陰の復讐者となりて   作:橆諳髃

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皆様お待たせ致しました!最新話の投稿です。

またお気に入り900人突破致しました!これも一重に、読者の皆様がここまでこの作品に付き合って下さったからこそだと思っております。本当にありがとうございます‼︎

それにしても書いている途中でまさかまたサブタイトルのR-15の表記が出てくるまでの回になってしまうとは思っておらず……

まぁサブタイトルに書かれております内容を見て頂いたら、今回がどんな回になるかは予想がつく読者の方もいらっしゃるかもしれませんが……

また今回はそこまで過激な表現を書いたつもりはありませんが、念の為この表記でお送りしております。

それでは、最新話のスタートです。


37話 復讐者、に急接近する緻密 R-15

 

 

 

 

 

 

 

 

 兄さんと一緒に武神祭予選の受付を済ませた。本戦に進めるのは4名で、本戦では8名のトーナメント戦になるんだと。

 

(学園側だと俺とローズ先輩。シード枠だと前の大会で優勝したアイリス王女と……確か武神祭の初代優勝者でベアトリクスさんだったか?)

 

 それを受付をしてくれた女性の人から聞いた。俺としては聞いた覚えがなかったんだが、受付を済ませたすぐにそう教わった。ベアトリクスさんはゲストとして呼ばれていると同時に、本戦でもトーナメントの一枠に組み込まれるんだとか。

 

(いやそれ既にベアトリクスさんの独り勝ちしませんかね?)

 

 俺は会った事が無いからどれだけ強いか分からないし、確かに俺は今まで色んな世界を巡って、そこから実力を後付けしていく様に強くなってきたからそこら辺の相手に負ける事はないと思っているが……

 

(俺も世界的に見たら井の中の蛙だからな……この世界で俺より強い奴はいるだろうし。まぁそれでも負けるつもりは無いけどな?)

 

 取り敢えず勝負の事はその時にならないと分からないし、明日の予選に向けて体調を万全にしておくか。

 

(寮でゆっくりしても良いけど……それでも結局はベットの上でゴロ寝になりそうだし……今日はシャドウガーデンの拠点にそのまま泊まるか)

 

 そう決めた俺はシャドウガーデンの拠点に向かって行った。その道中でもまた野郎にナンパされたが、これはいつもの如く丁重にお断りした。全く……ただ変装しただけなのになぁ〜……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side アルファ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、シャドウも予選に参加するのね」

 

「はい、イータからその報告をさっき受けてから急いで確認しました。シャドウ様が受付されたのもつい先程との事で……」

 

「それで、登録者名がジミナ・セーネン。容姿もパッとしない姿ね」

 

「どうやら実在した人物で辺境の貴族出身。それも三男という微妙な立場の人間に変装したと報告では受けています。また変装に選ばれた本人は数年前に死亡が確認されていますけど、それも公の事件には載っていない事なので特に怪しまれる事もないと思います」

 

「そうね。それにアルジと同じく予選から参加するという事は……アルジの考えている事と私達がしたい事を予め予想していたから、かしらね」

 

「流石は陰の叡智を私達に授けて下さった方です。その柔軟に対応できる能力は私も感服しますね」

 

「えぇ、私もよ。それにこの容姿だと相手も油断するでしょうし、シャドウもガーデンの実力でNo.2だから、本戦に行くのは余裕でしょうね」

 

「そうですね。アルジ様とシャドウ様、お二方が同時に動かれたのなら、私達も裏側で動きやすくなります」

 

 ガンマの発言に頷く。基本としてこの2人が同調するかの様に動く事で、私達の作戦行動もスムーズに進んでいく事は、これまでの経験則からでも容易に分かっている事だし、後は私達が迅速に動くだけね。

 

「コトハの方からの進捗はどうなっているかしら?」

 

「はい、コトハさんの方も今回来賓として参加するオリアナ王国宰相、ディアボロス教団モードレット派に属するドエム・ケツハットを、ミドガル王国とオリアナ王国の国境付近で捕獲するべく準備を進めております。進捗状況は全体の85%まで進んでいると」

 

「そう、いつもながら動きが早いわね。これも彼女達の得意とする諜報技術あってのことね」

 

