前から少し遅れての投稿です。
あと、アンケートの入力ありがとうございます。
結果としては、予定通りさっさと原作開始まで持ってって、後からその間の話を書くことにしました。
「────ここか?」
あれから、街を眺めながらしばらく歩いていれば、教えてもらった区画に着いた。
建っていたのは、どっかの大貴族のものと思えるような大きな屋敷……というより……。
「もはや『城』だな、これ」
空に向かって何本もの塔がそびえ立って、それが複雑に繋がって一つの巨大な城になってる。
見上げてるだけで首が痛くなりそうなデカさだな、これは。
流石、都市最大派閥の片割れ……。
「えーと、たしか門番に話はついてるらしいから……すいませーん」
「ん? お前は誰だ。何の用でここに来た?」
「そちらの団長のフィンさんに呼ばれて来ました。レイ・オーガという者なんですが……」
「!! お前…いえ、貴方が団長の言っていた…! すぐに案内を──────」
何故か急に腰が低くなった門番さんが、俺を中に案内しようとした瞬間。
突然、そのホームの扉が勢いよく開かれ、そこから何かが飛び出してくる。
俺たち、というか俺に突撃してくるその
そう何度も、同じ手を食らう俺ではない!!
勢いを殺すことなく、こちらに飛びついてくるソレを俺は万全の体勢で受け止める。
直後、肉体に伝わってくる凄まじい衝撃に耐え、俺はほっと一息つくと、すっと下を見下ろす。
眼下に広がっていたのは、ふわっと扇状に舞い上がる
俺の背中をその小さな手でしっかりと掴んで、しがみついている。
「──────待ってた」
「熱烈な歓迎ありがとよ、アイズ」
相変わらずの表情の変化は乏しいが、その金色の瞳はどこかキラキラと目を輝かせて俺のことを見上げていた。
「てか、待ってたって……」
「フィンからレイがくるって聞いてたから、ずっと窓から見てたら、門のところにレイが見えて、急いで走ってきた」
「ずっとって…朝からずっと?」
「うん。…すぐ会いたかったから」
っ……可愛すぎるだろ……!
俺は目の前の天使の頭をこれでもかと撫で回す。
「んっ………じゃあ、じゃが丸くん食べにいこ」
そうだな、じゃが丸くんを食べに……ん?
「おい待て、アイズ」
「…? どうしたの? じゃが丸くん食べに行こ」
「なんでだよ。俺フィンさんに呼ばれてんだって」
「そうなの?」
まるで初めて知った事実に本当に不思議に思うように、アイズはかわいらしく小首を傾げる。
あーこれ、俺が来るってことしか聞いてなかったか、もしくはそのことしか頭に入れてなかったかって感じだ。
「じゃあ、それが終わったら一緒に行こ…?」
「いや、終わったら今度はシャクティのとこに────」
「え……(ズーン)」
「…行こうかと思ってたけど、じゃが丸くん食べるくらいの余裕はあるな、うん」
「!! ほんと…?」
アイズのあからさまに落ち込んだ様子を見て、ついそんなことを口走ってしまった。
けどまぁ、いいか。めっちゃ目を輝かせて首を縦に振ってるし……心なしかアイズの後ろに犬の尻尾が生えているようにも見える。
それにあの時、一緒に行こうって約束したし。遅れても、シャクティなら謝れば許してくれるだろ! ……多分。
「……お詫びにじゃが丸くん持ってくか」
「あ、あのぉ…」
「あぁ、すいませんね。入り口でゴタゴタと。おい、アイズ。そういうわけでフィンさんのとこまで案内してくれるか?」
「わかった」
何か終始困惑した様子の門番さんにお詫びしつつ、俺はアイズに連れられ、ホームの中へと足を踏み入れる。
中の造りも外見通り。豪奢な絨毯に、横幅が馬鹿広い階段、俺の背丈より大分高い石柱などなど…もう完全に城だった。
流石に
改めて驚きを感じながらも、城内の長い廊下を俺はアイズと共に歩いていく。
そうしていると、何人かファミリアの人達ともすれ違ったが、その誰もがこっちをこっそり見ていたように思えた。
まぁ、ファミリア以外の奴がいたら気になりもするか……いや、これはもしや、俺という人間の魅力が自然と女の子の目を奪っているのかもしれない!
まったく俺はなんて罪な男なんだ…!
