陰の復讐者となりて   作:橆諳髃

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アルジ、いよいよクレアに自分の正体を曝け出す覚悟を決める。

本格的な戦闘描写まで行きたかったのですが、そちらに関しては次回書いていきます。

それでは本編をどうぞご覧くださいませ。






53話 復讐者、姉に自分の正体を曝け出す《前編》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side エリザベート

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は1000年ぶりに復活した……いえ、復活してしまったというのが正しいかしら。

1000年前にもあった、赤い月を伴う魔力の乱れ……当時私は、その魔力の乱れによって自身が暴走しない様に細心の注意を払っていたわ。

 

(それも結局……臣下に一杯盛られてしまって暴走してしまったわけだけど……)

 

 あの時も自分を押さえつける事ができずに、力に呑まれて自分で起こした国を滅ぼしてしまった。

そして今回も……当時と同じ臣下がこの時期を見計らって私を復活させたんだと思う。

目覚めた時にはその姿は無かったけど……

 

(でも目覚めてから……1000年前と違って不思議と力がどんどん溢れていって、何処となく高揚感が芽生えていったわね)

 

 それは1000年前とは違う感覚、力が体の奥底から満ち溢れる高揚感、そして当時よりも力に呑まれる感覚を感じるもそれが心地良くて……

 

(でもどことなく、自分が自分ではなくなる様な……そんな支配される感覚に襲われた)

 

 身体がどんどん蝕まれていく……でもこの高揚感を止める事が出来ない。

目覚めた直後は、いきなり黒ずくめの子達に襲われて、いつもの状態なら攻撃を複数回受けたとしても少しの眠気しか取れないのに、たった一回攻撃を受けただけで眠気が半分も吹き飛んだ。

 

 私は低血圧だから、目覚めには滅法弱い。

だから、本来一度攻撃させただけではそこまでの眠気を消さないはずだったのだけど、その攻撃から感じた、私達吸血鬼という一族を必ず滅するといった感覚。

その感覚に襲われたからこそ、眠気もいつもよりも吹き飛んだんだと思う。

 

 それでも眠気はあるのだけど……その時点で身体がいつもよりも活発に覚醒して、そこからまた一気に力が漲る感覚を感じて、目の前の子達が自分の敵だと認識してからは、身体から溢れる力をもって反撃していった。

 

 その力を使った時は……とても気分が良くて、気付けば歯止めが効かないところまで来ていたわ。

 

 そんな時に現れた1人の紳士の方……キッチリした服装をしていて、その服装に合った黒い帽子を被った、外見から見れば多分青年というよりも男の子って年齢かしら。

赤い月の光に照らされながらも、その狂気の様な光を受けても自分の色を見失わない、何物にも染まらない銀色の髪の輝きを纏わせる傍で、帽子の奥から覗かせるアイスブルーの瞳は……私を怨嗟を込めた感情で睨みつけてくる。

 

 その男の子が現れてから……自分の中で湧き上がっていた高揚感が不思議とサッと引いて、身体から冷や汗が出てくる様な感覚に襲われた。

でもそのおかげで私は、私の身体を蝕もうとしていた何かから徐々に理性を取り戻す事が出来たの。

 

 そして彼と矛を交えて戦った時には、本来の私というものを完全に取り戻せていて、でも彼とまだ戦っていたいという子供じみた感情から、結果的に彼の大切な時間の一部を奪ってしまった事を申し訳なく思った。

 

 それで彼との戦いに決着が付いて、これ以上この世界に思い残す事は無いと思って最後に目の前の彼にトドメを刺すようにお願いしたの。

でも彼はそれをキッパリ断って、私が傷付けた子達に誠心誠意謝れと要求してきた。

 

 確かに敗者が勝者に対して自分勝手なお願いをしていたと気付いて、その事も含めて彼に謝ったら、彼は自分ではなく相手に謝れと言った。

 

(自分の事よりも他の子達のことを優先するなんて……こんな子が1000年前にもいたなら)

 

 今更そんな事を考えても仕方がない事は理解していても、考えてしまった。

もし彼の様な、どこまでも他者に寄り添える心優しい子が私の臣下、いいえ、私と共に歩んでくれた存在だったなら、あの時の悲劇は起こらなかったかもしれないって。

 

 そんな事を考えながら私は、彼の言ったことを了承した。

今回の件が終わったら、傷付けた子達に誠心誠意の謝罪をすることを。

そのことを受け取ってくれた男の子は、私の中に巣食う呪いの様な物を治してくれたわ。

 

 ただその時の治し方が荒療治に思えてしまって……でも彼からすれば、自分の大切な者が私に傷付けられたという事実があるし、最初に私に攻撃してきた子達も、きっと1000年前と同じく、もし私が復活したら暴走してしまうことを念頭に入れていたからこそ私を止めようとしたはず。

なら私が彼の行った荒療治に関して何かを物申すというのは場違いになってしまうと思うわ……。

 

(でも至近距離から鉄杭をあんな速度で胴体に打ち込まれるなんてやり方……私が生きてきた中でも1番痛みと辛さを感じたわ……)

 

 正直あの一撃を打ち込まれた瞬間、気を失うどころか魂すら身体から引き剥がされてしまうんじゃないかって程の強烈な痛みを感じたのは事実。

でもすかさず彼が私を回復させるかの様に魔力を流してくれたから、気を失わずに済んだけど。

 

 でもそれでこの件が終わるわけでは無かった……。

私の中に巣食っていた呪いの様な物を、間接的に付与してきた者が唐突に月のある方向から現れたの。

それも見た事がない怪物達を従えて……

 

(そんな状況であるのに、私を救ってくれたこの子は全く動じてない)

 

 それどころか……どこか呆れの様相が窺えるのは気のせいかしら?

