プリンセスコネクト!Re:Hunter 作:9kv8xiyi
原作:プリンセスコネクト!Re:Dive
タグ:R-15 残酷な描写 憑依 クロスオーバー Bloodborne 騎士君の中身は別物 上位者〆 作者はブラボにわか 駄文 割とご都合主義
━━狩人様、お目覚めですか、本日は随分とお早いお目覚めですが、如何なさいましたか?
懐かしい声が聞こえる、私の世話とこの家の管理をしている人形さんの声だ、どうやら今回も【目覚めた】らしい、と言っても向こうの世界で死んだわけではない、長い間仮眠を取り目覚めただけの事だ、それでも今はこの声が愛おしい…そう思えるのは未だ私の中に人間だった頃の名残があるからだろうか…それとも最早言葉を解せる存在がこの人形だけだからだろうか…否、今はそれどころの問題ではない、別世界、別次元ともとれるが私の中に宿る【ソレ】と同一の気配、それを感じ取ってしまった、故に今飛び起きたのだが…人形さんには心配をかけてしまったな…あとで謝罪の一言でもかけておこう…
つまり、だ私が住んでいる世界とは別の世界線で【ソレ】と同一の存在が何かしようとしているらしい、そして決まってそれは人の社会には有り余る物だ…いつの時代も獣は余計な事ばかりするものだ…獣がよからぬことをしでかそうとしているならば狩らねばなるまい、その為には少々遠出を行う必要があるな、しかし、私の真体が向かってもどうにもならん、およそ私の身体は人間には受け入れがたいだろう…最近は身体を前の状態に構築できるようになったとはいえ肉が崩れるか分かったものじゃない、私の思念だけを飛ばし憑依させることができるならば、話は速いのだが…ふむ、この少年…肉体と魂がすさまじく損傷している、この者の肉体を間借りさせてもらおうか、その旨を人形さんに伝えておくとしようか
━━狩人様、お出かけですか?え?別世界での上位者の気配を感知…?何かしでかす前に討伐に向かわれるのですね、畏まりました、何か私にできることがありましたら何なりと、はい?一人の人間の衣類の調達と世話を、ですか?畏まりました、すぐに準備しておきます、お出になるのですね…狩人様、どうか貴方に良い夜明けがあらんことを…
つくづく人形さんには迷惑をかける…私には勿体ない存在だ、さてこれで下準備は整った、あとは思念を飛ばすだけだ、さてさてどういった世界なのやら…
◆
━━???━━
「おはよう、ごめんごめん、起こしちゃったわね、まだねてていいわよ、あたしも作業に集中したいし…あんたの相手、してる余裕がないから」
うむ、知らない声だ、それに見慣れぬ景色、どうやら私はうまく転移できたようだな、身体は…よし、私の意の通りに動かせる…まだ肉体に少々引っ張られてる節があるがまぁ問題はないだろう、器になったこの少年には悪いが少々肉体をお借りするとしよう、さて、状況の確認と整理といこうか、まず今私がいるここは…また現実とはまた少々異なる世界らしい、狩人の夢のような物か…?そして目の前にいるコイツは…少なくとも生き物ではないな?生き物ではないが確かな知性がある…上位者によって製造された被造物か…?いや、こいつからは上位者特有の気配は感じない、全くの未知な存在だ。*1さてどうやってアプローチを掛けたものか…
「おーい?聞こえてる?周りを見たと思ったらジッとあたしを見つめちゃって…その様子だと何も覚えてないのね、まぁそうだと思ったけどね」
━━貴公はこの肉体の利己だったりするのだろうか?