「────レイ、着いたよ」
アイズのその一言で俺の意識は現実に戻る。
俺たちの前にあったのは一際荘厳な造りの扉。
俺はその扉を軽く叩くと、「入っていいよ」と、中から聞き覚えのある青年のような声が聞こえてきたので、そのまま扉を開けて中に入る。
そこにいたのは、自身の執務机の椅子に座るフィンさんと、その横にガレスさんとリヴェリアさん。あとは彼らよりも歳上であろう、どっかで見た気がする三人。
何か見覚えが……あ、ゴォール騎士団か。この人たちもいたんだな。
そして、その人達全員が、俺が入ってきたのと同時に目を丸くして驚いた様子を見せた。
「ん? どうしました?」
「いや、どうしましたと言われてものぉ…」
「…ソレはどういう状況なんだい、レイ?」
フィンさんが指を差した先にいたのは……未だに俺の腰にしがみついているアイズの姿。
あー…そういえば、忘れてたな。
「おい、アイズ。今からお話するから、一旦離れてくれ」
「……終わったら、ちゃんと一緒に行ってくれる?」
「勿論。俺が約束破ったことないだろ? だから、話が終わるまで待っててくれ」
「……わかった」
ちょっと渋々といった様子ではあったが、アイズは俺の背中から手を放して、俺から離れると、そのままリヴェリアさんのとこまで歩いていった。
「……本当に随分と懐いているみたいだね」
「嬉しい限りですよ。あっ、もしかしてあんまり他派閥の人間と仲が良いのって不味いことだったりします…?」
「そうだね…。まぁ、他ならぬ君ならば、僕は構わないよ」
「ほっ、ならよかった」
これで、もう関わらないでくれとか言われたら、枕を涙で濡らしてしまうとこだったぜ。
「それでは改めて。わざわざ足を運んでもらってすまない、レイ」
「構いませんよ。それで、用件は?」
「そうだね。まず────」
フィンさんは椅子から腰を上げると、そのまま正面にいる俺を見据えて……頭を下げた。
「!!」
「──────ありがとう、レイ。君のおかげで、僕は大切な仲間を見捨てずに済んだ」
俺相手に頭を下げるフィンさんに、俺は思わず瞠目する。
「儂らからも礼を言わせてくれ。フィンから聞いた、あの『
「それならば、18階層での戦いでもそうだ。私もアイズもガレスも、お前が居なければ、アルフィア達を前に為すすべなく命を落としていただろう……。本当に、感謝する」
フィンさんに続いて、他の皆さんも頭を下げては、俺に対して感謝を述べ始める。
大派閥の幹部達が皆一様に頭を下げている、そんな他の人が見れば卒倒するような光景を前に、流石の俺も動揺を禁じ得ない。
「いや、何もそんな頭なんか下げなくても……確かに、俺は誰もが思わず平伏したくなるような、偉業を成した男かもしれないですけど……!」
「「「自分で言うのか」」」
いやだって? 実際、俺凄いしな。『
「頭下げられるのは申し訳ないんでいいですけど、存分に感謝はしてもらっていいですよ? ついでに、リヴェリアさんは「偉いな」と頭を撫でて、褒めてくれてもいいんですよ!!」
俺が自分を称える言葉を求めれば、全員が呆れたような雰囲気で頭を上げる。
「はぁ……そんなことはしない」
「まったく、何とも感謝したくなくなる男じゃ……」
「……のう、フィン。本当にこいつがお前の言う『英雄』なのか?」
「あはは……そのはずなんだけどね」
何ですか、その呆れたような態度は。失礼しちゃうわ、本当に!
