後書き欄に次回作のアンケートがあります。
「早く...早く...っ!!」
エレベーターに駆け込んだ私は屋上を示す『R』のボタンをひたすら連打していた。
そんな事をしたところで速度が上がらないのは分かっている。でも、何かしていないと変になりそうなくらい気が動転していた。
屋上はいち早く辿り着くには最善手だと分かっているものの、もういっそのこと階段で駆け上がってしまおうかと思うくらいエレベーターのゆったりとした動作音がもどかしい。
「お願いします...! それだけは...どうかそれだけは...っ!」
私の考えが正しければ、私がシャーレへ来る前に先生は屋上に向かっていたはずだ。やりかけの仕事を残して私から逃げるように。
私のあの発言が原因で思い詰めて...そんな最悪の未来が頭の中でこびりついて剥がれない。
やがてエレベーターが屋上に到着してゆっくりと開き始めるが、その隙間に両手を差し込み、こじ開けるようにして強引に突破する。
目的の人物は────いた。
屋上の柵に手をかけて黄昏れるように空を見上げている。
突風が吹けばそのまま落ちて消えてしまいそうな、どこか寂しさを感じさせるような背中は私の知っている先生よりも小さく見えた。
間に合った事に安堵したのは一瞬だけ。
まだその柵を乗り越えてしまう可能性がある。そう思うと喉がヒュッと締まり息苦しさが込み上げてきた。
「待ってっっ!!」
全身に力を入れてありったけの声で叫ぶ。
私の人生最大の大声にその背中はビクッと反応し、首だけを動かして驚いたようにこちらへ顔を向けてきた。
「...ノア?」
私がこの場に来る事を予想していなかったのだろうか。目を丸くしてその場に硬直している彼を目掛けて一気に距離を詰める。
これが火事場の馬鹿力とでもいうのだろうか。運動に自信の無い自分がこんなに速く動けるのかと驚いたが、そう思っている間にも私は彼の身体抱きしめるように掴み、柵から引き剥がして床へ叩きつけていた。
「痛っ!?」
痛みを与えたことに申し訳ないと思う暇もなく身体は自然と動き続け、倒れた先生に跨って両手を使って彼の手首を押さえつける。
「はぁっ...はぁっ...! 早まったら...っダメです! 昨日のことなら何度でも謝り...ますからっ! 貴方が望むなら今すぐこの場からいなくなりますから...どうかそれだけは...っ!」
謝罪の言葉、説得の言葉、言わなければならない言葉が脳内にブワッと溢れてくる。
しかし、緊張と先程までの全力疾走で呼吸すら辛い今の状況では、どれが適切な言葉なのか考える余裕はなかった。
「お願いしますっ...! 全部私が...悪いんです! どうか...考え直してください...っ!」
捲し立てるように言葉を吐き続けていると、ポタリと雫が彼のシャツに落ちた。感情が昂っているからなのか、いつの間にか泣いてしまっていたらしい。
しかし、当の本人はそんな私を見て未だに目をパチクリと開いたまま、困惑したように口を開いた。
「えっと...何か勘違いしてない?」
「...え?」
☆☆☆
「ノアに会う前に自分の考えをしっかり整理しようと思ってね...。君が来る前には戻るつもりだったけど、思ったよりボーッとしすぎたよ」
「...つまり、身投げを考えて屋上に来たわけでは無いと?」
「うん、驚かせちゃってごめんね」
そう言う彼の申し訳なさそうな笑顔は私が何度も見たことのあるものだった。
「良かったっ...」
自分の杞憂だった。それを確信した途端、全身の力が抜けて馬乗りの状態から横に倒れ込む。
「ノア!?」
身体が自由になった彼が驚いたように跳ね起きて、私の肩を抱くようにして上半身を持ち上げてくれる。
流石に少し恥ずかしい気もしたが、先程までの緊張の反動なのか手足に力が入らず体重を預けることしかできなかった。
「大丈夫...です。ホッとしたら力が抜けてしまっただけなので」
「ごめん、余計な心配をさせてしまった。時間も守れないようじゃ大人失格だね」
「いえ...私が悪いんです」
