新しい話を書いてから早く、4ヶ月ほど過ぎてしまいました。
色々と新生活に対してやこれからの事を準備していたことと、他の小説も並行して書いていたので遅れてしまいました、申し訳ないです。
陰実については、アニメ版で放送された2期最後まで書き切るつもりではあるので、何卒暖かく見守っていただければと思います。
それではどうぞ、最新話をお楽しみ下さい!
無法都市……名前の通りここは、国家が定めた法律なんて全くない。
そしてこの都市に住む人達が、明日を生きるためになんでもすると、そういった覚悟が決まった人達が住んでいるんだなと感じた。
(まぁ周りに流されて生きている人達も多そうだが……)
都市にその名前がつくだけあって、ここでは力を持っている奴が1番強い。
財力然り、暴力然り、策謀然り……上げればキリがないが、この都市はそんなのがごちゃ混ぜに混ざり合ってて、別々のジャンルに乖離することも無理な状態ではあるのだが、それでも成り立っているのがこの都市だ。
そしてこの都市には3つの塔がある。
簡単に言えば派閥や勢力になるのだが、その3つの勢力が均衡しているからという理由でこの都市が成り立っているといっても過言ではない。
まずは黒の塔を管轄しているジャガーノートと呼ばれる男性で、簡単に表現したらマフィアに近い印象を受ける。
黒の塔周辺は、俺が元住んでいた日本でいうところの工業地帯みたいに、それに似た建物が多い。
まぁこの都市の中では1番近代的なんじゃなかろうか。
次に白の塔を管轄しているユキメという女性で、この人は9本の尾を持つ狐の獣人で、最早日本でいうところの九尾に近しい。
その姿は周りの男性陣が見惚れるほどと聞く。
そんな彼女は白の塔、色町と呼ばれる地区の担当で、文字通り風俗街だ。
(まぁそんな所に全く興味は見出さないが……)
はっ? 嘘だろって? いやいやそんな質問が出てくるお前は馬鹿なのか? そもそも俺には既にアルファ達がいる。
それも、俺にとってかけがえのない存在だ。
そんな彼女達と出会った後で風俗で働いている方々を見てみろ。
あっ、普通に女の子ですね……っていう感想しか出てこんわ‼︎ まぁそこで働いている方々には申し訳ないが……。
(それに俺はもうアルファ達と、まぁ直接好意を伝えてくれた子達とは逢瀬を迎えている。そこに風俗の女性が入り込む余地なんてないし、そんな状況はありえないな)
にしてもユキメ……ね。
なんか昔聞いたことあるような気がする。
昔とある獣人の村まで足を運んだことがあって、そこが襲われてたから助けに入ったことがあるんだけど……
(確かあの時助けた人も白い狐の人だったような……)
まぁたまたま同じ狐の獣人で同じ名前、言うなれば同姓同名、いやここでは同種同名かな。
ともかく俺が昔助けた人も、白い塔を管轄しているユキメって人も、偶々同じ種族と名前ってだけだろう。
(それで問題は紅の塔……か)
俺がここにいる最大の理由、勿論姉さんが俺の将来を心配して、それで連れてこられたって理由も間違いないが……
(1000年前に起きた「赤い月」という、お伽話として語り継がれる惨劇……そして今日がその「赤い月」が起こってから丁度1000年目だ)
世間ではただのお伽話でしかないが、シャドウガーデンとしては実際に起きた惨劇だと認識している。
そんな議題が上がったのも、ここに来る数日前のことだ。
——回想——
その日は、なんとか姉さんの目を掻い潜りミツゴシ屋上に建てられた屋敷に来ていた。
どうやって姉さんの目を掻い潜ったかといえば、勿論俺の分身を用いてなんだが、バレたらこの前の比ではない程に姉さんから束縛されてしまうだろう。
そうなったら潔く処分を受けらしかないけどな。
で、今俺の目の前にはこの日集まれるだけのシャドウガーデンの構成員達がいた。
俺の右隣には兄さんがシャドウの姿で玉座のような椅子に座り、いつものように陰の実力者ムーブよろしく格好をつけている。
そして俺の左側にはアルファが控えているんだが……
(なんか距離が近くない?)