「────まぁそれに……俺は自分のやりたいことをやっただけです。『魔槍』を渡したのも俺がフィンさんに後悔してほしくなかっただけだし、ダンジョンでの戦いも俺自身があの二人を乗り越えたかっただけなんで」
実際、二人との戦いはモンスターの群れを片付けてもらった後に、皆に協力してもらった方が多少楽ではあったしな。
ただ俺が、あいつらの『絶望』を一人でぶっ飛ばしてやりたいって思っただけだからな。
「……君は本当に…。それでも、君のおかげであることに変わりはないさ。ありがとう、レイ」
「……どういたしまして。まぁ、俺の自己満足が、少しでもアンタらの力になったなら、それは良かったです」
もう一度、真剣な眼差しで感謝を述べるフィンさんに、俺はそう言葉を返す。
周りを囲う、どこか優しく温和な雰囲気に、俺は少し小恥ずかしい気持ちになり、思わず頬を掻いた。
「……それで、用件はこれだけですか?」
「いや、もう一つ確認しておきたいことがあってね」
「確認?」
「神ヘルメスから概ね、今回の『大抗争』の後処理については聞いた。『英雄』は死に、その遺志は次代の都市を進める薪にする、と」
「そうですね」
その方が、この都市のためにも下界のためになるだろうと思ったからな。
「一応、僕の方でもそれなりに根回しはしておいた。このファミリアでは、この場にいる者達を除けば、君はあの『魔槍』を贈ってくれた恩人、という扱いになっている」
「『恩人』って……別にそんな設定はつけなくてもよかったですけど……」
「本来なら、もっと讃えられてもいいだけのことを成し遂げたんだ。せめてこれくらいのことはさせてくれ」
アンタがそう言うならいいけど……。
「……本当に君はこれでいいのかい? 本来なら、君一人に与えられる筈だった名声も栄光も、僕達を含め冒険者皆の成果となってしまう。そのことに何の未練もないのかい?」
「女の子たちの注目の的になれないのは残念ですけど、一人歩きしてる仮想の『英雄』なんて使い捨てたほうが、今の都市がこれから強くなるためには効果的でしょ。だから、後悔なんてないですよ」
「……君はやはり、僕とは違うな」
ヘルメス様に前に言ったことをそのまま話した。
別に高尚な思想があるわけでもないが、別に褒章を欲しているわけでもない。だから、有効活用できるならした方がいいと、ただ思ったことを、思ったままに。
フィンさんはそれを聞き終えると、静かに椅子に腰を下ろす。その仕草はどこか、纏っていた鎧を一枚脱いだようにも見えた。
そうして彼は、普段の飄々とした笑みとは違う、どこか苦さの滲む笑みを浮かべる。自嘲気味に、けれど確かに己に向き合うような、そんな笑い方だった。
「────僕が冒険者になったのは、一族の再興のためだ」
窓の外に目をやりながら、フィンさんはぽつりと零す。
「!! フィン、話すのか?」
「レイならいいだろう…いや、むしろ彼には聞いてほしいんだ。レイも少し付き合ってくれるかな?」
「…いいですよ」
「ありがとう……僕らパルゥムは……知っての通り、下界で最も蔑まれてきた種族だ。矮躯で、腕力もなく、戦いにも向かない。誰もが陰で嗤う。……いや、陰でもなく、面と向かって嗤う者すらいたよ」
淡々とした語り口の奥に、俺はどれほどの時間、それに耐えてきたのかを感じ取る。
「けれど、僕らには一つだけ誇れるものがあった。それが『
「──だから、アンタは冒険者になった」
「ああ。フィアナの再来となり、一族の『光』となる。それが、僕に課せられた……いや、僕自身が望んだ役目だ」
彼は自身の右手の親指を、愛おしむように、あるいは呪うように見つめた。
「だから僕は『
フィンさんはそこで言葉を切り、力なく首を振った。
「そんな偶像は何処まで行っても、『人工の英雄』でしかない。己の真意を貫き、神の思惑すらも飛び越えてしまう
その顔は、都市最大派閥の団長などではなく、たった一人で巨大な壁を押し返そうとしている、ひどく孤独な男の表情だった。
「所詮、僕は偽物なんだ」
……嗚呼。
何か聞いたことあるような話だと思ったら……この人、ちょっと前の俺に
そして、その道を進む中で、どうしても生じる、『
英雄の船の船頭となるために、アルに成り代ろうとした俺と同じ道を、この人は歩いてきた、いや、今も歩いているんだ。
まいったなぁ……今度は俺がそう思われる側になってんのか。
仕方ない。悩んでいるというのなら、同じ悩みを持っていた『先輩』として──────
「────じゃあ、ここからだろ。フィン・ディムナ」
今度は、俺が導いてやらないとな。
「────!!」
「アンタが抱えてる苦悩とか、崇高な目的とかは俺にはよく分からない。
だが、今回の戦いの中で、アンタは確かに自分の『真意』のままに行動を起こした。
『最善』ではなく、『最高』への選択肢を自ら選び取った」
『魔槍』があったことが理由でもいい。
利害を概算した戦略ではなく、自分の心からの願いとそれを叶えようという強い意志による挑戦をした、それこそに大きな意味がある。
「ただ、もしその行動がこれっきりならば、アンタはまた前の自分に戻る。