「え…?あんた様子変わった?というかあんたそんな冷静で物事を俯瞰してたかしら?」
━━ふむ、どうやらこの子と全くの初対面ということではないようだな、端的に言わせてもらおう、今貴公の目の前にいる私は、貴公が知りうる人物ではない。いや、外面上は同じでも中身、つまり魂が違うのだ、そこをまず、理解していただきたい。
「はあ⁉じゃああんた一体誰よ!というか別の魂⁉元の魂は無事なんでしょうね!」
━━そこは問題ない、乗り移る際に手厚く保護させてもらった。
「ほっ…そう、よかった…━━だが━━だが…何よ?何か問題があったの?」
━━然り、彼の魂には成功している、今この地ではない、私が住処にしている秘匿の地によって手厚い歓迎を受けている筈だ、そして彼の魂の問題なのだが…保護を試み手を差し伸べた際には既に深く損傷が起こっていた何とか活動停止を免れる様繋ぎ止めはしたが、それでもギリギリといったところだ。人間の魂とは7割以上の損傷があった際、記憶の大半が吹き飛ぶという。彼はその数値を上回っていた、故に何とか修復しようにも彼の記憶が戻ることはない…力及ばず申し訳ない。
「…ッ!そう…やっぱりあの攻撃がまずかったのね…でも、そっか…生きてるんだ、あいつ…よかったぁ…!ありがとう、あんたが保護してくれたおかげであいつを失う羽目にならなくてよかったわ、記憶に関してはこっちでどうにかできるんだけど…あんたがそういうってことはあいつの魂は素直に返してくれそうにないってことじゃない?」
━━うむ、察しがよくて助かる、私はこの身体で成すべき事がある、それを成すまで返せそうにない、先にその点だけは謝罪しておく、まず私がこの少年の身体に乗り移った訳だが…まず大前提として貴公、私が話すことは全て真実であり事実だ、嘘だと思うだろうがどうか、今この場だけは私が言っていることを信じてはくれないだろうか…?
「信じざるを得ないでしょ、そもそも別の肉体に別の魂が入るなんて異常事態を目にしてるわけだし、その代わり、あんたが知ってる事全部話しなさい、それが条件よ」
━━感謝する、薄々感じているだろうが私はこの世界の住民ではない、この世界に住んでいない別の世界の私がこの少年の肉体に乗り移ったのだ、そう認識してほしい、まずこの少年に乗り移った訳だが、先ほども言った通り私はこの世界にやるべきことがある、それはとある生物を殺す為だ。
「生物…?この世界の魔物じゃ、ないわよね、そうだったら別世界の存在がわざわざ介入してくるはずないもの」
━━ああ、私が殺すべきソレは言うなれば人間に対して悪現象しか引き起こさない害獣だ、この世界ではそう…外来種と呼ぶのだったな、そいつがこの地に根付き人の社会に悪影響を引き起こそうとしている、私は、それを防ぐためにそいつを駆除しに来た、一先ず、ここまではいいか?
「ええ、何とか…つまりその外来種の魔物を討伐するために別世界からあんたが態々飛んできたのね…こっちの人間じゃ太刀打ちできないの?言っても所詮生物でしょ?」
━━…ああ、所詮は…生き物だ、殺せば死ぬ。だが通常の人間では戦う以前の問題なのだ、簡潔に言うとだな、その生物は上位者と呼ばれるこの世の生物の定理、そのすべてに当てはまらない体の特徴、生態をした生き物だ、詳細は多くは語れないし、理解できないだろうからとても簡単に纏めるぞ。…これは貴公がすべて話せといったから話すのだからな、まず上位者とはその多くは宇宙から飛来したものとされている*2、そして…まぁ赤子を残すために色々するのだ、色々な…深くは聞くなよ、後悔する。
「なるほどね…その上位者って奴が子供を作るためにこの地に来たってわけ…そしてその色々の部分が人間たちに悪影響ってわけね」
━━その通りだ、最悪の場合、死よりおぞましいことになりうる。そして通常の人間では戦えないという点だが、そもそも普通の人間では上位者というものは認識できない、奴らは潜むことに関しては超一流だ、こちらの世界にもいるはずだ物陰や背景などに溶け込む能力を持った…擬態という技法で隠れる生き物が、それと理屈はほとんど同じだ、上位者を正しく認識するためには特別な目が必要だ、そして正しく認識したとて戦いに持っていけない、生き物にも格というものがあるように上位者にも格が存在する、上位格の奴らと戦うのであればこちらも同一の存在になるしかない、そして私が察知するに、この世界にそういった生物はいない、故に私が狩るのだ。