 彼女達は、勿論私達シャドーガーデンと同じくらいの戦力を保持しているわ。コトハの様に諜報活動に特化した子がいるのは勿論の事、中でも組織を率いているオルバさんと、その1人娘のミリアさん。最近加入したばかりのディエール・ボードウィンという仮面を付けた人と、元ナイツ・オブ・ラウンズの1人だったけれど、それも私達に情報を流す為、そして1人でも多くの悪魔憑きを助ける為にスパイ活動をしていたルスラン・バーネット。そして……

 

(この前のリンドブルムの時にアルジが勧誘したアウロラ……ね。元々ディアボロスの雫を完全な物とする為に千年もの間幽閉されていた女性)

 

 そして千年前に勇者オリヴィエに討伐されたディアボロス本人……。

 

(と言っても彼女の事をディアボロスだと知る人物は、教団の中でもほんの一部だし、その名前だと目立つからあちらではヴァイオレットと名乗っているけど……)

 

 彼らは過去にアルジが助けてきた人達で構成されていて、そこからはオルバさん達が手動で悪魔憑きの子達を助けて組織を拡大させていった。中には元教団に所属していて心酔していた人達もいるけど、それもアルジの前では紙切れ同然の物に等しくて、結果としてはプライドごと粉々にされたらしいわ。そこをアルジが汲み取って、今度はアルジの為に全力を注ごうという人もいるとコトハから聞いた。

 

(全く……あの子は人をたらし込むのが上手いわね)

 

 私もその口……というより一目惚れだけど。

 

(でも女性まで次々に惚れさせていくのは嫌ね……)

 

 コトハと話をしていると、本人は自覚しているか分からないけど……彼の話になると様子が変わってくる事が多々ある。例えば顔を赤くしながら話していたりとか……

 

 後はアウロラね……アルジ本人からも聞いた話だけど、リンドブルムの遺跡の中でかなり密着されたとか、別れ際にキスをされたとかで……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話を思い出しただけで……私が今とてつもない程の嫉妬心を抱いている事が分かるわ

 

 やはりもっと彼に甘えておくべきだったかしら……彼が帰ってきたらまたさっきの続きを……

 

(い、いえダメよアルファ! アルジとは武神祭が終わった後にと約束したばかりでしょ⁉︎ それにシャドウガーデンの第一席として、そしてアルジの彼女としても、約束を反故にしてしまうことは許される事ではないわ‼︎)

 

「あ、アルファ様? ど、どうかなさいましたか?」

 

 ガンマの呼びかけにハッと我に帰った私は、なんでもないわと返事をして報告の続きを聞く。そして報告を最後まで聞いた後、アルジの事で少し聞きたい事があったからガンマに問いかけた。

 

「そういえばアルジは登録した後寮に戻るのかしら?」

 

 武神祭の登録に行く事は勿論本人の口から聞いていたけど、その後をどうするかは聞いていなかった。それにさっき受付も済ませた事でしょうから、ガンマもその事については推測で話すだろうと考えての投げかけだったのだけれど……

 

「アルジ様はもう少し街の様子を見てから拠点に戻ってくると、アルジ様を見ていた者から報告を受けています」

 

「っ⁉︎ そ、そうなのね……」

 

「はい! ですのでアルジ様がお喜びになる様におもてなしをご用意しているところでして‼︎」

 

「分かったわ。用意している子達にも、そのまま作業を継続する様にと言ってちょうだい」

 

「かしこまりました。それとアルジ様との夜伽については……」

 

「(っ! ほ、本当なら私がアルジの事を癒してあげたいところだけど……約束を破る訳にはいかないわ!)本来は私があの子の事を癒してあげたいけれど、今回はガンマ、若しくはベータで決めてちょうだい」

 

「よ、よろしいのですか⁉︎」

 

「えぇ。私だけが彼との逢瀬を重ねるというのも不公平だと思うし、それにアルジには、あなたたちがこれまで彼に対してどれだけ想ってきたかも知って欲しいの」

 

「っ⁉︎ そ、そこまでお考えに……このガンマ、アルファ様のお心遣いに感服致します‼︎」

 

 ガンマからそんな言葉を贈られるのだけど……私としては自分の本当の想いを押さえつける為の言い訳にしか過ぎないと思ってる。

 

(彼との約束を守る為とはいえ……こうした嘘をつくのは嫌な気持ちだわ……)

 

 表面上は普段通りに取り繕っていても、心の中は晴れない気持ちで少し落ち着かない。でも彼との約束を守る為に……今は我慢しましょう。

 

(そして武神祭が終わった後は……♡)

 

