将来妹が鬼に殺されるかもしれないので絶対阻止したいお兄ちゃんの話   作:シグル

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後編

 

 竈門禰豆子が目を覚ますことなく季節は進み、秋。

 今日は朔の日である。俺にとってそれは、月に一度ときと屋に行く日で一種の休養日を意味していた。

 そして今夜も、いつもと変わらず軽く食事をして鯉夏と話をする予定だったのに。

 

「──あかね様。はい、あーん」

 

 ふふ、と楽しそうに笑いながら箸で摘まんだ食事を俺に差し出す鯉夏に頭を抱えたくなる。

 …どうしてこうなった。

 

 

 

 右腕を骨折した。いや、正確には罅が入っただけなのだが、胡蝶としのぶ嬢曰くそれは骨折と相違ないらしい。

 

「いいですか、一宮さん。完治するまでしっかり休んでくださいね。もちろん任務なんてもっての他ですから」

 

 姉とそっくりの笑顔を浮かべながらそう告げてくるしのぶ嬢は、俺が反論しようと口を開くとそれを咎めるように更に続けた。

 

「期間はおよそ一ヶ月。お館様には既に報告済みです」

 

 休まなければ、分かっていますね?

 笑顔で圧をかけてくるだけでなくいつの間にか拳を突き出す仕草をするしのぶ嬢に、俺は大人しく従うことを決めた。こういう時は下手に逆らわない方がいい。最悪縛られてどこかに繋がれそうだ。

 そんな訳で、俺は強制的に一月もの休養期間を与えられる事になった、のだが。

 

「飽きたな…」

 

 休養を言い渡されて十日が経った。書類仕事は早々に片付いてしまったし(そもそも溜め込んでいないから一日で終わった)、部屋の掃除をしようにも雑巾を手に取った瞬間美鶴殿に笑顔で取り上げられてしまう。子どもたちの鍛練では無一郎の素振りを見て癖を指摘するか、有一郎からの要望に答えて手本として瓢箪を割ってみせるくらいしかしていない。継子に気を使わせてしまうとは俺も師匠失格だな…。ちなみに紅葉は俺が任務に出ないならと、他の隠と共に情報収集に勤しんだり事後処理にあたっていたりする。普段俺の補佐ばかりしているから別の隊士と接するのが酷く新鮮らしい。数日前の夕餉で本人が言っていた。

 そんな、俺以外は比較的通常運転な毎日を過ごしていれば俺も流石に飽きてくるというものだ。

 

(出掛けるか…)

 

 このまま屋敷にいるよりも外に出た方が何かしら変化はあるだろう。気分転換にもなるし。

 美鶴殿に出掛けてくる旨を伝えて屋敷から出る。行く先々で近所の顔見知りたちから声を掛けられつつ、俺は先日行われた"顔合わせ"を思い出していた。

 珠世殿らと胡蝶、紅葉との顔合わせは恙無く行われた。というか、以前から鬼と仲良くなりたいと思っていた胡蝶が珠世殿と愈史郎に敵愾心を持つ筈がない。そして同性であることに加え警戒心を抱かせない笑顔に珠世殿が絆されるのも早かった。紅葉に対しても、俺の紹介なら大丈夫だろうと早々に警戒を解いていた。…いやだから信用しすぎでは?

 そしてもう一人の協力者は案の定憤怒の表情を浮かべ俺たちを睨んでいた。想定内だからなんの問題もない。一応は納得しているし。

 研究については、互いに成果について擦り合わせを行い今後の方向性を決めていくらしい。しのぶ嬢については胡蝶に一任しているが、きっと近い内にしれっと紹介を終えているんだろうな…。

 乾いた笑いが表に出ないよう噛み殺し、茶屋に入りいつかのように周囲の会話に耳を澄ませる。

 …うん、特に問題は無さそうだ。空屋敷の近くだからって気を抜く事は出来ない。寧ろ居を構えている以上、"万が一"があってはならない上よく屋敷を留守にするから油断は禁物だ。

 みたらし団子とお茶を堪能し店主と一言二言言葉を交わして再び外を練り歩く。途中幾つか菓子を見繕い美鶴殿と時透兄弟への土産にする。今日は朔の日ということもあり、鯉夏への土産も購入した。

 代金を支払う際、己の右腕が視界に入る。これまで怪我らしい怪我を見せてこなかったため、ここに居座る包帯は目につくだろう。驚かせてしまうなと少し申し訳なく思った。

 

(いっそのこと巻かないで行くか…?)

