ダンジョンで料理人が有名なのは間違っていますか?   作:混沌の魔法使い

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下拵え ギルメンズ・リポート その3

 

下拵え ギルメンズ・リポート その3

 

たっち・みーとウルベルトはギルメンの情報を求めてふらりと立ち寄った街である情報を掴むことになった。

 

「メイルストラで大人気の劇だけど……これって僕見たことあるんだけど」

 

「ああ、私も見た覚えがあるな。そうあれは……タブラが全員ログアウト出来なくして始めたホラー映画鑑賞会だったな」

 

「あれね。モモンガさんとか茶釜さんとか結構騒いでたよね」

 

それは楽しかった仲間達との交流の記憶。その中にあった大騒ぎを2人は思い出していた。

 

「行ってみる? メイルストラへ」

 

「そうだな。行ってみるか、このシナリオ。どう見ても私達の同類だ」

 

メイルストラで現在大人気の怪奇・恐怖を題材にした劇。その劇をやっているのがアフロディーテ・ファミリアという事を知り、ウルベルト達はメイルストラへ向かう事にし馬車へと乗り込んだのだが……。

 

「ありがとうございます。助かりました」

 

「いや、それは良いけど1人で大丈夫? 女の独り旅は危ないわよ? オラリオにいくならあたし達と一緒に行かない?」

 

「いえ、大丈夫です。私は探してる人がいるので、それではまたご縁があれば」

 

「はー上品な人だったね」

 

「そうね。メイルストラから旅をしてたっていうけど、本当に大丈夫かしらね?」

 

ウルベルトとたっち・みーと入れ違いで馬車から降りてきた白いドレス姿の黒髪の女性に2人は気づく事はなかった。

 

「感じる……感じるわ。モモンガさんはこの近くにいるッ!」

 

そしてその女性は目を怪しく光らせ早足で街を後にした。元・アフロディーテファミリアの脚本家タブ・グラスディナ。もといアインズ・ウール・ゴウン。タブラ・スマラグディナは執着心、いや前世からの情念とも呼ぶべき感情でモモンガの場所へと辿り着こうとしていた。

 

だがここでのすれ違いはたっち・みー、ウルベルト、タブラだけではなく……。

 

「あ、あの……あの額縁の本は?」

 

「ああ。あれ? サラスヴァテイファミリアを引退する時に貰ったのよ。サラスヴァテイ様はおねショタが好きなんだけど私はあんまり好きじゃなくて」

 

裏路地の本屋に額縁入りで飾られていた本。1人の女性が男2人の間にいる漫画を見た時――激しい頭痛と羞恥心と後悔によって1人の少女が失われていた記憶を取り戻し、顔面蒼白になっていた。

 

「どうしたの? オラリオで今流行ってる漫画って奴なんだけど……おかしいかしら?」

 

「あ、あああああああ――ッ! 馬鹿、馬鹿ッ! 私の馬鹿ぁッ!! カワサキにとんでもない黒歴史預けてるじゃんッ! うあああああああッ!!!」

 

学区の問題児の姉弟の姉ー―「リナ・ストフレイム」は顔面蒼白で絶叫を上げる。

 

「ちょ!? ど、どうしたのッ!?」

 

「姉ちゃん!? 姉ちゃんどうした……ってあれ……え? モモンガさんとカワサキさんと……姉「黙れ愚弟ッ!!」げぶろッ!?」

 

姉の悲鳴に店に駆け込んできた弟も額縁の中の本を見て、失われた記憶を取り戻しかけ、姉の黒歴史を口にしようとした弟――「ヴァン・ストフレイム」は地獄突きを喰らって悶絶する。

 

「ちょ、ちょっと本当に「あの本を寄越しなさい」え、え?」

 

「もう1度言うわ。あの本を寄越しなさい」

 

「あ、はい、どうぞ」

 

目がガン決まりの少女に短剣を喉に突きつけられた店主は額縁から本を取り出し、その本を手渡し少女は代金として大目のヴァリスを叩きつけるようにして渡し、額縁に入っていた本と白目を向いている弟を引き摺って店から飛び出していった。

 

「なんだったのよう……私のお宝ぁ……」」

 

突然の狂乱と嵐のようなやり取りに店主はへたり込み、自分のお気に入りの2人の男に取り合いされるというシチュエーションの本が手元から離れたことを嘆いている中、リナはぶくぶく茶釜、レオンはペロロンチーノと名乗っていた時の、楽しかったユグドラシルプレイヤー時代の記憶を取り戻しているのだった……。

