生徒たちが幸せになったり曇ったりする話   作:まにまに先生

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許さんぞ陸八魔アル



浅黄ムツキは先生に傷を負わせる②

 

 

 私を呼ぶ先生の声、腕を掴まれて投げ飛ばされ、直後に聞こえてきた衝突音。

 起き上がった私の前に広がっていたのは、車体が凹んだりガラスが割れたりしている数台の車と倒れたまま動かない1人の男性だった。

 

「え...ぇ...?」

 

 何が起きたのか理解できなかった。或いは脳が理解を拒んだのかもしれない。

 車が壊れているのも、誰かが倒れているのも学生が銃を持ち歩くキヴォトスでは珍しい光景ではない。

 なのに息が苦しい、胸が締め付けられるように痛い。脚が震えて力が入らない。

 

 少し遅れて聞こえてきた悲鳴が耳に入ったところで、目の前で倒れている男性が先生だと理解した。

 

「せ、先生...?」

 

 悲鳴や怒号が入り混じった耐え難い雑音が響く。

 両手をついた四つん這いで恐る恐る先生に近づく。先程まで追いかけっこしていたのが嘘みたいに地面に伏したままピクリとも動かない。

 変なところがある人だけど、こんな路上で寝るなんて先生らしくない。早く起こさないと。

 

「ね、ねぇ...先生? 何でそんなところで寝てるの? 危ないよ...?」

 

 ────べちゃり

 先生に触れた手から嫌な音が聞こえた。同時にぬるりとした生暖かい感触と鉄臭い匂いを身体が感じ取る。

 

 ゆっくり手を離して見ると、掌は真っ赤に染まっていた。

 

「ひッ...!?」

 

 小さな悲鳴が口から漏れる。

 血ぐらい見慣れているはずなのに、今まで仕事をしている中で何度も見てきたのに────どうして先生から血が流れてるの? 

 

「ぁ...」

 

 そうだ。

 先生と追いかけっこをしていた私が車に轢かれそうになって、先生がそれを庇ったんだ。

 じゃあ先生が倒れているのは車に轢かれたから? 犯人はどこ? 先生をこんな目に合わせるなんて許さない。見つけ出して徹底的に潰してやらないと。

 

 

 いや、違う。根本的な原因は他にある。

 

「ぁ...あぁ...!」

 

 私だ。

 私が調子に乗って後ろを確認しなかったから、段差に気づかず足を踏み外したから、そんな私を先生が庇ったから。

 ────私のせいで先生が轢かれたんだ。

 

「いやあぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁっ!!!」

 

 再び目に映った先生は手足がありえない角度に捻じ曲がり、血溜まりの中に沈んでいた。

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 

 ××××年××月××日

 

 ゲヘナ近郊の公園に面する車道にて交通事故が発生。

 被害は軽傷者4名、重傷者1名、容疑者の乗用車が起こした追突などによる車の破損8件。

 車の破損については軽い凹みから走行不可まで様々であるが、幸いにも乗っていた人たちは無傷か軽傷で済んだ。

 

 ただし、たった1名の重傷者がシャーレの先生であり、奇跡的に一命を取り留めたものの現在もまだ意識不明である。

 事故当時の現場では複数の生徒が確認されているが、その中にゲヘナ学園の浅黄ムツキの姿があったことが確認されている。

 当時は気絶していた状態で外傷が無かったことから、事故の瞬間を見てしまったことによるショックで気を失ったと考えられる。

 

 事故を起こした容疑者は事故を起こす前から規定を上回る速度で走行しており、D.U.にてヴァルキューレが取り締まろうとしたところ逃走を開始、後の事故につながった。

 

 容疑者の供述によると、先に飛び出してきた女子生徒を庇う形で先生が車道へ出てきたとのことだが、現在他の目撃証言が事故直後のものばかりであるため真偽の程は定かではない。

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 

 〜ゲヘナ学園〜

 

「ヒナ委員長。以上が現段階で判明している情報です」

 

「はぁ...なるほどね。アコもお疲れ様」

 