「OK、何とか理解はしたわ…あんたが言ってることが事実なら確かにあんたしか倒せないもの、それで?その上位者って奴を倒したらそいつの魂をちゃんと返してくれるんでしょうね?」
━━そこは安心してほしい、私は嘘はつかん、疑うのならそういった誓約を刻んでもいい。
「わかったわ、一応、あんたがそいつの中にいるのを認めるわ、ただし!絶対にその体に無茶させるんじゃないわよ!その体はあんたのじゃないんだからね!」
━━無論だ、あの頃と違い死して尚目覚めるという状態ではないのだ、死なぬよう立ち回るさ。
「わかればいいのよ…えっとそれで…あんたの事は何て呼べばいいのかしら?ユウキだとその体の名前だからややこしいのよ」
━━ム…それは失敬、私としたことが自己紹介を忘れるとは、これではまた叱られてしまうな…んン…とはいえ私には呼称されるべき名前等ないのだよ、いや、嘗てはあったのかもしれないが、私は既に人の肉体を捨てた身でね、名前には無頓着なんだ、だがそうだな…どうしても私の事を呼称したいのであれば…そう、狩人と呼びたまえ、私がいた世界では、そう呼ばれていた。
「狩人ね…わかったわ、わたしも名乗っておくわ、私の名はアメス、私も他の名前があったのだけど、最近はもっぱらそう呼ばれてるから、普通は覚えさせる…なんてことはできないのだけど、この空間は夢みたいなものですぐ忘れちゃうのだけど、あんたはちゃんと認識してるみたいだし?」
━━いかにも、この場所での出来事は凡そ記憶にとどまるだろう、なにせ記憶するべき魂が別個なのだからな、そして…アメス、だったなこの空間が夢というのであれば目覚めも近いはず、そうなれば私の肉体は活動を始めるはずだ、その際この世界に詳しい人物がいると助かるのだが…
「その点は問題ないわ、普段ならあたしがその役割を果たすのだけど今のあたしは見ての通りボロボロにぶっ壊れててさ、自己修復が終わるまでは動けない、つまり現実に関われないのよね、だから。あたしの代理としてあんたには【ガイド役】を派遣しといたから、あんたの人生、つまり現実における水先案内人ね」
━━それは非常に助かる、あてもなく彷徨う羽目にならずに済みそうだな。
「ふふん、用意周到でしょ?…っともう時間の様ね、もう少し情報の交換をしておきたかったのだけど、そううまくはいかないものね、…狩人、あんたはこれから先色んな出会いを経験すると思うわ、それはいいことだし必要な事よ、だからこれだけは言わせてもらうわ、
━━なんとも壮大な話だな、世界を救うという大役を一狩人でしかない私に託すなど酔狂もいいところだ、私にできることは獣を狩るだけなのでな、その獣が世界を滅ぼすというのなら、まぁそいつを狩るついでに世界も救って見せよう。それではな、落ち着いたら、また顔を出す。
「ええ、それじゃあね、一応ガイド役の子にはあたしからあんたのことは色々伝えておくから、…あんたの人生と現実が、幸福になるように祈っておくわ」
◆
一転して周りの雰囲気が入れ替わる、どうやらこの肉体が【目覚めた】らしい、…純粋な睡眠からの目覚めとは久方ぶりだ、何とも言えない気持ちになる、そして…この小鳥が囀り木々のざわめきと心地のいい風の音、何より特徴的なのは空に浮かび上がる今も尚眩しく照らしつける太陽。うむどれも私の経験になかったものだな*3新鮮な感覚だ、よもや数百年と生を経験した私にと未知な刺激的な経験を感じることができようとはこれは目的を果たす過程として第2の人生を楽しむのアリやもしれん…
「はじっめ、ちょろちょろ…♪な~か、ぱっぱ…♪あかっご泣いても、蓋とるな…♪」