ともかくこの場は一旦離れておこうと思う。

何せあの怪物達を従えている人間が現れて早々、この子の名前らしきものを叫んでは宣戦布告するかの様な物言いをしているし、多分この子から見ても今私がこの場にいるのは邪魔になるだけだと思ったから。

 

 そう思った私は、怪物達を従える男が今もなお何かを言っている中、塔の頂上に移動した。

着いたと同時に、私が傷付けた黒ずくめの子達と、あの子が来るまで私とし合っていた赤紫色の長髪をした女性が私を警戒していたけど、私はもうこれ以上何もしないという意思表示を込めて頭を下げた。

 

 そうしたら私の意図が分かってくれた様で、彼女達も警戒を解いてくれた。

 

(それにしても……ここからどう動くのかしら)

 

 いきなり現れた怪物の軍隊は、数を数えるのが気が遠くなる程にいる。

そしてそれを率いているあの男も、この世界での強さは上から数えた方が早い位置にいる事も確かだと感じた。

 

 そんなもの相手にあの子はただ1人……ただ涼しげな顔をして宙に立っている。

まるで目の前の軍隊が自分の相手にもならないとでも言いたげに……

 

(あの子の力……とても気になるわ)

 

 そして私はこの後思い知ることになった。

あの子の力は……私と対峙していた時に出していた力は、ほんのこれっぽっちも本気を出していないってことを……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ウルベ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私はあのガンダムファイトがあった世界で消滅した。

第12回ガンダムファイトで東方不敗に敗れ、表舞台で頂点に立つ事が叶わなかった。

ならばと思い、私はとある究極のガンダムを用いて世界の支配者にならんとしたのだ。

 

 アルティメットガンダム……否、デビルガンダムこそ世界を支配する絶対的な力である。

だからこそ私はその力を使って頂点に君臨しようとした。

だがそれも叶う事なく、最終的に私の手元にデビルガンダムが渡ってきた時も、デビルガンダムに備えられたDG細胞に完全に支配され、世界の支配から人類の抹殺へと行動がシフトしたのだ。

 

(まぁ私としては、最後に私が人類としての頂点に立っていれば構う事はなかったがな)

 

 だがそれも、ドモン・カッシュ率いるシャッフル同盟の若造共に邪魔をされ、私は消滅させられたのだ。

 

(しかし私が本当に怒りを抱いているのはそこではない‼︎)

 

 ドモンに対して、そしてシャッフル同盟に対しても確かに怒りが今でも込み上げてくるが……それよりも今、目の前で涼しい顔をしながら私と対峙する存在、アルジ・ミラージに対しては、最早憤怒という表現ですら生ぬるい程の怒りが込み上がる。

 

(奴さえ……奴さえいなければっ‼︎)

 

 奴は……何かにつけて私のことを悉く邪魔してきた!

最初は、いつの間にかドモンの近くに何かといるなと、そう思う程度の青年だと思った。

しかもあの荒々しい性格のドモンとも打ち解けるなど類稀なるコミュニケーション能力……だが所詮はその程度だと思った。

 

(だが違った……奴はドモンはもとより東方不敗と同格、いや、それ以上の戦闘能力を持つ化け物だ!)

 

 それを知ったのは、ドモンが東方不敗と久方ぶりに再会した新宿という地での出来事だ。

そこで行方知れずだったデビルガンダムを捕捉し、デビルガンダムから生まれ出る複数のデスアーミーも観測した。

 

 奴らに出会したドモンもそれに応戦し、そこで東方不敗も生身で自分よりも何倍の大きさを誇るデスアーミーを己の身一つで粉砕せしめた。

これを見た時、久方振りに血が湧き踊る感覚に襲われたものだったが……それも直ぐに、あまり味わう事が無かった悪寒という形で冷え切った。

 

 何故かと言えば……奴、アルジ・ミラージも生身でデスアーミーを粉砕して見せたからだ。

それも奴は……物理法則を無視した様な動きで複数のデスアーミーを悉く粉砕していく。

見れば空気を“蹴って”空を自由に動き回り、上空から急降下による飛び蹴りで鉄の塊に大穴を開ける。

 

(何よりも奴……ビームを拳の一振りで消し飛ばすのだぞ⁉︎)

 

 最早人間とは思えない技……この事で私は奴の警戒度を一気に上げた。

そこから顕著に奴の動向を探らせ、今後奴が私の行おうとしている計画に支障がきたさない様にと考え、機会が巡れば奴を秘密裏に処理することも計画し、実際に計画したこともある。

 

 だが暗殺じみたその計画は、全て奴に悉く捩じ伏せられた。

それも送り込んだ暗殺者は漏れなく生きた状態で、しかも私が計画したというのが分かっているかの様に、私の下に送り込んだ暗殺者が送り返される始末……

 