 アルファさんは武神祭が終わった後の事を考えながらも、今は目の前の事に集中して着手していきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 受付が終わってから拠点に戻りつつ、その道のりまでに開かれている屋台で少し買い物をしてから帰り着く。拠点に帰り着くと、シャドウガーデンの子達が数人おかえりなさいませと、まるでメイドの様に挨拶してくる。それに対して俺も普通にただいまと返して、自分が充てがわれている部屋行こうとしたのだが……

 

「あ、アスタロト様! お、おかえりなさいませ!」

 

 途中イプシロンに声をかけられる。まぁそれも普通の事だから挨拶を返すんだが……

 

(ん? なんかいつもと衣装が違う様な……)

 

 いつもの彼女であれば、黒いドレス調の服装なんだが……今の彼女は黒いトレーニングウェアを着ていて髪型もサイドアップにしていた。そのトレーニングウェアもどことなくピッチリしていて、彼女のスタイルをこれでもかという程強調している。なんと言っても腰回りが裸ていておへそが見えるタイプの……そんな格好が珍しかったから、彼女に今の格好を問いかけていた。それについて彼女は……

 

「こ、この格好ですか? 最近はトレーニングにも力を入れているところでして、今から行うところなんですけど……も、もし良かったらアルジ様にもお付き合い頂きたいなぁ〜……なんて」

 

 赤面しながら俺を誘ってくるイプシロン……聞いてくる仕草に加えて身体が落ち着かないのかモジモジしている。それにコチラをウルウルした目で上目遣いに伺う様な顔つきで……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだよこれっ⁉︎ 一体今日はどういう日なんだ‼︎)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルファもそうだったけれど今日物凄く誘惑されてる感じがするんだけどっ⁉︎ 俺何かした⁉︎ 確かに一般枠で変装して武神祭の受付したけどそれしかやってないよね⁉︎

 

 そもそもイプシロンは兄さんに心酔していた筈だ。なのに何故俺に対してそんなアプローチを仕掛けてくるんだ⁉︎ わ、訳が分からん……

 

「あ、あの……ひょっとしてご迷惑だったでしょうか?」

 

 俺が返事を少しの間返さなかった為にイプシロンの表情が少し泣きそうになっている。

 

「っ⁉︎ い、いや! イプシロンが珍しくそう誘ってくるのが珍しかっただけで……べ、別に迷惑とかそんな事は断じて思っていないからな! だから安心して欲しい‼︎」

 

「ほ、本当ですかっ! でしたら……」

 

「あ、あぁ……イプシロンが良ければその……トレーニングとかに付き合うよ」

 

「っ‼︎ う、嬉しいです! ありがとうございますアルジ様‼︎」

 

(っ⁉︎ ま、眩しいっ⁉︎ な、なんだこの輝く様な笑顔はっ⁉︎)

 

 本当にどうしたというんだ⁉︎ そんな仕草や表情は兄さんにしかやって来なかった筈なのに……どんな心境の変化だ?

 

(まぁ考えても答えなんて出なさそうだし、行くか)

 

 俺はイプシロンとトレーニングに付き合う事を了承して、彼女と一緒にトレーニングルームに行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side イプシロン

 

 

 

 

 

 

 

 

(な、なんとかアルジ様を誘う事が出来ました……)

 

 アルジ様に対して抱いているこの感覚を確かめるべく、私は行動を開始した。いつもならシャドウ様を見かけたらすぐにアプローチをしていくのだけど、今日はアルジ様に対しても行っていく。

 

(まずは武神祭の受付から帰ってきた後ね)

 

 アルジ様が帰って来られる事は報告されているから、私はいつでもアプローチできる様に準備する。この時間帯であれば昼食を済ませてゆっくりしているけれど、もう少ししたらピアノの演奏会にも呼ばれる時期がやってくるから、少しでもスタイルを良く見せようとトレーニングもしているわ。

 

(確かにスライムを用いてもスタイル維持をする事は可能だけど、でも自分自身で出来る事は自分でやらないと!)