 

 ふと浮かんだ案は脳内にいる胡蝶姉妹に笑顔で却下された。しゅっしゅっと風を切る音まで聞こえてきそうだ、と早々に無かったことにする。

 取り敢えず、そろそろ帰ろう。今から屋敷に戻って支度をして遊郭へ向かえばいい時間帯になってる筈だ。

 

 

 

 いつものように部屋に通され、食事が運ばれ、それに手をつけようとしたところでいつもより早く鯉夏が入ってきた。

 そして俺の手元、正確には袖から覗く包帯を目にして眉根を下げる。部屋に通される前に楼主に会ったが、酷く驚いていたからもしかしたら鯉夏にも話が行ったのかもしれない。悲しげに揺れる瞳を視界に収め、つい苦笑が溢れ落ちた。

 

「あかね様、そのお怪我は…」

「驚かせてしまってすまない。少し仕事でへまをしてね、罅が入ってしまったんだ」

 

 すぐに治るし大したことないと伝えるも、下がった眉はそのままで元に戻る事はなかった。

 やはり治るまで来ない方がよかったかと思うものの、それでは彼女と交わした"約束"を破ってしまう。

 俺は、叶えられない約束はしない。己の意思で言葉にしたなら最後まで責任を持って貫き通すべきだ。何より鯉夏に対しては出来る限り誠実でいたい。ただでさえ偽りが多いのだからせめて交わした約束くらい守りたいのだ。

 それにしても。

 未だ心配そうな顔を崩さない鯉夏に、不謹慎ながら嬉しく思う。

 

「ありがとう。心配してくれて」

 

 けれど、うん。

 俺はやはり、お前が心から楽しそうに笑っている姿が見たい。

 左手を伸ばし、隣に座る鯉夏の頬に手を添えて視線が合うように位置を調整する。自身の目元を緩めて言葉を紡ぐために口を開いた。

 

「お前の表情(かお)ならどんなものでも見ていたいが…出来れば笑っていてくれないか」

 

 これは俺の勝手な願いだから、無理にとは言わないが。

 

「…鯉夏?」

 

 ぽかんとしていた顔がじわじわと紅く染まっていくのを近くで見つめる。僅かに潤んだ瞳を一度うろ、と泳がせた鯉夏はしかしすぐにきゅっと口を閉じて、そして──。

 

「…はい、あかね様」

 

 ふわりと、花が綻んだ。

 未だ鯉夏の頬に添えていた指先がぴくりと動きそうになったのを全力で抑える。一瞬呼吸が止まったような錯覚を覚えたが、果たして彼女に怪しまれなかっただろうか。

 そんな俺の焦燥など露ほども気づいていないらしい彼女は、小さな両の手で頬に添えたまま固まっていた俺の手を取る。

 

「あかね様」

 

 目尻をほんのりと染めたまま俺を見上げた鯉夏は、どこかいたずらっ子の顔をして言った。

 

「今宵は私にお任せください」

「…うん?」

 

 ふふ、と楽しそうに笑い膳に添えられている箸を手に取る。そしてそのまま小鉢に盛られた和え物を摘まみ…。

 

「はい、あーん」

 

 思わぬ行動に今度こそ固まってしまう。

 

「あー…鯉夏?」

「どうしました?」

「いや…流石にこれはちょっと…」

「…嫌、ですか?」

 

 再び悲しそうに下げられた眉根に覚悟を決める。25にもなって"あーん"はそれなりに羞恥心が沸き上がるのだが、致し方ない。腹を括れ、一宮あおい。

 若干顔が熱を持ち初めたものの、要望通り"あー"と口を開ける。それに鯉夏はぱっと輝く笑顔を浮かべながら嬉々として俺の口に料理を運んだ。

 

「美味しいですか?あかね様」

「…ああ。美味しいよ、とても」

 

 心底楽しそうに、そして嬉しそうにしている鯉夏の様子に、先程まで確かにあった羞恥心が霧散していくのを感じる。

 

(────)

 

 別の皿に箸を伸ばしている鯉夏を眺めながら浮かびかかった言葉は、今暫く内に留めておこう。

 せめて、この遊郭を狩り場とする鬼の尻尾を掴むまでは。

 

 

*****

 

『おまけ』

 

 