彼に支えられながら頭を横に振る。
心配そうに覗き込んでくる彼から目を逸らしてしまうのは、気まずさ故なのかそれとも罪悪感からなのか、はたまたその両方なのか自分でも分からなかった。
「私が貴方の気持ちも状態も考慮せずにあんな事を言ってしまったから...自分の記憶の中にある先生の事ばかり考えて...目の前にいる人のことをしっかり見ようとしていませんでした...」
「...」
「謝って許されるような事ではありません。先程も申し上げた通り、そちらが希望されるなら今すぐこの場から消えます。他にも優しくて頼りになる子は沢山いますから...例えば病院で一緒にいたユウカちゃんとか──────」
「ノア」
お互いのためにもこのまま一気に吐き出して当番を変えてもらおう。
そう思ってユウカちゃんの名前を出したところで彼に静止される。
未だに力の入らない私を支えてくれる大きな手に力が入ったような気がして、私は黙らざるを得なかった。
「さっきも言ったように僕がここにいたのは考えを整理したかったからなんだ。...君に言われた言葉に対する自分の気持ちをね」
「っ...」
再び聞いた“僕”という先生なら絶対に使わない一人称にズキリと頭が痛む。
こんな事になったのは己の発言せいなのに、まだどこかでこの人を先生だと認めきれていない自分がいる。
「ごめん、ノア」
「えっ?」
「あの後、シャーレにあった資料を見てキヴォトスの子達について調べていたんだ。君の特徴は細かい点も瞬時に憶えられる圧倒的な記憶力...きっと今の僕は、君の理想とする先生の行動とかけ離れているんじゃないかな。だからあの言葉が出てきてしまった」
「...」
何も言い返せなかった。
あの後に自分のことを調べていたという事と、こちらの苦悩を完全に見通してきた事に対する驚き。ただ黙っていることしかできなかった。
そんな私の沈黙を肯定と受け取ったのだろう。また彼は申し訳しそうな表情を浮かべる。
「僕のせいで君を苦しめてしまった」
「そ、そんな事ありません! あの発言は私が未熟者だっただけで...!」
「その発端を作ったのは僕が記憶喪失になってしまったからだよ」
「だからね」と前置きして彼は私の肩から手を離すと、正面にまわり込んでしゃがみ込み、まだ座り込んだままの私と目線を合わせてくる。
まだ罪悪感が拭えないために目を逸らしたかったが、彼の真剣な眼に吸い込まれるように動けない。
そして彼は大きく息を吐き、何かを決意したかのように小さく頷いて口を開いた。
「君の知る先生を僕に教えて欲しいんだ」
「...はい?」
何を言っているんだこの人は、というのが最初に出てきた正直な感想だった。
口を開けて呆けてしまっている私の表情がおかしかったのだろうか、彼はクスリと笑ってみせる。そして私の両肩に手を置いてきた。
「記憶力の良いノアなら記憶を失う前の僕をよく知っているはずだから。今までどんな風に過ごしていたか、よく行っていた場所とかルーティンとか、どんなに細かいことでも構わない。もし僕が以前の僕と違う行動を取ったら教えて欲しいんだ」
「違う点があれば指摘する、という事ですか...」
「そう、かつての僕がとっていた行動を再現すれば、何か思い出せるきっかけになるかもしれない」
「ですがそれは...」
彼にかつての先生を教えながら必要に応じて行動を否定する。それは先生を取り戻すために、目の前にいるこの人の存在を否定するということとも言える。
それは私がつい昨日やってしまったことだし、それで結果的に彼を傷つけてしまった。だから、その提案に乗る気にはならなかった。
言葉に詰まってしまった私を見て、先生は申し訳なさそうに私の肩から手を退ける。
「ごめん、急な話だったね。無理だと言うなら無理強いはしないよ。でも君のためらいが僕のためだというのなら遠慮はしないで欲しい」
「いえっ...その、私自身は大丈夫ですが...貴方は...本当にそれで良いんですか?」