 

 

 

 

喉に強烈な打撃を受けて失神している愚弟を横目に私は顔を両手で押さえて木陰で転がりまわっていた。

 

「私の馬鹿ぁ……なにしてるのよお……」

 

ユグドラシルを引退する時にカワサキにプレゼントしたグリーンシークレットハウス――腐向けは全部回収したがおねショタとか、イケメンに言い寄られる夢女子物とかのウス=異本のデータを残していた事を私は思い出した。思い出してしまった……カワサキならなにやってんだかと呆れる姿が容易に想像できそれが余計に羞恥心を刺激する。

 

「姉ちゃん。なんでカワサキさんとモモンガさんのナマモノなんて持ってんだよ」

 

「……若気の至り」

 

「だとしてもライン越えじゃね? つうか身内だけど正直引く」

 

愚弟のドン引きした視線。普段なら制裁の1つでも加えるところだが、今回に関しては全面的に私が悪いので何も言えない。

 

「シテ……コロシテ……」

 

「アホ言わねえの。ほら姉ちゃん立って」

 

無理矢理愚弟に立ち上がらせられるが、自分の足が生まれ立ての子鹿のように震えているのが分る。

 

「それで姉ちゃん。正直どこまで思い出した?」

 

「……ギルメン達の事をうっすらとかな? それ以外の事は割りとしっかり思い出してるけどアウラとマーレの事とか」

 

私が心血を注いで作ったダークエルフの姉弟の事はかなりはっきりと思い出したが、会いたいと願っているモモンガさんの事はどうもあやふやだ。

 

「マジで? 俺ゲームの事はあんまり思い出せてないよ。俺が覚えてるのはクソみたいなリアルな事」

 

「それは確かにクソね。で、どうする? 帰りたい場所、会いたい人はまだうろ覚えだけど……オラリオに行ってみる?」

 

学区から飛び出した理由である帰りたい場所と会いたい人は互いにうろ覚えのまま。大事なことは思い出せず、大事にしていたことを思いだした私と、大事な事を思い出せず絶望しかない現実を思い出したヴァン。どうせならはっきり思い出させろと言いたいが、正直ほんの少しでも思い出せて良かったのかもしれない。

 

「姉ちゃん。ギルメンがいたとしてオラリオで大人しくしてると思う?」

 

「100%ない」

 

個性の塊の連中が大人しくしていられる筈がない。どこにいたって間違いなく何らかの騒動をおこしている筈だ。

 

「つまり今はオラリオに私達の会いたい人は居ないって事ね」

 

「多分ね。で、今オラリオに行くと俺は面倒な事になると思う」

 

これでも学区1の問題児と呼ばれつつも、最強のレベル1と言われていたのだ。学区の卒業生が多いオラリオにいくとスカウトなどで面倒ごとになるのは目にみえていた。

 

「今オラリオに行くのは無しで良いよね?」

 

「私も同じ考え、出来れば前衛が出来るギルメンと合流してからかが良いんじゃない?」

 

会いたい仲間達がオラリオにいれば間違いなく頭角を現している筈。だから今オラリオに仲間はいないと私とヴァンは同じ意見だった。

 

「目的地に何か意見は? ないなら適当に馬車に乗って移動するつもりだけど?」

 

どこかの街とかで情報収集とか出来れば良いかなと思いながら乗り合いの馬車を指差す。

 

「へっへ、これ見てよ姉ちゃん」

 

「何……ってこれ……ふーん。良いじゃん」

 

「でしょ!? ギルメンの事は覚えてないけどさ、リアルで有名だった映画とかは覚えてんの、これ絶対あれだよ。あれ! ほらあの人!」

 

ギルメンの事をあんまり思い出していないヴァンは言葉足らずだが、何が言いたいかは私にも分かっていた。

 

「タブラさんね」

 

オカルトマニアでホラーマニア、ゴア映画大好きのギャップ萌えに拘る変態のタブラさんの仕業だとすぐに分かった。

 

「そう、タブサさん! ホラーマニアのタブラさんだよ。姉ちゃん」

 

この世界では考えらないジャパニーズホラーである「リン○」とか「呪○」とか「13日の○曜日」とか間違いなくタブラさんが手懸けた物だとわかる。

 

「なら行きましょうか。メイルストラへ」

 

「決まり! メイルストラ行きの馬車はあれだ! 行こう姉ちゃん」

 

