遠山キンジに転生したので、女の子とイチャイチャする   作:なーお

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第二十三話

 ……さて、どうするかな。

 

 携帯の画面を切りながら今起きたことを整理していく。

 ジャンヌの誘い自体には応じるつもりだ。しかし、これをアリアと白雪にどう伝えるかだな。……いや、白雪は俺が誘えば疑いゼロでついてくるか。

 問題はアリアだよな……。喋ったらだめだと言われたし。

 まあ、何とか誤魔化すしかないか。大丈夫かな? 俺、嘘下手だけど……。

 ……それにしても随分俺のことを評価しているようだったのが気になる。

 俺のことをよく知る人物から教えてもらったと言っていたが……。

 

 理子である可能性も捨てきれないが、他にもう『一人』思い当たる自分がいる。まさかな……。

 

 そんなことを考えていると、携帯からメールの通知音が鳴り響いた。画面を見ると、宛名は不明のようだが、多分ジャンヌからだろう。

 内容を確認すると、案の定ジャンヌからであり、素っ気ない文面で明日の10時に町中のあるカフェに集合という旨のメッセージであった。

 

 カフェ……?

 

 それも普通に人気のカフェだ。てっきり、地下倉庫(ジャンクション)を指定されると思ったが……。これも友好関係を築きたいという現れなのだろうか? それならそれでありがたいが。

 しかし、敢えて人の多い場所を指定し、一般人を人質に取り、仲間になることを強要する気なのかとも勘繰る――が、何となく違う気がする。アリアじゃないが、勘だ。

 ……とはいえ、一応警戒はしておくか。

 ジャンヌは、策士でもあるからな。

 

「……キンちゃん様」

 

 携帯を見つめながら対策を考えていると、膝上から白雪の声が聞こえてくる。携帯から視線を白雪に向けると、なぜか頬を紅潮させ、どこか切なげな様子の白雪が目に入る。

 俺の膝上でそんな表情するとか……うぅむ、可愛い。

 

 

「起きたか、白雪。思い切り頭を打っていたが大丈夫か?」

 

 とはいえ、理子とキスをした俺はこの程度で心を乱されたりしない。あのキスは俺の男としてのレベルを飛躍的に上げてくれたらしい。なんと素晴らしい。やはり、キスという行為は最高だ。

 それにしても目覚めた直後にしてはやけに意識がはっきりしているように見える。もしかしてもっと前から起きてたのか?

 呑気な俺とは対照的に、白雪は一気にその表情を曇らせるとこの世の終わりのような雰囲気を漂わせる。そして、名残惜しそうに俺の膝元から頭を上げる。そのままソファから下り、フローリングの上で正座の体勢を取り、俺を見上げてくる。

 

「……ううん、私よりキンちゃん様のほうが大変だよ。……私のせいで手を大火傷させちゃった。それにドアも斬っちゃったし……。私どうお詫びすればいいか。やっぱりここは腹を切るしか――」

「――てい」

 

 俺は、白雪の頭に無事な方の手で優しくチョップする。

 痛くは無かったと思うが、びっくりした白雪が「ひゃっ!?」と声を上げる。白雪は目をまん丸に開き何事と俺の方を見つめてくる。

 

「……あのな、白雪。いつも言っているが、白雪が暴走しやすい性格なのは十分理解している。でもそれは、白雪が俺の為を思ってやっていることだろう? なら俺が怒るわけないだろう? 寧ろいつも俺の為にありがとうな。こんな怪我、修行中にしょっちゅうしていたしな」

 

 白雪が本当に腹切りをするくらい責任を感じているのは見て分かる。

 かなり気恥ずかしかったが、これは本心であり、伝える必要があると判断した。

 白雪が感激したように、涙を浮かべながら両手で口元を押さえている。他の人が見たら面倒な性格と思うかもしれないが、俺はこの一途で不器用な白雪が大好きだ。

 

「――でも、今回のはやりすぎだ。武偵法まで忘れていただろう? 白雪の為にもならないし、それはだめだぞ? まあ、武偵法を守れば好き勝手やっていいというわけでもないけど……」

