8月も終わりを迎えるこの頃ですが皆様いかがお過ごしでしょうか?例年通りであれば9月も暑い日が続くかと思われますので、熱中症などの体調管理には十分にお気をつけ下さい!
という私ですが、今週に入って初めてエアコンを付けました。それを他の人に話したら今更かい!と突っ込まれましたが……
まぁ何はともあれまだまだ暑い日が続くので、水分補給と塩分補給はこまめに摂りましょう!
さて小話はこのぐらいにして、29話スタートです!
side ネルソン
儂は目の前で信じられない光景を見ている。この施設は登録している魔力以外を持つ者に対して不利な設計をしている。中枢に行けば行くほどその者の魔力を奪い、奪った魔力を我々の力として扱う。小難しい事を省けば簡単な説明だ。
つまり、この施設に侵入した『シャドウガーデン』の者達には不利な空間である筈なのは変わらないのだ。それだというのに……
(何なのだこの空間に満ち溢れる魔力はっ⁉︎)
魔剣士の適正をあまり持ち合わせていない儂にでも理解できる……我々が持つ、この施設で登録されていない魔力がこの空間に満ち溢れている。それもあの岩場の上に佇む存在から……
(ま、まさかあの者が『シャドウガーデン』の首魁か⁉︎ だが今までの報告では女どもで構成されていたと報告があったが……)
イレギュラーな存在がいた事は事実だが、それは全て無関係であり偶々そこに居合わせた第三者が介入したとある。
(だがこの場に急に現れた黒い正装を纏った奴……あれは明らかに男だった! 帽子で顔は分からなかったが……だとすればあの者がこの組織の長という事か)
数年前から『シャドウガーデン』から被害を受けて来た我々としては、少数精鋭の奴らの素性を知る事も出来ずにいた。その事によって皺寄せが何故か儂の方ばかりに来る始末……本当にアイツらときたら儂の事を何だと思っているのだ‼︎
だがここに侵入して来た『シャドウガーデン』の首魁と顔が割れている者達の情報を持ち帰れば、奴らとて嫌な顔をする筈! 長年苛まれて来たストレスも少しは晴らす事が出来るだろう‼︎ ……いや待て……
(そもそも儂、あの者に目を付けられてるよね?)
先程あの首魁は儂に対して激しい口調でハゲと罵ってきており、尚且つ後で復讐すると言われた事。そしてこの空間に満ち溢れる魔力の持ち主があの岩場に佇む者から発せられているとするのなら……
(わ、儂……そもそもここから生きて帰れるのか……)
ネルソンはそんな疑問を持ってしまったが……結果として、アルジに目をつけられた時点でどこに行ったとしても終わりである……
side out
side アレクシア
(あの姿……全然違うけどあの日王都で見た人に似てる気がする……)
白い空間から荒野の空間に移動? した事に驚いたけれども、それよりも目の前で後から現れた『シャドウガーデン』の人。数年前からその存在は確認されていたけれど、まさかこんな芸当を持っている人がいるなんて。そして王都で見た人と目の前の人が同一人物であるのなら……
(ミドガル王国が総力を上げても勝てない……いいえ、全ての国が力を合わたとしても、目の前の人が本気を出せば崩壊してしまうわ)
それにさっきアルファって人と何かやりとりしたと思ったらネルソンに対して怒りを露わにしていたし……
(この事を姉様に報告して、『シャドウガーデン』に対しては慎重に事を進める様に進言した方が良いわね。それにしても……)
この空間に満ち溢れている魔力……これだけ魔力が満ち溢れていると、例え魔力の扱いに長けた人でも場酔いしてしまうと何かの文献で見た気がするわ。
(それなのに……この空間に溢れてる魔力はどこか優しくて……何でか分からないけどアルジくんの事を思い浮かべてしまうわ)
彼の魔力を一度だけ身体に通してもらった事がある。それは私が魔力の扱いも教えて欲しいと我儘を言ってしまった時で、今は剣術に集中する事になったわ。でも魔力の扱いは何にでも応用できるからと、彼が私の両手を握って魔力を通してくれた。その時に感じた彼の魔力が、この空間に溢れている物とどことなく似ている気がして……
(そう考えてしまうと……目の前に立っている人が悪い人だとは思えないわね)