 アコからの報告を聞き終わってから大きく溜息を吐く。

 先生が事故にあったと聞いたときは頭の中が真っ白になり、思わず立場を忘れて取り乱しそうになった。

 直接現場に急行したときは先にいたヴァルキューレが処理を進めていたので、平静を装いながら引継ぎなどを進めていたが先生の事しか頭になかったのは内緒。

 今もまだ先生の意識は無いままなので油断はできないが、とりあえず手術は無事に成功したそうなので一安心ではある。

 

 

「それにしても言い方は少しアレかもしれませんが、情報を見る限りよく先生は助かりましたね。こんなスピードの車とぶつかれば、私たちでも相当なダメージは受けそうですけど..」

 

「後方とはいえ戦場に立つこともあるんだから、何か咄嗟に身を守る手段があったんじゃない?」

 

「なるほど...まぁ、悪運の強い方ですから簡単には死なないと思っていましたが」

 

 

 そんなことを言っているけど、当時のアコもかなり動揺していたのは知っている。彼女がパニック気味に部下達へ変な指示を出している様子を見てむしろ私の方が落ち着いたぐらいだ。

 ただ慌てていたのは私も同じだし、彼女も気持ちも充分理解できるので、それについては指摘しないでおこう。

 

 

「そういえばチナツからの連絡は?」

 

「まだ何も。とっくに用事は終わっていると思いますが…」

 

 

 現在、イオリは風紀委員達を連れて見回りへ向かっており、チナツは先生の入院している病院へ向かってもらっている。

 余計な混乱を避けるために先生に関する事故の情報は『命に別状なし』という点以外はほとんど伏せられていた。面会はもちろん、先生がいる病院に立ち入るのも受診などの利用目的がある人以外は禁止。

 ただし、各学園の生徒会もしくはその代理組織には“組織外には広めない”という条件のもとで詳細な情報が入るようになっており、面会を目的とした病院内への立ち入りも許可されている。

 

 ゲヘナでは先生の生死が分かったタイミングで万魔殿の代理として風紀委員会がその立場になった、というか役割を押し付けられた。

 でもそれに対して不満はなくむしろ感謝している。先生の情報をいち早く知ることができ、面会にも行けるのだから。万魔殿が色々仕事をこちらへ投げ込んでくるのが今回は役に立った。

 

 

「まぁ、そのうち帰って来るからいいわ。肝心の浅黄ムツキはどう?」

 

「現在は便利屋68のメンバーと共にいるようですが、その...」

 

「まだ塞ぎ込んでる?」

 

 

 私からの問いにアコが無言で頷く。

 この事件において容疑者と被害者を除けば、最も近くにいた人物はおそらく彼女だろう。恐らく先生が庇ったという女子生徒も。

 もともとスピード違反に加えてヴァルキューレからの逃亡、遅かれ早かれ人身事故は起きていただろうから容疑者に同情の余地はない。しかし、ゲヘナの生徒が関わっているのだから事実確認ぐらいはしておきたいところだ。

 

 

「どうしますか委員長? 便利屋からの報告が確かとも言えませんし、やはりこちらから突撃して多少無理矢理にでも..」

 

「逆効果だからやめなさい。彼女が塞ぎ込むということは相当な精神的ダメージを負っているはず。その辺りの情報で嘘をつくとは思えない」

 

 

 どちらにせよ、現時点ではこれ以上の情報は見込めそうになかった。

 浅黄ムツキの様子が少々気掛かりではあるが、こちらが下手に動くよりも便利屋の面々に任せておいた方が得策だろう。

 容疑者は受けるべき罰を受け、先生はいずれ復帰する。それが分かっているだけでも充分だ。

 

 気持ちを切り替えようと別の書類へ手を伸ばしたその時、部屋の扉が大きく開け放たれた。

 

「ヒナ委員長...!」

 

 その犯人は先生のいる病院へ訪問していたチナツだった。よほど急いで来たのか息を切らし、肩で呼吸する彼女の姿はかなり珍しい。

 先程まで病院にいたはずのチナツがここまで急いで来たという事は先生関連で何かあったのかもしれない。状況が状況なだけに少し悪い考えが頭の中に浮かんでしまう。

 

 

「すみません...スマホの充電が切れてしまっていて...!」

 

「何があったのチナツ?」

 

「先生の...っ、先生の意識がっ...戻りました!」

 

「「!」」

 

 

