

「ありがとう、アレクシアさん」

 

「えっ? なんで私にお礼を?」

 

「いやさ、最初は邪険に扱われていたのに、今では心の内からそう思ってもらえる程の関係にはなれたんだなって思ってさ」

 

「そ、それはっ⁉︎ わ、私も一杯一杯でどこかに捌け口が欲しくて……だからアルジくんを散々罵倒してしまったり嫌な事言ったりして……その、もしかして今も私が言った事気にしてたりして……。それだったら本当にごめんなさい……」

 

「ハッハッハッ……‼︎ 別に気にしてなんか無いさ! 俺だってアレクシアさんの事を深く考えずに言ってしまった事もあったんだし、もうお互い水に流そう‼︎」

 

「そ、そうね……いつまでも気にしたってしょうがないわよね! うん、分かった! ありがとうアルジくん‼︎」

 

 そんな感じで人通りの多い街中を歩いていたんだが、不意に不穏な気配を察知したんだ。

 

「……アレクシアさん、少しここで待っていてくれないか?」

 

「えっ? 何かあったの?」

 

「少し嫌な視線を感じた。ソイツも少しずつ遠ざかっているから様子を見ておきたいと思ってな」

 

「な、なら私も「ダメだ」あ、アルジくん?」

 

「悪い……アレクシアさんを信用してないとかそういう訳じゃあないんだ。ただ上手く言い表す事は出来ないが……少し胸騒ぎを感じる。それに明日は女神の試練当日で、それでもし君も付いてきて怪我を負わせてしまって来賓として出れなくなったとしたら……俺は自分が許せそうにないんだ」

 

「っ‼︎ ……分かったわ。でも約束して? 怪我せずに戻ってくるって」

 

「あぁ、分かっているさ」

 

「そう言って傷付くから心配なのに……」

 

 そう言って俺はアレクシアさんから離れて不審な視線を送ってきた者を追いかけた。アレクシアさんが何か呟いた様だったが、その内容も分からないままに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(さて、この裏路地に入って行ったのが見えたが……)

 

 すると背後から襲いかかる気配を感じた。まぁ魔力探知で分かっていたからわざと隙を作っていた訳だが……

 

 それで相手が外したところで反撃をしようとしたのだが、その前にどこからか魔力で出来た斬撃が飛んできて、相手を絶命させた。

 

 それと同時に俺の目の前に黒ずくめの女の子が降ってくる。その子は頭にフードを被っていて顔は若干見えずらいが、そのフードから覗ける水色の髪は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつも思うけど絶妙な魔力操作だね、イプシロン」

 

 俺がそう声をかけると、彼女はフードをめくって顔を露わにした。この前の王都襲撃の際にも後方支援を担当していたと聞くが、あの時は会っていなかった。だから凡そ2年ぶりの再会になるだろうか? 兄さんの方には当番制で組んでいるらしくて、3週間もしくは1ヶ月に1回くらいの頻度で順番に会っているというが、何故か俺の方には無い……

 

(あれっ? なんかそう考えると途端に寂しくなるな……)

 

「アスタロト様、ご無沙汰しております」

 

 そう思っているとイプシロンが綺麗なお辞儀をしてきた。まぁ彼女も元は良い家の出だし、彼女は表向きはアーティストとして活動しているからか、そういった所作が身に染みているんだろう。

 

「あぁ、久しぶり。にしても昔よりももっと綺麗になったね。髪艶も以前見た時よりも輝きが増しているし」

 

「っ///あ、アスタロト様は相変わらず……そうやって不意に誉めて……せ、節操がないですよ‼︎」

 

「えっ⁉︎ あぁ……ごめん……」

 

「っ⁉︎ い、いえそのっ! 決して気分を悪くしたとかそういう訳で言ってはいないんですよっ⁉︎ ただ……他の女性の方にも同じ様な事を言っていると聞いたものですから……」

 

「えっ? それってどこから聞いたの?」

 

「そ、それはっ……ひ、秘密です……」

 