ただこれも私の所感だから、実際に話してみないと分からない。まぁ話す機会があるかなんて分からないけれど……
アレクシアはアスタロトに興味を持った。できる事なら一度でも良いから話し合ってみたいと……しかしアスタロトの正体がアルジであり、常日頃から会話している存在である事を彼女はまだ知らない。
side out
side 三人称視点
先に動いたのは、マルコシアスを纏ったアルジだった。敵の内自分に最も近い所にいた一体がアルジに狙いをつけ、今まさに腕を飛ばして攻撃しようと準備していたのだ。
その機微を感じたアルジは、岩場からその敵、ハラエルに対して一直線に突き進む。背部にあるブースターから青白い光を生み出し、それを推進力にして進んだ。
アルジの動きを予測出来なかったハラエルは腕を飛ばす動作を中止して、6本の腕に備わっていた強靭な爪を振るっての攻撃に切り替えた。ハラエルの視界には、6本の腕がアルジに伸びて行くのが映る。そして同時にアルジの身体を捉えた……
かに見えたものの、視界上部からアルジが刀をハラエルの頭に振りかぶった事で自らの攻撃が当たらなかったとハラエルを制御するAIが理解したと同時に、頭部に斬撃を受けた事で機体は横転した。今も尚捉える事が出来る視界の中でアルジがこの戦いの様子を見ていた者達の前に降り立つと、他のハラエルがアルジに対しビーム砲を照射していた。
ビームの本流に巻き込まれたアルジだが、ビームの照射が終わると御体満足な様子で立っていた。それも後ろの者達にも全く被害が出ていない。
そしてその攻撃がアルジを更に激怒させる要因となってしまったのだ。その証拠にマルコシアスの両目が紅く灯り、そこから紅色のスパークが空気中に流れる。
そんな相手の変化をビームを撃ち込んだハラエルが確認した時には、既にアルジが自身に向けて飛び込んで来た。それを迎撃する為に全ての腕を飛ばすが、それをアルジは軽やかに避けていく。全ての腕を躱した後ハラエルの懐に入ったアルジは、右手で持っていた刀を右斜め上方向に振り上げる。その一撃によってハラエルの身体は上半身と下半身、そして幾らかの腕に分かれ……アルファ達にビームを撃ち込んだハラエルはお陀仏となったのである。
side out
(あいつ……
わざとアルファ達に攻撃しやがったな‼︎)
俺は最初に動き出そうとしていたハラエルに一撃加えた。ソイツは呆気なく横転して機動に少し時間がかかりそうだったから次に向かおうとすると、視界の隅っこでビームを溜めてる奴がいた。ソイツが向いている先がアルファで、瞬時にアルファ達に攻撃を加える気だと考えた瞬間にはアルファ達の前に立つ様に移動した。
移動したと同時にハラエルがビームを撃ち込んできて、それを左肩の赤いマントで防ぐ。このマントも俺の魔力で創り出していて、それと同時にナノラミネート装甲……いやこの場合はナノラミネートで出来た繊維だ。柔らかさを兼ね備えつつもビーム攻撃をある程度弾く仕様として作った。後はカッコ付けの要素もあるが……
(まぁそんな事はさておき……
さっきビームを撃ってきた奴から
ビームを撃ってきたハラエルとそれ以外の奴らに対しての復讐心を抱いたと同時に俺の身体に力が漲ってきて、身体が軽くなる感覚を覚える。
(まぁそうなるって事は、マルコシアスにかけられていた枷が殆ど外れた証拠だな。それと同時にマルコシアスの両目も青緑色から紅くなってるだろうし……)
そんな思考をしたと同時に俺はアルファ達を狙ったハラエルに一直線に駆ける。背部のブースターを全開にしてハラエルに迫って、それに気付いたハラエルも腕を全てこっちに飛ばしてきた。
(そんなノロイ攻撃に当たる訳ねぇだろうが‼︎)
俺の視界外から迫る攻撃についても、空気から伝わる振動によって察知。背後から迫ってくる攻撃に対しても振り向かずに避ける。相手からしたら、まるで背後にも目が付いているんじゃないかって思われるくらいの事を俺はやってのけていた。
(まぁそうなってしまうと某白い悪魔だよなぁ〜……)
あの人は凄い別格だし、敵に対しての情けや容赦がない。ん? 俺もそうだと? まぁアルファ達に危害を加える時点でギルティだが?
