ダンジョンで捕食者たちと獲物を求めるのは間違っているだろうかⅡ   作:れいが

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>'、,<>'、,< 英雄という幻想

 「...ネフテュス先輩、ホンマにあのベルっちゅう子には恩恵を刻んどらへんのですよね...?」

 「そうよ。でも...まだ本領発揮とまではいってないわね。やっと30%ってところかしら」

 「いっやぁ~...マジですかいな。ティオナもまだ全力を出してはいてへん感じやけど...」

 

 ロキは片方の目を見開いて勝負の行方がどうなるか一切予見出来ないのに冷や汗を垂らした。

 ティオナが本気を出し切ろうとしていないのは、まだベルも体を温めている段階に過ぎないと感じていたからであるだろう。

 ベルが今に本気を出せば彼女に勝ち目はないだろうと、ロキも直感でそう思った。 

 

 一方で観戦している神々もまた実力差に驚きの連続だった。

 ロキと同様にどちらが勝つか予想が立てられず、ざわついている。

 

 ベルの方が優勢だと思いきや、体術を繰り出す駆け引きと機転などでティオナは上手く立ち回っている。

 どちらも未知なる武器による攻撃に臆する事なく、一歩も引かないで攻勢を弱めるどころか鬩ぎ合う。

 

 「...ネフテュス先輩。貴女は彼に...ベル君に何をしたというんですか」

 

 ヘルメスは帽子のツバから...どこか焦慮的な色を見せる視線で神の鏡に映るベルを見つめていた。

 まるで自分が思い描いていた物語の内容が水浸しになって、文字も挿絵もぐちゃぐちゃになった気分になっているよう。

 それに対して、ネフテュスは全て知っているといったような笑みを浮かべ...

 

 「誰よりも強くしてあげたのよ」

 

 愛しき眷族が浮かぶ神の鏡を背に、大きく両腕を広げながら続けた。

 

 「いずれ過去の遺物となる英雄なんてくだらない幻想をブチ殺して...ね」

 

 

 星屑の庭の広間に浮遊する神の鏡にアストレア・ファミリアの団員達は言わずとも釘付けになっていた。

 口を半開きにして興奮気味に両手を握り締めるアリーゼとは対照的に、輝夜は真剣な眼差しで静かに観戦している。

 

 この場には居ないが、リューとライラも同じ反応をしていた。

 

 彼が帰還して観賞した記録映像でその圧倒的な強さを知ったのは確かだった。

 しかし...これ程までに強いのだという、ベルの底知れない力を改めなければならないと彼女達はそう感じていた。

 

 

 「すごい...ベルもティオナも...あんなに強いんだ...」

 「...今まで散々、負け続けた理由がよーくわかりましたなぁ。

  あんな強者を相手に傷一つさえ付けようと思っていた私は、リオン以上に大馬鹿だったと...」

 

 自嘲する輝夜にアリーゼは否定しようとするが...その気持ちはあった彼女自身も当てはまると口を紡いでしまう。

 

 だが、挑む気持ちまで否定してはベルと築き上げた友好が崩れさると感じた。

 諦めるな。まだ全てを見切った訳じゃないのだから、挑んでみなければわからない事だってある、そう決心したアリーゼは輝夜の手を握った。

 

 「輝夜、一緒に強くなりましょう。ベルに敵わなくても...私達が辿り着ける限界まで」

 

 輝夜もアリーゼの手を握り返すと...その瞳には彼女が戦う事を放棄しない意志が宿っていた。

 

 「...言われなくても、そのつもりです。あのでくの坊に目に物見せてやらねばなりませんから」

 「!...ええっ」

 

 後ろでその言葉を聞いていたネーゼ達も、今より強くなる決意を固めるのだった。

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