ダンジョンで料理人が有名なのは間違っていますか? 作:混沌の魔法使い
下拵え ギルメンズ・リポート その4
タブラさんを探してメイルストラに来たらタブラさんはいなかったけど、変わりに茶釜さんとペロロンチーノさんと再会出来た。
「ほう、学区……確か三大クエストのリヴァイアサンのドロップ品を使った巨大な船だったか?」
「そうそう。羽みたいにも見えて綺麗だよウルベルトさん。まぁ今はまた外洋に出てるから見れないけど、学区が近づいて来たら案内するよ」
「それは楽しみだね、さてとこうしてギルメンが4人集まった所で1度情報を整理したいんだけど良いかな?」
僕の言葉に反対するメンバーはおらず、メイルストラの宿の一室で第1回ギルメン捜索会議が幕を開けた。
「つまり学区には他にギルメンはいないと?」
「多分というか確実にいないよ。私と愚弟は恩恵があるけどレベルアップ出来ない。だけど身体能力が桁違い……多分これがギルメンの特徴じゃないかな?」
僕とウルベルトは恩恵はないけど身体能力はかなり高い。茶釜さん達も同様のようだが恩恵のメリットであるレベルアップによる身体能力の向上はないようだ。
「他に何か無いか?」
「俺は記憶が虫食いだらけ。姉ちゃんは「喋ったら殺すぞ」……はい」
物凄い目で睨まれて小さくなるペロロンチーノに苦笑したが、彼の言葉の中には無視出来ない物があった。
「記憶があやふやだと? 俺とこいつは完全に覚えているぞ」
「え? 嘘でしょ!? あたしなんて思いだしたの10日前くらいだよ!?」
「そうそう、凄い焦燥感があるのにそれがなにか分らなくて……俺も姉ちゃんもずっと苦しんでたのに最初から覚えてるとかずるくない?」
ずるくないと言われてもそれは僕達では分らない話だ。だが記憶があやふやと言うのは非常に大きい手掛かりだった。
「なるほど、他のギルメンも記憶があやふやな可能性があり、思い出すかどうかは運次第と言った所か、タッチ。タブラはどっちだと思う?」
「多分思い出してると思うよ。多分メイルストラを離れたのはモモンガさんを探してじゃないかな?」
僕の言葉に全員がなんとも言えない声を出した。
「タブラさんってモモンガさんへの執着心凄かったよな」
「ああ。執着というかあれはもう情念だな」
「……モモンガさんの貞操のピンチ? いや、それとも価値観のピンチどっちかな?」
「多分両方かな……今のモモンガさんの性別がわかんないけど、多分性別とか気にしないだろうし」
タブラさんのモモンガさんへの執着は凄まじかった事を考えると……本能的な何かでモモンガさんを探してメイルストラを出た可能性が高いわけで……。
「ちなみにタブって名前らしくてさ、これ肖像画なんだけど誰かに似てない?」
似顔絵を茶釜さんが差し出してくれてそれを覗き込む、黒髪で金の目で、誰が見ても美人だ。美人だけど……。
「これアルベド?」
「アルベドだな。タブラのNPCの」
「だよね。つまり今のタブラさんの性別は女って事なんだよ。それでタッチさん。富裕層の護衛とかしてたでしょ? タブラさんに会ったことないの?」
「いや、まぁ会った事はあるんだけど……これ言って良いのかな」
警官ということでタブラさんやブループラネットさん達にも会った事はある。だからリアルでのタブラさんも知っているんだけど……。
「やばいの?」
「モモンガさんの超ストーカーかな? 多分カワサキさんの逃走とかに手を貸してなかったら軟禁とかされてなかっただろうし、多分モモンガさんを自分の手元におこうとしてたかも」
富裕層に喧嘩を売って逃げたカワサキさんの逃亡を手伝ったって事で軟禁されてたけど、部屋中に張られたモモンガさんの写真にはヒエッてなったのは今も良く覚えている。
「そんなストーカーのタブラが女になっている」
「そして多分モモンガさんを探してメイルストラを飛び出した……」
「それやばくない?」
宿の一室に嫌な沈黙が広がった。アルベドの容姿のタブラさんがモモンガさんを探して徘徊してる……。
「いやでもさ、モモンガさんも記憶がないかもしれないし! 多分あっても分からないよ!」
「情念で見つけるかもしれない、つまり今現在モモンガさんのモモンガさんが大ピンチというのは変わらない」
「どうする? 記憶がないかもしれないモモンガさんをどうやって見つけるのさ」
「と、とにかく! モモンガさんのモモンガさんを守る為にもすぐ動くべきだと思います!」