ハラエルの腕を全部躱して懐に入ったと同時に、右手に持った刀で左下から右上に一閃する。逆袈裟斬りって具合で、奴さんは上半身と下半身と数本の腕に分かれて機能を停止した。その後変に動かれるとまたアルファ達を狙うと思った為、刀で頭部を突き刺した。イメージとしては刀を逆手に持って地面に突き刺す感じだな。
(まぁ本当は何度も蘇生させて、アルファ達を攻撃した事を後悔させつつ絶望をハラエルを動かすAIに植え付けた状態で復讐したかったんだがな……)
ただ今回は前回の学園襲撃に比べて数が多いし、アルファ達でも対処が難しい奴らだ。だから今回は一回ずつ壊す事で勘弁してやるよ……誠に遺憾な事だが……
「ん? ……ほぅ〜、そう来るか」
俺がハラエルを2機いとも容易く倒したのを見た他の機体が、身体から何かを出していた。それは蜂に見える形で、それが多数ハラエルどもの周りに展開されていた。
プルーマはモビルアーマを母体とするなら子機に分類される。そのプルーマの役割は、モビルアーマ同様目についた人類の抹殺と、母体が傷付いた時にその部位に該当するパーツを収集して修理するというものだ。その為に、幾らハラエルにダメージを与えたとしてもプルーマがいる限り修復してしまう……
(まぁ全て叩きのめせば関係ないがなぁ?)
俺はプルーマを出して余裕綽々としているハラエルどもに対して、1機残らず駆逐する為に奴らの眼前に踊り出た。
side アルファ
私はアルジとこの空間に介入してきた第三勢力との戦いを見つめる。最初の方で私達に狙いを付けてきた敵がいたけど、それもアルジが防いでくれたわ。ここではさっきの空間と違って魔力が吸われる感覚もないし、逆にいつもよりも数倍の量を練り上げる事が出来るわ。
(でも相手もさっきの空間に比べて強力な一撃を放って来たわ)
私でもどうにか防ぐ事は出来たかもしれないけど、防げても無傷とはいかなかったと思うわ。
(また私達はアルジに負担をかけているわね……)
その事が歯痒くて……悔しいと感じるわ。でもアルジは適材適所で自分の出来る事をやれば良いと言ってくれた。正直アルジ1人で全て出来てしまうと思うのは正直な気持ちなのだけど……
(でもそれではダメだわ……私はアルジに助けて貰ったあの日から、彼の隣に並び立てる様に生きてきたのだから)
何年何十年かかるか分からないけれども、その時には本当の意味でアルジの隣にいたい。そんな決意を改めてしている訳だけど今は……
(アルジの戦いが……とても綺麗だわ)
さっき私達に攻撃を加えてきた敵は、アルジの武器による一振りで両断された。そしてとどめと言う様に頭部も壊していて……
それを見た相手側は、何か黄色くて小さな物を自分の中から出していたわ。それも一体一体が複数に……
(あの小さな物も相手の攻撃手段……ということね)
あの数が一斉に襲いかかって来ると考えると、厄介ね。ただでさえ今の私達では6本腕の相手を1機相手どれるかなのに、そこに小さな物とはいえ死角から攻撃されてしまえばひとたまりもないわ。
でもアルジはその光景を見ても動じてなかったわ。逆に相手の前に踊り出た。それと同時に何体かの敵がさっきのピンク色をした光をアルジに対して撃ち込んでいたわ。私ならすぐに方向転換して避けているところだけど、アルジは右手の剣を両手で持って、光が当たる瞬間に合わせて剣を横一閃に振り切っていた。
そしたら不思議な事に、ピンク色に光がまるで実体でもあるみたいに横に斬り裂かれてそのまま霧散していたわ。それを見ていた相手側は、感情があるかの様に驚いている様子を見せていたわ。
今度は敵から出てきた黄色い小さな物が一斉にアルジへと飛んでいく。よく見れば蜂のような形をしているわね。ともかくその蜂達が自身の体から針の様な物を出して向かって来る。