 そして最終的には……奴は私の背後に唐突に現れ、これ以上自分の友の邪魔をするなら容赦をしないと言ってきたのだ……。

どうやら私が送り込んだ暗殺者共が、奴を暗殺する為に色々な手段をとった様で、その中で奴と交友のある者を付け狙って誘き寄せる……というのもあった様だ。

 

 だがそれは逆に悪手であった……。

奴はそれをした暗殺者どもを生かしはするが、金輪際自衛以外での暴力行為が出来ない様にと暗示をかけ、そして全治1年以上の負傷を喰らわせた状態にしたと……。

 

(確かに送り返された暗殺者の中にはそんな者どもがチラホラといた様な……)

 

 何しろ奴は、私が奴を暗殺する計画を企てている首謀者である事を完全に理解していた。

していたにも関わらず、暗殺を止めろとは言わず、暗殺したいならば自分に関わりある者を巻き込むなという釘を刺してきた。

 

 正直奴の頭のネジは2,3個抜けているのではないかと思う程の行動に……当時の私は呆気に取られてしまい、自分が暗殺を仕向けている事に対して否定することも無くただ了承してしまった。

 

 気づいた時には奴の気配はなく、ただ意味の分からない重圧の様なものから身体が解放された安堵だけが残っていた。

 

 それからというもの、奴を暗殺する気が起きず、気付けばガンダムファイトはドモンが優勝し、次回のガンダムファイトまでは我らネオジャパンが世界の覇権を握る事となったのだ。

 

(そしてそこからデビルガンダムを私の手中に収め、ガンダムファイトの廃止を宣言し、私が世界の頂点に君臨する……)

 

 そう……完璧なシナリオだったはずだ。

アルジ・ミラージという、私には予測不能なイレギュラーが出現した事は確かだが、それでも結果としてネオジャパンが世界の覇権を手にし、ネオジャパンでも最高権力を有した私が頂点に君臨している状態であるという……。

 

(途中までは何もかもが上手く進んでいたのだ! なのに……なのにあの若造がぁっ‼︎)

 

 奴は……また私の前に現れたのだ。

そして奴から明かされる私の過去と、これから私がやろうとしている事……それが全て、奴によって全世界に曝け出された。

それも全世界の電波をジャックしてだ。

どんな技術力を持っていればそんな事が出来るのか……それを考えるよりも前に私はその騒動を鎮火する方に舵を取る。

 

 しかしそれも全て上手くいかなかった……全て……奴に真正面から捻り潰された。

そしてデビルガンダムを用いてシャッフル同盟の小僧どもと対峙した時……奴はその場にいなかった。

いなかったが……奴はなんとその身で私の拠点として築いたデビルコロニーと対峙していたのだ!

しかも……

 

(で、デビルコロニーが手も足も出せないだとぅっ⁉︎)

 

 奴は私の世界征服を妨げる目的として結成されたガンダム同盟、その中心にいたのだ!

しかし奴はリーダーという役職ではなく切込隊長という、どこか猪突猛進を思わせる様な肩書を背負っていた様だが……

 

(その肩書きが……まさかあそこまでの効力を発揮するとは思わなかった……)

 

 デビルコロニー……実質コロニー1つを丸々デビルガンダムにした施設であり、そこから無数のガンダムヘッドという龍の頭を巨大なガンダムの頭にした兵装を備える。

そして傷付いたり破壊されたりしても、DG細胞により瞬く間に修復、そして無限に増殖ができる。

 

 私はこの兵器があるからこそ、全世界を我が手中に収める事が出来ると踏んでいた。

 

(だが奴はそれさえも悉く破壊の限りを尽くしていった……)

 

 今目の前で左腕に装備している巨大な籠手は見られなかったが……その籠手が握っている巨大な剣の一振り……その一振りで奴はガンダムヘッドを簡単に真っ二つにした。

 

 それだけではなく、デビルコロニーから発射されるあらゆる攻撃手段……実弾、ビームをありったけガンダム連合側に放った。

それを奴はあの、何の特殊効果も見られないただの巨剣の一振りで霧散にするのだ。

それも味方の陣営に被害が出ない様に……

 

(それも複数の分身を作り出し、あろうことか全ての分身が違う動きをするのだぞ⁉︎)

 

 彼奴……まさか東方不敗の隠れた弟子か何かなのかっ⁉︎

ドモンもガンダムファイトの決勝リーグ戦で、同じシャッフル同盟のチボデーの奥義に対抗する為に編み出したゴットシャドーという技を出した事があったが……それと同じ、いやそれ以上に完成度の高い分身体だった。

 

(それだけではない! 奴はその巨剣を投擲してガンダムヘッド複数体を一気に破壊せしめた‼︎)

 

 人類を抹殺する為にデビルコロニーから伸ばした無数のガンダムヘッド……無限に増殖する上に、伸ばした数は100以上はあった。

その一部を奴は……ただの巨剣の投擲で粉砕した。

しかも投擲した巨剣を先回りしてまた手に取るという圧倒的移動速度……もはや瞬間移動しているのではと思わされる。

 

 そもそも彼奴は……

 

 

 

 

 

 

 

 

(何故……何故宇宙空間であるにも関わらず生身のままで活動出来るのだ⁉︎ 本当に物理法則やらそれ以外の生命に関わる法則はどこにいったのだ⁉︎)

 