「秘密……(まぁイプシロンにも色々とあるという事だな。それはそれとして……)」

 

 俺はイプシロンの方に銃を向けた。まぁこういった物は初めて見せたが、イプシロンは何故俺が彼女にそれを向けたのか理解できない顔をしていたんだ。そんな事は関係なく、右手で構えた銃の引き金を引いた。その銃からはピンク色の光が一筋飛び出る。それはイプシロンの顔……の左横を通り過ぎて彼女の背後にあった何かに当たる。

 

 イプシロンはそれが何か気になり、その場から俺の方に飛び退る。それと同時に身体ごと俺の方に向いていたのを逆側に向き直って確認する。

 

 するとそこには、イプシロンが倒した者と同じ様な格好をした奴が倒れていた。

 

「アスタロト様……まさか」

 

「ん? あぁ、コイツがイプシロンの事を襲い掛かろうとしていたから、その前に倒しただけだよ。まぁ気絶しているだけだけど」

 

「っ⁉︎ とんだ失態をしてしまい申し訳ありませんっ‼︎」

 

「なにこれぐらいの事問題ないよ。とりあえずイプシロンに怪我がなくて良かった」

 

「っ///ま、またアスタロト様は女性をたぶらかす様な事を……破廉恥ですよ‼︎」

 

「えっ⁉︎ そ、そうなのか……ただ心配しただけだったんだが……」

 

「と、ともかくっ! 女性の方々にそういった事をあまり言わない方が良いですからね‼︎ それと、アルファ様にもこの事は伝えておきますからね? 後ミドガル王国の女王様と一緒にお出かけしていたところも」

 

「えっ……あっ……はい……」ショボン

 

「っ///んんっ! で、では私も仕事に戻りますから。それとこの者はこちらで回収しておきますね」

 

「あっ、うん……お願いします……」

 

 そう言ってイプシロンは気絶している下手人を担いで俺の下から立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side イプシロン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あぁ〜……私アスタロト様の前で粗相とかしなかったかな〜……)

 

 私は下手人を担ぎながらアルファ様の下に行く最中思っていた。アスタロト様と対面して会ったのは……本当に2年ぶりくらいの事だった。シャドウ様の方は当番制で、その時何か連絡があったら直接伝えに行っているけど、アスタロト様の方にはそんな当番制はなくて、こちらから何か連絡する時は手紙が殆どだった。まぁアスタロト様の方から『シャドウガーデン』の本拠地アレクサンドリアに来る事は多かったみたいだけど、それでも任務の都合とかで私は鉢合わせる事もほぼ無かった。だからアスタロト様が今何をしているかも諜報の子が報告する程度だったわ。

 

(まぁ最近だとアルファ様が頻繁にアスタロト様と会っているし……それも恋仲なのだから当然だとは思うけど)

 

 これはアルファ様がアスタロト様と結ばれた翌日には周知されていた事で、それと一緒にアルファ様はこんな事も言っていた。アスタロト、アルジが好きな子は告白して恋仲になっても良い、と。

 

(でもそれって二股とかを推奨するってことよねっ⁉︎ は、破廉恥だわっ‼︎)

 

 そんな事を言われた時、当然破廉恥だと思った。だって恋する2人の間にもう1人……いや複数人愛する人を作るなんて……そんなの純情な恋じゃないと思ったわ‼︎

 

(それに昔からアスタロト様は女性関係に節操がないというか……まぁわざとで無い事は、あの方の性格上理解はしているけど……)

 

 思えばあの方は『七陰』の皆からモテていた。アルファ様は当然の事ながらアスタロト様の横にいて、ガンマはアスタロト様が女性関係で節操がない状況になった時は嫉妬していたし、ゼータは彼に擦り付く様に隣にいた。それでイータはアスタロト様の事を抱き枕の様にして眠っていたし、思えばデルタも懐いていたわ。

 

 私は……ま、まぁシャドウ様の方が良いかなと当時は思っていたし……無駄乳女はどうか知らないけど。

 