それでもアルジは止まる事なく突き進んで、蜂の群れの先頭と衝突する頃には、彼の剣が横薙ぎに振るわれていたわ。それで群れの先頭集団は身体を真っ二つにされていたの。それは他の蜂型にも言える事で、彼が剣を一振りすれば呆気なく機能を停止していたわね。
その光景に我慢できなかったんでしょうね。6本腕もアルジに腕を飛ばしたりピンクの光を撃ち出したりしてきたの。まぁその攻撃も……
「ハァァァァァァァッッッッ‼︎」
アルジが乱れ斬りの如く幾重にも剣を振るっていたわ。最初の方は見えていたのだけど、段々振るわれる剣の速さが上がっていって最終的に見えなくなった。それで振るわれる度に、蜂とピンクの光が細切れになっていく光景がそこにあったわ。
でも私達がアルジの戦いを見ていた時に、最初アルジによって倒された1機がいつの間にか体勢を立て直して私達に襲いかかって来たわ。
(っ⁉︎ アルジの戦いについ見惚れて油断していたわ‼︎)
でも相手の動きが他の物と比べて遅く感じた。多分アルジが最初に頭部へと一撃与えていたから、敵の動きを制御している何かが破損したんでしょうね。これなら私達でも対処できそう……と思っていた時に、私達を襲おうとしていた敵の頭部に横から勢いよく何かがぶつかってきた。それで私達に向かってきた敵が動きを止めて、何かが飛んで来た方向に頭を向けていた。
それに釣られる様に私もそっちに顔を向けると、敵を睨みつける様にしているアルジがいたの。その傍には、先程まで立っていた敵と思しき物が、頭だけを引きちぎられた姿で地面に倒れ伏していたわ。それ以外にも何体か機能を停止させていた敵もいたけど……
(……って、まさか私達が目を離していた隙にあれだけの数を倒したのっ⁉︎)
私達がアルジから目を離したのはほんの数秒だったと思う。なのにアルジの周りには敵だった残骸で散らばっていて……彼の1番近くで停止している頭がない敵は、多分さっきアルジが私達を狙ってきた敵にその頭を投げたんでしょう。それも当たった時の音を考えるに、物凄い速度で投げた事が窺えるわ。
そしてアルジに自分の仲間の頭部を投げつけられた敵は、アルジを見た途端震えていたわ。それが恐怖からくるものなのか武者部類に違いするものなのかは分からないけれど……
(……逆にアレクシア王女の方にいるデルタは瞳を輝かせて尻尾を勢い良く振っているわね。ベータは……なんか凄く書き込んでいるみたい。今は戦闘の真っ只中なのだけど……もう少し緊張感を持って欲しいわね)
現にアルジが来るまで私達は劣勢に立たされていたわ。アルジが来たから安心感が出るのは分からないでもないけれど……
「でも私も気を抜いて貴方の戦いを見ていたのは事実だわ」
そんな事を呟いて、今度は何が起こっても直ぐに対処できる様に、そしてアルジの戦い方を目に焼き付ける様に視線をアルジの方に戻した。
side out
(また……またアルファ達を狙いやがった……)
確かに最初の敵に対して攻撃の入りが浅かったと今更ながら思う。だからこそ相手も予想したい以上に早く再起動したんだろうし……
(そんなツメの甘さを持った俺が……非常に腹立たしい……っ)
だからここからは……
「一切の加減は無しだ……」
俺の呟きに反応して、マルコシアスの残りのリミッターが一気に外される感覚がした。このリミッターは、本来搭乗者を守る為の物だ。一気に解放してしまうと搭乗者自身が廃人となりかねない程に、戦いの後は使用者に対して大きな負担をかけるものだから。
まぁ本来は特殊な手術を受けた人しか扱えない機体ではあるし、リミッターを外したらそれ相応に身体の一部が動かなくなったりする代物なんだが……俺は一気にリミッターを外してもそんな事にはならない。その代わりとして物凄く疲れてしまう事は事実だ。だから少しずつ慣らしていく必要があったんだが……
(コイツらはさっさと滅ぼすに限る)