これまでだと兄さんの右側に控えていたのだが、アルファに告白をされてからというもの、公の会議でも俺の近くにいることが多くなった。
それで今日も俺の左側に控えているのだが……
(なんか肩どうしがくっつきそうなくらい近いんだよなぁ〜……それにアルファから良い匂いがするし……)
なんかこれ以上考えていると変態じみた考えしか浮かんでこないな……。
正直俺が好きな子達の前では変態になってしまうという事は……甘んじてだが自覚している。
だがこの真面目な場ではそんな態度を少しでも出そうものなら、俺に好意を寄せてくれている子達はともかく、他の子達には変に見られてしまうだろう。
だから顔には出さないように、いつも通りで振る舞っているつもりだったのだが……
「ふふっ♡アルジったら、本当に可愛いわね♡」
と、隣から小さな声で聞こえた。
視線だけ向けると、アルファが俺に対して誘ってくるような笑みを浮かべてきて、視線が重なり合うと更に目線だけだが優しい笑みを向けてくる。
それに対して不意にもドキッとしてしまい、慌てて視線をアルファから正面に向ける。
その仕草は怪しさ満点に見えるだろうが、今の俺はいつもの恰好、頭に中折れハットを被っているために、他の子達からはいつもと同じように見えていることだろう。
そんなくだらないことを考えていると、ベータが前に出て、今回までに調査してくれたことを報告してくれた。
それは無法都市に関することで、あと数日もすれば『赤い月』と呼ばれた事件より1000年経つとのことだ。
『赤い月』とは、この世界では御伽噺として語り継がれている。
内容としては、昔繁栄を誇っていた国があった。
そこは吸血鬼の王が治めていた国ではあるが、そこでは種族関係なく色んな人種が暮らしていたと聞く。
だがとある晩のこと、月が赤黒く染まり、それと同時に吸血鬼の王が暴走を起こして、僅か数時間と足らずその国を崩壊させた。
そのあとは吸血鬼ハンターを名乗る者の手によって吸血鬼の王は討伐され、数十年間その土地には繫栄が訪れなかった。
それも今となっては過去のものとなって、無法者達で溢れかえる土地となったわけだが……。
後はこの御伽噺、ほとんどの人がただの物語として扱っている。
だからこの話が本当だったとしても、信じる人など皆無だろう。
(だが調査をしたというのなら、この話は嘘ではない。事実であって、数日後中に『赤い月』が現れたのなら、その物語で描かれていた通りの再来になりかねない)
そうなってしまったのなら、無法都市に住む住人や、その周辺に住む罪のない人達、大勢の人達が被害を被ることになる。
それが巡り巡って俺の大切な人達……アルファ達にも被害が及ぶかもしれないって、そういうことだろう?
(あぁ……それは……見過ごすなんて出来るわけないよなぁ?)
ただ昔もそうだが今回のことも、意図的に誰かが絡んでないとこんなことにはなっていないってことだとは感じる。
物語上で語られている吸血鬼の王だって、もとは穏やかな性格だっと記載がある。
ならばそれをどっかの誰かが、意図的に、タイミングよくことを起こさなければそんなことは起こりえない筈だ。
(全く、どこの誰だか分からないが、次から次へと余計なことばかりしてくれるよ。今ものうのうと変わらず生きているというのなら、俺が今後、そいつが輪廻転生することが無いように念入りに絞めておくか……)
そう考えていた時にベータの説明がちょうど終わったようで、隣に座っている兄さんに意見を伺っているところだ。
「臭うな……」
「「「っ⁉」」」
兄さんがそう呟いた瞬間、周りの子達が急に自分の身体に鼻を近付け始めた。
それで鼻をスンスンとならしていて……
(えっ……これって皆、自分の体臭がという意味で受け取ったのか?)
