「なあなぁ、君はどう思う?」
後ろ姿を晒した一人の少女が淡々と言葉を紡ぐ。そして、反転する。纏う白衣と同色のその髪が靡き──手に持つのは
鋭利な切断面からは白い骨が垣間見え、その周りからはドクドクと鮮血が垂れ流され地面へ滴り落ちていた。
それを目にし、体を十字に張り付けされた少年は頬を引きつらせる。
「……な、なぁ。悪かったって。流石に洒落になんねぇぜ? てかそもそも俺はお前になにもしてないだろ?」
「手、足、首、内臓、目、耳、脳……段々と取り替えていくとしよう。そう、少しずつだ。重要な部位は後に回す。なんなら別の部位をもう一度取り替えてみても良いかもしれない。
さて、そうすると、だ。既存品と取り替えた肉体は、どこまでが『君』であると定義できる範囲内であるのかな?」
手に持つ『誰か』の手。それを認め、少年は理解した。
目の前の白衣の少女は──少女の形を取った物は、自分を人としてなんか見ていない。
「どこまで取り替えれば君は『君』でなくなる?
心臓か? 感覚器官か? 脳か? それともそれ以外の部分か?
ふふ──ああ、それが分かるときが楽しみだ」
歪んだ紫紺の瞳が、白衣の少女が握った手に向けられる。昂ぶった声が世界を揺らした。
そして少年は、相手が人間であるとすら思いたくないほどかけ離れた思考回路をしているのを理解しながらも、どうにかしてこの状況を脱しようと声をかける。
「……なにが欲しいんだ?」
「? ……強いて言えば、結果、だろうか。君が私の問いに忌憚なく答えてくれれば、最後には君を解放しよう。
……いや、まあ、そのとき君が君を『君』と言えるかはまだ知らないが。それは別にどうでも良いな」
そう言って、少女は少年の腕に手を添えた。そして──スッ、と落ちた。
「──あ”ぁぁあ”あ”あぁああぁあ”ぁああ!!!!」
音はなかった。落ちた腕が地面へ転がる。鮮血が広がり、既にあった血の水溜まりと合わさり床をみずみずしい赤色で染め上げる。
そして、それを目にし白衣の少女は眉を潜めた。
「……煩いな。だが、神経も取り替えの対象だ。弄るわけにはいかんし、ふーむ」
そう言いながら、白衣の少女は手に持っていた誰かの腕を、少年の空白により合わせた。
肉と肉が合わさる嫌な音が響く。そして少女がその合わせ目をなぞった。ジュッ、と音が鳴る。
少女が満足げに手を離したそこには、
叫び声はいつの間にか収まっていた。
「はあっ、はあっ……な、なにがしたいんだよ、お前……」
それを聞き、少女は侮蔑を込めた視線を少年に向けた。
「先ほど説明しただろう? 話を聞いていないのか? その脳は飾りか? 要するに──」
少女が目を向けると、空間に歪みが起きる。そこへ手を入れ、引き出されたそこには──足があった。
「──これから、君の肉体全てが入れ替わるまで、この作業を続けるだけだ」
そして、改めて自身の状況を理解した少年は、笑った。
「……は、ははは! はははは!! はははははは!!!」
「ああ、忘れていた。そうだそうだ。今から質問をするから、イエスかノーで答えてくれ」
少年の声などないことのように振る舞いながら、少女は笑い続ける少年に向かい、人差し指を立てた。
「──今の君は、君足り得るか?」
メリークリスマス!(適当)