うむ、赤子が鳴いているなら蓋を取る前にその赤子を始末せねば*4…そうではなくて…ふむ、どうやら近くに人がいるようだな、例の案内人だろうか、それにしてもやけに幼い声だったが、とりあえず身体を起こし身元の提示をせねば…そう思い、私は声のする方に目線をずらしたのだが…
「おや、お目覚めになられたのですね、主さま」
…嘘だろう?この娘が⁉私の案内人だと⁉やけに幼い声と思ったが本当に幼子ではないか!アメスめ、私への当てつけか⁉ただでさえ私は幼子にいい思い出がないというのに…!*5衣装はまぁ…民族衣装と断ずるしかあるまい、しかし幼子に人形さんのような振る舞いをさせるのか…私には人間だった頃の感性はほとんど残っていないが…それは拙いのではないだろうか?もしこの歳の子に人形さんのような立ち振る舞いをさせたとあの町の住民に知られたら…問答無用に殺しに来るだろう。*6特に歳が近い娘を持っていたガスコインなんかは率先して狩りに来る筈だ、これから大きい街に行くであろう私がそんな目に合うのは非常に拙い、如何にかせねば…
「突然のことにつき驚かれていらっしゃるのですね、まずは自己紹介を…わたくしは偉大なるアメス様によって派遣された【ガイド役】…名前は、コッコロと申します。どうぞ、以後お見知りおきを、主様をお守りし、おはようからお休みまで…揺籠から棺桶まで、誠心誠意お世話をするのがわたくしの役目でございます。何なりとご用命を、主さま」
いやその…なんていうか…間に合っているんだ、そういう従者気質な者は、うん、本当に、というよりおはようからお休みは、ギリギリ理解した、だが揺籠から棺桶って、それは赤ん坊から死後まで面倒を見るということだろうか…?何万年生きるつもりだ、この娘…いやいや今の私は通常の人間の身体を間借りしているだけなんだった、長い経験でその辺が不慣れだな…しかし…この子か…この子がガイド役かぁ…もうちょっとこう…人選があったろうアメスよ…これは次に会った際一言申さねばならんな、それはそうと何から話すべきか…幼子とのコミュニケーションとか軽く百年単位で行ってないぞ…
「おや、キョトンとされておりますね、えぇっと、不躾ではございますが…あなたさまのお名前をお聞かせ願えますか?」
うむ、そういえば目覚めてから私は何も言葉を発していなかったな、周りの景色に見惚れていた、如何せんあちらの世界では縁遠いものではあったからな。…ところで私の言語発声能力は未だ生きているのだろうか
「あ゛ぁ…ン゛ン!!、ヨシ、問題ないな、えぇと、私の名前、だったな、私の名前は【ユウキ】というのだが、如何せん私は少々特殊な出で立ちでね…そちらの名前で呼ばれるのは慣れていないから私の事を呼ぶ場合は狩人と呼んでくれると助かるのだが、それと念のために確認を取るのだが、アメスから派遣されたガイド役というのは貴公で間違いないのだな?」
「ふむ、ユウキ様、もしくは狩人様、と仰るのですね、良かったわたくしのお仕えする主様で間違いないようです、よもや人違いなのでは、などと疑って申し訳ありません、ご不快でしたら何なりと罰をお与えください。鞭で打たれようがなにをされようがわたくしは一向に構いません」
私が一向に構うのだがそれは…しかし、しかしだな…罰と来たか、幼子の口からそんな単語が出ようとは、つくづくトラウマを掘り返してくれる…ふむ、この罰を与えるという点、利用できそうだな、とりあえずは…
「そうか、では早速一つ罰を与えるが…」
「ッ!はい、何なりとお与えくださいませ」
「まずは私の事を【主さま】と呼ぶのをやめてもらえないだろうか、私はそんな高貴な生まれではないのだよ、そして貴公のような年頃の娘が私に対して主様、と呼ぶのは大変拙いと私は思う、せめて名前の後に敬称を付けてはくれないだろうか、それが罰の内容なのだが…」
「…そのような事でよろしいのですか?とはいえ主さまは主さまでございますし…しかしその主さまご自身がそう仰られるのでしたら…はい、畏まりました、では、狩人さま、とそう呼ばせて頂きます。」
…よりによってそっちの方の敬称になったか…まぁいい望んだのは私の方だ、そういうこともあるだろう。