 ここ最近の日課となった炭治郎との鍛練を終え、鱗滝さんが待つ家まで戻る。今日は二人だけだが、任務の合間を縫ってやって来た真菰が合流することも少なくない。代わりに炭治郎たちを拾ってきた義勇は柱ということもあり滅多に顔を出すことはないのだが。本音を言えば、拾ってきた本人が最後まで責任を持てと苦情を入れたいところだが、任務があるのだから仕方がない。

 今日の反省点を炭治郎に伝えながら足を進めていれば、遠くに見えてくる小さいながらも暖かい我が家。帰る度に安心感を覚えるのはきっと俺だけじゃない。義勇も真菰も、他の兄姉弟子たちも。師匠である鱗滝さんを父のように、そして彼が暮らすこの家を帰るべき場所だと認識している。多くが大切な者を奪われ、家を失い、ここで共に励んできたのだ。互いに家族だと思うことは必然とも言えるだろう。

 そこまで考えて、脳裏に兄弟子である紅葉さんが浮かんだ。俺がまだ鬼殺隊士になるべく鍛練を積んでいる時から度々顔を見せに帰ってきていたが、紅葉さんからも鱗滝さんに対する深い敬慕の念を感じ取る事が出来た。俺たちに対しても実の兄のように面倒を見てくれていたのを思い出す。

 だが、と隣を歩く弟弟子に視線をやる。

 炭治郎の事は現役隊員では義勇と真菰にしか知らせていない。紅葉さんには、知らせるべきか迷って結局烏を飛ばす事が出来なかった。

 あの人は俺たちの兄弟子で家族ではあるけれど、空柱付きの隠でもある。その立場を誇りに思い、全身全霊でもって一宮さんを支えている姿を俺は何回も見てきた。そんな紅葉さんが、禰豆子と炭治郎の事を知ったらどうするのかなんて容易に想像できる。真っ先に一宮さん──空柱に報告するだろう。そしてその後の展開を、俺は読むことが出来ない。

 直接聞いたわけではないが、一宮さんが鬼殺隊に入った理由に身近な誰かの死は無いという。しかし、これまで任務をこなしてきて鬼の残忍さや狡猾さを嫌という程理解している筈だ。つまりどんな鬼だろうと殺す事に抵抗はない。いや、鬼殺隊士ならばそれが当たり前なのだが。

 

( …一宮さんは、禰豆子を斬るだろうか)

 

 人を食わない鬼。初め聞いた時はとても信じられなかったが、義勇と鱗滝さんは実際にその場を目撃している。義勇は禰豆子が炭治郎を守ったところを。鱗滝さんは血を流す人間を見て尚飢餓に耐える姿を。その話を聞いてしまえば、信じない選択肢など存在しなかった。

 

「…あれ、知らない匂いがする。お客さんかな」

 

 考え込んでしまっている内に家に着いたらしい。くん、と鼻を鳴らす炭治郎を横目に気配を探る。禰豆子のものであろう小さな気配ともうひとつ。

 

「鱗滝さん、只今戻りました」

 

 戸を開けばふわりと香る出汁の匂い。そして視界に入る、土鍋の様子を確認する紅葉さんの姿。…は?

 

「お。おかえり、錆兎」

「えと…只今、戻りました…」

 

 にっと人好きのする笑顔を見せた紅葉さんはそのまま俺の後ろを見やる。

 

「それで君が新しく弟子になった竈門炭治郎かな?」

「はい、竈門炭治郎です!えっと…」

「俺は紅葉。君と錆兎の兄弟子にあたる」

「紅葉さんですね。よろしくお願いします!」

「ああ、よろしく」

 

 にこやかに挨拶を交わす二人に止まっていた思考を回す。

 紅葉さんがここにいる理由として挙げられるのは二つ。まず単純に顔を見せに来ただけ。定期的に帰って来ている紅葉さんならあり得ない話ではない。そしてもう一つは、空柱付きの隠として来た説。正直前者であってほしいが可能性はこちらの方が高いだろう。だって紅葉さんが着ているのは隠装束だ。ついでに奥に頭巾だって見える。もはや確定じゃないか。

 

「錆兎」

 

 …そういえば、この間鱗滝さんが烏にお館様への手紙を託していたな。

 そこから導き出される仮説に頭を抱える。まさかお館様から一宮さんに話が行ったのか。確かに一番付き合いは長いだろうし義兄弟だとも聞いていたが、極秘事項になるであろう禰豆子の事まで話す仲とは。そしてその話を一宮さんが紅葉さんにするとは。まさに不覚…!