 

 とはいえ、注意するべきところはするべき。俺が少し厳しい口調でそう言うと、「ご、ごめんなさい!」と、怯えた子犬のように全身を震わせながら土下座をしてくる。

 ……まあ、反省しているようだしこれでいいだろう。

 

「で、でもキンちゃん様……。さっきも言ったけどあの泥棒猫――峰理子は、武偵殺しで、キンちゃん様を襲ったんだよ?」

「ああ、知っている。けど、それについては不問にしてやってくれないか。理子とは既に和解している。それに襲われた件についても俺は気にしていないし、理子にも深い事情があったんだよ……」

「――で、でも」

「……白雪、心配してくれてありがとう。でも、ここは俺を信じてほしいんだ。……詳しく説明できなくてすまないが」

 

 白雪の目を真っすぐに見つめる。それでも白雪は、しばらく何か言いたげだったが、やがて諦めたように目を伏せる。

 

「……分かった、キンちゃん様を信じます」

「ありがとう、白雪」

「ううん、キンちゃん様がそう言うならそれがきっと正しいことなの。キンちゃん様はいつも私に新しい世界を見せてくれる正義のヒーロー……ううん、私にとって神様だから」

「――お、おう、そうか」

 

 神様て……。巫女様がそんなことを言ってもいいのだろうかと思いつつ、ひと段落したと、息を吐いた時だった。

 突然、白雪が瞳から光を失わせて、氷のような雰囲気を纏い、ギギギと壊れたロボットのような動作で俺の方を見つめてくる。完全にR指定の光景。

 おっと、これは第二ラウンドの予感。 

 

 

 

「――でも、キンちゃん様のキスを奪ったことは許さない」

 

 

 

 …………なるほど、キスについてですか。

 …………やべぇ、なんて言ったらいいか分からん。

 

 俺が焦りまくっていると、急に白雪が立ち上がり、俺の両肩をガシッと掴んでくる。ひぃっ!

 

「キンちゃん様! 前に私が一番魅力的な女の子って言ってくれたけど、今はどうなの!! ねえ!! やけに峰理子のことを信頼しているようだけど!」

 

 ぶんぶんと俺を前後に激しく揺すりながらヒステリー気味にそんなことを聞いてくる。脳が揺れて気分が悪くなるのを感じつつ、余裕が無いまま白雪の質問に答える為に必死に考える。

 

 ど、どうって、そりゃあ――。

 

「か、変わらず、白雪『も』魅力的だよ」

 

 

 

「……………………『も』?」

 

 

 

 あ、やっべ。

 

「……いや、その」

「…………峰理子もなの?」

「…………」

 

 ――ダンッ。

 これは、俺の反応から全てを察し、絶望した白雪が膝から崩れた落ちた音。

 

「強い男性がモテるのは世の真理……。だからキンちゃん様に他の女が集まるのは仕方ないと思っていた」

 

 白雪は視線を床に向けながら、低い声でそんなことを呟く。

 そのまま白雪は、ゆらりと立ち上がる。変わらず瞳に光は無い。

 

 ……〇される?

 

 そんな予感が頭をよぎる。

 白雪はそのまま倒れるように俺の元に飛び込んでくる。そして俺に抱き着いてくる。流石の俺もこの状況下では興奮するわけもなく、何が起きているか分からず戸惑う。

 白雪は白雪の息遣いを顔で感じるほどの超至近距離で俺の顔を見つめてくる。白雪の瞳にはいつの間にか光が戻り、その表情は見たことがないほど紅くなっている。しかし、どこか覚悟を決めた、そんな様子。

 

 

 

「――キンちゃん様、私とキスしてください」

 

 

 

 なんですと!?

 

 

 

「――それも、さっきの子供のキスじゃなくて、大人のキスを!」

 

 

 

 な ん で す と ! ?




お久しぶりです。
第二十二話、指摘箇所修正しました。指摘ありがとうございました。
修正内容:原作を知っていることを伝えることは無し
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