最強騎士に憧れて体現しようとしてるTS転生主人公君︎︎ ♀はお嫌いですか 作:H-13
ぞりッ────。地面が、木が抉れる様に形を損なう。ただの余波ではあるがそこらのモンスターでは再現不可能な暴力性を秘めた余波である。
ごばッ……!大きさ、形は違えども拮抗した腕力を持つ2つの暴力がぶつかり合えば拮抗し、足元にしているダンジョンの床が双方共に陥没する。
異形のモンスター。その尻尾には大きな傷が幾つも付き、空間を切り裂き鱗を飛ばす技は使う事が無くなっていた。
当たり前ながらシグリーヴァも無傷とはいかない。防御の為に腕や太腿を使い浅くも肌に傷が付きLv7が纏うオラリオでも最上の装備は軽く切り裂かれてる。
ここまでの攻防で目の前の異形の特性は大体掴めた。ズルズルと行けば負ける。身体の大きさ、重さが出力の根本である。拮抗しているならば、重さが足りない此方が最終的に押し負けるのは必然。
「【魔装】完全解放」
魔力の暴力がシグリーヴァの身体から吹き出すと同時にグラムに纏わりついていた魔法の光が失われる。
シグルドとしては相応しくないだろうか。剣を地面に突き刺しながら久方ぶりのスキルの全力使用に首をゴキリと捻る。
力、耐久、器用、敏捷。その全ての限界突破。身体から漏れ出し空へと登るのは魔力のロス。掌握仕切れぬ毎秒事に消費されて行く魔力を限界突破した器用で無理やり手中に収める。
「─────お゛ら゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」
音すら置き去りにして鼻っつらに神速の正拳突きを見舞う。
ブシッ…!耐久を底上げしても耐えきれぬ衝撃で血が軽く吹き出すも許容範囲…っ!目で追える異形の反撃を最低限のスウェーで躱せばお返しと馬鹿りに顎を渾身の力で膝でかち上げる。
感覚的に【クル・パキア】は使っても効果は薄いだろう。だからこそ、このスキルに全ての魔力を注ぎ込む。
超至近距離での継続戦闘。息を着く暇も無い頭部への集中攻撃は一撃で外装に罅が入り三撃も加えれば外装が陥没する。
秒間十発以上。Lv7の身体能力の限界でありそれを突破した継続攻撃。一撃すら貰っていないがその動きには自傷行為が伴う。
無理やり形となっている拳は握り拳の形を保っているが細かく骨は欠け、折れている所も少なくない。
元々傷を負い血を垂れ流していた所からは高圧の筋肉の締まりにより止血はされているが常時痛みを頭に送る。
ぷちり、ぷち。筋繊維がちぎれる感覚が次第に身体に響く。
息すら放棄したラッシュに次ぐラッシュ。
無駄な思考全て排除し異形の頭を再生される度に脳髄を潰し動きを鈍らせながら次第に攻撃範囲は胸の方へ。
限界は近い。それは異形も変わらぬこと。再生が追いつかぬ程の破壊、破壊。全ての攻撃は避けられながらも目の前の女の瞳から、鼻から血が垂れているのは見えている。
カ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛!!!!
咆哮。身体から湯気を立ち登らせながら吼える。高い知性を持っているからこその苛立ち。フラストレーションが溜まりまくった故の無防備に近いハウル。
「はは…。貴殿の矜恃、然りと我が目に刻み付けた。我が最強の敵として我が神に武勇として自慢するだろう。この一撃を持って終幕としよう。」
ごぷり…。口の中はせり上がる血の味で包まれながら砕けた指を無理やり動かし地面に突き立てていたグラムを握る。
「【魔装】出力低下」「【蒼天よ、堕ちろ。黄昏よ、来たれ】「グラム」」
自傷行為によって普段よりも動かぬ身体を傷付けぬ最大値までスキルの出力を下げてその分の魔力を魔法に回す。
「之なるは破滅の黎明────」
魔力を回す、我が業を詰め込む。何回と刻んだ空への動きは身体に染み付き───動かぬ頭を本能が支える。
「【禍津・黎明剣】」
無数の光が異形に突き刺さり、寸分違わず拳で破壊した肉丸見えの臓物にグラムが突き刺さる。
ふんわりとグラムの柄頭に添えられる両の掌。息を吐き出すが如く内側から破壊する寸勁の一撃が魔石を砕き、異形を爆散させる。
膨大な塵と共に落ちるのは異形の外装。Lv7の素の力ではどうにもならないレアドロップ品。それが二つも。慎重に拾おうとして、そのまま塵に頭からつんのめる様に崩れ落ちる。
「……?あは、あははっ」
限界を超えた身体、アドレナリンがドバドバと吐き出されているから今は笑っていられるがエリクサー使う様かな。
いつの間にか静寂と、水の音が耳に入る。向こうも終わったか。それだけわかっただけで安心である。
キュポンと栓を抜き1本丸ごとエリクサーを煽って…笑って。息を引き取るかの様に静かに意識を落とした。
決着です。ゴリラ廻戦を見てるとインスピレーション湧いてきました。次回後始末。