 すぐ近くでアコが息を飲む音が聞こえる。かくいう私も思わず手を止めてしまい、意味もなくチナツを数秒凝視してしまった。

 先生の意識が戻った。それだけでホッとして全身から力が抜けていき、意図せずして椅子の背もたれに寄りかかってしまう。とりあえず最大の懸念点はこれで無くなった。

 だが、そうと分かればすぐにやらなければならない事がある。緩みそうになる頬をキュッと引き締めて大きく深呼吸、席から立ち上がってアコに声をかける。

 

 

「アコ、急で悪いのだけど」

 

「こちらは私が片付けておきます。先生によろしくお伝えください」

 

「ありがとう」

 

 

 たった一言でこちらの意図を読み取ってくれるのだから、やはり彼女は優秀だ...変なところはあるけれど。

 ウチの生徒を庇ってくれたのだからお礼を言いに行くのは当たり前。ついでに少しくらいお喋りしてもバチは当たらないだろう。

 

 

「じゃあ行ってくる。チナツ、先生のいる病室は変わってない?」

 

「はい。...ただ...その...」

 

「?」

 

「えっと..」

 

 

 やけに歯切れが悪いチナツを見てまた嫌な予感がした。考えてみればここに駆け込んできてから彼女に笑顔がない。

 私みたいに意図的に感情を伏せる性格ではないので、この時点で意識の回復とは別に何か悪いことがあったとすぐに確信できた。

 

「教えて」

 

 正直ここからまだ何かあると考えるだけで不安になってくるが、冷静を装ってチナツに応えを促す。

 

「はい、その...」

 

 よほど話しにくい内容なのか、それとも私以外に話すのを躊躇ったのか、チナツが顔を近づけてくるので私は耳を彼女の方へ傾ける。アコが怪訝な表情をしているが後で教えてあげれば良い。

 私にしか聞こえない小さな声でチナツが口を開いた。

 

「ぇ...?」

 

 ────何を言っているの? 

 そんな言葉が口から出そうになったが、目に映ったチナツの顔はとても苦しそうで、彼女の発言が冗談ではないことを物語っていた。

 まさかそんな...。

 目の前が一瞬暗くなり、足の踏ん張りが効かず、ヨロヨロと壁に全体重を預けるようにもたれかかる。

 

「「委員長!?」」

 

 アコとチナツが心配そうに駆け寄って来る。こんな姿を見せたのは初めてかもしれない。それぐらい彼女から聞かされた事は衝撃的だった。

 しかし、ここで倒れては話にならない。これが事実なら尚更先生の様子を確かめに行く必要がある。

 

 

「大丈夫、少しふらついただけ...その情報は確かなの?」

 

「はい...私も今日初めて知らされました。先生の状態によっては面会謝絶の可能性もあるかと...」

 

「...とりあえず行ってみる。今の事はアコとイオリにも伝えておいて、それ以外は一切他言無用で」

 

 この情報は簡単に漏らして良いものではない。恐らくミレニアムやトリニティもごく少数にしか共有しないだろう。

 どっと湧いてきた汗を拭い、私は急いで病院へと向かった。

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 

 2週間後

 〜便利屋事務所〜

 

 あれからずっと何もしていない。

 食事はまともに喉を通らず、目を閉じるだけであの光景が蘇ってくるからまともに睡眠も取れていない。時折、睡魔に勝てず気絶するように寝落ちしているのが唯一の睡眠時間になっていた。

 

 あの事件の後、目が覚めたら既に事務所で寝かされた状態だった。

 あの後気絶してアルちゃん達に引き取られたらしい。目が覚めるとアルちゃんとハルカちゃんが抱きついてきて、少し離れた位置でカヨコちゃんが呆れながらも安堵した笑みを浮かべていた。

 でも、私はその場ですぐに吐いてしまった。

 

 

『あ゛あっ...! 私が...私が...っ! 違うのっ! そんなつもりじゃ...!』

 

『ムツキ!?』

 

『ど、どどどどうしたんですか!?』

 

『様子がおかしい...取り押さえて!』

 

 

 自分のやってしまった事、血に濡れた先生の姿を思い出して取り乱す私を3人がかりで押さえつけてきたのを覚えている。

 