 という様に……奴は規格外の化け物だ。

しかもあの場には……あろう事か死んだはずの東方不敗までいるではないか⁉︎

その事に思わず、いつの間にかスピーカーの役割を持つ機械をONにした状態で、東方不敗に何故生きているのかと驚きながら聞いていた。

そして奴が答えた答えとは……

 

「ワシも死んだと思っておったが……ワシの弟子よりも大馬鹿者な者の手によって蘇生されたのだ。それに対してワシは怒りをぶち撒けたのだが……奴はこうも言っておったのだ。

 

『自分勝手な事は認めるが、自分の友が少なからず、ワシに対して怨みを抱いていた事を、怒りを抱いていた事を後悔している。だから命が尽きるのならば、友がその後悔を完全に捨て去ることと、それと友が幸せな生活をこれから歩んでいく事を見守り、それに自分自身が完全に満足したなら改めて冥府に旅立てばいい』

 

とな。全くもって……今までに会った事がない類の大馬鹿者であったわい。じゃがワシもその者の言葉を聞いて、不思議とあの馬鹿弟子の幸せに、それもパートナーと寄り添って生きていく姿を見たいとも思った。であればこそ……ワシはこの場に再び舞い降りたのだ! ドモンが幸ある生活を送れる事を、ワシも楽しみにしているのでなぁっ‼︎」

 

とまぁ……そんな回答が返ってきたわけだが、それを聞いていたドモンと言えば、最初は驚きはしていた様だが、かつての師匠からそう言われたためか、ガンダムファイトで出した実力以上のものを発揮し、シャッフル同盟どもと共に私と対峙したのだ。

それも起因したのか、私はあの世界でシャッフル同盟に敗北した。

 

(しかし今の私はあの時の私ではない! DG細胞も私の思うままに操れるし、全ての技能、今の私を構成する肉体……それら全て、あの世界の私を何十何百倍も凌駕している‼︎)

 

 そして私の魂を拾った神という存在、その者が言うには、アルジ・ミラージの存在を消し去れば、私を再び元いた世界にこの状態で転移させてくれるというのだ!

 

(フハハハハハッ……奴にはドモンやシャッフル同盟以上に恨みがあるし、この力を持って奴を完膚なきまで圧倒し、魂諸共滅ぼしてやろう‼︎)

 

 そして私は怨敵とも表現できるアルジ・ミラージと対峙した。

私自身はシャッフル同盟どもと対峙した時と同じくグランドマスターガンダムを再び駆り、デビルガンダムによって増殖したデスアーミーを全面にこれでもかと展開する。

正直これで奴を滅ぼせるとは思わないが……

 

(だが奴を限りなく消耗させ、最後に私が手を下す! デスアーミーもこの空間内では無限に修復と増殖ができる! そして奴が力を使い果たした時こそ……彼奴の最後だ‼︎)

 

 そんな戦法を思い浮かべながら、デスアーミーどもを奴にぶつける。

 

(さぁ無様に踊れ小童よ! 今日が貴様の命尽きる時だ‼︎)

 

 と、この様にウルベ・イシカワさんは意気揚々とアルジさんを攻撃していきます。

しかし彼は見落としていました。

 

 確かにウルベ・イシカワさんは、彼の元いた世界である未来世紀(F.C.)で生きていた頃よりも実力は天と地がある程にまでに上がっていました。

そしてDG細胞にも完全に適用した肉体、加えてDG細胞を自由に扱えるという新たな技能は……それだけ見ても他を圧倒する戦略であると言えるでしょう。

 

 だからこそ彼は完全にある事を見落としていたのです。

それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルジ・ミラージさんという男を自分がどれ程過小評価しているかということ、それに伴って間違った戦略を取ってしまったことを……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その結果……彼の結末は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 第三者視点

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウルベ・イシカワが展開するデスアーミーの軍隊……それが一気にアルジに向けて攻撃を開始していく。

あるものはただ突撃し、あるものは突撃しながらもビームを放ち、またあるものはその場から動かず遠距離からアルジを狙い撃つ。

それもアルジだけでなく、アルジの後方にいるベータ達にも流れ弾が当たる様に攻撃を仕掛ける。

 

 それに対してアルジは、後方にいるベータ達にも流れ弾が当たるものが複数あるとみて一度ベータ達がいる紅の塔頂上に移動し、流れ弾や敵からの侵入を防ぐ、魔力による結界を塔全体に張った。

 

 デスアーミー達から放たれたビームについては、その結界によって全て弾かれる。

数にして最低でも5000は下らないほどの数だったが……結界には傷や綻びが1つも見られない状態であり、寧ろビームを吸収して強度を増強している節まで見られる。

 

 そんな結界を張ったアルジは……

 

「ヴァイオレット……姉さんの意識を目覚めさせる事は可能か?」

 

 自らの姉に対して、この世界でやってきた自分の本来の姿を見せようとしていた。

そしてそう問いを投げかけたアルジの瞳にも……全てを曝け出すという覚悟があった。

 

 ヴァイオレットは彼のそんな瞳を見てただ首肯し、目を閉じて意識を自身の、現在自分が憑依しているクレア・カゲノーという名の少女の奥底に集中する。

それから数秒後……再び彼女が目を開けた時には、片目の瞳の色がクレアの瞳の色に変わっていた。

 

 アルジはそれを視覚的に、そしてヴァイオレットから発せられる魔力が自分の姉のものも混じっていることを肌で感じてから、静かに彼女に語りだす。

自分がこれまで何をしていて、これから何を成そうとしているのかを……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side クレア