(でも思い返せば……アスタロト様からは音楽関係は勿論だけど、それ以外でも色々と教えてもらえた。それも私が知らない様な物を……)

 

 シャドウ様もピアノとかができる事を聞いた。一度聞いてみた事があったけど、とても良い音色だったという事を覚えている。流石は『陰の叡智』を保有されているお方だと思ったわ。

 

(でもそれ以上にアスタロト様は規格外だった)

 

 あれは才能のお陰だと簡単に言って良いのか分からない……例えばピアノの演奏も、確かに幼少の頃から習っている子で類稀なる才能を持っていれば、少し見ただけで綺麗に弾ける子だっていると聞いたぐらいで、まぁ私もそっち側の方だけどね?

 

(ただアスタロト様のものはそれだけでは言い表せない物を感じたわ……)

 

 あの時の事を……私は忘れる事はない。

 

 

 

 

 

 

 

————回想————

 

 

 

 

 

 あれはまだ私達が『シャドウガーデン』として活動したての頃……私はシャドウ様に報告をする事があった。そこで丁度ある部屋を通りがかったの。扉が少し開いていて、その空いた隙間から楽器の音色が聞こえてくる。その音はバイオリンの音で、あまりにも綺麗な音色だったからその部屋を覗いてみたの。そしたら……

 

(あ、アスタロト様がバイオリンをっ⁉︎)

 

 その時私は初めてあの方が楽器もできるんだと知ったわ。それにシャドウ様もそうだけど、アスタロト様も楽器を習ってはいなかった筈。シャドウ様は『陰の叡智』というものがあるから弾ける事に何も驚きはしないけれど……

 

(でもアスタロト様まで弾けるなんて……それにこんなに綺麗な音色でっ‼︎)

 

 その時弾いている曲は、私が以前いた所でも全く聞いたことの無い物で……でも自然といつまでも聞いていたくなる様な音色だった。

 

「どうしたんだイプシロン? そんな所で聞き耳立てて」

 

(っ⁉︎ 楽器を弾いているのに気付くのっ⁉︎)

 

 その一言を言われた時には、アスタロト様は一旦弾くのをやめてこちらを見ていたわ。私は、アスタロト様の邪魔をしてしまったから怒られると……そう思って視線を合わせられなかったんだけど……

 

「別に怒ろうとは思っていないから。だからそんな顔しなくても良いよ」

 

 そう優しく私に言ってくれた。その時のアスタロト様の顔は笑みを浮かべていて、どちらかといえば嬉しそうに見えたわ。

 

「1人でこうしていても少し物足りないって思っててさ、丁度誰かに聞いてもらいたいって思ってたんだ。だからイプシロンにもし時間があるなら……演奏を聞いていかないか?」

 

 逆にそんな事を言われて……私の選択肢の中に断るという物が無くなった瞬間だった。

 

「その……少しだけでしたら……」

 

「あぁ! 全然少しの間でも大丈夫だから‼︎」

 

 とびきりの笑顔で言われて私は、その部屋に入った。そうして再びアスタロト様の演奏が始まって……いつの間にか私は長時間聞き入っていたの。演奏が終わったと同時に……私は自然と座っていた状態から立ち上がって、それで拍手を送っていたわ。

 

「あっ、そういえば兄さんへの報告があってここに来てたと思うけど、大丈夫?」

 

「はっ……そ、そうだった〜っ⁉︎ ど、どうしようっ⁉︎ アルファ様に叱られる〜っ⁉︎」

 

「いや、今回は俺が誘ったのが悪い。だからもしアルファにその事で責められたのなら、俺が急にイプシロンに用事を頼んでしまったから遅くなったって言えば大丈夫だと思うから」

 

「えっ? で、でもそれだとアスタロト様に迷惑が……」

 

「別にこんな事で迷惑なんか感じないさ。ほら、はやく兄さんのところに行ってあげてね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