誰かを否定するのは決して気分の良いものでは無いが、決して出来ないわけではない。本人がそれで良いというのなら尚更だ。
でも、それ以上に彼の方が心配だった。
当然ながら否定されるのは辛いことだ。それも悪い事をしたわけでも無いのに、自分の日常的な行動に注文を付けられるとなればそのストレスは相当なものになるだろう。
実際にやらかした私がこんな事を言うのはおかしいかもしれないけど、指摘し続けることで、記憶が戻る前にどこかで壊れてしまわないだろうか。
そんな考えが頭の中を巡り続けているせいで、素直に首を縦に触れなかった。
「さっきも言ったように僕のことなら気にしないで欲しい。一晩じっくり考えて出した結論だからね」
「分かりません...。どうして...あんな事があったばかりなのに...。その提案は...今の貴方自身の存在が否定されるのと同じなんですよ...?」
「どうして...か。今の記憶を失った自分についてずっと考えて、その中でいろんな思いはあったけど、一つだけ変わらない思いがあったんだ」
彼はそこで言葉を区切ると目を閉じて一度、深く深呼吸をする。そして再び開いたその目は、先程とはまた違う真剣な瞳に変わっていた。
私はこの顔を知っている。何度も見てきた。
普段は少しだらしなくてユウカちゃんに小言を言われては縮こまっている。そんな先生がいざという時に見せる顔。
「これ以上、生徒達に辛い思いはさせたくない」
いざという時に頼りになる────覚悟を決めて自分の責任と義務を果たそうとする時の...大人の顔だ。
「────っ」
切れて無くなったと思っていた彼と先生を繋ぐ糸が、この瞬間に再び繋がったような気がした。
生徒のことを第一に考えて、そのためなら無茶とも言えるような行動すらも実行しようとする。私の知る先生がそこにはいた。
いや、もともと先生はそこにいたのだ。
記憶がなくなっても、以前とは違う部分があっても先生という人の本質は何も変わっていないのだと。
私が勝手に理想を押し付けて、先生と彼を切り離して見てしまっていただけなのだから。
「ノア、自分を取り戻すために君の力を貸して欲しい」
「私でいいんですか...? あんな事を言った私を...許して頂けるのですか...?」
「もともと怒ってないよ」
目頭が熱くなってきたのを感じて咄嗟に顔を俯かせる。
情けなさや恥ずかしさ、謝罪や後悔と色々な感情が鍋でかき混ぜられたようにごちゃついていた。
でも、その中で一際大きく出てきた感情は、先生が変わらず先生であることを実感できた喜びだった。
「是非────よろしくお願いします。“先生”!」
零れ落ちそうになる涙を拭かずに精一杯の笑顔を向ける。
昨日とは違う。今度はすんなりと“先生”と呼ぶことができた。
☆☆☆
2週間後
〜シャーレ部室〜
あれから早くも2週間が経過した。
仕事の吸収は順調に進み、とりあえず事情を知っている生徒なら当番のバトンを渡しても問題ないくらいにはなったと思う。
そして“先生”の要望通り、仕事に加えて先生が行なってきたルーティンや癖などを教え込むのも、私の日課になっていた。
「“先生”、コーヒーをお持ちしました」
「ありがとう、ノア」
仕事が一区切りしそうなタイミングを見計らって私が机の上にコーヒーを置くと、“先生”は右手でペンを持ったまま左手を伸ばしてコーヒーカップを掴む。
「“先生”、左手で持ってますよ?」
「おっと...」
私が指摘すると“先生”はカップから手を離し、右手のペンを離してそのままカップを掴んで啜り始めた。
「指摘ありがとう。いつもいつも悪いね」
「お礼を言われるようなことではありませんよ」
「でも、こっちで掴む癖を身に付けるのは難しいものだね。前の僕...私は面倒だと思わなかったのかな」
「先生は効率よりも自分のやりやすさを重視する人でしたから。そっちのほうが本人にとっては“しっくりくる”飲み方だったのだと思います」
“先生”が記憶を失う前の先生と違う行動をとれば指摘する。そんな私と“先生”の奇妙な関係も想定より順調に進んでいた。