アルファ達も任務の途中であるし、これ以上時間が押してしまうとアルファ達のスケジュールも乱れてしまうだろうと思ったから……だからここからは奴らがアルファ達を狙う隙を与える事なく、完封中にまで滅ぼし尽くす。
まず初めにアルファを狙った敵に高速で迫る。その際に刀を納める鞘を左手に持ち、更に両肩に備わっている翼の様な装甲と両腰のユニットからそれぞれサブアームを展開、アームには1つずつ短剣が備え付けられていて、両手の刀と鞘を含めて擬似的な6刀流になった。その状態でハラエルの懐に入ったと同時に、ハラエルの胴体部分にそれぞれ手に持った得物を突き刺す。突き刺してそのまま外側に斬り開く様に振るった。
そうする事でハラエルは文字通りバラバラになるが、そこで油断せず頭部も右手の刀で一振りして完全な機能停止へと追いやる。
「さぁ……ここからがお前達にとっての地獄だ」
俺はサブアームを展開したまま、残りのハラエルどもを駆逐する為に駆け巡った。
side デルタ
(あぁ〜〜〜〜……アルジ様ぁ〜〜〜♪)
デルタは今、この空間に満ち溢れている魔力に酔いしれていたのです。それもアルジ様から満ち溢れる魔力……デルタの全身を包み込んでくれるこの温かい魔力は、あの時感じた時と同じ優しさを感じるのです!
目の前ではアルジ様が途中から割って入ってきた敵と戦っているところで……
(デルタでも目で追いきれないのです……)
途中でアルジ様が変な敵と同じ様に腕を6本にした所から、アルジ様がどんな動きをしているのかが分からなくなった。でも時折見える相手を狩る姿は、デルタと同じで獣の動きに見えるのです。
ただその動きが、無駄の無い動きでした。デルタは狩りをする時、勿論最初から全力で相手をするのですが、楽しくなると歯止めが効かなくなってしまうのがデルタの悪い癖なのです。だから途中から気分が乗って無駄な動きが増えてしまって……アルファ様やアルジ様からは昔よりも無駄が無くなったと言ってくれるのですが……
(アルジ様の隣に堂々と立つ為には今のままではダメなのです!)
だからあの変な敵も自分で倒したかったのですが、さっきの白い空間だと全くダメージを与えられなかったし……いつもの調子だったら上手く倒せるかもしれなかったですが、今の様に群れで来られたら多分デルタもやられちゃうと思う。
それをアルジ様は、まるで息をしているかの様に相手取って、アルジ様が通り過ぎた後には敵だった屍が散乱してて……
(デルタも……今のアルジ様の様な動きができればなぁ……)
アルジ様と中々会えなかった数年間……アルジ様の役に立つ為にめいいっぱい鍛えて強くなったと思った。でも目の前のアルジ様の戦いを見ていたら、デルタはまだまだだなと感じた。
(だから……デルタももっともっと強くなるのです‼︎ アルジ様についていける様にもっと……)
デルタはアルファから言われた通りアレクシア王女達を護衛する傍、アルジの動きを見逃すまいと目の前で行われていた
side out
ハラエルどもとの戦いから数分……最後の1体の腕を全て斬り離し、足も胴体からお別れさせて上半身と下半身も斬り離す。そして最後に首から上を切断してから頭部を左手に持つ鞘で叩き潰した。
(さて……後は少し待って奴らが援軍を出すかどうかだが……)
どうせこれも俺の事を好ましく思ってない
(にしても少し性能が高い様に見えたが……)
アルファの記憶を覗いた時に感じたが、別にあの白い空間にいたとしても今のアルファ達であれば勝てる相手の筈だ。それに魔力を通さないにしても、『七陰』の中で1番のパワータイプのデルタがハラエルの頭部を本気で殴りつければ1発でオシャカになるぐらいには。当たりどころが悪くてもそこが機能停止に追いやれるし 、アルファの剣でもハラエルは十分倒せた筈だ。
なのにダメージらしき物を与えれないという事は……
(ハァ〜……
本当にアイツらは自分がそうされないと分からないって事だよな?)
