迷宮都市オラリオの暗黒期───後にそう呼称される、闇派閥(イヴィルス)が都市に蔓延り、破壊の限りを尽くして数多の悲劇を生んだ時代。
小人族(パルゥム)の勇者に猪人(ボアズ)の猛者、疾風の妖精(エルフ)。都市の秩序を保つギルドに与して、民衆を守り正義を掲げる英雄達と、殺人鬼に狂信者、自死をも厭わない邪悪達が日々抗争を繰り広げる中で、青年は一人、その狭間で暗躍する。
「────復讐を果たす為なら、俺は何だってしてやるよ」
幻影。付けられた二つ名の通り、顔や声、性別から所属派閥まで、素性の一切が不明瞭の虚ろな影として闇派閥(イヴィルス)へと溶け込む彼の正体はギルドの密偵。
危険を承知で闇に紛れ込み、光へと手を貸す幻影だが、その内に秘める願いは幼き頃に誓った復讐。
英雄達への助力も、邪悪な闇への適応も、全ては己が悲願の為に。
「待っていろ、エレノア。俺は絶対に、お前の元まで辿り着く──!」
これは青年が紡ぎ、密やかに神々が語り継ぐ物語、
───【幻影の狂叙詩譚(ファントム・ラプソディア)】───
  1.幻影()
X(Twitter)  ▲ページの一番上に飛ぶ