きっとそれは指摘されても嫌な顔一つせずに修正しようとする“先生”の優しさと、今の自分を無視して以前の自分を取り戻そうとする覚悟があるおかげだ。
「それで...記憶の方は如何でしょうか?」
「まだこれといって変化はないかな...。真似事をしたところで簡単にはいかないと分かってはいたけど...ごめんね?」
「そんな...謝らないでください! こういうのはゆっくり、焦らないのが大事ですから」
「...そうだね。ありがとう」
“先生”を先生と同じだと心の底から認識できた2週間前のあの日から、私も精神的に余裕が生まれてきたのだろうか。こういうちょっと変わった日々が楽しいと思えるようになってきた。
もちろん早期解決に越したことはないし、時間的猶予があるわけでは無い。
でも、本人が記憶を取り戻すことに積極的である以上、現状としてはこれ以上ないくらい順調ともいえる。今は焦りが最大の敵だとお互いに言い聞かせるようになっていた。
「さて、本日のお仕事も後少しですから頑張りましょう」
「その前にちょっと待って、ノアは明日予定とかある?」
「明日ですか? 報告書の作成以外は特に何もありませんよ」
「それならこっちも休みの予定だからお出かけとかどう? 2週間ずっと付きっきりだったお礼がしたいんだ」
「お礼だなんて...私はただ自分の出来ることをしただけですし、それにとんでもない無礼までしてしまったのに...」
“先生”の言葉に思わず顔を俯かせてしまう。
あの時言ってしまった最悪の一言をまだ私は引きずっていた。
今があるのは“先生”が強い人だったからであり、あの時“先生”が屋上からの身投げを選択していたら今の私はどうなっていたのだろうか。
そう考えてしまう夜もあり、そういう時はしばらく眠れないまま過ごしていた。
今この時間は楽しいと思うようになったけれども、そんな自分がお礼をしてもらうなんて烏滸がましい。そんな考えが拭えずにいた。
「ノア、よく聞いて」
ふと、手が暖かいものに包まれた感覚がしてハッと顔を上げると、先生の両手が私の手を優しく包んでいた。
「せ、“先生”?」
「ここまで私に色々と教えて導いてくれたのはノアだよ。癖の指摘も記憶力に優れている君にしか出来ないことだ。まだ改善の兆候はないけれど、このまま続けていればいつか...そういう確信があるんだ」
「.....」
「初めての当番がノアで本当に良かったと思ってる」
「...っ」
暖かい手と優しい笑顔。その全てが自分に向けられ、心臓がキュッと締まったような気がした。
でも、嫌な感じは全くしない。大好きなユウカちゃんと一緒にいる時と似ているようでまた違う。暖かくて、それでも今まで感じたことのないような感覚だった。
「“先生”がそう仰るなら...喜んで」
「よし、決まりだね。そうと決まったら明日に疲れが出ないように早く終わらせてしまおうか」
☆☆☆
その日の夜
〜セミナー生徒会〜
少しフワフワした気分のままシャーレでの当番を終え、ミレニアムに戻ってきた私はそのまま生徒会室で書類を作成してユウカちゃんに手渡した。
「以上が今日を含めた2週間での記録になります」
「ありがとう。それとお疲れ様。2週間も大変だったでしょう?」
「意外と楽しかったですよ? “先生”は先生だと思えば、記憶がないとはいえ新しい一面を色々とみれた気がします」
「そう...それなら良かったわ」
その“良かった”は私も対象に含まれているのだろう。
ユウカちゃんは私の異常を見抜いていてそれでも私が押し切ったから、相当な心配とストレスを与えてしまったのは想像に難く無い。
それは本気で安堵している彼女の表情が物語っていた。
「ユウカちゃん、心配をかけてしまってごめんなさい...」
「謝らなくていいわよ。むしろ謝るのは負担をかけたこっちの方だし...。それにしても、先生の記憶についての進展はなし...ね。簡単には上手くいかないとは思っていたけど...」
