ぼっちちゃんを雌にするつもりが雌にされた元男(♀)の話 作:樽薫る
・久々なので初投降です
・久々なので加減がわからなくなってます
※アニメ以降のネタバレがあります
路上ライブ……またをストリートライブ。
それは、金銭的にまだ余裕のないアーティストが自分たちと作品を宣伝するため、なおかつ投げ銭やCDの販売、そして人前で演奏するということに慣らすため、と様々な理由から行うものである。
我らが『結束バンド』は近頃、路上ライブを頻繁に行っているわけだが、その目的は宣伝であり、来たるべき“未確認ライオット”のための布石。
……まぁ一人を除いては。
「ぼっちちゃん、大丈夫?」
「ア、ハイ……」
「と言いつつ足元が熔けてるわよ!?」
そう、結束バンドのリードギターこと後藤ひとりは『人前での演奏に慣れること』が第一の目的であった。そりゃそうだ。
何度か路上ライブをしてるものの、なんだかんだと最後には“スライムになっている”らしい。
……でも演奏が終わるまではちゃんと形を保ってるの偉い!
「きょ、今日は、ねこみちゃんもいるので、だ、大丈夫だと、お、思いますっ……!」
「おーさすがねこみちゃん」
虹夏ちゃんが
「いや、私なんもしてないですけど」
「いるだけで助かることもあるってことだよ。いやホント」
しみじみとした表情で軽く肩を叩かれる。
だがここは駅前……そして、いつも路上ライブをやっている場所で、すっかりファンやいつも通りかかる時に聞いて行ってくれる新規ファン候補の人たちも見ているので、私までバンドメンバーと思われると非常にマズイんですが。
チラリと視線を動かしてひとりを見ると、ひとりは気の緩んだ笑みを浮かべている。
「でもねこみちゃんにベッタリも、いや良いんだけど。すっごく健康には良いんだけど、その……良くないと思うのよねぇ、いつも見に来れるわけじゃないし」
「あ、はい。そ、そうですよね……ねこみちゃんにも、その、ふ、負担だろうし」
全然負担じゃないけど……。
「ねこみちゃんはどう思う?」
喜多ちゃんの言葉に、私はフッと微笑を浮かべてクールに頷く。
「うん、私がいなくても多少は自立しないと、ね?」
───決まった! これで
「ねこみちゃん……めっちゃ目ぇ泳いでるじゃん」
「そんなにポンコツだったかしらねこみちゃん」
喜多ちゃん、もうちょっとこう、オブラートをね?
てかリョウさんは一言も喋ってないけど一体。
「今日は投げ銭どのぐらいもらえるかな……」
───ここに目的が違う人がもう一人いました!
◇
今日は結束バンドが路上ライブをしてるこの駅前に“
いや、別に私が見たいとかじゃなくって、“
いやまぁ、前と比べても全体的にかなり上達してると思う。
後藤ひとりも、配信してる動画と比べるとやっぱり劣るけど、それでもかなり良い感じに……。
「あ、大槻ヨヨコさん」
「っ!!?」
突然、私の隣にやってきたのは大張ねこみ。後藤ひとりの恋人、らしい。
どうやってこんなカワイイ娘と付き合ったのかと思ったら、幼馴染とか聞いた。
───う、羨ましい……。
「べっ、別に私は結束バンドに興味あるから来たとかじゃなくって……」
「まぁまぁ……そういえば、虹夏ちゃんから聞いたけど色々と教えてくれたみたいで、今日もわざわざ来てくれたり、色々と気にかけてくれてるみたいで」
ちょっと、え、いや良いのかしらこれ、後藤ひとりの近くで会話しちゃって……。
「い、いや、良いわよね会話ぐらい、うん」
というか大張ねこみ、非常に距離が近い。それに胸も当たっている。
そのふわっとした感じ慣れない柔らかさに私の心臓がバクバク音を鳴らし、顔が熱くなってくるのを感じる。
しかも、私に凄い笑顔で話しかけて来て……。
───まさかこの娘……。
「いや別に、教えなかったら姐さんが……」
「そっか。でも、ありがとう……ヨヨコさん」
そう礼を言って、私の真隣で私の方を覗き込みながら微笑む大張ねこみ。
───なにもしかして、私のこと好きなんじゃないの!?
「べ、別に……」
「ふふっ、照れて───ひゃっ!?」
「っ!!?」
───な、こここ、この娘っ、わわ、私に抱き着いて……や、やっぱり!?