 

 七陰の中では……正直スタイルの良さは私が1番劣っていると……悔しいけどそう思っているわ。特に胸の大きさについては、あの時よりかは成長しているとは思うけど、それでも1番小さい……し……

 

(こう思ってしまう事は本当に嫌だけど……ベータの今も成長している胸が羨まし過ぎるわ‼︎)

 

 彼女とは……私だけがだけど胸の大きさで張り合っていた。だからベータとの仲は良い関係とは言えない。

 

(アルジ様は皆で仲良くして欲しいって言ってきたけれども……でもこれは女として負けられない‼︎)

 

 アルジ様には本当に申し訳なく思う。だって私達が喧嘩していたりする場面を見たら、アルジ様は決まって悲しそうな顔をしている。その後になんでもない様に笑みで取り繕って皆仲良くって言葉をかけて下さって……

 

(……なんでかしら? 改めて考えるとアルジ様のそんな顔を……見たくない)

 

 アルジ様には笑みが似合う。それは七陰全員が思っている事で、だからこそ私達はアルジ様に心配を出来る限りさせない為に、アルジ様がいないところでも出来るだけ喧嘩をしない様にしている。それでも私は偶にベータと胸の大きさとかについて張り合う事はあるけど……

 

(過去にそんな私を見てアルジ様が助言して下さったっけ……)

 

 シャドウ様からは陰の叡智としてスライムや魔力を用いた緻密な操作を、それをする事で自分の身体を自由に変えられる事を知って、そして頑張って練習していった。その結果今の私の姿があるのだけど……それとは別でアルジ様からも教わったわ。自分の体型が他の子よりも気にしている事を見抜いてか、周りに誰もいない時にこんな事を教えてもらった。

 

「女性としてはとてもデリケートな問題で、俺がとやかく口を出してしまうとセクハラになるかもしれないし、実際にはそうなってしまうんだろうが……それでも君が今の自分よりも誇れる姿になりたいというのなら……俺も協力するよ」

 

 そうして教わったのが、主にバストアップをする為のトレーニングだったり食生活や生活習慣だった。女性の胸の大きさについては遺伝も関係があると言っていて、私を産んでくれた親は……

 

(えぇ……私を産んでくれたお母様も子供体型だったわ……)

 

 だからこそ幼少の頃は体型の事でとっても悩んだ。特に胸の辺りとかの発育が周りよりも著しくなくて……だからこそシャドウ様からスライムスーツが変幻自在であり、尚且つ魔力をどう流すかによって変化するかを教えてもらったからとにかく魔力操作を練習していった。

 

 でもアルジ様からも魔力操作やスライムの操作以外に生活習慣の事を学んでからはそちらにも力を入れていったわ。

 

(胸の上、鎖骨周りをグーでクルクルと優しくほぐすことから、脇の肉を胸側に引き寄せたり、片手でバストを下から持ち上げて、もう片方の手で胸の形を丸く円を描くように整える……)

 アルジ様はこれを1日に何回行っても問題ないって言っていたけど、どの工程も優しくする様にって言ってたわね。

 

(次にトレーニングについては、まず胸の前で手を合わせて合掌、そのまま肘を手の高さまで上げて手を押し合わせて胸の上あたりに力が入るようにする。そのまま30~60秒キープして、後は力を抜いてリラックスする……)

 

 これを、1日あたり5〜10回を目安に行っていく。ここまでは普通に行う事が出来たし、今でも継続して行ってきたわ。

 

(でも問題なのが食生活や生活習慣についてだったのよね……)

 

 そう、問題だったのが生活習慣とかそっちの方で、私達は闇夜に紛れて行動を行うから、確か女性ホルモン……っていう名前だったと思う。それが特に多く身体の中を分泌する時間帯が夜中の22時から2時の間で……

 

(任務の時はまず無理なのよね……)

 

 私達は闇夜に紛れて行動する。だから深夜帯の時間に任務を行う事が多いわ。

 

(それで1番の難所が食生活だったわね……)

 

 大豆って呼ばれる食物に含まれる成分が成長に良いって聞いたけれど、私はその食物の名前をアルジ様に言われるまで知らなかった。シャドウガーデンに来る前までの私は、格式も確かな家に生まれていて、それなり以上の教養も兼ね備えてきた自負があったわ。

 

(そんな私でも知らない食物を知っているなんて……陰の叡智は素晴らしいわ‼︎)

 

 でも実際に目にしてみると後悔した。特に納豆と呼ばれる大豆を発酵させた物だけど、嗅いだ事のない匂いで最初は忌避感すら感じたの。

 

(で、でも私が目指す理想の体型になる為に‼︎)

 

 確かに臭いは嫌ではあったけど、それも慣れれば大した事がなくて……

 