「わたくしはアメス様より託宣を頂いており、それによると、ある…狩人様は社会の常識に少々疎いところがあると聞き及んでおります、わたくしがお導きしますので、どうかご安心を」
「あぁ、非常に助かる、人間が集まる文明社会で社会の常識を持ち合わせていない事程話にならないものもないからね、貴公を存分に頼らせていただこう」
それにしても、だ…なんだこの世界は…パッと目を寄こせばよい風景と自然と思わせるが、よくよく見ればどこもかしこも作られたものばかり、生態系等はうまく収まっているし不自然なところはないが…それでもこの世界が創られた物であるということはわかる、そしてこの娘もこの肉体の持ち主もこの世界に閉じ込められているのだろう…どれ、少し調べてみるか、あぁ成程、外部装置を使いこの世界に精神体を飛ばしているのか、そして自身で作り上げた肉体に憑依していると…要は物語の世界に入り込んでいる状態ということだな、そして何らかの要因でこの世界に閉じ込められたと…とすれば閉じ込められている原因は…ふむ、
「お腹すいた~…お腹すいた~…」
「はい、心得ております、お昼時ですしね、狩人さまがお目覚めになられたら、召し上がっていただこうと…わたくしご飯を炊いておりましたから」
「まて、コッコロ、私はまだ何も言ってないぞ」
難聴なのだろうか、まぁそれはいい、しかし、昼か…決まった時間に食事を取るなんてことをするのは何時振りだろうか…少なくともあの町に訪れる以前の話になるだろうな、獣狩りの日々は食事が喉を通らんし、何より空腹でくたばるより先に死ぬのだから、新しい肉体を得ても食事というものは滅多にとらないな、偶に人形さんが作る紅茶とクッキーを嗜む程度か…人間の身体を捨て、食事と睡眠は必須ではなくなり趣味趣向の類になった、つまりどちらも取らずとも、生命活動は可能なのだが…折角だご同伴に上がるとしようか…久方ぶりの食事故味覚が機能しているといいのだが。
「うわぁい、ごはぁん!ありがとうございますありがとうございますっ!お腹がすいて死んじゃいそうだったんです!ご馳走になりますっ!いただきまぁ~すっ☆もぐもぐもぐっ♪」
おぉう、なんともまぁパワフルな女性が現れたものだ、しかし目先の食物につられ我先に食らいつくとは…いやよそう、この者は人間だ…ギリギリ、といったところだろうが、まぁいい私も少量だけ頂いておこう、幸いあまり空腹は感じてなかったのでな。
「…どちら様でしょう?」
「さてな、分かるのは私とコッコロ、そのどちらの利己ではないということだけだが…まぁ少し様子を見ようか、この食べっぷりを見ていると邪魔するのは忍びない」
「もぐもぐもぐっ♪ぷはぁっ、ンま~い!生き返るぅ~っご飯は命のエネルギー…☆」
ふむ、死に扮する程の空腹とは、しかも食物を生命エネルギーに変換する…かつての私に備わっていた機能だが、何とも不便な生き物だな、人間というのは、アム…うむ、この…なんだ?白い粒は…恐らく穀物の類だろうが…なんともいえん粘着きと食感だ、その癖に噛めば噛むほど味が出てくる、これは…甘みか、私の知らない食物だ…興味深いな、狩人の夢に持ち帰って増産できないだろうか…折角無駄に広い土地があるのだし…水は、まぁ上位者特有の謎パワーを使えば何とかなるだろう、或いは水盆の使者達が取り扱ってくれると嬉しいのだがな…しかしあいつらは中々の守銭奴だ、むう…
「あぁ、食べた食べた!いやぁ、助かっちゃいました!見ず知らずの私においしいご飯を恵んでくれるなんてっ、良い人達ですね!一生恩に着ますっ、ありがとうございまーす☆」
「いや恵んだというか、気づけば食べられていたというか…あぁっ、狩人さまのために用意したごはんが一瞬で消え失せましたよ?な、何なんですかあなたは?」
「わたしは…いや、それよりも、あの子、あなたたちのお知り合いですか?」
…話を逸らした、というわけではないようだな、現に今こちらに一つの人的生命反応、後は…この品性の欠片の感じさせない足音は…奴らか、ハァ…どこもかしこも獣ばかりだ…ウンザリするな…
「きゃああっ、助けて~!魔物がっ、大量の魔物が追いかけてくる~!