「いたぁ、すみません、ちょっと押されちゃって……」
───だ、ダメよ! 貴女は後藤ひとりの彼女でしょ!?
「ご、ごめんねヨヨコさんっ」
身長は大張ねこみの方が高いものの、私によりかかる形になっている彼女は少しばかり上目使いで私を見て、ただでさえ大きかった心臓の音がさらに大きくなるのを感じる。
こんなカワイイ娘にこんな密着されたら仕方ないってものだけど……。
───ってダメダメ! 真面目に結束バンドが演奏してるんだからまずそっち!
「ん、今のとこ……」
「ふふっ、ヨヨコさんと一緒にこうやってみんなの演奏聞けるなんて、嬉しいなぁ……」
───この娘絶対私のこと好きだわッ!
◇
その後、演奏を終えるなりヨヨコさんは帰った。
───なんか顔が赤かったけど、具合でも悪かったんかなぁ……。
わざわざ
かわいいなぁヨヨコちゃんは、と思いながらとりあえず頷いておいたけど。
路上ライブの結果は上々、やっぱ慣れてきたこともあるしそれなりにリピーターも増えてきたからか、わりとホームと言って良いような雰囲気だ。
拍手に応援の声なんかも聞こえるし……。
「ありがとうございましたー!」
「また来週もここでやる予定なのでよろしくお願いしまーす!」
喜多ちゃんと虹夏ちゃんの声が響く。
「また来るよー!」
「フェス出場頑張ってー!」
良い風が吹いているといった様子で、かなりみんなのモチベも上がっているように思う。
ひとりも緩んだ顔をして……いない。
なんかこっちをチラチラ見てきてるけど、どうした。
───って山田! 投げ銭見てんじゃないよ!
◇
その後、ささっと片づけを終えて近くのファミレスへと入った
いつもなら終わると同時にドッと熔けるんだけど、そうでもない。
虹夏ちゃんたちは察してるのか苦笑しながら私達を見るわけだが……。
───え、なに?
「あ、ねこみちゃん」
「へっ、あ、どしたひとり?」
隣に座るひとりに声をかけられてそちらを向く。
「えっと、お、大槻さん……」
そりゃ気づくよね。なんで口止めしたのヨヨコちゃん……いや、そういうとこあるか。
「ん、なんか姐さんが来れないから来てくれたらしくって、褒めてたよ。よくなったって」
「ずっと大槻さんで良いのに」
虹夏ちゃんさん姐さんに冷たいな! まぁ妥当だけど!
「えっと、それとヨヨコさんから投げ銭というか、渡されたんだけど」
「大槻さんさすが」
「リョウ先輩……」
目が金になっているリョウさんは無視することにする。
とりあえず渡された三千円を虹夏ちゃんに差し出すと、歓声が上がる……いや、みんなバイトしてる学生だからその十倍以上稼いでるわけだけどね。
……出て行く分があるのでいつも金欠だけど。
私がノルマ代を多少カンパするって言ってるのに断られるしなぁ……いや、リョウさんだけは受け取ってくれそうだけど、虹夏ちゃんが怒る。
まぁ、最近はノルマも問題ないけど。
「ひとりもだいぶ慣れてきたねって」
「そ、そうかな」
「うん、私もそう思うよ」
「そ、そっか……へへっ」
いつもどおり表情を緩めるひとりに、私は少し安心する。
「そういや来週ですけど、それがとりあえず当面の予定上の最終日になるので、それ用のMCでお願いします」
「あ、そっか……もう学校かぁ」
私の言葉に思い出したかのように虹夏ちゃんが溜息をつく。
別に喜多ちゃんは嫌そうじゃないみたいで、リョウさんは特になにも思ってないようで……あ、いや目の前の御飯で頭いっぱいなだけだなアレ。
そしてひとりは……。
「う、あ、が、う、こ……」
「あ~ほらひとり、二年生になるんだからもうちょっとこう」
「わ、私がっに、二年っ」
あ、これもダメなのね。いやもはや学校って時点でダメなんだろうけどさぁ……。
「頑張って進級したんだからさぁ」
後輩も増えるんだぞ! 原作みたいに情けない感じ許さないかんな!