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつの間にか私は気を失っていた。

塔の頂上について間も無く、首筋を何かに噛まれて意識を喪失し、気が付けば見た事がない部屋のベッドで横になっていた。

その時に見慣れない服装になっているのも気付いて、何が何だかわからなくなった。

 

(それに付け加えて何か見知らぬ女もいたし……)

 

 その女に今どういう状況かを聞いたけれども、返ってきた答えとしては全く理解できないものだった。

他にも色々と聞き出したかったけど、そこで途端に睡魔が襲ってきて、瞼が徐々に下がっていって……また気を失った。

でも完全に意識を失う前にその女は……

 

『今は分からないことだらけだと思うけど、多分後もう少ししたらあなたの欲しかった答えが分かるかもしれないわ。それまではもう少しだけ休んでおきなさい』

 

 私の欲しかった答え……私が今1番知りたいこと……それは……。

 

 そうして私はまた意識を失った。

でもそこからの覚醒も早かったわ。

次に私が目にした光景は……全身黒の衣服を纏い、見慣れない形の帽子を被った男。

その帽子の影に隠れて男の表情は窺えない。

そして帽子からはみ出る様に出ている銀の髪……まるであの子と同じ色。

そしてその髪の長さも……えっ?

 

「姉さん……聞こえているか?」

 

(この声……どうして……どうしてあの子の声が目の前の男から、男の口の形に合わせて聞こえるの⁉︎)

 

 その答えは……すぐに分かった。

そしてあの赤紫色の長髪をした女の言ったことも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今まで何もかもを隠していてごめん……姉さんをいつも悲しませて、心配にさせて……ごめん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前の男が左手で帽子を脱ぐ。

ゆっくりとした動作だった。

でもその動きがどこか優雅に思えて、見ていて飽きない。

 

 それで男から完全に帽子が離れた時……ようやく気付いたの……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(どうして……どうして私は気付かなかったの⁉︎ こんなに近くに……目の前にあの子がいたことになんで……)

 

 多分あの帽子に何か仕掛けがあるんだと思う。

被っている間に誰からも認識を阻害する様な、例え親族だとしても気付かない程に精密で、そしてそれを維持できる魔力を操る技術。

 

(そんなこと出来るの……あの子以外にありえないのに……)

 

 本当は私も分かっていたんだと思う。

それも魔剣士学園に入る前……私が拐われてしまったあの時から。

朧げな記憶だけど……覚えている事がある。

 

(今まで勘違いかもしれないと、都合が良すぎる自分の妄想だと思ってた。でも今目の前であの子の隠蔽した魔力を感じて……ようやく分かったわ)

 

 今の私は、あの赤紫色の髪をした女に憑依されていて視界だけが共有されているんだと何となく理解した。

でもその時だけ、自然と私が思った言葉が口から出ていたの。

 

「あの時私を救ってくれたのは……貴方だったのね」

 

「っ⁉︎」

 

 私の声音で声を発したことに驚いたのか、少しだけ顔の表情を変えた。

さっきまでどこか苦しそうにしていた表情が、間の抜けた様な表情になって……

 

(あぁ……やっぱりいつものアルジね)

 

 そう思っていたら、アルジは少して真面目な顔に戻る。

もう少しさっきの顔を見ていたかったのに……

 

「あぁ、その、なんだ……コホン。俺は今まで姉さんに隠してきた。嘘を吐き続けてきた。でも……俺はもうそれが嫌で、耐えられない。だから今日、今この場で全て打ち明けるよ。俺は……

 

 

 

 

 

 

 

シャドウガーデンに所属している

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの子の口から、今巷を騒がせている組織の名前が出た。

それも、あの子が所属しているということを……。

最初は驚きが勝って何も考える事が出来なかった。

でも少しずつ、あの子が言った言葉を反芻する事が出来て、そして最終的に私が思ったことは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(アルジ……貴方はいつもそんな苦しい現実を胸に秘めていたのね……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 巷では悪の組織として取り沙汰されているシャドウガーデン……数ヶ月前に起こったミトガル王国に所属する騎士団の襲撃事件や、学園の占拠、そして武神祭の襲撃事件……ありとあらゆる事象の影に彼らがいて、その大元も彼らが計画していたと何度も聞いた。

 

 私はそれを聞くたびに、早く魔剣士として実戦でも戦える実力になって、ミドガル王国の騎士団に入ってこの世界の秩序を守る。

そして、あの馬鹿な弟と愛しいアルジを守れる様にならないとって、いつも考えていた。

 

 でもアルジがその組織に所属している。

今まで、お姉ちゃんに嘘を吐くとか、そんな小さな悪いこと以外では何も悪さをしてこなかったアルジが、巷で平穏を狂わせている悪の組織に入っている。

 

 確かに巷では悪の組織としての名で定着しているわ。

だけど……

 

(だけどアルジは……私の可愛いアルジが、何の理由もなく誰かを傷付けるなんてありえない‼︎)

 

 だから今までそんな悪評が出ていた裏には、必ず何かがあるんだわ。

それも私達が見落としていた何かが……

 

(それとアルジは……いつも戦っていたのね)

 

 なのに私は……自分の嫉妬心と独占欲であの子のことをいつも困らせていた。

あの子の……邪魔をしてしまっていたんじゃないかと思うと、急に胸が締め付けられるほどに苦しくなって……あの子に申し訳なく思う。

そう思っている間にも、あの子は言葉を続けた。

 

