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「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイトともう一人の3人体制で見ることになった」
「何するんですかー!?」
「地震水害火災何でもござれ、レスキュー訓練だ」
マスコミによる雄英への侵入騒動から1日経って継矢は変わらず授業を受けていた。そして今は次の実技試験の説明を受けていた。
相澤先生は今回の授業内容であるRESCUEと書かれたカードを持っている。オールマイトといいヒーロー基礎学の際の必須アイテムなのか。
少しにぎやかになる教室を相澤先生の一言で静まり返る、それを確認し相澤先生が説明を続ける。今回コスチュームの着用は自由、訓練場はバスに乗って移動すると告げた後は退出、それにつられたかのように全員が動き出す。
継矢のコスチュームは今のところこれといった機能は有していない頑丈な服というだけだが将来はこのコスチュームでヒーロー活動をするとなれば慣れるために着ていく事にした。
「クソッ、こういうタイプだったか!」
バスに乗り込んだ一同の中、飯田は落ち込んでいた。
委員長に任命されたからかクラスをまとめようと移動用バスに乗り込む際に番号順で座るよう皆に指示を出したのだが、バスの構造が飯田が想像してたであろう前向き4列でなく、殆どが対面式の席だった為に座る順番が意味をなさなかったのだ。
「意味無かったね」
「グフッ!」
芦戸の容赦の無い一言で余計に飯田は落ち込む。出来れば委員長としてかっこいい姿を見せたかったのだろう。
「まあ、なんだ心意気は良かった」
「星杖くん……」
継矢は落ち込む飯田のフォローを軽くして席に着く。
そして全員が席に着くとバスが動き出す。それに合わせて生徒たちは会話を始める。そんな中、蛙吹が緑谷に話しかける。
「私、思ったこと何でも言っちゃうの。緑谷ちゃん」
「なっ…、は、はい、蛙吹さん」
緑谷は突然声を掛けられた事にテンパり声を上擦らせる。
「あなたの個性、オールマイトに似てるわ」
「え!?そ、そうかな!あ、あはは」
「おいおい、梅雨ちゃん。オールマイトは自分の力でケガしねぇだろ。似て非なるものだよ」
「そ、そう!僕の場合上手くコントロール出来なくって、…早く何とかしないといけないんだけど」
「あー、昨日のHRであんな脅しされたらな」
「誰だって焦るよな」
「それを言ったら俺もだよ。ただえさえ地味な個性だし、もっと上手く使っていかないと後々キツくなるしよ」
話題が緑谷の個性から発展し、それぞれの個性について話し合う。
「個性つったらやっぱり轟と爆豪と継矢だよな!」
「そうそう、どれもド派手で強いもんなぁ」
「でも爆豪ちゃんすぐキレるから人気出なさそう」
「ンだとコラ!出すわ!」
「ほら」
梅雨ちゃんは恐れ知らずなのか爆豪に対して忌憚なき意見を言って爆豪は切れた。
「でもある意味凄えよ。この付き合いの浅さでクソを下水で煮込んだ様な性格って認識されてんだぜ?」
「てめえのボキャブラリーは何だ!殺すぞ!」
「(かっちゃんがいじられてる……!?)」
梅雨ちゃんの言葉に乗っかるようにさらなる暴言が爆豪を襲い爆豪はさらにキレ散らかした。
「お前ら、静かにしろ」
「「「「「はい!!」」」」」
しかし、楽しいお喋りもつかの間ここ数日で既に生徒からは恐怖の対象として見られている相澤先生が声をかければ全員静かになった。
見えている虎の尾を踏み付けるような真似はしないのだ。
「皆さん、お待ちしていましたよ!」
「おお、スペースヒーロー13号だ!」
「私好きなの13号!」
注意を受けて間もなく、演習場に到着した継矢たちを出迎えてくれたのは宇宙服のようなコスチュームが特徴のスペースヒーロー13号だった。彼女は災害救助を得意とするヒーローで今回の訓練担当には持ってこいだ。
ひとまず話は入ってからということで、全員でよろしくお願いしますと挨拶をして早速入場した。
「「「「「すっげー!!USJかよっ!!」」」」」
扉から1歩進んで施設の中を見たA組の反応だった。
大量の水がうねる水難エリア、街をひっくりかえしたような土砂災害エリア、どういう仕組みなのか鎮火する気配のない火災エリアetc……数多くのエリアが存在ているその施設。
そこがプロヒーローを目指す為の教育施設だと知らなければひとつのテーマパークにさえ見えてくる、広大な敷地と数々のエリアに生徒達は思わず声を上げた。
「色んな災害の演習を可能にした僕が作ったこの場所──嘘の災害や事故ルーム──略して“USJ”」
(((マジでUSJだった!)))
著作権的に宜しいのだろうか、なんて継矢は考えつつもその思考を頭の隅に追いやる。そこでふと今日は3人体制で授業をすると言っていたがオールマイトがいないことに気付く。
それは相澤先生と同じなのか13号先生と何やら話し合っている。
「13号、オールマイトは?ここで待ち合わせるはずだが」
「先輩それが……通勤時に制限ギリギリまで活動してしまったみたいで。仮眠室で休んでいます」
「不合理の極みだなオイ」
個性によって強化されていた継矢の聴力はその話し合いを聞き取った。
どうやらオールマイトには活動時間というものが存在しているらしい。個性というものの関係上仕方のない事と継矢は深く考えなかった。
しかし、それはそれとしてヒーローとしては立派かもしれないが教師としてはあまりいいとは言えないなと最初の対人訓練の様子を思い出しつつ思った。
「仕方ない、始めるか」
どうやら仕方ないと割り切った相澤先生が授業を始めるようで13号先生が話し始める。
「えー始める前にお小言を一つ二つ……三つ……四つ……」
『(増える……)』
「皆さんご存知だとは思いますが、僕の“個性”はブラックホール。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」
「その個性でどんな災害からも人を救い上げるんですよね」
緑谷の言葉にお茶子が残像が見えるくらい激しく頷いているが、13号は浮かない顔……ではなく声で頷いた。宇宙服のようなコスチュームの13号はヘルメットを着けているため、その表情が全く分からないからだ。
「ええ……しかし、簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう個性がいるでしょう」
その一言が放たれたとたん、場の空気が止まったように感じた。演習や設備に若干浮かれていたところを、引き締められたかのような。
何人かは思い当たる節があるのか苦い顔をしている。継矢もやろうと思えば簡単に人を殺せる個性だ。
「超人社会は“個性”の使用を資格制にし、厳しく規制することで一見成り立っているようには見えます。しかし、一歩間違えれば容易に人を殺せる“行き過ぎた個性”を個々が持っていることを忘れないで下さい。相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。この授業では心機一転!人命の為に個性をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷付けるためにあるのではない、救けるためにあるのだと心得て帰って下さいな。以上!ご清聴ありがとうございました!」
「素敵!」
「ブラボー!!ブラーボ―!」
13号先生の言葉に感銘を受けたのか生徒たちは拍手を送る。
そんな最中、継矢のレーダーに突如として新たな反応が現れる。場所は施設の中央広場。そこに視線を向ければ闇が広がっていた。
「先生!!」
「っ!?全員ひとかたまりになって動くな!」
継矢の呼び掛けで相澤先生も気付いたのか戦闘態勢に入る。つまるところ相澤先生も知らない何かだ。
そして闇から這い出でるように全身に手を貼り付けた男が現れ、それを皮切りに様々な人間が現れる。
その目には悪意が満ちていた。
「退がってろ!あれは
それは紛れもなく悪だった。