変わらず、ひとりが私のことを不安そうに見ているので首を傾げる。
「し、進級したら、ね、ねこみちゃんと離れちゃうかも……」
「え……」
あ、忘れてた。その可能性……ひ、ひとりと別々のクラスに……。
「ねこみちゃんが泣きそうな顔してる……!?」
「っ!? べべべっ、別にしてねぇですけど……!?」
ひとりもなんとか言って……って崩れてんじゃないよ!
◇
とりあえず状況が落ち着いた後、そのまま結束バンドの今後の活動の予定を立ててから、
いかんせん、色々と不安はあるものの、今考えてもしょうがないことだ。
シャワーを浴びて、あと今日やるべきことと言ったら晩御飯を作るぐらいで……。
「んーっ」
今は部屋に一人、ベッドに腰掛けている。
特に見るものもないので、テレビを消して背を伸ばした。
「あ、ねこみちゃん」
「お、出たんだひとり。晩御飯そろそろ作るかぁ」
風呂から出てきたひとりがやってくる。
明日は休みなので今日は当然のようにウチに泊まりで、お互いなにも言わなくてもその辺は理解していた。
……いや、別にやらしいことなんて何もない。普通にね。一緒にいたいだけっていう。
ひとりはベッドに腰掛ける私の隣に座る。
「あ、えっと……その……」
「ん、どしたの?」
ひとりが妙にそわそわしているので聞いてみると、唸りだす。
おそらくなにかしら考えて悩んでいるのだろうけれど、今日の路上ライブも成功と行っていいし、結束バンドの今後の予定やらライブスケジュールもおおよそは決まったしで、特に理由が思いつかない。
なんというか、そうなればやっぱり原因は一つなわけだ。
「私のこと?」
「あ、う、え、そ、そう、かな……」
なんだかそわそわとしながら言い淀んでいる妙な雰囲気。
もじもじとしながら私を見るひとりは……うん、かわいい。
───てか今、
「勝った……!」
「え、どうしたの?」
「ああいやなんでも……で、どしたのさ」
ひとりの顔を覗き込むように聞けば、ひとりは目を泳がせつつも、口を開く。
「お、大槻さんと、その、くっついて、なに、話してたのかなって……」
「ああいや、くっついてたのは……」
───あれ、これってまさか……。
「な、仲良さそうに、見えた、から……」
───嫉妬!? 嫉妬ですかぁ!?
ふと、目を泳がせていたひとりの目と、目が合う。
いつも不安そうではあるけど、いつも以上に不安そうで、なんだかこっちの胸の奥がキューっとなるけど……。
ともかく、私は息を吐きつつひとりの顔を覗き込むのをやめてベッドの上に両足を乗せて座る。
───落ち着け
そもそも私がヨヨコちゃんに目移りするかもとかいう誤解は、ちょっと傷つく。
そんなわけがないというのに……なのでちょっとおしおきもかねてからかってやろうと思う。
「まぁ、ヨヨコさんカワイイよねぇ~♪」
「あぅっ……」
うっ、ちょっと良心が痛む……い、いやいや、でも私だってたまにはな!
「ヨヨコさんが彼女とか憧れちゃうよなぁ。私ってほら、ガサツで男っぽいとこあるしぃ?」
バッ、と私を見るひとりが『あわわ……』という表情をしているので、少しノッてくる。
人をからかうのが楽しい、というリョウさんの気持ちがわからないわけでもないな、と思いつつも笑みを浮かべながら私はベッドの上で不敵に笑みを浮かべた。
いや、ひとりもそんなわかりやすく慌てんでも……。
「私って男女だしぃ? ヨヨコさんの彼氏役とかぁ~♪」
瞬間、景色が変わる。
「ひゃっ!?」
気づけば、ベッドに横たわる
「……へ?」
ま、待て待て、ちょっと顔がこわいんだけど……ひとりってそんな顔、する? か、解釈違いなんですが!?