手掛かりは余り多くないけど、間違いなくそこにギルメンがいた痕跡がある。なら私達と同じ様にそこを目指している人もいるかもしれない。一縷の希望を抱いて私達はメイルストラ行きの馬車へと向かい。

 

「ふう。今日も沢山売れたね父さん」

 

「そうだな。お前の考えたパンのおかげだ」

 

「そんな事無いよ。村の皆のおかげさ」

 

馬車へ向かう道中、父親と仲が良さそうに話している私達と同年代か、少し年下に見える少年と擦れ違い。私は何故か足を止めて振り返り、その少年の背中をジッと見つめていた。

 

「どうしたの?」

 

「ん。いや……別に」

 

足を止めていた私にヴァンがどうしたの? と尋ねて来て私の視線の先を見て深い溜息を吐いた。

 

「ドン引くわ姉ちゃん「だ・ま・れッ!!」

 

「げぶろおッ!?」

 

ラリアットを全力で叩き込み、愚弟をメイルストラ行きの馬車まで吹き飛ばす。

 

「え、え?」

 

「乗りまーす!」

 

「あ、は、はい。どうぞ」

 

引き攣っている馬車の御者に一礼し、吹っ飛んできた愚弟に引いた表情をしている相乗りの客に微笑みかけ……。

 

「起きろ愚弟」

 

「げぶっ……姉ちゃん……もうちょっと……優しく」

 

「やかましい。ほら邪魔になるからこっち来なさい」

 

気絶しているヴァンに蹴りを入れた私を見たほかの客は私達から視線を逸らし、関わらないようにして来たのでメイルストラまでの長い旅路を私達は快適に過ごす事が出来たのだが……。

 

「えー!? いないのッ!?」

 

「ええ。タブさんはつい先日に旅に出るといって出て行きましたよ?」

 

メイルストラに行ったがタブラさん。今世ではタブ・グラスディナはメイルストラにはおらず、完全に無駄足になったと思ったのだが……神は、いや。運は私達を見捨ててはいなかった。

 

「何!? タブラはいないのか!?」

 

「あちゃあ……入れ違いだったみたいだね。ウルベルト」

 

「ん? あーッ!! ウルベルトにたっちさんッ!?」

 

「うおーッ! やったぜ姉ちゃん!」

 

「ん? お前ペロロンチーノかッ!? それにそっちは茶釜かッ!?」

 

「ふふ。タブラさんがいなかったのは残念だけど、これは嬉しい誤算だね」

 

メイルストラにタブラ・スマラグディナはいなかった。だがかつての記憶を持つ者達が4人がメイルストラで合流するのだった……。

 

一方その頃極東の武人建御雷と弐式炎雷は極東で最近噂になっている武器を溶かすモンスターの捜索をしており、長い時間を掛けてそのモンスターに遭遇していた……。

 

「……オレサマオマエマルカジリッ!」

 

ボロボロで髪はボサボサ、髭も伸び放題で着ていた服は腰蓑状のズボンだけだが、モンスターと呼ばれている人物が誰か武人建御雷と弐式炎雷は一目で気づいた。

 

「建やん。あれってまさか」

 

「まさかもなにもあれだな。限界社畜ヘロヘロだッ!」

 

「だよね!? なんか言語怪しいし、腰蓑だけどあれヘロヘロさんだよね!?」

 

「ウワアアッ! ザンギョウハイヤダアアッ!!」

 

「追うぞ!」

 

「合点承知ッ!!!」

 

「ハタラキタクナーイッ! ハタラキタクナーイッ!!!!???」

 

ボロボロで腰蓑姿の野人スタイルで発狂しているヘロヘロにエンカウントした弐式炎雷達はヘロヘロを追って走り出す。

 

「武器を溶かす人型モンスターはやつだッ!」

 

「つまりヘロヘロさんを捕まえれば」

 

「「ユグドラシルのスキルの使い方が分るッ!!」」

 

「逃がすかぁッ!!!」

 

「絶対に捕まえるッ!!!」

 

「ウワアアアアアアッ!!! 20レンキンハロウドウキジュンデミトメラレテイルノカアアッ!!!!!」

 

無意識にユグドラシルのスキルを使うヘロヘロを捕まえ、その使い方を知る為に鬼の形相でヘロヘロをおいまわしていたりする……。

 

 

オラリオにアインズ・ウール・ゴウンのメンバーがいるのは

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