茶釜さんがシュバっと手を上げて提案するが、ヒントも手掛かりも無しで見つけるのは不可能に近い。執念と情念で徘徊しているタブラさんの方がモモンガさんの発見率の方が遥かに高い。
「だが闇雲に歩いても見つけられんぞ。誰かこの世界を詳しく知ってるギルメンでもいれば別だが……いるな、1人」
「え!? いるの! そんな人!?」
「14年前くらいから腹を空かせている人に食事を振舞って去って行く料理人がいるらしいんだ。2人も知ってるよね?」
僕達の中でそんな事をする人なんて1人しかいない。富裕層の人間だったのに、貧民層に向かって困っている人を助けていた誰よりも優しいあの人の事を覚えているか? と尋ねる。
「カワサキさんだ!」
「カワサキさんだよね!」
「その通りだ。奴は最低でも14年はこの世界で活動している。もしかするとギルメンの事もある程度把握しているかもしれん、モモンガさんの事は俺も心配だが、何の情報もなくタブラがモモンガさんを見つけれるとは思えん。まずは情報収集と仲間集めをしたい。良いか?」
ウルベルトの言葉に茶釜さんは不服そうだったが、ペロロンチーノさんは納得したように頷いていた。
「姉ちゃん、急がば回れだよ。それにもしモモンガさんが記憶を取り戻しているならギルメンを探してる筈、カワサキさんを探してるうちに見つかるかもよ」
「そうね……そうよね。それでそこまで言うなら何か手掛かりあるのよね?」
「勿論ある。ゾーリンゲンのアストレア・ファミリアにカワサキという男が何度もやってきているらしい。ならアストレア・ファミリアに行けば情報を得れるだろう」
「なら決まり! 明日の馬車でゾーリンゲンに行こう!」
この世界のいるかもしれないギルメンの情報と手掛かりを求め、僕達の次の目的地はゾーリンゲンへ決まった。
「そもそもだ。あいつらが大人しくしていると思うか?」
「思わない。つまり目立つ人がいる所にギルメンありだね!」
皆が大人しくしているわけがない。逆を言えば大人しいって事は記憶がないって事だ。目立ってる人や、噂話を探していけば皆に辿り着ける筈だ。チャーターした馬車の中で今後の話や噂話を纏めながら皆と会いたいなと話しながらの馬車の旅は、実に楽しい物だ。
「まぁ、皆もそう問題行為ばかりしてないさ」
「ああ、流石にそこまで馬鹿じゃないだろうよ」
皆良い大人なんだから馬鹿な事はしていないだろうとゾーリンゲンに向かう道中で笑いあっていたんだけど……。
「ユウを知ってるんだろーッ! どこにいるか言えーッ!!」
「な、なに!? ユウって誰!?」
「しらばっくれる気かぁッ!!!」
「だから何の話って聞いてるわよね!?」
「いたな」
「いたね」
「いたよ」
「山ちゃん、なにしてんのさ……」
やまいこさんが赤髪の犬人の女性に絡んでいる姿を見て僕達は頭を抱えながら、深い深い溜息を吐くのだった……。
ヘロヘロさんを追いかけた俺と建やんは少し溶けた装備を前に深い深い溜息を吐いていた。
「どうするよ、ヘロヘロの奴完全に発狂してるぞ」
「だよね、どうしようか」
俺が探索系の修行をしていたので見失う事無くヘロヘロさんを追いかけることが出来たんだけど、森の中で俺と建やんは信じられない物を見た。
『『『ニンゲンカエレ』』』
巨大な木にしがみ付き、俺達に石や木の枝を投げ付けてくる猿のモンスターの群れ。
「ニンゲンカエレ!」
「「テメーも人間だボケえッ!!!」」
そしてその中にナチュラルに混ざって石を投げてくるヘロヘロさんに向かって俺と建やんが突っ込んだのが威嚇と受け取られたのか、攻撃が激しくなった。しかもその中に装備を溶かす液体まで混ざり始めたので、俺達は一時撤退へと追い込まれてしまった。
「こんな火事場泥棒みたいなことしねえと駄目とか泣きそう」
「しょうがないじゃん、武器も只じゃないんだしさ」
争いの跡や放置された集落に置き去りにされている武器や鍋を集め、それを溶かして武器や防具を作る。それが今の俺達の装備の強化方法だ。確かに鍛冶場泥棒みたいで辛いが、背に腹は変えられないのだ。
「ん? 建やん、シッ!」
「あん? 誰かいるのか?」
「いるよ、追っ手かも……」
「それはちと不味いな」
集落の置くで音がする。俺と建やんは脱走者って扱いだし、タケミカヅチ・ファミリアの関係者を探して朝廷からの追っ手かと警戒しながら奥の無人である筈の建物へ近づくに連れてある事に気付いた。
「あれって機織小屋?」