「今は理解できない事が多いと思う。真実を知ってもしかしたら……もしかしたら俺のことを……嫌いになるかもしれない。でも俺は……姉さんが例え俺のことを嫌いになったとしても……俺はずっと姉さんのことを守るから」

 

 アルジのその言葉を聞いて……私は涙を流していた。

片方の目……多分視覚だけ共有している方の瞳から……涙が溢れて止まらない。

 

(そんなこと……私が貴方のことを嫌うなんて……そんなことあるわけないじゃない‼︎)

 

 今すぐにでもアルジのことを抱きしめたかった。

そんな事ないって、あの時言ったように……私はどんな貴方になっても愛し尽くして見せるって……そんな言葉をこの子に届けながら抱きしめて、安心させてあげたかった。

 

(なのに私は……私が弱いから……貴方を心配させてしまう……そんな自分が……ダイッキライ‼︎

 

 そうして自分のことを卑下していた。

こんなみっともない姿を……今は私じゃないあの女が憑依しているから外面はいつもの私じゃないけど、それでもあの子の前でこんな姿をいつまでも見せたくはなかった。

 

 でもあの子は……そんな私のことを、そんなこと無いっていう風に接してくれる。

私の瞳から流れている涙を親指の腹で拭いながら私の頬に掌を優しく触れさせて、困った顔をしながらも何とか私のことを心の底から癒そうとして笑みを向けてくる。

 

「俺は姉さんのことを……これからも悲しませると思う。今まで以上に心配をかけさせると思う……でもこれだけは約束する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は姉さんの元に必ず戻ってくる。例えどんな姿に成り果てても、俺のことを大切に想ってくれる姉さんの下に……帰ってくる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(もぅ……そんな言葉を贈られたら私‼︎)

 

 今まで片方の瞳だけが視覚を共有していて、その瞳しか動かせることが出来なかった。

でもアルジのその言葉を聞いて、さっきの金縛りの様な感覚が嘘の様に消えて、一気に意識が内から外に覚醒する。

 

 それで気付けば私は、私に憑依していたあの女から身体の支配権を奪い取っていて、自らの内から湧き立つ衝動に駆られてアルジを抱き締める。

それであの子の唇を真正面から奪う。

私の想いがあの子に届く様に。

あの子がまた……私の下に無事に帰って来る様に願いを込めて。

 

 そんな想いを込めたキスを、自分から離してアルジの顔が視界に収まる様にする。

アルジの顔を見ると、唐突にキスされたからか顔を真っ赤にしていた。

 

(あぁ……もぅ……可愛いわ♡)

 

 でも今はそう物思いに耽ることが出来る状況じゃないことも理解している。

だからこの場で私があの子に手短に贈った想いは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルジ……気を付けて行って来るのよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その場で出せる私の精一杯の気持ちをその言葉に込めて……あの子を送り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺はヴァイオレットが姉さんの身体に憑依している状態で、それでいて視覚だけを共有する様に頼んでから、自分がこれまで隠していた事を姉さんに語った。

 

 姉さんの瞳を見る限り、驚きの表情が見れたり、悲しみの表情が見てとれた。

 

(いつもそうだ……俺は……いつも姉さんに心配をかけちまう……)

 

 それが……嫌だった。

それが俺の事を愛してくれる人であるなら尚更で、でも俺がやろうとしていることに巻き込みたくなかったから……それを隠そうとして尚更不安にさせた。

 

 それでも姉さんは……俺の身を案じてくれた。

姉さんの身体に憑依しているヴァイオレットだが、その支配権を何かの拍子で奪い取った姉さんは、外見もいつもの姉さんに戻って、それで俺を抱きしめたと思ったら同時にキスをしてきた。

 

 そのキスはいつもとは違って短いキスだったけど、その一瞬でも姉さんの気持ちが流れ込んでくるかのような、そんなキスだった。

それで姉さんからキスをやめると、俺の事を抱きしめながらこう言ってきた。

 

「アルジ……気を付けて行って来るのよ?」

 

 なんだろう……いきなりキスされたのもそうだが、自分の身を案じてくれるその言葉を聞いて、それを言ってきたときの姉さんの泣いた後だけど微笑んだ表情を見て俺は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やばい……こんなの恥ずか死ぬ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 でもそんなみっともない心の中を悟らせたくなかった俺は……何とか姉さんからの言葉に「あぁ」とか「うん」とかの相槌を首肯しながら応えることしか出来ず、サッと姉さんから離れて塔の頂上から離れる。

 

 それで塔に近付きつつあったデスアーミーどもを、再度アスタロトリナシメント左前腕部を覆うサブナックルを展開し、そこにデモリッションナイフを展開した状態で握らせてから、一気に横長に振るった。

それも、さっきまで感じていた気恥ずかしさを振り払うように……

 

 そうしたら、こちらに向かっていたデスアーミーどもは胴体を横に真っ二つにされて、そのまま小規模な爆発を起こしながら行動を不能になっていった。

こちらに接近していた数としては……まぁ大まかに数えて1000体以上はいただろうか?