いや、確かにその言葉だけで言えばそう捉えられてしまうのは仕方がないが……
それで不意にアルファの方を見てしまって……
(な、なんかアルファが悲しそうな顔しながらこっちを見てるんだけど……)
多分アルファも兄さんの発言をそう受け取ってしまい、それで隣、肩同士がくっつくかどうかの距離だから……っ!!
そこまで考えついてしまった俺は、兄さんがその発言をしてコンマ数秒あたりで黒いハリセンを創り出し、兄さんの頭を思いきり引っ叩いた。
兄さんの頭を叩いた時、とても良い音が響いて、それで皆も音の発生源に顔を向けていた。
俺に叩かれた兄さんも、横から急にぶっ叩かれたためかこっちを驚いた顔をして見ていた。
「シャドウが急に脈絡もないことを言ってしまったが故に、皆を少なからず不安にさせて申し訳ない。決して勘違いをしてほしくはないんだが、さっきシャドウの呟いた発言は皆がどうこうってわけじゃあない。だから安心してほしい」
俺が謝罪をしたためか、皆はその反応が予想外だったようで、一瞬身体を止めていた。
ただそれも一瞬で、皆すぐに元の体勢に戻ってくれた。
それで窓を閉めている子がいて……
(なんか対応が火災が発生した時に煙を外に逃がすとか、そこまでに至るまでの対応レベルかよ……)
俺個人としては、そこまでする必要なんてないと思うんだが……
(いや、女の子って男よりも多感だし……そこは普通に考えてとかって軽々しく考えるべきことではないよな)
おっと、話が反れそうになっていたな。
それで兄さんが言いたかったこととしては……
「無法都市で金の動きがあるかもしれない、そう言いたかったんだろ?」
「あ、あぁ……その通りだ」
「そうですね。確かに無法都市ともなれば、ディアボロス教団も隠れて動きやすいかもしれません。問題としては、この地を収める塔の支配者の動向にも注意を払った方がよろしいかと」
「特に注意が必要なのは、紅の塔で現在実質的な支配者にになってるクリムゾンっいう吸血鬼だったな」
「はい、私もこの会議が終わり次第、何名かを伴って現地に向かい指揮を執ります」
ベータの発言に肯定の意味合いで頷く。
後は今回特に議題はなかった筈だが……
「月が赤く染まる……暴虐の宴は近い……時間がない」
(はぁ……この中二病は相変わらず我が道をいくよなぁ~……)
隣でいつものごとく兄さんが意味深な発言をしていた。
その会議が終わった後、寮の部屋に戻る。
ただでさえ姉さんとの添い寝を抜け出してきていることもあり、いつまでも分身に任せるわけにはいかない。
(もしかしたらバレているかもしれないが、バレていたにしろ早めに戻っているのといないとでは全く違うだろうし……)
それでミツゴシ商会屋上の館の玄関から出ようとしたら、後ろから急に抱き着かれた。
「うぉ⁉ って、アルファ? どうかしたか?」
「その、大した用事というわけではないのだけど……さっき……」
「(あぁ……おおかたさっきの兄さんのやつか)兄さんが変なことを言ったから、それで気になっている、ってところだよな?」
「えぇ。いつも気は遣っているつもりだけど……それでも気になってしまって」
「……全く、アルファはいつものように堂々としていれば問題ないって思うが、それでも不安だっていうなら」
「あっ……も、もう、この子ったら♡」
俺が何をしたかと言えば、いつものポジションに収まっただけに過ぎない。
もう飽きている状況かもしれないが、俺はアルファの胸に頭を埋めた状態で両腕を彼女の背中に回していた。
「なぁ、これでもまだ不安か?」
「……ふふっ、いいえ。貴方のおかげでさっき抱えていた不安なんてどこかに行ってしまったわ。ねぇ、もう少しだけこのままの状態でいてくれる?」
「あぁ……あっ、でも早めに姉さんのところに戻らないといけないから、できればいつもより短めで……」