────どうする、【勇者】。見栄えのいい一族の
「………僕には、一族の『光』になるという目標がある」
「ならば、前者の道を選ぶか? それでも、俺は別に構わない。ただ、それがアンタの本音ならね」
「……僕は…」
この人は零から始めた俺とは違う。
これまで得てきた、栄誉が失われてしまう怖さがどうしても足を止めてしまう。
だからこそ、貴方の心奥を開かせるために、敢えて言わせてもらおう。
「──────挑戦する『勇気』を持てよ、【
「──────!!」
「アンタがなりたいものはなんだ? 自分の胸に問いかけろ。
上っ面の仮面なんか取っ払え。栄えある名誉も、大層な外聞も、今ある栄光をかなぐり捨ててでも────
かなえたい
部屋の空気が、ピンと張り詰めた糸のように静まり返る。
フィン・ディムナという男が、初めて鎧を脱いで見せた瞬間だった。
誰も口を挟まない。ガレスさんもリヴェリアさんも、静かにその横顔を見守っている。
俺もまた、何も言わずただ待った。急かすことも、答えを与えることもしない。この問いに答えを出せるのは、他でもないフィンさん自身しかいないんだから。
長い沈黙の後、フィンさんは俯けていた顔をゆっくりと上げる。
その瞳には────迷いを振り切ったような、強い光が宿っていた。
「僕は……『俺』はっ、『英雄』になりたい……!」
「「「「────!!」」」」
「フィン……」
「じゃあ、アンタは後者の選択肢を選ぶってこと────」
「それは違う」
「……というと?」
「俺は両方とも手に入れる。『
「それはまた、大きく出たなぁ。全部手に入れようなんて……」
「目指すのは『英雄』なんだ。むしろ、それぐらい欲する気概がないと、足りないくらいじゃないかい?」
こっちが提示した選択肢を無視して、全部手に入れようなんて、どこまで強欲なんだ。
まったく………。
──────大正解ですよ、フィンさん。
誰かが示した
それをしてこそ、『英雄』足りえる。
もし、俺が言った選択肢を『選んで』いたらその時は……まぁ、アンタならそうならないって思ってましたがね。
「じゃあ、これから一生懸命頑張ってくださいね、フィンさん」
「ああ……今まで以上に苦労することになるだろうけどね」
「大丈夫ですよ、アンタなら。これだけ良いお仲間に恵まれてるんですから」
俺の言葉に、フィンさんは周りに目をやれば、彼らは皆笑顔でフィンさんに応える。
そして今度はフィンさんがそれに応えるように、口元にふわりと笑みを浮かべる。
「……そうだね。彼らと共に頑張ってみるよ」
「ええ。応援してますよ」
フィンさんの柔和でありながら、確かな意志を宿した瞳を前に、俺も唇を曲げて答えてみせる。
「いやはや、君は……本当に僕より年下なのかい?」
「おいおい。失礼なこと言わんでくださいよ。まだ、バリバリの18歳ですよ」
「君と話していると、それがドンドン疑わしくなるんだよね」
「「同感だ」」
酷い! ガレスさんもリヴェリアさんまで!
いやまぁ、確かに前世はこの数倍は生きてましたけど……。
それでも心は青少年のままだぜ!
「よーし。じゃあ、これで用件は済んだ感じですね」
「ああ。本当に今日は来てくれてありがとう。もう帰って──────」
「ちょっと待たんか──ーい!!」
その瞬間。バン!! という大きな音と共に、部屋の扉が思い切り開け放たれた。
驚きながらも、俺が扉の方に振り返ってみれば、そこには赤髪で細めの、それはそれは
「えっ、誰?」
「……すまない、レイ。少々面倒なことになった」
額に手をやって頭を抱えた様子のフィンさんを尻目に、その女性はズカズカと部屋に踏み入り、俺の目の前までやってくる。
すると、そのまま顎に手をやると、何を思ったのか俺のことを上から下まで隈なく、睨みつけてくる。
「ほーん……」
「あのぉ……?」
この気配、もしかして……。
「フィンさん、つかぬ事をお聞きしますけど、この方って…」
「ああ……。お恥ずかしながら、彼女が僕たちの主神だよ」
やっぱりか。
気配の感じが、
「なんかこうもっと、威厳あるような
「すまないね、こんなので」
「誰が『こんなの』や、フィン! 自分のとこの主神なんやから、もちっと敬意をやなぁ……!」
「だったら、普段から悪ふざけをせずに、敬意を払ってもらえるような言動を心がけてくれ」
「ぐふっ!?」
フィンさんの言い返しようがないド正論を前に、ロキ様はわざとらしくダメージを受けたように倒れる。
「相変わらず容赦ないなぁ……ほんで、アンタがフィンの言ってた『恩人』っちゅう奴かいな」
彼女はよろよろと立ち上がったかと思えば、また俺に近づいて顔を見つめてくる。
「えぇ、まぁ……」
「ふむふむ……顔はええ方やな! うちのフィンの方がもっとかっこええけど!!」
ええ……。
「ロキ…。初対面のお客人に、失礼なことを言うのはやめてくれ」
「え? いや、うちとしては褒めたつもりやで」
「それが失礼なんだよ……はぁ……それで? どういうつもりなんだい、ロキ」
「おお、せやせや。うちはこの子にどうしても言わなあかんことがあんねん!!」
大派閥の神様が俺に言いたいこと……?
