冬のバンドリ祭作品。

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夏に続いてバンドリ祭、参加させていただきました。


オリ主ステ

名前:水宮(みずみや) 奏斗(かなと)
年齢:大学1年(18歳)

本作ヒロインの倉田ましろとは家が隣の幼馴染。
かれこれ15,6年の仲になるので、彼女に対して恋愛感情はあまりない。
それなりに気遣いはできる方だが、コミュ力が乏しい。

黒髪黒目。
私服はモノトーンが多い。


What is your wish?

12月。

冬がだんだんと本気を出してきて、部屋の中が11℃とかになるそんな季節。

この季節になると最低でも室内は15とか16℃とかは欲しい。

そうしないと起きれない。

てか、そんなこと言ってるけど、普通に眠い。

 

「ウォッチ、今何時.......?」

 

どっかで聞いたことあるフレーズが口からこぼれ出る。

手探りで枕元に置いた携帯を見つけ、顔の前に持ってきて点灯。

 

「ん~......7時」

 

正確には6:58。

早起きである。

むしろこの季節にこの時間に起きれたのだから何かしらの賞をもらってもいいと思うな。

ま、この後二度寝するまでがオチなんだけど。

 

「今日は.......9時まで寝れる」

 

と呟いて、再び意識を落とそうとしたところで、携帯が音声を流しながら震える。

耳元でいきなり鳴ったので、若干キレながら携帯の画面をスワイプ。

 

「あぁ、うるさ」

 

それのせいかおかげか、布団から出ることに成功した。

しかし、寒い。

椅子に掛けてあったパーカーを羽織って、朝の支度を始めようか。

 


 

さて、朝飯を食い終え、その他諸々の支度を済ませ、仕事に出る父親を見送って、時刻は7:54。

今日は大学の講義が2限からあるので、10時には家を出る必要がある、のだが。

 

「暇だ」

 

本来であれは9時まで寝ているはずが、7時に起きるといういつもの自分らしからぬ奇跡ムーブをかましてしまったことで、大幅にあまり時間が出来てしまった。

どうしよう。

 

「あれ、メッセージ?」

 

起床時にはついてなかったアプリの通知。

タップして開いてみれば幼馴染(倉田ましろ)からのメッセージ。

 

『今日の夜、星でも見ようよ!』

 

「......いやなんでだよ」

 

口に出た文をそのまま送った。

彼女はそんな突拍子な事言う子じゃなかったのに。

とか考えてたら『嫌なの?』と帰ってきた。

 

「いやまぁ、嫌じゃないけどさ......」

 

幼なじみとは言うが、彼女は3個下の高1。

対して俺は大1。

 

これ、ちょっとでも選択ミスるとおまわりさんに「ちょっと君」ってされちゃうんですよね。

それだけは避けたい。

 

『嫌じゃないけど、親にはどう説明するんだ?』

 

俺は良いが、ましろは親が心配するだろう。

幼なじみとは言え男と一緒なんだ、心配の一つや二つ........

 

『行ってきなって』

 

おいまじかよましろママパパ。

お宅の娘さんにもっと危機感を持つように言ってください!

そしてあなた方はもっと危機感を持ってください!

 

『わかった。じゃあ後で詳しい場所とか教えてくれ。俺は大学行くから』

 

そう返して時間を見れば10時。

家を出なければ遅刻してしまう。

 

いまだ惰眠を貪る母親に「行ってきます」と言い、家を出た。

 


 

大学、講義室内。

 

ノートパソコンを立ち上げ、自分用のページを確認する。

 

「うへぇ、課題山積み」

 

画面には未提出の印である赤いペンマークが大量。

まぁ処理しなかった自分が悪いのだが。

 

「期限はーっと......」

 

レポートや小テストなど、様々な課題が送られてくるが、期限内に出せば出来栄えのみの評価となる。

遅刻するとどれだけ出来が良くても点数が半分になってしまうからな。

 

「来週と、明後日と......これは、まぁ後回しで......」

 

と、家に帰ったらやる課題の優先順位を決めていると、ポケットに入れてあった携帯が震える。

通知は言わずもがな、幼馴染殻を示している。

 

『9:30!』

 

......何がだよ。

 

『主語を入れてくれ』

 

と返せば、間髪入れずに返信。

 

『近くの公園に、21:30!』

 

しれっと時間が24時間表記になったが、それはいいとして。

近くの公園って。

 

いや、通じるけど。

俺とましろの住む家の近くにある、なぜかあまりちびっこが来ない公園。

見晴らしも良くて遊具もあって、ベンチもあるから困らなそうなのに、なぜかいつも人がいない。

 

『わかった。夜は冷えるから厚着しろよ』

 

送ると、「OK!」と言っているカエルのスタンプが帰ってくる。

 

「......心配だなぁ」

 

行くときは余分にパーカーでも持ってくか。

そんな事を考えながら、携帯に写った時間を見ると、11:07。

 

「あ、出席出席」

 

講義室のドア近くにあるカードリーダーに、自身の学生証をかざす。

クイズ番組の正解によく使う音に似たものを聞きながら、自分の荷物のある席に戻る。

 

パソコンのメモ機能を立ち上げ、講義を聞く姿勢だけは取れた。

と、講師が講義室内に入ってきた。

 

「えー、時間になりましたので、講義始めますね。今日のテーマはーーー」

 


 

「......?」

 

おかしいな。

真面目に講義を聞いていたはずなのに、瞬きをしたら約1時間ほど時を飛ばしている。

まさか俺、時間を操る能力者?