 

 正直普通に1体ずつ処理したら何十、何百どころじゃない程に時間がかかるが、まさかあの横凪の一振り……正確には横一閃の衝撃波を放っただけなんだが……まさかその一振りで接近してきた敵がほぼ全壊するとは思わなかった。

 

(これって、俺が思ったよりも奴らの装甲が脆いのか?)

 

 と、アルジさんは考えましたが、実際には本来の作品に登場するデスアーミーよりも装甲は頑丈に作られており、そんじょそこらの攻撃ではビクともしない設計でした。

 

 しかしながらそれを呆気もなく、それも衝撃波のみで前出した装甲を紙の如く斬り裂いてしまう事象は……結論から言って段違いの攻撃手段であった、ということになるでしょう。

 

「お別れの挨拶は済ませたか?」

 

 接近しつつあったデスアーミーどもを一気に排除した後、ウルベがそんな事を問うてくる。

正直塔でのやり取りしている間に一気に攻めてきて問題なかったが、何故かそこら辺律儀に待っていたようだ。

 

「お別れ? 違うな。今からテメェを叩き潰して無事に帰って来るって話をしてたんだよ(まぁそんなカッコいい台詞を言えなかったわけだが……)」

 

「ふんっ! 減らず口を叩けるのもそこまでだ! 私はあの時と違い、完全にDG細胞に適応した! そして見よ‼︎」

 

 ウルベが顔を向けた方から複数次元の歪みが出てきて、そこからデスアーミーが滞りなくこちらに出現してくる。

 

「今の私はただ念じただけでこのような事が出来る! またこんな事もな‼︎」

 

 次に目を向けると、そこからドモン達が暮らしていた世界で見たことのあるMF(モビルファイター)が次々と出てくる。

中にはドモンと同じくシャッフル同盟の所属で、良き友でありライバルであった者達の機体も出てくる。

その他ドモンの味方になった者達の機体も。

 

「あの時は私の敵であったシャッフル同盟やガンダム同盟どもの機体も、DG細胞を用いれば幾らでも作り出す事が出来る‼︎ デスアーミーどものような量産型とは違って多少の時間はかかるが、それでもこのデスアーミーによる物量と、精鋭機で固められたこの布陣……いくら貴様といえどもどうしようもあるまい‼︎」

 

 そこで勝ち誇りながら笑うウルベを見て俺は……逆に笑いが出てきた。

それも大口開いて、まるで目の前でお笑い芸人のとても笑えるコントやモノボケを見たような気分になった。

 

 その時の様子が片手で顔の上半分を覆い、顔を天を見上げるような格好になりながらそうしたもんだから、ウルベとしては俺が諦めた笑いをしていると判断したらしい。

同時にデスアーミーどもと精鋭のガンダムタイプのMFをこちらに差し向けてくる。

 

 その光景が……本当に滑稽でしょうがなかった。

確かにあの世界では、ドモン達シャッフル同盟とアレンビー達ガンダムファイター達がウルベの人類抹殺に反旗を翻して団結したガンダム同盟、その両方に協力したっていう体であの場にいた。

 

 確かに俺1人だけであの世界の危機を乗り越えたわけじゃあない。

あの世界の主要キャラであるドモン達が、自分達で決断して行動したからこそ、あの大団円でハッピーエンドな結末になった。

 

 それで今の状況と言えば、確かにあの世界よりも相手側の戦力が多いし、ウルベ自身の能力も高くなっている。

だから俺1人の状態でこの軍勢に勝てるわけがないと鷹を括っているんだろう。

その証拠にあんな余裕のある気持ちの悪い笑いをしているし……。

 

(まぁ……目の前の光景が滑稽で笑えるものであっても……俺の中の復讐心が薄まる訳ではないが?

 

 だから俺が高笑いをやめて正面を見据えながら息を吐いた時には無表情に戻る。

それを見たウルベも、さっきまで高笑いしていた俺が真顔になったのを見て、気味の悪いものだと感じたのか、気持ち悪い顔をやめて呆気に取られる表情になっていた。

 

 とまぁ……前置きはもう良いか。

 

「俺の大切な人を傷付けた代償……キッチリ払ってもらうぞ」

 

 左手のサブナックルに持たせたデモリッションナイフに、再度バスタード・チョッパーを連結させる。

連結させたそれを逆手で持って、地面にナイフの先を突き立てるように振り下ろした。

 

 ナイフを振り下ろした次の瞬間には、本来宙でそんな動作をしても空を斬った感覚しかしないはずなのに、それとは相反する感触……硬い地面に突き刺さる様な感覚をナイフから感じる。

同時に自分の内から湧き出る魔力を圧縮して循環、循環させたそれを体表に纏わせていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やるぞ……アスタロト‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう宣言する。

宣言したと同時に、俺から発せられる紅い魔力の本流は俺を余裕で包み込み、天に一直線に登る一本の柱を形成した。

 

 しばらく経つと、俺の表面にアスタロトの鎧が展開されていく。

そして展開が完全に終了したと同時に、俺は柱の中から右手を突き出して、そのまま振り払った。

振り払ったら、俺の周囲を余剰に纏われていた魔力が一気に霧散する。

 

「それが……それが貴様のMFだというのかぁっ⁉︎」

 

 ウルベが言う様に、俺はガンダムの外装を纏う。

ガンダムアスタロト・リナシメント……この世界で自身の身体全体を覆う装甲を展開したのは3度目になる。

そしてアスタロトこそ……俺が最も長く苦楽を共にした機体だ。

 