(特にコトハの出身地で多く食べられているコメと呼ばれる食品に納豆と卵、それにこれも大豆から作られている醤油と呼ばれている調味料を掛け合わせた食べ方なんてもう驚きを隠せなかったわ‼︎)

 

 でも大豆がこの大陸ではあまり見られなかったから、これもアルジ様がわざわざコトハの出身地まで赴いて手配してくれて……それに納豆とか醤油を私の為に作ってくれて……

 

(えぇ。今思えば昔からアルジ様に良くしてもらっていた……)

 

 行き詰まりそうになった時は優しく支えてくれて、魔力の扱い方の練習も付き合ってくれた。そうして私の事を支えてくれたアルジ様は……私になにも見返りを求めなかった。それは他の七陰に対してもそうで……

 

(貴方はなにも求めてくれないのですか……?)

 

 ふとした時に聞いた事がある。アルジ様は私達の事をいつも助けてくれるのに、それに対しての見返りや恩を求めないのかって……これは私の出自が格式のある家だったからこそ、そんな考えが浮かんだのかもしれない。貸し借りなんてあまり作りたくないし、作ったとしても何か考えてすぐに返していたし……

 

 でもアルジ様は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「別に俺はそんな事を考えた事はないな。そもそも、こんな俺とこうして接してくれるだけで満足なんだ。それ以上に求めると、逆にバチが当たるだろうからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな事を普通に何事もなく返してきた。だから私は悔しかったのかもしれない……私に何も求めてくれないアルジ様のことが。だからその反動でシャドウ様にアプローチを沢山して……

 

(でも……やっぱり私は……)

 

 私は漸く気付いたのかもしれない。私の本当の気持ちに……そう、私は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルジ様の事が……好き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(だからこれからはどんどんアルジ様にアプローチしていこう! これまで出来なかった事を全て駆使してでも‼︎)

 

 その第1歩が今この瞬間で、私はアルジ様をトレーニングに誘っていた。アルジ様は動きやすい格好になると言って更衣室に行ってて……

 

(あぁ……っ! でも緊張してきたわ‼︎)

 

 いつもとは違う心臓の高鳴りと、それに応じて身体が熱くなっていくのが分かる。

 

「待たせたかな?」

 

 そこにアルジ様が動き易い格好に着替えてきた……

 

(た……逞しい……)

 

 アルジ様の姿はジャージ姿に変わりないのだけど、上だけ半袖の物で、それを着ている上からも鍛えられた筋肉が確認できる。それも分厚い物ではなく年相応の物だけど……でも均等が取れてて正に一種の芸術作品と呼ばれてもおかしくないくらい……

 

「イプシロン? どうかしたか?」

 

「(っ⁉︎ あまりの逞しさに見惚れちゃってたわ⁉︎)な、何でもないです‼︎ ただアルジ様のお身体に見惚れてしまって……(へ、変な事口走っちゃったっ⁉︎///)」

 

 へ、変な目で見られないかしら……

 

「俺の身体が……そ、そうか……まぁある程度には鍛えているからな。でもお世辞でもそう言ってくれて嬉しいよ。ありがとう」

 

「っ⁉︎///い、いえ……そ、それよりも! まずストレッチからお願いしても良いですか?」

 

「あぁ良いよ。早速やろうか」

 

 これ以上同じ雰囲気に晒されてしまうと、当初の私が頭の中で組んでいた予定がどこかに吹き飛びそうだったから話を強引に変えた。それに対してアルジ様は特に何かを考える事なく頷いてくれたわ。

 

 まず私が床に座って、足をまっすぐ伸ばす。そして手も足と平行にまっすぐ伸ばした状態のまま、上半身を足とくっつける様に傾ける。所謂前屈ね。その時にアルジ様には私の肩を持ってもらって補助をしてもらった。それでアルジ様に肩を支えてもらった時……

 

「んっ……」

 

 その感触が少しくすぐったく感じて自然と私の方から吐息が漏れ出る。その時にアルジ様がビクッて身体が動いたのを、私の肩を支えている手から感じ取れて……

 

(なんか……可愛い……)

 

 そう……そう思ってしまったの! アルファ様が偶にアルジ様のことを可愛い子の様に言ってきて、その時は普段のアルジ様のイメージと相まってあまり実感は湧かなかったけれど……

 

(でも今なら分かる! アルジ様が可愛いという言葉の意味が‼︎)

 

 前屈の後は開脚してからの前屈と、開いた足の左右それぞれに身体を傾けたりした。それで一通り私はストレッチを終わらせて、次はアルジ様が行う番になった。

 

「次は私が補助をしますね!」

 

「あぁ、お願いするよ」

 

 アルジ様が床に座って前屈の体勢になる。私はアルジ様の肩に自分の手を置いて、力をかけずにゆっくりと前に倒していく。

 

(こ、ここでチャンス到来よ!)