「────ええか? 一つだけ、ジブンに伝えとくで」
その瞬間。
目の前のロキ様の気配が強まり、膨らんだ得も言われぬ、その威圧感に俺は思わずゴクリと唾を飲んだ。
緊張する俺を前にして、ロキ様は口を開いた。
「アンタにアイズたんは渡さへんからなッッ!!!」
…………はい?
「ロキ様、なに言って……」
「随分とまぁ、うちのアイズたんに気に入られとるようやけど、んなもん関係あらへんぞ!!」
ダメだ、まるで話が通じない。
「戦いから帰ってきてから、アイズたんはずぅぅっと、ジブンのことばっか口にしおる!!」
「っ!!」
「やれ、レイは何処だの…やれ、レイに会いたいだの……自分のお気に入りの子がどこかの誰かも分からん馬の骨に
ね、ネトラレ…? なんかよく分からないが、酷い誹謗中傷を受けているのは、なんとなくわかるぞ。
というかそもそも、そういうのってあんま本人の前で言わない方がいいんじゃ……あっ、なんか心なしかアイズの頬が赤くなっている気が……。
「ええか!? アイズたんがどんだけジブンのことを気に入ってようが、うちは絶対アンタのことを認めヘん────」
「あの、ロキ様」
「あん? なんや!」
「あれあれ……」
「? どこを指さしとん……あっ」
そこでロキ様の目に映ったのは、リヴェリアさんの背で自分の体を少し隠しながらも、ロキ様を少し睨み付けているアイズの姿が……。
「……」
「あ、アイズたん…?」
「……ロキ、嫌い」
「グボオァッ!!!?」
あっ、死んだ。
「むぅ……レイ、行こ」
「え? いや……いいのか、
「まぁ、ロキの自業自得だからね」
「ただの醜い嫉妬だ。放っておいて構わん」
「そ、そうすか? なら今度こそ俺はこれで……」
「────ち、ちょい待てや……! まだ、ジブンにどうしても言っとくことがある……!!」
死に体のような声でロキ様は俺に呼び掛けてくる。
なんだよ、今度は一体どんな文句を──────
直後、振り返った俺が見たのは……ロキ様が俺に向かって頭を下げている姿だった。
「!!」
「ジブンのお陰で、うちは……
先程までのおどけた雰囲気は霧散し、確かな真剣さを帯びた声で、ロキ様は俺に感謝を告げる。
その声に込められていたのは、純粋で誠実な感謝の気持ちと…そして、本当によかったと心から生じる『安堵』だった。
自分達の主神が頭を下げている姿を前に、【ロキ・ファミリア】の面々が驚愕に表情を染める。
だが、やがてその口元には、誰もが微笑みを浮かべていた。
この
なんだかんだ言ってはいたが、結局のところ、この神は……自分の
だったら、俺が彼女に伝えるのは一つだけだ。
「……なら、失わずに済んだ分、最後まで、貴女が見守ってあげてくださいね」
「……嗚呼。当たり前や」
その返事を聞き届け、俺はアイズと共に部屋を後にした。
来た時も歩いた大廊下を、再びアイズを隣に歩いていく。
「────いい神様だな、アイズ」
「……うん」
よくよく考えると、ロキ・ファミリアってほとんど、古代の面子のまんまですよね。
アルゴノゥト(ベル)とクロッゾ(ヴェルフ)が居ないのは、やっぱり最後のバロール戦に参加してなかった的なのにも、関連してるんですかね。
とりあえず、ここまで読んでくれてありがとうございます。
宜しければ、評価・コメント等してくれるとモチベーションに繋がるのでよろしくお願いします。
ここから原作開始までに起こる事件について(2番目ので行くつもりでした)
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こういうこともあったって感じで飛ばす
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一旦飛ばすけど、後でその時の詳細を描く
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最初から書いてから原作を始める