————回想終了————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その場はアスタロト様のいう通りにしてシャドウ様に報告をして、帰った後は何故こんなに遅くなったのかアルファ様に責められたけど、それもアスタロト様のいう通りに言ったら納得してくれた。後日アスタロト様がアルファ様に呼び出されて叱られてたと後から聞いて申し訳なく思ったけれど……

 

 でも戦闘技術や知識だけじゃなくて、芸術にも理解があるなんて……あの方のスペックが計り知れない……

 

(そう言えばさらっと見逃していたけど、あの武器は何だったんだろう……)

 

 王都襲撃の際に似た様な物をアスタロト様が持っていらしたけど、あんなに小さくは無かった。確かにこの世界にも銃と呼ばれる、あの形に似た武器はあるわ。でも発砲音は小さかったし、しかも打ち出された物もピンク色をしていて……

 

(でも見た限りコイツに着弾した様な痕が無いのよね……)

 

 そうだとしたらあのピンク色をしたのも魔力で練った物を撃ち出したって事かしら?

 

(……まだまだ道のりは遠いわね)

 

 私は『七陰』の中でも魔力操作に関しては1番だと自負しているわ。魔力による斬撃を放つのも、放った後の飛距離でもアルファ様に勝つ自信がある。

 

 でもさっきのを思い返して考えてみると……まだまだだなって感じたわ。私の事を背後から襲おうとしたコイツを倒した時、あの武器をどうやって取り出したのか。コイツに照準を向けたと同時になにもタメが無く魔力を放って、しかも見た限りでは最小限の魔力で音をあまり発する事なく1発で倒した……

 

(私も……もっと頑張らないとっ!)

 

 そんな事を思いながらアルファ様の下に向かった。それでアスタロト様にも言ったけど、アスタロト様とミドガル王国の第二王女のアレクシア王女が手を繋いで街中を観光している事を伝えたわ。それを聞いたアルファ様は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふっ♡朝に気を付けてと言ったばかりなのに、全くあの子ったら……そんなに私から可愛がられたいのね♡ならこの事が終わったら早速あの子を可愛がってあげないと♡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時のアルファ様の目は、確かに恋愛小説の中にいるヒロインの様な顔をしていたわ。今抱いている恋に対して全力をもって生きている様な……

 

(でも……正直あの状態のアルファ様の近くにずっといれるかと言われたらNOと答えるわ……)

 

 それ程にまでなにか狂気に似た様な物を感じてしまったの……

 

(アスタロト様……どうか強く生きて下さい……)

 

 これは余談ですが、この事件が終わった後アルジさんはアルファさんに物凄く可愛がられたといいます……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺がイプシロンと別れた後、直ぐにアレクシアさんのところに戻った。戻った時に凄く心配されてしまったが、怪我がない事が分かると彼女も安心してくれた。その後は夕食を一緒に取って、キリのいい所で別れた。

 

(にしても途中で感じたあの悪寒は何だったんだろうな……)

 

 俺を毛嫌いする神からの呪いじみた嫌がらせかとも思ったが、別にそんな気配はなかったし、その悪寒も直ぐに治ったから気のせいだと思うことにした。

 

 後は昨日と同じく借りている宿屋に帰って身体を休めた。正直今日もアルファが来て一緒に寝るのかなと思っていたのだが、今日は来なかった。その代わりに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルジ様、お休みのところ失礼致します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スライムスーツに身を包んだベータが俺の部屋に来ていたんだ。

 

(確かに彼女も明日の女神の試練に来賓として呼ばれている事は把握しているが、何故ベータが?)