私の顔の横に、ひとりの手が置かれる。所謂床ドンのように。
「きゃっ……」
少し驚いて“らしくもない”声を出してしまうけれど、まだ私の優勢は変わってないはずだ。
とりあえず深呼吸をしようとするも、妙に呼吸が安定しないし、ドクドクと体の血液が巡っていく感覚が
どこまで話したか、なんて言ったかを思い出そうとしていると、ふと上にいるひとりが口を開く。
「似合って、ないよ……」
「へ?」
なんの話だろうと、聞き返そうとするけど素っ頓狂な声だけが宙を舞う。
ひとりの瞳が、私の顔を覗き込む、その目が私を捉えて離さない。
「ねこみちゃんは……誰よりも繊細で女の子、だよ……?」
「ぅぁっ~♡」
微笑を浮かべてそういうひとり。顔が良すぎるし、その視線は反則的で……。
───そんな顔して、かお、撫でるなぁ♡
「わ、私はっ……」
「ねこみちゃんは彼氏じゃなくて、彼女の方が似合ってるよ……私の、彼女でいて、ほしい、な……」
「はぅっ♡」
頬を撫でてた手の親指が伸び、私の目じりを撫でる。
「全然、男女なんかじゃ、ないよ……?」
たぶんひとりは、
だから、慰めるように私の頬を撫でて、私に近づいて、私の首にまた“痕”をつける。
自分の“
───違うのにっ♡ 全然っ、違うのにぃっ♡
「ひとりぃ……♡」
「ねこみちゃんは、結束バンドの、手伝いとかも色々してくれて、気が利く……かわいい、女の子」
首に痕をつけてから、耳元でひとりが囁き、左手が私の体を強く抱きしめる。
その一言一言で、臍の下に熱いなにかがこみあげてきて、疼く。
私は両手をひとりの背に回す。
「な、なかっ、きゅーって、なるぅ♡ じわぁってぇ♡」
自分の口から出る声が、あまりに自分らしくないのだけれど、すっかりそれに違和感も感じなくなってしまった。
ピンク色のジャージ越しに、背中をひっかく。
───なんでっ、いつもよりひとり、力、強いっ……♡
「ねこみちゃん……」
右手が、
フェザータッチで私のお腹、脇腹、背中と伝っていく手に、背筋にゾクゾクとした感覚が奔って、その度に体の奥の熱さが増して、お腹の奥が言葉にできない感覚に襲われていく。
知っている感覚だけれど、いつもとどこか違うような快楽。
「やだぁ♡ おんなのこ、に、なっちゃぅ♡」
「……? ねこみちゃんは昔から、かわいい、女の子だよ。それで……」
自然と、視界が潤んで歪む。
「私の───お嫁さん」
「ッッッ~~~♡」
◇
ふと目を覚ますと、カーテンの隙間から朝日が昇っていた。
身体の気怠さは“いつも”以上だけど、不快な気怠さではなくて……。
隣にひとりがいないことに気づいて上体を起こし、ケータイを探そうとするけれど、どこにあるか覚えているわけもない。
ベッドから足を降ろして座ると、テーブルの上を見て、床を見て、時計を見れば、時刻はまだ八時……。
───いや、たぶん九時間ぐらい寝てるよなぁ。
床に脱ぎ散らかしたはずの服が無いことから、たぶんひとりが片付けたんだろう。
「よいしょっとぉ……あれ、なんか声枯れてる……?」
記憶は鮮明ではない。なんなら思い出すなと本能がアラートをかけてる気がする。
「……い、いや、まぁいいか。良いな」
どうせ後で思い出すことにはなりそうだし……。
部屋の戸を明けて少し肌寒い玄関兼キッチン兼ダイニングの方へと入ると───ひとりが溶けていた。
「なんで!?」
掠れた声で思わずツッコミを入れるが、ひとりはなにも言わない。屍のようだ。
まぁ放っておいても復活するので良いとしても、とりあえずなにがあったのかだが、ふとダイニングテーブルの上に果物が置いてあることに気づいた。
リンゴにバナナにパイナップル。
───ひとりが買ってくるわけないよなぁ。
「あれ、手紙……」
果物から少し離れて、誰かが触ったかのように位置が移動しているメモ用紙。
「ん……あれ?」
ふと気づけばそれは、“こっち”にて随分と見慣れた文字。
そう、実の母親のものだった。珍しく帰ってきたのだろう……そしてこれを置いて行った。
娘と会話もしないでさっさといなくなるとは随分と薄情になったものである。と思うところだろうが、あの母親に限ってそれはないと思いたい。
なぜか嫌な汗が噴き出る。
『ママだけ帰ってきました。けど二人が幸せそうに寝てたので後藤家に行ってます。アディオス!』
『PS.避妊はしっかりね! ← ってオイ!』
あとがき
お久しぶりです
お久しぶりのぼねこです
だいぶ加減がわからなくなってますが、まぁ直接的な描写もないし大丈夫でしょう!
もっと過激な雌堕ちモノもあるし!(
とりあえずおセンシティブですが、次はおセンシティブじゃなくしたいでございます
では、また次回もお会いできればです