「全く……彼女の前で他の女の子の話題を出してしまうなんて、悪い子ね。そんな子には……お仕置き、しないとね♡」
「ウッ……お、お手柔らかに……頼む?」
「フフッ♡それは駄目ね。しっかり受けてちょうだい」
それで結局姉さんの元に戻ったのは……30分後のことだった。
あの後は姉さんに抱きつかれた分身と入れ替わるかたちで就寝した。
姉さんは勘が鋭いこともあって、ちょっとしたことでも無意識に何かあったと気付いてしまうだろう。
だから寝転がっていた分身に溶け込むように元に戻る。
そうすれば姉さんの抱き付いた拘束状態を少しも動かすことなく、自然な形で元に戻ることが可能だ。
(この手法については昔からやってきたからな)
この方法で姉さんにバレたことはないけど……それもいつまで持つことやら。
(……俺が姉さんに秘密を打ち明けることが1番なんだがな)
姉さんに俺のことを全て話すことについては、アルファから了承を得ている。
本当のことを話す日がいつ来るかなんて分からないが、俺としてはディアボロスの件が片付いたタイミングで話せれば1番良いと思っている。
だがそんな保証なんてどこにもないし、もしかしたら姉さんに打ち明ける日はすぐそこまできているかもしれない。
もしこの話をする機会がすぐ来て、話した後に姉さんが俺のことを嫌悪するというのなら……俺はその結果を、本当は嫌だけど……受け止める。
その覚悟は……持っている。
(俺は……俺の大切な人達が平和に、幸せに過ごせる、そんな毎日が欲しい)
この世界に来て、大切な人ができてしまった。
前までなら、自分の役割に準じていれば良かった。
好きな人ができたとしても、それを言い訳にして自分の中で無かったことにしてきた。
(でも今の俺は違う。もう、役割とかそんなことを抜きにして、俺のことを大切にしてくれる人達を最後まで幸せに……いや、一緒に幸ある人生を送るんだ)
そんなことを思いながら、姉さんの抱きしめが強くなったのを感じた。
同時に姉さんの胸に抱き寄せられた顔が、さらに双丘の谷間に押し込められる。
でも姉さんから感じる温かさと心地よさが俺の睡魔を助長して、その感覚に身を任せてその日は眠りについた。
——回想終了——
数日前にあったことを思い出しながら姉さん達と歩いていると、丁度紅の塔が見えた。
御伽話として語られる舞台であり、今もなお吸血鬼が根城にしている古い建物。
昔はもっと綺麗な場所だったと思うが、今ではその周囲も荒れている印象に思う。
「あの塔がどうかしたのアルジ?」
「ん? あぁ、あの塔が「赤い月」の舞台になった場所なんだなと思って」
「あの御伽話ね。でもそれってただの御伽話で、本当のことではないって聞かされたけど……」
「まぁそうなんだけどさ。あの塔から吸血鬼の気配がする。それも長く生きた吸血鬼の」
「っ⁉︎ それ本当? ……でもアルジが言うなら、間違い無いかもしれないわね」
「まぁ少し距離があるから、もしかしたら気のせいかもしれない。でもこの都市にいたら、大小問わず何かに巻き込まれるかもしれないから、姉さんもいつもより気を張って行動した方が良いかなと思う」
「分かったわ。でもそれを言うならアルジも気をつけるのよ?」
そんな会話をしつつも、俺達は姉さんの用事を済ませるために、この町にあるギルドへと足を進めた。
side クレア
私は日に日にアルジの動向が気になってしまって仕方がない。
シドについてもいつの間にかどこかに行ってしまうことがしょっちゅうで、放っておいたらいつか大変な目に遭うんじゃないかと思って、いつも心配になる。
その度に叱り付けて分からせてはいるけど、それ以降も同じ状況が続くから、叱る時の時間や内容もどんどん変わっていく。
そしてアルジは……アルジも、夜な夜などこかへ行っていることを知ってる。