 その機体を自身の身体に展開させて、そしてウルベ・イシカワにこう宣言する……。

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ始めようか……貴様に対する復讐を

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう呟いてから俺は、俺の方に迫る有象無象の群れを狩り取る為に行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まずは前回の内容を含めた解説から入ります。





解説



◾️ファング

「機動戦士ガンダムOO」に出てくる武装。
作者が最初にその武装を確認出来たのは「ガンダムスローネ・ツヴァイ」である。
これまでのガンダム作品に出てきたビット兵器を操作する為に必要な素養、例えば「ニュータイプ」や「コーディネーター」の能力などが必要なくとも操作は可能。
しかしながら圧倒的な空間認識能力と、自身で戦闘をしながらもファングの操作をしなければならないというマルチタスクが発生するため、結果的に物凄く訓練しなければ実戦で活躍はできないだろうと考える。

その為、最終的には「ニュータイプ」や「コーディネーター」の能力を持っている者が操作した方が早いという結果になる。
ガンダムOOの世界では「イノベイド」、「イノベイター」と呼称される者達がいて、作者の認識では、全くもって別物の能力ではあるが「ニュータイプ」や「コーディネーター」と似た様なものであるという括り。

また、ファングには機体ごとによって形や大きさが変わり、本作の主人公であるアルジが用いているものは「アルケーガンダム」に備えられた兵装を、本来では全体的に白で統一されているものを紅色一緒にしている。


◾️ナックルガード

「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ-月鋼-」にて登場する機体、「ガンダムアスタロト・リナシメント」に備えられた兵装で、左前腕部を大きく覆ったナックルガード。
展開時に自身以上の大きさを誇るデモリッションナイフを振るう為のマニピュレーターも備え付けられ、通常時のアスタロトよりもしっかりナイフをマウント出来る設計。

また本来のナックルガードは青一色だが、前回の話で記載した様に本作の主人公であるアルジは青と紅の色合いで兵装を展開している。


◾️バスタード・チョッパー

「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ-月鋼-」にて登場する機体、「ガンダムアスタロト・リナシメント」に備えられた兵装で、デモリッションナイフと連結させることができる。

デモリッションナイフは元々峰の部分が駆動することによって両刃の大剣から片刃の大剣になるが、ナイフの弱点がこの駆動する部分である為、刃が付いていない反りの部分や駆動部に直接攻撃を入れられてしまうと壊れてしまう欠点を持つ。

それを解消する為、ナイフ展開時の反り部分に合わせて連結出来るように作られた追加兵装であり、またバスタード・チョッパーの先端部が円錐状に角ばっているが、これは炸裂式のダインスレイヴとなっており、至近距離から敵の装甲をぶち抜く様に設計されたという……えげつない兵装である。


◾️ウルベ・イシカワ

「起動武闘伝 Gガンダム」に登場する黒幕。
元はその世界で才能あるガンダムファイターとしてネオ・ジャパン代表に選ばれており、ガンダムファイトの決勝まで進んでいる。

しかしそこで最強の存在、東方不敗という人物に敗れてしまい、メンタルが一気にやられた。
そして何をどう思ったのか裏の立場から世界の頂点を目指すことを考え、目的を達する為にドモンの父親が作った「デビルガンダム(元アルティメットガンダム)」を奪う計画を進める。

物語は進んで最終的にはデビルガンダムを手に入れるが、デビルガンダムが持つ「DG細胞」によって完全に意識を乗っ取られ、世界征服から人類抹殺にシフトチェンジした愚か者。
もう少しメンタルが育っていれば結果は違ったかもしれない……。


◾️デスアーミー

デビルガンダムのDG細胞によって作成された機体で、量産機ながら装甲は脆いものの、デビルガンダムによって無限に量産されてしまう。
通常兵装、空中兵装、長距離射撃特化など、バリエーションは豊富。

機体の特徴としては頭部パーツの大部分を一つ目が占めていること。


◾️ガンダムアスタロト・リナシメント

「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ-月鋼-」にて登場する機体。

兵装一覧

・デモリッションナイフ
・ナックルガード
・アスタロト専用ライフル
・バスタード・チョッパー
・シールドアーム
・ショートナイフ×2

ガンダムアスタロトを改修した機体。
本来のアスタロトのパーツを徐々に取り戻していくも、左右非対称の姿になる。
バックパックには折り畳まれたデモリッションナイフとナイフに連結させるバスタード・チョッパー、左腰に2本のショートナイフを備える。

射撃兵装としてアスタロト専用に改修されたライフルを装備し、左前腕部には、機体の腕の2倍近いほどのサブナックルと、右肩にはシールドアームと呼ばれる武装を追加。
サブナックルにも武装を保持するマニピュレーターがあり、シールドアームにも武装を保持する機甲が備わっているため、実質的に3つの武器を保持しながら戦闘が可能。

また、本作のアルジはリナシメントに長距離射撃用の対物ライフルとシュツルムファウストを追加で装備して戦闘する。

カラーリングは、原作では青と白で纏められていたが、本作でアルジが駆るリナシメントは青と白、そして紅のトリコロールカラーとして改造している。


解説は以上おなります。
また今回前編として書いたので、今後の展開次第では中編も書くかもしれません。
そこは今後の私次第となりますね。

では本日はここまでと致しまして、また次回お会い致しましょう。
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