 

......そんな訳ではない。

白紙のデジタルメモと、微かに湿った感触のある自身の右腕から事の顛末は察せるだろう。

 

早起きの弊害がこんなところに。

 

いやぁ、そんな予感はしたんだよね。

張り切って早起きしたは良いけど、すぐ眠くなっちゃうの、あるあるだと思うんだ。

 

と、講義室内の空気が心なしか弛緩しているような。

携帯で時間を盗み見ると、12時を少し過ぎたところ。

 

あ、なるほど。

この人の講義は12時ぐらいで終わるからね。

とか考えていたら、まさにその通りのことが起きた。

 

「......えー、では今日はこのあたりで。来週は続きからやるので、各自復習しておいてください。今日使ったパワーポイントはアップロードしとくので復習に使ってください。それでは、ありがとうございました」

 

お、ラッキー。

今日の講義資料貰えた。

 

ま、この人の講義、パワポあってもそれ以外のこと9割口頭でしゃべるからあんま意味ないんだけどさ。

 

課題一覧に今の講義の課題が追加されていないことを確認し、パソコンを閉じてケースに収納。

それをカバンに突っ込んで、チャックを閉めたら、後は左の肩ひもを掴んで背中側に勢いよくまわす。

注意点は、この時掴む手は肩ひも側を正面に見た時にクロスするように持つことだ。

そうしないとやりづらいぞ。

 

......どうでもいいね、リュックのスマートな背負い方講座。

どこの需要なんだろう。

 

「帰るか」

 

ひとり呟いて講義室を出る。

 

今日は2限以降取っている講義はないので、家に帰って昼飯食いながら課題を進めよう。

 

友達とかいないのかって?

 

......別に友達とかいなくても、生きるのは苦労しないよね。

 


 

 

「ただいまー」

 

......返事がない、ただのしかばねのようだ。

じゃなくて。

 

荷物を自室に起き、コートを脱いでハンガーにかけて、手洗い諸々を済ませてリビングに行けば、親の置手紙。

 

「えーと?『自分探しに行ってきます』......パチンコの間違いだろ」

 

ま、そんなことは良いとして。

 

今日見る星とは、いったい何なのだろうか。

冬の星座と言えば?と聞かれれば、オリオン座、と答えるぐらいの知識量の俺なので、さすがに調べる必要があるだろう。

そんな時は、文明の利器:スマートフォン。

 

これを使えば気になったことをキーワードに知りたい情報がたくさん学べる!

※ネットの情報は鵜呑みにしちゃいけないぞ!お兄さんとの約束だ!

 

「俺疲れてんのかな」

 

勝手にこんなこと考えるようになったか、俺の脳味噌は。

 

「ふーん......双子座流星群、ねぇ」

 

双子座流星群。

ふたご座α星(カストル)付近を放射点として出現する流星群。

 

どうやら12月の中旬ごろが一番見やすくなるらしい。

肉眼でも見れる流星群らしいから、特に望遠鏡とか双眼鏡とかは必要なさそうだな。

 

あぁ、だから誘ったのか。

中旬、つまり今日か昨日が良く見える日で、なおかつ昨日より今日がもっと見える日だから。

 

「あいつ、星とか興味あったんだな」

 

知らなかった。

15,6年幼馴染やってるけど、いまだに知らないこともあるもんだな。

 

「あとは......レジャーシートはいらないな、ベンチあるし。念のための上着と、後は......特にいらないか」

 

天体観測の準備完了。

 

夜までのんびりしてようかね。

 

「......違う違う。課題やらんと」

 

毎日溜まっていく物は消化しないとね。

 


 

夜、21時。

 

積み課題をすべて終わらせて、天体観測の準備を終えている俺は自室にぐーたらして居た。

だって暇なんだもん。

集合は30分なんだもん。

家出たら1分で着く場所だよ?

そんなの25分ぐらいまでぐーたらするに決まってるやん?

とか考えてたら、携帯が震える。

確認すると、『もう出るよ』のメッセージ。

 

「......早っ」

 

だってまだ9時だぞ?

そんな早く出る必要ないじゃん?

何ならピーク10時なんでしょ?