既に一緒に就寝している時も、どんな方法を取っているか分からないけど、どこかに行っていることは分かるわ。
(だってアルジから漂って来る薫りに他の、私の知らない女の匂いがするから)
それも急に……その時になって、あぁ、今日もまた別のところに行ってたんだって理解してしまう。
そして出かける時は、私に一言告げて出かけるようにって約束した後も……
本当は……お姉ちゃんである私にも頼って欲しい。
アルジさえいれば家族も何もいらない……なんて薄情なことを言うつもりはないけど、それ程にまで私は、アルジの頼みなら何でも叶えてあげたいって思ってる。
なのに、アルジは私を頼ろうとしない。
逆に私に害が及ばないように、何かから私を守るように動いている、そんな気がする。
その時に、決まって他の女共に頼っているという状況が……嫌で仕方ない。
その女共については、限りないほどの嫉妬と憎悪を向けている。
(どこの誰ともしれない女が……アルジと親密になるなんて許せない‼︎ )
それも複数人……全くもってアルジは、いつの間にそんな悪い子になっちゃったのかしら……
(これは今度……
お仕置きが必要よね♡)
そう考えながら、私は隣を歩いているアルジの腕を更に強く自分の胸に寄せるように抱き締める。
「ね、姉さん⁉︎」
そうすると、アルジはこちらに赤い顔を向けながら、どことなく焦ったような声音で声をかけてくる。
(あぁ……本当に可愛い♡)
普段は格好良いのに、焦った時とかはこうやって普段見せないような表情を見せてくれる。
「ね、姉さん……その、俺の腕に柔らかい感触が……それもさっきとは段違いに凄く押し当てられてるように感じるんだが……」
「フフッ、一緒に寝ている時もあんな感じでしょ? 何を態々驚いているの?」
「いや、それはそれ、これはこれ、みたいな感じで……」
「そんな理由じゃ分からないわ。罰として、このままギルドに行くわよ!」
「……もぅどうなでもなれ」
そんな呟きが聞こえたけど、そんなことは無視して、私達は目的地まで歩いた。
勿論、愚弟のシドの存在も忘れないようにね。
side out
ギルドへと足を踏み入れてから、姉さんの用事を一部済ませる。
その後は姉さんとギルドの代表の人達との話し合いだから、俺と兄さんは一足先に泊まる予定の宿へと向かった。
宿について早々、兄さんは、それじゃあひとっ走りがてら稼いでくる、と俺の返事を待たずして出かけていった。
まぁ兄さんの財布を盗もうとしてくる連中を逆にカモにするんだろうなってことが予測できる。
(さて、俺は何をしようか……)
そう思っていると、自分の泊まる部屋の宿の窓が開けられた音がした。
まぁ誰が来たかなんて、魔力で感知できるが……
「結構早く着いたんだな、ベータ」
「はい、他の構成員も所定の位置で待機させています」
「そうか。それで、今回もオルバさんの組織と合同で任務にあたるってアルファからの手紙に書いてたけど、今回来た人は分かる?」
「はい。今回あちら側から派遣されたのは、武神祭でアルジ様が直接スカウトされたアンネローゼさん、そしてリンドヴルムの地でディアボロス教団の実験体として永らく幽閉状態にあったヴァイオレットさんの2名ですね。それとアルジ様は既にご存知かもしれませんが、シャドウガーデンにこの前加入したばかりの、アルジ様が以前からお知り合いだったと言われているハカマさんを含めると3名になります」
オルバさんから派遣された子達は、どの子も最近加入した子達で、多分ここでどのように動くかで、これからどの部隊に配属されるかが決まるってところだろう。
(まぁ、全員武闘派であることは間違いないわけだが……)
ヴァイオレットもといアウロラは、リンドヴルムで戦った時に、彼女も本気といかないまでも実力は折り紙つきで、アンネローゼさんは元ベガルタ七武剣の1人に数えられた猛者だ。