 

「本当はアルファ様がここに来る予定だったのですが、どうしても外せない用事が出来てしまい、私が代わりにここへ。アルファ様と恋仲にあるアルジ様としては残念に思うかもしれませんが……」

 

「(えっ? 一瞬俺の心を読んだか?)あぁ……いや、残念とかは特に思っていないよ。それにベータも明日朝早いのに、こんな遅い時間に何かを伝えに来てくれたんでしょ? それだったら俺の方こそ悪いなって思うよ」

 

「そ、そんな事ありませんっ! それに……私もアルジ様に会いたいなって思ってましたから

 

「ん? 最後になんか言った?」

 

「いえ、少し自分の考えが口に出ていただけですよ。それと明日の詳細ですが……」

 

 そしてベータから明日の概要を知らされる。

 

(なるほど……『ディアボロスの雫』ねぇ……』)

 

 どうやら教団は、昔オリヴィエが斬り取ったディアボロスの腕を使って不老不死の研究をしているらしい。そしてその研究成果が『ディアボロスの雫』で、それを口にした者は不老不死の力を得る事が出来るという。

 

 ただそれにも欠点があって、完全な雫を作れるのは年に12粒までで、服用者も1年ごとに1回その雫を摂取しなければ死んでしまうという、何ともまぁ杜撰な物で……

 

(はぁ〜……馬鹿馬鹿しい。永遠の栄華などこの世には存在しないというのに……)

 

 俺には分かる。確かに不老不死に近い状態は、それなりのメリットもあるし、何か極めたい事も何十年何百年と続けられる。

 

(だが俺は知っている……長く生きすぎる事の弊害も……)

 

 それは自分に大切な人が出来た時だ。その人と一生を添い遂げると約束して、最初は幸せに思うだろうさ。

 

 だが……何月が経てばそれも変わる。自分が不老不死だからという理由で姿形は変わらないのに、相手の方はどんどん歳を取って……それで死んで行くんだ……。仮にその後にももう1人愛する人が出来たとしても……それへ同じ結末に終わってしまうだろう。そして知らない内に絶望していくんだ……どうして自分はこの身体を願ってしまったのかと……

 

(そんな話を、どこの世界でも聞いた。だから俺にも後からやってくるだろう。そんな虚しい結末とやらが……)

 

「アルジ様? どうかなさいましたか?」

 

「ん? いや、明日の自分なりのプランでも考えておこうかなって思ってさ」

 

「そんな! アルジ様は長期休暇なのですからゆっくりと羽を伸ばして下さいっ! 明日の事は全て私達にお任せを」

 

「そ、そうか……ならお言葉に甘えるとするよ」

 

「はい! それと……ですね……」

 

 ベータが視線をあっちへこっちへとあらぬ方向に向けていた。それで顔も少し赤くて、手もどことなく落ち着きがない様に指と指同士をくっつけさせたりしていて……

 

「その……あ、頭をっ! 頭を……撫でて欲しい、です」

 

「(頭を撫でて欲しい? どうして? まぁ……)そんな遠慮気味に言わなくても、撫でて欲しいのならいつでも撫でるさ」

 

 そう言いながら彼女の頭を撫でる。彼女の髪はとてもサラサラしていて、いつもこの質感を変えない様に維持するのは大変だろうにと思いながら、俺も少しこの肌触りに心地よさを感じて全体的に撫でていった。優しい力加減を意識したり、髪をすくように指を髪と髪の間に通したりして……

 

「んぅっ///あんっ……///」

 

(えっ? 何この艶かしい様な反応は……?)

 

 普通に頭を撫でていただけの筈が……ベータの方からそんな声が漏れ出ていた。いや、俺普通に頭を撫でていただけなんだけど……

 

「はぁ……はぁ……んっ、あ、ありがとうございますアルジ様……最高のご褒美でした♡」

 

「えっ? あ、あぁ……そう……」

 

 ただ頭を撫でていただけなのに……ベータの顔はまるで茹で蛸の様に赤くなっていた。

 

「そ、それではアルジ様……私はこれで。明日は女神の試練……楽しんで下さいね」

 

 そう言ってベータは俺が借りている部屋から去って行った。

 

(にしても撫でた後明らかにいつもと様子がおかしかった様な……ん?)