「んでんな所に?」
警戒していた兵士や冒険者はおらず、何故か機織小屋から音がする事に首を傾げ、足音を殺しながら近づくに連れて小屋から声が漏れていることに気付いた。
「メイド服、やはりメイド服こそ至高」
「ふっふっ……良いデザインだ。我ながら惚れ惚れする」
メイド服を褒め称える声にまさかと思い建やんに振り返る。
「俺、今あの小屋にいる人に心当たりがある」
「奇遇だな、俺もだ」
俺のナーベラルの設定も手伝ってくれたメイド服にかけては右に出るものはいないギルメンのホワイトブリムさんだと思うんだけど……。
「声がさ、なんか高くない?」
「俺もそう思う……」
只俺達の知ってる声よりも少し高いと言うか……女の声に聞こえる。甲高い音を立てて機織りをしている音を聴き、俺は扉に伸ばしかけた手を引っ込めた。
「どうする? これ突入して大丈夫かな?」
「俺はキャーエッチとか言われるのは嫌だぞ」
「俺も嫌だよ。んー外から声を掛けてみる?」
もしも女で服を着替えていたりすれば気まずいなんてもんじゃない。でも、もしもホワイトブリムさんならメイド服を作ってもらってヘロヘロさんに見せる事で正気に戻せるかもしれない。とりあえず駄目元で声を掛けてみようと思い、外から建やんと声を揃えて声を掛ける。
「「ホワイトブリムさーん。あーそーびーましょー」」
「え!? 今の声弐式さんと建御雷さん!? 嘘ッ! ギルメンいるのかッ!!」
ドタバタと機織小屋から音がして、凄まじい勢いで扉が開きそこから1人の少女が飛び出してきた。狐耳に尻尾、そして豊か過ぎる双丘、巫女服を改造したっぽい超ミニスカートのメイド服を着た少女と俺達の視線が交差する。
「「誰だッ!?」」
メイド好きのヘンタイ漫画家のホワイトブリムさんの面影が微塵もない、非の付け所がない美少女に思わず誰だと叫ぶ。
「俺だよ! ホワイトブリムッ!」
「「嘘だろッ!?」」
「ホントだよ! 俺はメイドを見るのが好きでメイド服が似合う美少女になりたいわけじゃないんだよ、ちくしょーッ!!!」
男のギルメンだった筈のホワイトブリムさんが超絶美少女のケモ耳メイドになって叫んでいる姿を見て、俺と建やんは絶句しつつも、前世の性別で良かったと心の底から思うのだった……。
「おかしい、おかしいわ。モモンガさんの気配が消えた? 何で? 何故?」
一方メイルストラを出たタブはモモンガの気配を探してオラリオ周辺まで来ていたが、唐突にその気配を感じ取れなくなっていた。タブも、カワサキも知る由もないが、オラリオ周辺にカワサキが配置していたアイテムによってタブはその気配が分からなくなったのだ。
「でも近くにいる……なら……片っ端から探すまでよ」
モモンガの気配はこの近くまであった。ならここら辺の集落や宿場街を探していればいつかは見つけれると呟き、ゆらりゆらりと身体を揺すりながらタブは闇の中へと消えて行った。
「そういえばカワサキさん知ってます?」
「何をだ? アーディ」
「なんか最近ここら辺で長い髪を振り乱しながら何かを探しては、違うって呟いて闇の中に消えていくモンスターがいるらしいですよ。しかも子供に強い執着を見せるらしくて、ガネーシャファミリアに見回り依頼が出てるんですよ。しかも攻撃が全然通用しないらしいですし、闇の中にすって溶けるみたいに消えるらしいですよ」
「なんだ、それ怖……ッ」
数日の間にタブは自分が好きなジャパニーズホラーの怨霊のように扱われ、オラリオだけではなく周辺の村や集落にモンスター扱いされていたりする……。
ウルベルト・たっち・茶釜・ペロロンチームはアリーゼに絡んでいるやまいこさんに絶句。
弐式さんと建やんはニンゲンカエレしてくるヘロヘロさんとメイドが似合うケモ耳美少女になっているホワイトブリムさんに絶句。
タブは怨霊やモンスター扱いでオラリオ周辺で恐れられる。
次回はこのカオスの状況から続いていくのでどうなるのか楽しみにしていてください、ソレデは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
オラリオにアインズ・ウール・ゴウンのメンバーがいるのは
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間違っている
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間違っていない