その実力も武神祭で確認済みで、ハカマは……アルファと同じくらいのオーバースペックだと思ってる。
正直今回が初陣でなければ、ナンバーズの位で部隊を任せているぐらいだ。
「本来であればその3人が参加する時点で、この場で敵対するであろう存在からすればオーバーキルにも等しいな。だけど、今までのようにイレギュラーが発生する確率は極めて高い。その時は俺がカバーできない範囲を彼女たちに任せたいな」
「はい、今回参加する3名についても、ほぼアルジ様と同じ意見でした。アルジ様の障害になる存在は真っ先に排除すると……勿論私もそれ以上にアルジ様のお役に立ちますが」
「そうか、それは頼もしいな。期待しているよ」
「っ⁉︎///あ、アルジ様が笑みを浮かべながら私に対して激励のお言葉を……う、嬉しすぎます‼︎」
俺がベータに、この場での働きについて期待する言葉を投げかけたら、彼女の顔は急激に赤く染まって、赤く染まった頬を隠すかのように両手で覆い、そんな様子を俺に見られたくないのか顔ごと俺から背けていた。
それでも彼女の長くて綺麗な耳も赤く染まっているから、例え俺から顔が見えない状態を作ったとしてもバレバレなんだが……
「なんだか……こうして2人きりでいる状況って、王都での作戦を思い出しますね」
「そういえば……あの時は兄さんもいたけど、またいつの間にかどこかに行ったし……そこに関しては自由にやるだろうから、その点については……あぁ、また被害が大きくなることを考えると頭が痛いな……」
「ふふっ……その時はこのベータが、アルジ様を癒して差し上げますね♪」
先程まで顔を赤く染めていたはずのベータが、今度は優しい微笑みを浮かべながら俺にそう言ってくる。
(っ‼︎……やばい、なんかその仕草だけで恥ずか死ぬ気持ちになって……)
「ではアルジ様、そろそろ私も任務に赴きます」
「っ! あ、あぁ、分かった。気をつけてな」
「はい! アルジ様もご武運を」
ベータはこの部屋に入ってきた時と同じく、窓から月夜に染まる街中へと身を預けるように外へと駆ける。
月夜の景色に溶け込むベータのスライムスーツ、漆黒に所々金の縁取りがされていて、それが月光に照らされると、ふと彼女が闇夜に舞う妖精みたく見えてしまう。
(まぁこの世界で妖精がいるか分からないが……)
過去に行った世界線では、当然の如く妖精と対峙する場面が何度もあったが……この世界にもしも妖精がいたとするなら、ディアボロス教団によって研究素材とされているだろうな。
「さて……俺も行くか。その前に、姉さんにまた心配かけるけど、書き置きだけしとかないとな」
綺麗な紙を一枚取り出して、これからとある事のために出かけること、姉さんの約束を破る悪い弟で申し訳ない事、最後に心配しないで待って欲しい事を書き記して、任務を遂行する時に着る漆黒のスーツを身に纏い、窓から暗がりに染まる外へと駆け出した。
その数時間後、用事から戻ったクレアはアルジの部屋に入ると、今1番会いたい彼がいない事と、部屋に備え付けられた机に一枚の手紙を見つける。
それを読んだ彼女は……
「アルジ……どうして貴方は危険な事ばかり……探しに行かないと……」
自分の愚弟であるシドがいつの間にかどこかに行っていた事に対して、怒りながらも心配した彼女は、アルジと一緒にシドを探しに行こうと部屋まで来たのだが、そのアルジも居なくなっていた。
その時点で、クレアの優先度はシドよりもアルジに全振りし、脇目も振らず滞在予定の宿から飛び出して行った。
最近昭和から平成初めに放送されたロボットアニメにハマっています。
その時久しぶりに見たアニメで、「あぁ〜……カッコいい!」と思ったシーンがあったので、今の章のバトルシーンに盛り込む予定です!
それでは、また最新話でお会いしましょう!