「“先生”自身は記憶を取り戻すことに対して積極的なので良い傾向だとは思います。休養日を挟んで明後日からは別の方が当番に入るので、何かきっかけを捕まれば良いのですが...」
「そうね。それについて私から提案があるのだけど」
「提案ですか?」
ユウカちゃんは机の上に置いてある小さめの置き型カレンダーを目の前に持ってきて、いつも使っている愛用のペンで印をつけていく。
「さっきも話した通り最初の2週間が終わって、次回からは事情を知る他の生徒が当番に入ることになるわ。でも、記憶力のあるノアは先生の変化を見つけるために、その後も当番の回数が多めになっている」
「はい、これだけの回数をもらっていますから今度こそ────」
「予定を変えてノアの当番をもう少し他の人に分け与えてみようと思うの」
「────え?」
スッと背中を冷たい風が通り抜けたように冷え込んだ気がした。思わずユウカちゃんの顔をまじまじと見つめてしまう。
すると、カレンダーから私の方へと視線を移したユウカちゃんが、ギョッとした表情でワタワタと両手を振り出した。
「あ、べ...別にノアのここまでの成果に不満があるわけじゃないのよ!? むしろ先生に仕事を教えて、記憶に関しても前向きにしてくれたんだから、充分すぎる成果だと思ってるわ!」
慌ててフォローしてくるユウカちゃんの様子を見て、ようやく自分の顔がこわばっていることに気がついた。
無意識のうちに険しい顔になってしまったのだろうか。別に彼女を威圧するつもりは無かったので、グニグニと自分の顔をマッサージして笑みを向けてみせる。
「ごめんなさい、急な話だったので驚いてしまっただけです」
「そ、そう? じゃあ話を戻すわね。今回の提案は他の生徒達との接触を増やす事が目的なの」
「なるほど、色んな子達と交流機会を増やして“先生”の記憶領域に刺激を与えるという事ですね」
「そういうこと。あとはノアの負担を軽減したいっていう気持ちもあるの。でもノアの意見を聞きたいと思ったから、まだ構想段階で他の学園には言っていないわ。...どう?」
早めに解決したい問題に対して合理的な提案だと思う。
色んな生徒が接触すれば、“先生”が記憶を取り戻すきっかけを作れる可能性が高まる。それに私の当番の回数を減らせば、他の学園から独占の疑いをかけられる事もなくなる。
そしてユウカちゃんの私に対する優しさも含まれた提案だ。きっとこの2週間、私に任せきりになった事に対して自責の念に駆られているのだろう。
この提案は“先生”にとっても、ミレニアムにとっても、ユウカちゃんにとっても良いことずくめだ。
でも──────
「ごめんなさい、ユウカちゃん。せっかくの提案ですがやっぱり私を多めに当番へ入れてもらえませんか?」
“先生”と会う時間が減ると考えてしまった途端──────なぜか私の心はざわつき、気がつけばユウカちゃんの提案を断っていた。
断られるのが想定外だったのだろうか、ユウカちゃんは少し驚いた表情で私を見つめてきた。が、やがて小さく溜息を吐くとまた心配そうな眼差しを向けてきた。
「...分かったわ。本当に無理だけはしないでね」
「もちろんです」
夜も遅くなってきたのでそこで話は終わり、ユウカちゃんに挨拶をしてから生徒会室を後にした。
「私...どうして...」
誰もいない廊下でぽつりと呟きが漏れる。
ユウカちゃんの提案を断った自分に驚いてしまっていた。様々な角度からどう考えても乗るべき提案だったはずだ。
そう思っていたはずなのに、勝手に私の口が動いて拒否の言葉を告げていた。
明日は“先生”とお出掛けがあるから早めに寝る必要がある。
でも、この胸のざわつきの正体が分からない今夜は、簡単に寝付けそうにはなかった。
あと1話だけ続くんじゃよ(予定)
アンケートの次回作ですがキャラによっては、現時点での構想だと多分短め(2〜3話くらい?)になるかなと思います。
次に見たいのは?
-
月雪ミヤコ
-
聖園ミカ
-
伊落マリー
-
愛清フウカ