そんな訳で最後のハラエルを倒した後に邪魔者達に対しての粛清を考えながら、マルコシアスの装備を解除すると共に空間も元の空間に戻した。
「えっ⁉︎ 元に戻ったの?」
「しかも一瞬にして……」
アレクシアさんとローズ先輩はまた混乱している様だが、まぁそれが普通の反応だよな。現にあのネルソンって奴は俺とハラエルが戦ったところから呆然と立ち尽くしているだけで反応らしい反応も無いし……
(まぁ奴がああやって呆けているのなら、この空間から元アルファ達がいた空間に戻るのも時間の問題か)
そう考えてたら本当に白い空間から辺り一面近代的な空間になった。
「さて……それじゃあ俺はまだやる事があるから戻るよ」
アルファに近付きながらそう言うと、アルファも俺が近寄ってきた事に気が付いて、えぇと相槌を打ちながら頷いてくれた。
「裏ボスぅ〜! その、この上着を返すのです‼︎」
そんな時にデルタも近寄ってきて、さっき俺が羽織らせた上着を返しに来る……
「(って、スライムスーツ元に戻して無いじゃあねぇか⁉︎)……デルタ、気持ちは嬉しいけど、今の格好はこの時期でも身体を冷やしてしまいかねないからそのまま着ておく様に。それとスライムスーツも元の形状に戻す事。良いな?」
「っ‼︎ 分かったのです! デルタもスライムスーツを元に戻して、この上着もちゃんと洗濯して裏ボスに返すのです‼︎」
「せ、洗濯……あ、あぁ……まぁ無理に返さなくても良いからな。別に上着くらいまたいつでも作れるし」
「……」
「えぇっと……アルファ? そんな顔してどうした?」
「えっ? っ⁉︎///な、なんでも無いわ」
いや、その反応からしてなんでも無い訳無いんだが……
「(っ! そうだ!)ならアルファにはこれを」
そう言いながら俺はスライムで作った白いカッターシャツを脱いでアルファに着させる。
「っ⁉︎ な、何をしてっ⁉︎」
「ん? なんか羨ましそうに見てたからさ」
「で、でもそれじゃあ貴方の格好が……」
「これくらいまたスライムで作れるよ。ほら、簡単だろ?」
そう言って俺はスライムでカッターシャツを作って着る。
「んじゃ、アルファ達もまだ途中だと思うし、俺もまだやり残した事あるから……また後で、な」
「っ! えぇ、行ってらっしゃい」
アルファが優しい笑みをしながら俺を送り届けてくれる。その言葉に心地良さを感じながら、俺はアウロラがいる場所まで戻った。
side アウロラ
アルジがこの空間から別のところに行って10分くらい経った頃……といってもこの空間に時間の概念が流れているかは定かで無いけど、体感でそれくらい経った時に彼は戻ってきた。
戻ってきた時は、空間に紅い穴が開いてそこからアルジが出てきたのだけど……
(あの穴から流れ出た魔力は……間違いなくアルジの物と見て間違いないでしょうね)
ただその流れ出ていた魔力の質というのが……私が生きていた頃とは桁外れに高かった。その年でどうやったらそんな領域にまで登れるのか……そんな疑問が尽きないけど、でも彼が無事に戻ってきてホッとした自分がいたわね。
そんな私の様子を知らないみたいに、彼はさっき話していたみたいに話しかけてきたの。
「そっちは俺がいない間に変わった事は無かった?」
「えぇ、全く何も無かったわ。話し相手の貴方がいなくなってしまったから退屈で仕方なかったわよ?」
「それは……ごめん。何か暇つぶしになる様な物を置いていけば良かったな……」
「ふふっ、冗談よ冗談! 貴方のそのシュンとした顔が見てみたかっただけだから♪」
「えっ? なんか酷くね?」
「フフフッ、ごめんなさい」
本当に揶揄いがいのある弟が出来たみたいで、私は調子に乗っちゃったわ。道中アルジと話してて、彼にも姉と同い年の兄がいるって事が分かったわ。それで聞いてる限りそのお姉さんにも揶揄われている事が多いし……
(でも揶揄いたくなる気持ち……とてもよく分かるわ)
多分そのお姉さんとアルジについて話したら気が合うと思うわね。
「そういえばこの空間を制御している核って……」
「えぇ、あの扉の向こうにあるわ」
「へぇ〜……」
アルジがそう言いながら扉に近付く。でもこの扉は簡単に開く事が出来ない物で、第一に扉自体が大きい。だから力自慢の人が100人集まったとしても開ける事は難しいわね。
それで第二に、例えそれで開かれたとしても、その前に扉の前に張り巡らされた大きな鎖をなんとかしないといけないわ。謂わば鍵がどうしても必要で、その鍵も扉の前に鎮座する一本の剣。ただその剣は台座に固く突き刺さってて、選ばれた者にしか引き抜けない物。
(いくらアルジでもこの状況はどうする事も『バキンッ!』……えっ?)