「おや…何だか、えらいことになってますね、どなたか存じ上げない方が、魔物の大群に追われています、ど、どうしましょう狩人さま?」
ふむ、見た所獣に追いかけられてるのは何やらやけにピンクに身を包んだ少女か…なんとも女との出会いが多い物だ、何かしらの因果を感じるな、そして追いかけてるのは…小型の猪と狼…を思わせるような獣達、要は豚と犬か…即殺対象だな豚と犬を許すな*7、そして…なんだあの珍妙なフォルムはキノコ人…と動く石造?ビルゲンワースかメンシス学派の産物だろうか、どちらにせよ獣であることに変わりあるまい、囲まれると面倒だ、一気に蹴散らす…と言いたいのだが、私の【仕掛け武器】は何処だ、獣に素手で挑むのは愚行中の愚行だぞ、ノコギリ鉈、ノコギリ鉈をこの手に!いっそのこと少々世界を弄ってあいつらを呼んでみようか?なんか行けそうな気がするし。
「貴公ら、少し目を反らしておけ、常人には受け付けがたいシルエットなのでな…」
私はそういうと指笛を鳴らした、通常の音は出なかったがそれでいい
「おお?狩人さまは早着替えが特技なのですね、それに両手に立派な武器をお持ちで…狩人さまもお戦いになられるのですか、これは心強いです」
「魔物の群れはこっちに向かってますし、無視もできません、それに私が撒いた種かもしれませんし!今助けますよ~そこのひとっ♪」
そういうと彼女はあの少女の方に文字通り飛んで行った、ふむ…中々の身体能力だ、飛び出した際に地面が抉れているところを見ると相当の膂力、案外見かけによらずパワーファイターなのかもしれないな、私も加勢に回るとするか…
「貴公、安心したまえ、この獣共の一掃は任された、一先ず安全な場所に退避するんだ」
「え…え?誰?私を助けてくれるの…?」
「貴公を助けた覚えはないがね、目の前に人間に害をもたらす獣がいる、そして私は狩人だ、害獣は狩らねばならん、私にできるのはそれくらいでね、その際に誰かを助けていようと、知ったことではない」
冷たいと思われるだろうが、これは事実だ。下手に恩を着せようとすると碌な事にならんとあの町で狩りを続けて知った、人助けは必ずしも人のためになる物ではないと私は過去の経験から学んだのだ、私はただ獣を狩る、それだけだ。
「狩人さま、わたくしもご同伴いたします。」
「それはいいが…貴公、戦えるのかね?」
「はい、幼少の頃より有事の際の対処法として、槍術を磨いております、あの程度の魔物には後れを取ることはありません」
「それは心強いな、では頼む…さて、獣共…我等の狩りを知るがいい」
そうは言うも如何せん数だけは多い、その点はあちらと同じだ、弱い奴ほどよく群れる、とはだれの言葉だったか…あの娘の剣の威力は大したものだ、一振りで数十体は巻き込んでいる、剣もよほど研ぎ澄まされ、手入れがされているのだろうな、一目で良い物であると見て取れる、それにコッコロ、この子の槍術もなかなかのものだ、生憎と槍使いの達人と相まみえることはなかったが…あれなら獣狩りの夜でも通用はするな、最も生き残れるかと言われれば即座に否と言えるが…問題は私だ、思ったように体が動かん…なんだこの貧弱っぷりは、まるでヤーナムに訪れた日の身体能力のものみたいじゃないか*8、クソッ生憎技能の方は魂由来の為どうにかなるが、少々鍛え直す必要があるようだな、ハァ…また血の意志をかき集めねばならんのか…軽く鬱になるんだぞ…あの作業は、とりあえずは必要最低限の動きでいなしていくとしよう、出来るだけ輸血液は温存しておきたい、とはいうが今更この程度の獣に手古摺るほど、私は衰えていないがな、私を殺したくば、それこそ呪われた聖杯ダンジョンでも引っ張ってくるんだな!いややっぱ嘘ですもうあんなとこ潜りたくないです、勘弁してください、本当に…とか言ってるうちに片付いたな、あっけない物だ…殆ど剣の彼女が処理したのだが…そういえば私はあの腹ペコ娘とこちらの幸薄そうな娘の名前を知らなかったな…
「ありがとうございました!お陰で助かりました…危うく食べられちゃうところでした。」
本当にな、目の前で獣に殺される少女を見せられるというのは…なかなか堪えるものがある物だ、なのできっちり息の根を止めておく、特に豚を許してやる通りはない、慈悲はない、無様に死ね。
「いえいえ、ご無事で何よりでございました、あなた、どうして魔物の大群に追われていたのですか?」
「その子っていうより、私を狙ってたんだと思いますよ、その子は偶々通りがかって巻き込んじゃった感じですかね…」
まさか本当に幸薄少女だったとは…お祓いでもした方が…いや上位者である私のお祓いなど大した効果はないだろうな、むしろ呪いが罹りそうだ、獣になってしまったが最後、狩らねばならん、救ったものを狩るのは…中々しんどいんだ。
「あなたを?えぇっと、どういうことでしょうか?というか本当にあなたは何者なのでしょうか…?」
「ふむ、そうだな一段落はついたのだし、お互い自己紹介とでもいこうか…礼節を重んじ私から名乗らせていただくが…私の名はユウキという、しかし名前で呼ばれるのが慣れていなくてね、私の事を呼ぶ場合は狩人と呼んでくれたまえ」
「あっ、わたしも名乗ってなかったよね、わたし、ユイっていいます、本当に、助けてくれてありがとう…♪」
…良い子だ、素直にお礼が言えるとはな…捻くれた連中しかいないあの町とは大違いだ、この子の爪の垢を煎じて飲ませてやろうか…幸薄少女改め、ユイはこの瞬間に私の人生で出会った人間の良い奴ランキングトップ5に入り込んだぞ、さて、ともすればもう片方の腹ペコ娘の方だが…?