 

「錆兎ー?」

 

 いや落ち着け鱗滝錆兎。男ならば与えられた情報を余すことなく頭に落とし込め。

 紅葉さんの様子からして、禰豆子を討伐しに来たとは思えないしそもそも"鬼"の首を斬るなら隊士である一宮さんは必須。加えて炭治郎が特に反応を示さないという事は禰豆子に変化がないという事。つまり、禰豆子の存在が容認されたと考えていい、のか?

 

「ほいっ」

 

 ぱちん!と目の前で柏手が打たれる。はっ、と意識を戻せばそこには呆れた様子の紅葉さんと心配そうに俺を見つめる炭治郎がいた。

 

「大丈夫か」

「…ええ、すみません。大丈夫です」

 

 いけない。いくら安全な場所とはいえ気を抜きすぎた。

 ふう、と一つ息を吐き出す。その間に炭治郎は紅葉さんにから外にいる鱗滝さんを呼びに行くよう伝えられていた。

 戸が閉まり、炭治郎の気配が遠くなっていく。

 

「さて。先にお前の懸念事項を片付けておこうか」

 

 取り敢えず座りなさいと促されて適当な場所に腰を下ろす。

 

「どこまで把握してる?」

「…鱗滝さんがお館様に手紙を出した事しか知りません。が、その内容がおそらく禰豆子の事で、お館様から一宮さんに、そして一宮さんから紅葉さんに話が行ったのだろうと推測はしてます」

 

 先程考えて至った結論を話せば、我が兄弟子は感嘆の声を漏らし俺に事の経緯を教えてくれた。

 …そうか、一宮さんは一先ず斬らない選択をしたか。今はそれが分かっただけでも十分だろう。

 あの人は影響力が強い。本人が自覚していようがいまいが、彼の発言や行動が他の隊士の指針となっている事は事実だし、内外においても顔が広い。加えて今回はお館様の名代で来たという。一宮さんの──空柱の判断は、それ即ちお館様の判断だ。他の柱がどうであれ"上"を味方につけられたならこちらにも勝機はある。

 

「あとの決定はあの子が目を覚ましてからだな」

 

 知らず知らずの内に安堵の息を吐いていたらしい。付け加えるように紅葉さんは言った。それに頷きつつも、ふと気になることがあったので思いきって聞いてみる事にする。

 

「…紅葉さんは、どう思われましたか」

 

 外から鱗滝さんと炭治郎の声が聞こえてきた。そう時間もかからずに帰ってくるのだろう。

 

「──炭治郎は、いい子だな。まっすぐで、言葉を偽らない」

 

 そう言葉を紡ぐ紅葉さんの表情がとても優しくて、暖かくて。

 

「信じるよ。お前たちの事はもちろん、あの子たちの事も」

 

 訳もなく泣きそうになってしまったなんて、本当に、男らしくない。

 





・まさかこの年で"あーん"されるとは思ってなかった人(25)
 緊急で呼び出されたからそれなりに覚悟を決めて行ったけど想定外の内容にびっくりした。常に自分は耀哉(お館様)の目であり耳であり手足だと認識しているけど、明確に"代わり"を頼まれる事は滅多にないので慎重にもなる。
 以前天元に"過去は見れないのか"と聞かれてからなんやかんや練習し、見れるようになった。禰豆子に関しては今後要検証。
 腕の罅は崩れた家屋から隠(紅葉じゃない)と子どもを守った事が原因。五体満足で生きているだけ御の字だと思っているのでこの程度の怪我は全て掠り傷。
 鯉夏に買ったお土産はキャラメル。禿の子たちと分けてお食べって食事後に渡した。
 尚、左手での訓練が功を奏して現在では両利きと言っても過言ではない。
 ちなみに公と私で意識を切り替える事は得意。


・弟弟子から知らせが来なくてちょっとだけ拗ねた人(28)
 確かに俺はあおいの隠だしそんな話聞いたら確実に報告というか相談するけどそれはそれとして知らされないのは寂しい。ってなった。
 隠なので一通りの応急処置や採血は出来る。鬼と聞いて複雑だったけどオリ主の話を聞いて納得したし、鱗滝さんからの話と炭治郎との会話で完全に身内に入れた。
 何年か前にオリ主がお館様から頼まれ事をされていたのは知ってる。まさかの内容だったけど、炭治郎と禰豆子もいるしな…と早々受け入れた。
 この人も公と私の切り替えは上手。