 

 そこで俺はふと気付く。ベータが立っていた所に何粒か水滴が落ちている事に……

 

「(汗……か? まぁここまで急いで来たのなら汗の1つ2つ流れ落ちてもおかしくはないか)まぁこれが諜報任務中だったら赤点だがな?」

 

 そんな事を呟きながら俺は雫が落ちている部分を紙で拭いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ベータ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あぁ……あのままアルジ様の下にいれば危なかったわ……)

 

 私は身体の内側から熱くなっていくのをなんとか抑え込みながらアルファ様の下に戻っていました。それにしても王都にいた時はアルジ様のあの格好を見て興奮していたけれど……

 

(今日はそんな事関係なく……アルジ様に触れられただけでこんなに興奮しちゃった)

 

 多分アルジ様にはバレていない……とは思うけど、下腹部が熱くなって自分のお股から冷たい感触のなにかが溢れ出てる。足を動かす度に擦れちゃって……その感触が……

 

「んっ///はぁ……はぁ……アルジ様……♡」

 

 さっきアルジ様といたばかりだというのに……私の身体はアルジ様を求めたい欲求に駆られてしまって……

 

(あぁダメよベータ! 今は任務の事に集中しないとっ‼︎ でも……アルジ様にもっと撫で撫でしてもらいたい! それでその後は……あぁ、アルジ様といただけで創作意欲もどんどん湧いて来るなんて‼︎ 流石ですアルジ様っ‼︎)

 

 ベータさんはそう思いながらアルファさんの下に戻って行きました。そしてベータさんの様子を見たアルファさんは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふふっ♡ あの子ったら……罪な子なんだから♡ベータの事をこんな風にしちゃって」

 

「で、でも私頭を撫でて貰っただけなので、アルファ様が経験された様な事は……」

 

「それでもよ。アルジはね……相手に少し触れただけでそんな気分にさせちゃう様な子なのよ。特にアルジに対して異性と認識している人にとっては。だからベータもそうなっている、という事よね?」

 

「は……はい///」

 

「ふふふっ、ならベータも一緒にアルジの事を可愛がるかしら? この件が無事に終わったらアルジのところに行く予定なんだけど、一緒に来る?」

 

「その……私もサイン会でアルジ様に会った時に、この件が終わったら会いたいな〜ってニュアンスで行ってて……」

 

「あらそうだったの? あの子ったら一言もそんな事を言ってなかったわね。ふふっ……お仕置き確定ね♡」

 

「お、お仕置きっ⁉︎ そ、その! アルジ様もわざとでは無いですしっ‼︎」

 

「分かっているわ。私も鬼ではないもの。だから……あの子の事を物凄く可愛がってあげるの♡」

 

「その……可愛がるというのは……」

 

「そんなの……決まっているわ。まぁ私もやってみたい事があったから試してみるんだけど、その時にあなたも来れば分かるわ。もしかしたらあなたの創作意欲も掻き立てられるかもしれないから、ね?」

 

「は、はぁ……(でもアルジ様の……うん、とても良い様な気がする!)」

 

 とこの様に……アルファさんとベータさんは話していました。そしてこの後のアルジさんは……また別の所で語られるでしょう……

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、今回は最後……えぇ、なんかグダッてしまった様な終わり方になって申し訳ありません。もういつもながら書いてたらこうなりました。予定では女神の試練の導入部分まで行こうかなと思ってたんですが、またいつもの事ながら書いてたら色々と書きたくなってしまい……

ですので次回はいよいよ女神の試練に入っていきます!






解説




・GNビームピストルⅡ

『機動戦士ガンダムOO 2ndシーズン』にて出てくる機体、ケルディムガンダムの種武装です。取り回しが良く、相手を牽制したりそのまま相手に至近距離で放ったりと、色々な使い方が出来ます。また、対ビームコーティングが施されている為に、格闘戦で相手の攻撃を受け止める事も可能です。






さて、今回はこれまでと致します。それにしても漸く女神の試練編が書けるところまで来たので正直嬉しいです!これも読者の方々に応援して頂いている結果だと思います‼︎本当にありがとうございます‼︎

それではまた次回お会い致しましょう‼︎
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