 

 アルジ様が顔を前にして前屈しているこの状態……という事は、今なら私がアルジ様に何をしようとしてもバレないわ! バレたとしてもそれはやった後の事で……

 

(き、緊張するけどいつも通りにアルジ様と接すれば良いだけよ! だから……えいっ‼︎)

 

 アルジ様が完全に前屈をしおわるタイミングを見計らって、私は少し力が有り余って前に少し倒れ込む体勢になる。その時にも当然私の手はアルジ様の肩を支える様にしているけど、伸ばしている腕を畳んで私の胸がアルジ様の背中全体に乗る様にしたわ。そうすれば自然と……

 

「んっうっ……♡」ムニュリ

 

 そんな擬音が鳴っているかってぐらいに私の胸はアルジ様の背中に押し当てられて、形を変える。私もその時にくすぐったい感触に襲われるからそんな吐息が漏れ出るんだけど、アルジ様はというと……

 

「い、イプシロンっ⁉︎ 今は一体どんな状態なんだっ⁉︎」

 

 慌てふためく様に私に聞いてくる。今は前屈しているから何が起こっているのか分からない状態で、多分アルジ様の頭の中は何が起こっているのかを考えているところだと思う。

 

(あぁ……でもこんなに慌てふためいてくれるなんて……)

 

 今の私は確かにスライムでスタイルを偽装している。胸の弾力も張りも柔らかさも全て忠実に再現しているわ! そしてアルジ様はその柔らかさになんとなく自分が今どういった状態なのかも理解していっていると思うけど……

 

(今度は私本来の身体で……)

 

 そう思いながら私はアルジ様のストレッチの補助を続けていった。そして違う事をする度に私は不自然にならない具合に自身の身体をアルジ様に押し付けたり少し擦り付ける様に触れ合わせたりして、アルジ様の様子を見ていったの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ……っ‼︎ もっとアルジ様の赤面したりするところを見たいっ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とまぁ、イプシロンさんはアルジさんと少しずつ触れ合っていく事で自分の気持ちを再確認しました。そしていつしか自分の本当の身体でアルジさんを虜にしたいと心の中で思ったそうです……

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イプシロンにトレーニングに誘われた俺は、ストレッチだったり置いてある器具で適度に身体を動かしていった。全体的に見れば身体をうごかせたことじたいとても満足のいく物だったんだが……

 

(なぁ〜んかイプシロンが事あるごとに身体を押し付けてきたんだよなぁ〜……)

 

 これは俺の勘違いや思い過ごしかもしれない。だがこれまでイプシロンにトレーニングとかに誘われた経験はなかったし、身体を張ったアプローチも兄さんに対してはしていたが、俺にほとんどそんな事はなかった。なかった筈なのだが……

 

(本当にどうしてそうなったんだっ⁉︎ これは何かよからぬ事が起こる事の前触れとか……)

 

 いやいや! そんな事は絶対にあり得ない‼︎ そもそも七陰の皆やシャドウガーデンに所属する子達が俺に対してスキンシップを取ってくるということは、俺の事を頼りにしているという気持ちの表れだ! 今回のイプシロンについてはちょっとどころじゃあない程過激なスキンシップだったかもしれないが、出会った当初に比べれば俺に心を許している証拠ともとれるじゃあないか!

 

(あぁ、そう考えれば別に不自然な事でも何でもない! 寧ろ良い日になったと思うべきだ‼︎)

 

 と、アルジさんは楽観的に捉えていますが、イプシロンさんがこの時を境に本気でアルジさんの事を狙っている事に気付いていません……

 

「(さて……トレーニングした後はアルファ達から模擬戦してくれって頼まれてやったし、夕食も食べてお風呂にも入った。後は寝るだけなんだが……)どうしてこの場にガンマさんがいるので?」

 

「はい! アルファ様から今夜のアルジ様の夜伽を任されましたのでここにいます‼︎」

 

「えっ……? えぇっとぉ〜……頼んだ覚えはないしこちらの拒否権などは……」

 