・常に“男らしく”を座右の銘にしてる人(19)
 色々考えた結果兄弟子には報告しなかったのに結局話が行ってて頭を抱えた。まさかお館様→オリ主→紅葉となるとは…。お館様とオリ主の間にある信頼感とかを正確に測れなかったのが敗因。第三者がいる時の対応しか見てないからね、仕方ない!
 兄のように思っている人に正面切って“信じる”と言われて嬉しかったし、その時の表情にとても安心しちゃって涙腺が刺激された。墓まで持っていく秘密が出来た瞬間である。


・この度鬼を連れた子どもを弟子にした人
 オリ主の事は紅葉や錆兎から話を聞いていたから知ってるけど、実際会ってみると印象も変わる。紅葉から聞いていたよりも容赦がなくて、でも錆兎に聞いていたよりも柔軟だった。
 口面をつけているとはいえ寝ている禰豆子に顔を近づけた時には驚いた。事情を知らなきゃそりゃ驚く。


・嬉々として"あーん"をした人(17)
 オリ主の怪我を親父さまから聞いて急いで部屋に向かった。罅が入っただけですぐに良くなるって言われたけど痛くない筈がない。お願いだから"大した事ない"だなんて言わないで。
 頬に手を添えて視線を合わせられたのも、言われた言葉も恥ずかしかったけど、でもそれ以上に嬉しかった。"あーん"は悪戯とか意識してくれないかなとか色々考えていたけど、何はともあれ楽しかった。今度は怪我とか関係なく出来たらいいなとお花を飛ばしながら布団に入った。
 尚、オリ主が左手でも食べられる事には気づいていない。



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以下補足&あとがき

 あおいは耀哉に全幅の信頼を寄せているから彼の言葉は基本疑いません。だから今回「嘘ではないだろう」って言われた時点で会って速攻斬る選択肢は消えてる。けれど同時に「確かめてきて」って言われたから話を聞いた上で斬る選択肢は残していた。だから鱗滝さんの牽制にはちゃんと意味があります。

 あおいをお館様の全肯定botにはしたくないんですが、かといって全て疑わせるわけにはいかないから加減が難しい。ちなみにこれ、あおいと紅葉にも当てはまる話ですね。紅葉は紅葉で「俺はあおい(空柱)の隠」っていう思いがあるから基本疑わないし支持もする。でも間違いは諌めるっていうそういう関係性が書きたい!頑張れ私の表現力!

 炭治郎なら身内の血なら何がなんでも嗅ぎ取りそうだなって思いながら書いてました。が、今回はあれです。多分換気かなんかしたんです。だから炭治郎は気づいてません。
 いやね、大事な妹が採血だろうが自分の見ぬ間に傷つけられたって知ったら絶対キレるだろうなって。あおいももちろんそれは理解してるんだけど(だってあおいもシスコン)、それは一宮あおい個人の感情であって柱としての思考ではない。だから最低限の気遣いとして普通の注射器を使ってなるべく傷を小さくした。珠世殿の注射器は短刀を模してるから傷が大きそうだなと(作者が)思ったので。
 あと初めて会う紅葉の第一印象が悪くならないようにという気遣い(?)も含まれてる。
 それはそれとして、もしあおいが冨岡さん→鱗滝さんの手紙を読んだら、「…冨岡は、手紙だと普通に話せるんだな」という感想が出て来て紅葉を笑わせます。

 珠世殿たちに人を紹介するにあたって、当たり前ですが愈史郎は盛大に反発します。が、

「今多少の我慢をして鬼殺隊と関わりさっさと終わらせ二人の時間を手に入れるか、嫌だ嫌だと駄々をこね長期的に鬼殺隊と手を組んで時間をかけて終わらせるか。どっちがいいか選びなさい」
「うぐ…っ」

という会話によって渋々、本当に渋々納得しました。でも嫌なものは嫌なので愛想よくなんてしてやらないし、暫くはあおいが来てもお茶請けは出さない。でもきっと時間が経てばまた出してくれるようになる。
 ちなみに。珠世さんは紅茶しか飲まないからこのお菓子は愈史郎からあおいに対する無言の好感度の現れです。ツンデレってやつです。このシリーズではそういう設定なので「へぇー」で流してください。

 ここまで読んでくれてありがとうございました!
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