一瞬の事で驚いてその音がした方に目を向けると、アルジが扉を固く閉ざす鎖の一部を何事もない様に引きちぎっている姿で……
「えっ……えっ? ちょっと待って? 貴方……一体どうやってこの鎖を……」
「ん? あぁ……ただ魔力を通して鎖に付与された物を弱体化して、後は力任せに引きちぎっただけだが?」
「へ、へぇ〜……そ、そうなのね〜……鍵が必要だとかそんな事は考えなかったの?」
「鍵? あぁ……ここに意味ありげに突き刺さってる剣の事か? まぁ……これが無くてもやれると判断したからだな」
その返答を聞いて……目の前にいるこの子は本当にとんでもない子だなと思ったわ。そんな時、この空間に私達とは違う存在が現れたの。その存在こそが……
「おいっ! 神聖なこの場所で一体何をしているっ‼︎」
この施設の管理を任されているハg……いいえ、ネルソンが現れたわ。
side ouw
解説
◾️ガンダムマルコシアス
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ーウルズハントー』にて初登場した機体。厄災戦を終わらせる為に製造された72機の悪魔の名を持つガンダムの1機。全体的に白とグレー、一部赤い塗装が目立ち、初めて映像化された際はモビルアーマーであるハラエル2機を余裕で相手取っている。
機体特徴としては背部に翼の様なバインダー2機、両腰にも形は違うがバインダーを持つ。そしてバインダーにはそれぞれサブアームが仕込まれており、一つずつ短剣を装備している。そして初映像化の時は左肩に赤いマントの様な物を装備しており、これは厄災戦が行われていた当時、搭乗者が貴族の者であったりモビルスーツ同士での一騎打ちをする際に使われていた物であり、今作の様にビームを防ぐ代物では無い。
そしてこの機体も『
武装
・バスタードメイス/大太刀
・短剣×4
・シールド
・ナックルガード/クロー
・レールガン×2
◾️ハラエル
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ーウルズハントー』にて初登場したモビルアーマー。厄災戦前、人間同士での戦争を機械によって自動化しようとした事から全ての始まりで、そうして作られた機械、AI側からすれば戦争の元である人類を滅ぼせば争い事も無くなると学習した結果、人類とモビルアーマーとの戦争、厄災戦が始まった。(作者の思い違いや解釈違いならばすいません……)
その際に人類を絶望の淵に立たせた天使のうちの1機で、姿形は昆虫の様だと評される。全体的に黄緑色の塗装で、主武装は6本腕からなるクローと、そこから発射されるビーム砲である。またプルーマと呼ばれる子機を保持しており、プルーマ自体が戦闘能力を持つのと、更に本機が破損した場合にも修復する様にプログラムされている。また数が多いので非常に厄介な相手でもある。
武装
・超硬ワイヤーブレード
・展開式クロー×6
・マニピュレーター内蔵ビーム砲×6
・プルーマ
さて、本章も残す所あと1、2話+後日談で終了する予定です! 本来ならもっと早く書きたかった……
と言う事で、次回も読んで頂けることを心よりお待ち申し上げます!