「拒否権をアルジ様が提示された際なのですが……アルファ様から断固として拒否する様にと言付かっています。……それとも私と夜伽を迎える事は……お嫌ですか?」

 

 ぐっ……⁉︎ 最早恒例と化した上目遣いと瞳をウルウルさせながらの精神攻撃かっ⁉︎ そんな顔されると本当に断れないから、そんな自分に嫌気が差してくる……

 

 別に彼女達との夜伽が嫌とかそんなわけじゃあないんだが……ただそれでも、これまで俺が生きてきた時代の積み重ねというべきプライドを持っている身としては……毎回そうされて頷くのをよしとしないというか……

 

「(よ、よし……今回は彼女達からの誘惑に耐えて普通に過ごすぞ‼︎)あぁ……そのだな。別にガンマと夜伽をする事が嫌という訳ではないんだ。だが明日から武神祭の予選が始まるし、それに向けて集中しておきたいから今回は……な?」

 

 うん! この理由であれば自然と断れる筈だ‼︎ 明日から予選が始まる事も事実だし、俺が集中しておきたいという事も本気で思っている事だ。

 

(ガンマには申し訳ないが……夜伽の機会は次に回して欲しいところだな)

 

 そうして内心ガンマからの誘惑に打ち勝ったなと、何の根拠もない勝利に酔いしれた状態になっていると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルジ様が仰ることは勿論の事でございます。明日は武神祭の予選ですし、貴方様が集中したいという事も分かります。ですからそこに……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私からの愛を付け加えても……良いですよね♡ふぅ〜……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あっ……これ負けたわ……)

 

 誘惑に勝ったと思い込んでいたらまさかの追い討ちを喰らった。正確に言えばガンマが俺の耳元でこしょこしょと囁く様に言って、言い終わった最後に俺の耳に優しく息を吹きかけるといった、なんともまぁ極悪なコンボを俺の精神に叩き込んできて……理性の鎖が簡単に弾け飛んだ。

 

 結果俺がガンマの事を情熱的に求めてしまい……朝目覚めると怠さが残る結果となってしまった事は言うまでもない。

 

(だがガンマからの愛情はたっぷり注いでもらったな)

 

 これは何がなんでも優勝を狙うとしよう。例え相手が初代武神祭優勝者であったとしても‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side シド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いよいよ待ちに待った武神祭の予選当日。僕は借りてる寮の部屋からそのまま会場まで向かった。今回の登録者は過去最高らしく、広い広場に複数の決闘できるスペースが作られている。ただ木の枠を組み合わせた様な荒い作りだけど、それでも参加者の気が滅入る事はなく、逆に戦意が向上している様に見える。

 

(といっても僕の敵はアルジだけだろうしなぁ〜……)

 

 昨日会った筋骨隆々の大男はそれなりだし、僕と大男の現場を仲裁した女の人も、まぁ大男より強いかなってぐらいしか思わなかった。

 

 そう言えば忘れてたけど、僕は今ヒョロと一緒に会場に向かっている。ヒョロ自身はこの試合に参加する気はなくて、逆に賭けてお金を稼ぐ目的なんだとか。

 

(まぁ僕かアルジかに賭ければ普通にお小遣い以上にお金が手に入ると思うけど……)

 

 でも僕はヒョロにそんな助言はしない。確かにアルジには賭けるかもしれないけど、僕は参加しない事になってるし、例え僕がこの人に賭けた方が良いと言ったところで素直に聞く事はないだろう……

 

(それに自分以外の誰かが黙って自分よりもお金を稼いでいるなんて見ていて良い気分じゃないしね‼︎)

 

 特にベータやガンマとかは、昔話した内容をそのまま忠実に再現してて、それが軌道に乗ってお金を沢山稼いでいると聞くし! 本来は僕がそのノウハウとかを教えた事なのに〜……売上の一部くらいは僕が貰っても良いと思うんだ‼︎

 

(まぁそれを馬鹿正直に言うのも今更感があって落ち着かないし……)

 

 それにそんな事を言った事がアルジにバレでもしたら……この前みたくハリセンで1回ぶっ叩かれる程度じゃ済まないだろうし……

 

(それにハリセンでもアルジの一撃はとても痛いんだよ‼︎)

 

 例えて言うなら、鍛えていない人の頭上からステンレス製のタライを落とすぐらいの威力がある。頭上からの高さは大体50cm〜75cmくらいかな? ともかくそんな事は口が裂けても言えない状態である事は間違いない。