 

「はぁ......じゃあ行くか」

 

仕方ない。

女子を待たせるのは紳士として失礼だからな。

 

『俺も今から出るよ』

 

そう送って、荷物を背負って自室を出た。

 


 

「あー、さっむ」

 

玄関を出れば予想通り、というより予想以上の寒さだ。

こんな寒さの中1時間も待ってろなんて正気じゃない。

防寒具は持ってるが、この寒さだと通用するかわからん。

 

「......しゃあなし、一旦暖取れるなんか持ってくるか」

 

家に引き返し、リビングに入る。

 

「カイロカイローっと......どこ?」

 

俺の親はケチだから、もらってきた使い捨てカイロは使わず取っておく性分で。

確かこのあたりにあったはずなんだけどなぁ......と、捜索していると、袋の感覚。

 

「お、こいつは......」

 

引っ張り上げれば、やはりカイロ。

たまたま二つ吊り上げられたので、そのままポッケに忍ばせて再び外へ。

 

「さっきよりさみぃ......」

 

リビングが暖かかったから、一層寒く感じる。

とりあえず手袋をして暖気を取る。

あくまでカイロは奥の手という奴だ。

と、遠くの方から声が聞こえた。

 

「おーい!こっちこっちー!」

 

公園の方から聞こえてきたので、目線を向ける。

俺の幼馴染である倉田ましろが、大きく手を振っていた。

 

「ましろ、早いな。まだ20分前だぞ」

「だって楽しみだったんだもん。奏斗君と流れ星見るの!」

「......そっか」

 

二人並んでベンチに座る。

そうするとましろは俺に体を預けてくる。

あまつさえ腕まで絡めてくる。

 

「おい、ましろ。人いないけどくっつくのはよせ」

「えっ?だって、その、寒いから......」

 

こいつ、よく見れば冬に出歩く格好じゃねえ。

 

......いや、本来見た瞬間に気付くべきだな。

 

紳士としてはあるまじき。

 

「それ、中着てるか?」

「えっと......ヒートテック?」

「......これ着ろ」

 

俺は自分が着てたジャンパーをましろに羽織らせた。

 

「いいの?」

「一応まだ防寒着はあるから問題ない。ましろに風邪ひかれるのが一番困るからな」

 

カバンから新しいパーカーを取り出して着る。

ジャンパーよりは薄着だが、まぁどうにかなるだろ。長男だし。

 

「あ、あの。ありがとう、これ」

「ん、気にすんな。星見るの楽しみだったんだろ?ここで体調崩したら最悪だからな」

 

現在時刻は9:32。

 

まだ時間はある。

待ち時間も楽しもうじゃないか。

 


 

「......っくちゅ」

「やっぱ寒いか?」

 

隣から可愛らしいくしゃみ。

すぐさまポケットからカイロを取り出し、封を開ける。

少し振ってましろの手に握らせる。

 

「これでちょっとは寒さ紛れるか?」

「奏斗君は、良いの?」

「いいよ。わざわざ聞くな」

 

上目遣いはだめだ。

こいつの顔は可愛い。

その辺のモブなら死んでるんじゃないか?

 

......じゃなくてだな。

 

とりあえずましろにカイロは握らせたし、ジャンパーも羽織らせたので、これ以上寒くなることはないだろう、きっと。

 

「奏斗君、手だして」

 

言われたので、黙って出す。

すると、カイロごと俺の手を握った。

 

「どうした?」

「手、冷たいでしょ?こうしたら暖かいよ?」

 

手袋してるから別にいいんだけどな、とは言わない。

こいつがやりたいことは、尊重してやりたい。

 

「サンキュ。......そろそろかな」

「どういたしまして。......あ、あれ!」

 

ましろが指で示した場所を観る。

 

流星が、流れている。

 

腹痛が痛いみたいな馬鹿みたいな発言だが、それ以外に表現法がないのだ。

 

「......綺麗、だな」

「うん。星さんたちが、競争してるみたい」

「ははっ、なんだそれ。まぁ、わからなくはないが」

 

そうだ。

迷信だが、流れ星が消える前に願い事を3回唱えることができれば、それが叶うとか。

こんだけ流れ星があれば、3回唱えるぐらいは余裕だろう。

 

そうと決まればと、俺は目を閉じた。

 

「(......これから先、どんなことがあろうとも。何事もなく、こいつが幸せであるように)」

 

俺は良い。

隣のこいつは危なっかしい。

だから、願ってやった。

 

「ふふっ。奏斗君、笑ってる」

「え?」

「どうしたの?」

「......いや、何でもない」

 

照れ隠しで握っていた手を放す。

 

そうすると、彼女は俺の腕にくっついてくる。

 

「おい」

「何?」

「そう言うことは、彼氏にとっとけよ」

「奏斗君は、いや?」

 

いつからこの女はこんなこと覚えてきやがった?

 

......けど。

 

悪くない。

 

「嫌じゃない。好きなだけくっついてろ」

「はーい!」

 

この時間は、何よりも大切だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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