長く続く争いの中で生み出された人型兵器「
戦うことだけを目的に生み出された兵器たる彼女たちは、今日も戦場を駆ける。
時は1991年。
世界規模での資源の枯渇の兆しが見え始め、ある国が起こした戦争に多くの国が参戦。局地的な戦場はやがて世界へと広がりをみせ、二度目の世界大戦が勃発。
より多くの資源を求めた戦争は混沌と化した。
各国が戦争状態へと突入し、約20年続くこの戦争。
新兵器として開発された人型兵器、「
既に資源の枯渇した小国は滅び去り、もはや戦争をしているのは余裕のある大国のみと言える。
資源の枯渇から始まった戦争により、多くの国が崩壊し、難民は増え続け、秩序は悪化の一途を辿っている。
このままじゃ人類は滅びるかもしれない――などと考える余裕もなく、今日も世界は争っている。
国が争い、人が争い、土地は荒れ果て、人もまた荒れる。
根無し草のアタシも例外ではない。
秩序は崩壊し、明日どころか今日の命も保証されない。
こんなくそみたいな世界でも、アタシは生きたい。死にたくない。
だから、
「あ、あ、ヴッァァォ殺ォォォじてやる!!!!!!」
半狂乱の男が向かってくる。タイミングを見計らいながら、手に持った斧を握りしめる。あと少し。もう少し。――今。
「――テメェが死ね」
男に向かって斧を振るう。柔らかい肉に刃が滑り込む。
硬い感触を感じた瞬間に、そのまま力を込めて振りきる。肉と骨の強い抵抗を感じながらも、力を入れれば直ぐに終わった。
悪鬼の表情のまま、男の瞳から光が消える。ずるり、と男の胸部から下がずり落ちた。流れ出た血が男を赤く染めるのを見つめながら、息を吐く。
ふと、視線を感じ、目を向ける。崩れ掛けのコンクリートの外壁。
建物の影から覗く、幼い顔。見覚えがある。つい先程殺してしまった、男の顔と。親族だろうか。だとしても、後の祭りだ。どんな関係性であれ、もう終わってしまったことなのだから。
警戒しなくとも良い相手だと判断し、視線を背けて目的の場所へと歩き出す。
響く号哭を耳にしながら、今日も生き延びたことを痛感する。
だから、あたしは生きるためならどんな事でもしよう。
このくそみたいな世界で、ようやく手に入れた自由なのだから。
そうして――「
ーー「
外見は勿論人そのものであり、人格も人間そのものと言ってもいい。生まれながらの兵士として調整されており、軍事技術や知識を持って製造される。
肉体の殆どが電脳化されており、様々なシリーズやタイプが開発された。
現在主流なのは少女型であり、華奢な見た目ながら身体能力は優秀な軍人と同等であり、肉体の強度も常人とは比べ物にならないほど強力。
捕虜となれば高値で取引される程。
軍事機密の塊であり、捕虜となった時点で電脳人形内の一切のデータが破棄されるよう設定されている。
各国独自の人形が開発され、その技術の根底には遺伝子操作技術、ホムンクルス製造技術などが関係し、各人形には元になった人物がいる。
が、その殆どが大戦末期には破壊或いは機能停止してしまっており、再製造が急がれている。
戦争の長期化による調整の甘さから、脱走電脳人形の増加が問題となっており、電脳人形という枠全体での再調整が検討されている。