 

 それで会場に着くと一際目を引く人物がいたんだ。全身をほぼ金色の鎧で覆ってて、武器を収納している専用の鞘(なんか台車に鞘が設置されてる……)も異様に目立っていた。

 

 それに目をつけたヒョロはその人に話しかけていて、強さの測り方やどの人に賭けたら良いかとかどんどん話に入り込んでしまった。

 

「あっ、次僕の番だ」

 

 僕はそろそろ僕の番が近付いてきたから、ヒョロに一言断ってその場を後にする。そして誰にもみられない位置で変装して、自分の名前が呼ばれた事を確認してから決闘できるスペースに入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガンマから昨夜愛情という名の活力を沢山注ぎ込まれた俺は……今決闘相手を一撃の内に撃沈させていた。

 

(まぁ相手が勢い余ってつまづいた挙句、その勢いで木の枠に顔面から衝突して気絶しただけなんだが……)

 

 俺としては右手から下げている剣を鞘から抜いてない状態で立っていたんだが……鞘の端に飾り紐を結びつけてて、それを持ってぶら下げてた状態だな。

 

(でもそんな俺の態度を見て相手が怒り狂ったのか、剣を振り上げた状態で奇声を上げながら俺の方に突進してきたんだよなぁ〜……)

 

 だから俺はスッと横に避けて、相手が通過する位置辺りに片足を少し伸ばしていただけなんだ。そうしたら相手が俺の出していた足に勝手に躓いて、その勢いのまま木の枠に顔面から衝突っと……それで初戦勝利をもぎ取った。正直息を吸うよりも楽な動作だったと言っておこうか。

 

(それで兄さんの方は……ホント、ここから見てもやる気がない様な顔と姿勢だよなぁ)

 

 だが結果としては兄さんの圧勝で、相手が勝手に兄さんとは逆方向に吹き飛んでしまうという現象だった。それに対して担当していた審判も何が起こったか分からないといった表情を浮かべていたが……その場に立っているのは兄さんだけだったから勝者は兄さんという事になった。

 

 そんなこんなで予選は進んでいき、参加者もどんどん数を減らしていった。そんな時に会場の中でヒョロを見かけたが、隣には全身金ピカの鎧を纏っている男がいるのに気付いた。

 

(へぇ〜……よくもまぁそんな目立つ格好ができるもんだ……)

 

 と、アルジさんは思っていますが、自分の容姿について棚上げにした状態で相手をそう判断しており、目立っているのは自分も同じだという事に気付きません……特に女性陣からの視線が熱いことで……

 

(さて……この調子で本線に進ませてもらおうか!)

 

 そしてアルジは続く予選も勝ち抜き、明日行われる予定の本戦を賭けた切符のトーナメントまで進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




武神祭の予選編に漸く突入しました!といっても戦闘描写はそこまでありませんけど……

それにしても書いている間にまさかイプシロンさんの回になるとは思っていなかったんですが……書いていて後悔はありません‼︎そしてイプシロンファンの皆様お待たせ致しました‼︎人工が天然に勝てる日が今ここにっ‼︎

といってもリンドブルム編にてベータさんがしれっとアルジさんの彼女になっているので、現在はベータさんが一歩リードしている状態ですが、ここからの巻き返しに期待ですね!まぁそれも作者の手に委ねられていますが……

次回は武神祭の本戦に出場する為の4枠を賭けた予選本番を描いていく予定です。ですので会場も大きめの広場から本戦と同じコロシアムへ!そして武神祭が進むにつれて物語も加速していきます‼︎あぁ……書く事が多くて本来描きたい描写まで辿り着かない……

まぁそこも一歩ずつの積み重ねという事で……

ではまた次回お会いいたしましょう!

今回アルジさんが変装していたのは、テイルズオブヴェスペリアの主人公でありますユーリ・ローウェルさんでした!また次回も変装会がございましたら同じ様にやるかもしれませんので、その時はまたよろしくお願いいたします‼︎それと同時に今回のヒントの出し方でどれだけの方が分かったのかについても確認いたします‼︎

  • 最初のヒントだけで分かった!
  • 追加ヒントでやっと分かった‼︎
  • 追加のヒントを読んでも分からなかった……
  • そもそもテイルズ作品に詳しく無い……
  • 活動報告とかに追加を載せて欲しかった……
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