 この数日間、私の状態がある程度落ち着いた事を確認した後、他の3人はほとんど外に出ていた。理由は分かっている、私に気を遣って1人にしてくれているんだ。

 何があったのかほとんど話していない。でもみんなは私に何かあると察してくれたのだろう。1人になる時間をたくさん作ってくれた。

 

「先生...」

 

 先生が生きている事は知っている。てっきり死んでしまったと思っていたから、それを知った時は心底安心したし、涙が止まらなかったくらいだ。

 病院側から面会許可の連絡も来た。事故の当事者として特別に許可が降りたらしい。

 

 でも、あれから1週間経った今でも病院どころか事務所の外にも出ていない。

 怖かった。私が原因で先生が事故にあったと知れ渡っていたら、下手したらキヴォトス中の生徒が私の事を恨んでいるかもしれない。

 

《ムツキが良ければ元気な顔を見せて欲しいな》

 

 つい数日前に来た先生からのモモトークにはそう書かれていた。

 順調に回復しているようで安心したけど、先生と顔を合わせるのが怖い。怒られるからとかじゃなく、どんな顔をして会いに行けばいいのか分からない。

 

「ムツキ」

 

 誰かが私の名前を呼んだ。いや、何度も聞いたことのある声だから誰なのかは分かってる。帰ってきたことにも気づかないくらい、自分の世界に閉じこもっていたらしい。

 反射的に顔を上げるとそこには見慣れた幼馴染の姿があった。

 

 

「アルちゃん...」

 

「漸く顔を上げたわね。酷い顔、いつものムツキとは大違いよ」

 

 

 発狂した後ずっと閉じ籠っていたから、まともに顔を合わせたのも久しぶりな気がする。

 優しい笑みを浮かべる幼馴染は、愛用の銃を置いてそのまま私の隣に腰を下ろした。

 

 

「先生のところに行かなくていいの? 面会許可が降りているんでしょう?」

 

「...」

 

「事故の前後に何があったのか無理に聞き出すつもりはないわ。今のムツキを見れば何となく分かるもの」

 

「...」

 

「確かに一歩を踏み出すのって難しいと思うわよ。何かしら負い目を感じているのなら尚更」

 

 

 私を楽しませてくれる普段のアルちゃんとは違う。とても真面目で歳下の子供に言い聞かせるような優しい声色に返事はしなくても、自然と耳を傾けていた。

 

 

「でもね、ムツキ。恩を返さないままでいいの?」

 

「...っ」

 

 

 心にズキリと痛みが走った。いつからアルちゃんはこんなに鋭い子になったんだろうか。昔はあんなに大人しいタイプだったのに。今でも周りに振り回されがちな、面白くてちょっと頼りない子なのに。

 今の彼女は全て見透かしてるかのようにズバズバと斬り込んでくる。それでも言い返さないのは図星というだけじゃない、誰かに背中を押して欲しい、そんな考えが私の中にあったからだ。

 

 

「このままは嫌なんでしょう? だったらその怖さに立ち向かいなさい。最初の一歩が踏み出せないなら、病院の入り口まで私達がついて行ってあげるわ」

 

「アルちゃん...」

 

 

 そうだ。面会できる人が限られているからアルちゃん達は病院の入り口までしか行けない。便利屋を代表して行けるのは私だけだ。

 アルちゃん達だって先生がどんな状態なのか詳しく知りたかったはずなのに、私を急かさずにこうして待ってくれていたんだ。

 

 

「受けた恩を返すのもまた、真のアウトローを目指すために必要なことよ」

 

「ぷっ...」

 

 

 最後の一言で思わず吹き出してしまった。やっぱりこの子は変わっていない。

 どこまでも真っ直ぐで、どんなに格好をつけても最後の最後で締まらない────だからこそ心の底から信頼できる。

 

 

「な、何で笑ってるのよ!?」

 

「んーん、なんでもない」

 

 

 ほんの少しだけ心が軽くなった気がした。

 ここまでして貰いながら立ち上がれないようじゃ、アルちゃん達にも先生にも失礼だ。

 まだ恐怖心は拭えない。でもとりあえず先生に会ってみよう。何も話さずに終わっちゃうかもしれないけど、頭が真っ白になるかもしれないけど、何もせず閉じ籠っているよりはマシだから。