「お~い!みんなっ、こっちに来てください!何か倒れてる人がいるんですよ~回復魔法とか使える人居ましたよね?」
「あっ、わたし回復魔法は得意です!倒れてる人…って、えぇっと?」
また新たな人か…まだこの地から大幅に動いてないのに既に4人もの人物を確認している、余程人との縁が太いのだろうなこの肉体は、さて…件の人物だが…こいつ、尻尾と獣の耳が生えているな?しかし人の身体を持ち合わせている…メンシス学派の産物か…?あいつらには道徳がないからな…気絶しているところを見るに体力切れだと思うが、さて…治療はユイという者がやってくれるらしい、よかった、血の医療を行使する羽目にはならなそうだ、拒絶反応が出るととんでもないからな。
「治療とか、お任せしますね?まだ魔物がウヨウヨいるので、わたし蹴散らしちゃいます!みんなは、その気絶してる人を運びつつ避難してください~♪」
「避難しようにもこうも魔物だらけでは身動きが取れませんよ。えぇっと、お腹ペコペコのペコリーヌさま…と仮にお呼びしますね?乗りかかった船です、ともに窮地を脱しましょう」
「おやっ、ペコリーヌってわたしですか?可愛いあだ名をつけられちゃいました~やばいですね☆この程度の数なら、わたしだけでかる~く殲滅できるのに♪」
「だがその代わり、消耗が激しいはずだ。貴公、その体躯に合わぬ膂力は恐らく、何かしらの代償があるのではないか?ともすれば一人でかかるより多数で攻める方が効率的だ、獣相手に一々正々堂々と戦ってやる必要はないのだよ…一方的に狩ればよい、無慈悲にな」
とはいうが、私は身体の弱体が激しすぎる、一対一で潰すなら兎も角、一対多は慣れているとはいえだだっ広いここでやる物ではないぞ…誘導もできなさそうだし、何か打開案はない物か…
「それでしたら狩人さま、アメスさまからの託宣では狩人さまには他者を強化する力が備わっております、その力を使い我々を強化してはもらえないでしょうか…?そうすれば突破できるはずです」
他人を強化する…?獣血の丸薬や狩人の遺骨のようなことが他人に振り撒けることができるのか…?そもそも他人の強化等どうやってするというのだ、私はずっと一人で狩りを続けてきた、他人の強化等…いや、今は考えるより実行あるのみ、こういうのは…秘儀と同じく念じれば出来るはずだ…どれ。
「これは…」
「これが…狩人さまのお力…!すさまじいエネルギーを感じます」
「おおっ♪力が湧いてきましたよ…!これなら!」
おぉ…目に見えて殲滅力が上がっている、凄まじいなあのユイという娘はどうやら光弾を飛ばして攻撃するようだし…彼女のカバーに回るのが賢明か…?しかし強化を施しながら戦うのは…中々にキツイな、全く動けなくなるわけではないが、それでもかなり鈍くなる、この様ではヤーナム市民にすらなぶり殺しになるだろう、格的に鍛え直す必要があるようだ…それに、こういった強化能力は己の力を誤認しやすくなる原因にもなる、やはり最後に物を言うのは己の地力だ、さて、殲滅は済ませたが…少々私のやり方は血生臭いようだな…*9要検討だ、これは、兎に角猫娘を背負い近くの町に向かうことにするか…それにしても…あちらとは違い随分と楽しめそうな世界じゃないか、少々満喫しても許されよう…
fin
1万文字超えたんだが?やっぱ地の文を主人公目線にさせると書きやすいっすね…