ようこそ選択肢に振り回される人生へ 作:らら
「っ……ね、ねえ矯正くん?」
「はい」
「今の…その……私に言ってくれた事は全部、本当の事……なのかしら」
「えっ」
そう尋ねてくる堀北の表情は、怒っているとか羞恥とかそんな物ではなくて、もっと別の───!!
「あ、ああ!そりゃもちろん!───嘘ですの!」
「「「…………」」」
空気が死にました。やばいですの。割と冗談抜きで本気でやばいですの。
俺今日命日かもしれないですの。今までなんだかんだで結構楽しかったですの。
こんなマジキチ最低ゴミ屑男と仲良くしてくれてありがとうございましたですの。
「一択…いくらなんでもお前それは……」
親友の綾小路清隆くんでも流石にドン引きしておられるですの。
お気持ちはよくわかりますの。マジでわかりますの。
禿げ上がるほど同意ですの。
「矯正くん…最低……」
私もそう思いますの。佐倉愛里さんと完全同意ですの。
最低の極みですの。最低の極意(極)ですの。
死んだ方がマシだと思いますの。
「…………」
堀北さんが無表情真顔なのが一番怖いですの。
こんな顔見たことないですの。
マジで心底嫌われた可能性大ですの。
でも乙女心を弄んだ悪質極まりないイタズラしたので因果応報ですの。
自業自得のバーゲンセールですの。
マジヤッベェですの。
てか泣きそうですの。死にたいですの。自業自得なので仕方ないですが。
「………………」
堀北さんが無表情のまま動かないんですの。これ本当に怒ってますの。
ガチ嫌われ領域入ってますの。終わりましたの。
……だけどこのまま友人関係が終わるの凄く嫌ですの。まじでリアルに切実に嫌ですの。寂しいですの。
……謝るしか、ないですの。それで許して頂けるとは思いませんが……私にできるのはもうそれしかないですの。
「堀北…さん。その……最低な事言って本当に……ごめんなさい」
土下座をしましたの。私に出来るのはこれくらいしかないですの。
「…………」
無言ですの。これほんとにもう手遅れですの。終わりましたの。
……あっ、やばい。マジで泣きそうになってきた……いや今はそんな場合じゃないだろ馬鹿野郎。とにかく謝って…それで嫌われたまんまだとしても……ケジメはつけないと駄目だろ。
「堀北鈴音さん。ほんっとうにっ申し訳ありませんでしたッ!!」
ああ、終わった。最後の方若干涙声になってしまった。
情けねえ…クソッタレめ……。
「……ふぅ…矯正くん?何故あんな事をしたのか、聞いても良いかしら?」
「……え?」
俺は耳を疑った。だって、もう堀北はそんな風に俺に声を掛けてくれるとは思わなかったからだ。
なのに……。
「……矯正くん?」
彼女は何時も通りのちょっと困った様な微笑を浮かべて、俺に対して問いかけてくる。絶縁されても全然おかしくない事したクソみたいな奴にだ。
……優しい、なぁ……。
「っ……!」
思わず涙ぐんでしまう。この人ほんと優しすぎるってマジで。
「えっ!?矯正くん!?大丈夫?ハンカチならあるけれど……使うかしら?」
「ほん゛っと゛う゛に゛も゛う゛し゛わ゛け゛あ゛り゛ま゛せ゛ん゛て゛し゛た゛」
涙腺が決壊しました。恥も外聞ももう関係ありません。
そんな俺に堀北さんは、やはり何時も通りの困った様な微笑を浮かべて。
「はぁ……まあ流石にあの冗談は質が悪過ぎるとは思うけれど…そこまで、思い詰める事ないんじゃないかしら?私は別に、そこまで怒ってはいないわよ」
そう言ってくれた。
……怒ってない?嘘だろ?
そう口にする前に堀北が先に口を開いた。
「だって、矯正くんが言う事だもの。……寧ろ、間に受けてしまった私の方が悪いと思うのだけれど?」
あ…あ……ああっ……!!
「うお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」
「!?」
勝利の雄叫びが飛び出す。当たり前だよなぁ?
「堀北!マジごめんなさい!金輪際こんなクソみたいな冗談は言わない!絶対に!」
「……約束よ?」
「はい!」
「なら、いいわ。この件は…水に流しましょう」
優しすぎるぜ堀北さん!結婚したい(ライ◯ー)
【胸と違って心は広いんだな!ははっ!!】
【まあ嘘なんですけどね(笑)】
オチとか要らねえから!マジ要らねえからっ!!
なんなのおまえ?実は俺に自害して欲しいの?
この流れでこれ言ったらもう終わりだよ?
そげぶされるぐらいのクズ野郎だよ?
…もうやだこの選択肢……。
「胸と違って心は広いんだな!ははっ!!」
死にたい。マジでリアルに切実に死にたい。おれ、選択肢キライ。
「……矯正くん。歯を食いしばりなさい?」
「はい」
「ふんっ」
思いっきりビンタされました。なんだかとても痛いです。
肉体強度とか関係なしに。
「次からはもっと凄いのいくわよ?」
「はい。すいませんでした」
堀北さんは優しい。それだけが身にしみて分かりました。
選択肢さん。
……少しは見習えこのクソ野郎がァァァァァァァァァァ!!!!!