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 

 〜病院前〜

 アルちゃんに励まされた私はカヨコちゃん、ハルカちゃんと合流して4人で先生が入院しているという病院へ向かった。

 誰かしらに絡まれるかと思っていたが何のトラブルもなく目的地へと辿り着くことができ、今までの心配はなんだったのかと拍子抜けしてしまうくらいだった。

 

 

「じゃあ私達はここまでね」

 

「先生によろしく」

 

「が、頑張ってください!」

 

 

 3人が笑顔で送り出してくれる。私はきっとぎこちない笑みを返しているのだろう。3人に背中を向けて入り口の前に立つ。

 

 でも脚が動かない。

 後は入り口を潜って病室に行くだけ。なのに引き返したい気持ちでいっぱいだった。

 アルちゃんの言葉に決心してここまで来たけどやっぱり怖い。心臓の鼓動が速くなり、呼吸が荒くなってくる。意識すればするほどあの記憶が蘇ってきそうで────

 

「ムツキ」

 

 名前を呼ばれると同時に背中に手が置かれる。誰の手なのかは考えるまでもなかった。

 

「きっと大丈夫よ」

 

 たった一言と共に軽く背中を押される。でもその一言が私の背中をグッと押してくれたような気がして、硬直したように固まっていた脚が前に出た。

 

「アルちゃん...みんな、ありがとう」

 

 

 

 

 ☆☆☆

 

 

 

 

 入り口を潜ってからはトントン拍子で進んだ。

 受付で学生証を見せ、病院側から面会許可の連絡を受けた旨を伝えると、係員の人がすぐに通してくれた。

 

「えっと、ここの通路の突き当たりを...」

 

 3人から預かった見舞いの品を抱えて通路を進む。先生の病室は当然というべきか少し離れた場所にあった。

 静かな場所に私の足音が響く。同時に心臓の鼓動がこれ以上ないくらいに速くなってくる。それでも引き返さない引き返すわけにはいかない。

 この先を曲がったら病室だ。少し深呼吸して気が変わらないうちに一気に入ってしまおう。

 そう考え、壁にもたれかかって呼吸を整えていると

 

 

「...カさん、少し....いて...さい」

 

「えー、私....るよ?」

 

「顔が....く...って...けど..」

 

 

 向かう先から2人組の話し声が聞こえてきた。

 落ち着いてきた心臓がまた跳ね上がる。この先が先生の病室ならこの声は間違いなく先生の知り合いだ。それも学園のトップに君臨する人物の可能性が高い。

 息を潜めるように呼吸が止まり、じっと通路の曲がり角を見つめる。やがて声の正体であろうトリニティの制服を着た2人組が姿を現した。

 

「あら? ご機嫌よう」

 

 そのうちの1人が私の方にいち早く気づき、挨拶をしてくるので慌ててこちらも頭を下げる。

 見るからに穏やかで気品のある女性。直接会うのは始めてだがリストで見た事がある。

 トリニティ総合学園の生徒会“ティーパーティー”の現ホスト、桐藤ナギサ。

 そして────

 

 

 

「...へー、ゲヘナの生徒...ね」

 

 

 

 真顔で見つめてくる一際綺麗なヘイローを持つ桃色髪の女子生徒。こちらもリストで見た事がある。

 名前はそう────聖園ミカだ。

 





ミカ「来ちゃった☆」

Q.何故先生は生きてるの?
A.スーパーアロナちゃんがいるじゃないですか!

でもアロナが完璧に守っちゃったら面白くな...こちらとしては困るので、先生の咄嗟の行動にアロナが急いで防御したけど完全にはマモレナカッタ...みたいな感じです。

アルとムツキの友情って素敵ですよね...このまま立ち直って先生にも許されてハッピーエンド!!
...んなわけあるかぁ! 冒頭と回想でちょっと発狂して引きこもりになっただけで済むと思うでないぞ!

あ、ヒナちゃんの出番はこれで終わりです。ムツキがメインですからね!
ヒナ...君にはクソデカ感情を先生に向けるシナリオを考えてるから楽しみにしてて...。
とか言いながらほとんど考えてないです。思いつきで書いてるので。
そのうち感想を書いて下さってる皆さんの良質な妄想ならぬアイデアを使わせてもらうかもしれないです。
想像力の乏しい、だらしない先生ですまない。
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