俺 自身がガンダムになることだ 作:解毒剤からビームサーベル
よろしくお願いしーーーます!!
誤字、脱字報告感謝感激ありがとうございます!
そして私は余りにも致命的なミスにはずか死しそうです。
………悲しみ!!
走る。走る。走る。
息を切らしながら必死に頭を回す。だが、先程からずっと脳裏を過るのはこれからすぐに訪れるであろう負のイメージばかり。
何故こうなったのか?何処で間違ったのか?何がいけなかったのか?こんな筈では無かった、と今更な間違い探しばかりを繰り返していた───
私達はリコリスという、様々な理由で孤児と為った女児を実働員に据えた、機密治安維持組織の一員だ。
違法取引を押さえたり、テロの未然防止や売国政治家の処理など、警察では後手後手になってしまうような様々な重犯罪に対し攻勢に対処する………まぁ、大体は暗殺なのだが………ともかく、そういった裏で活動する法の番人。それが私達だ。
そんな私達に今回発令された任務が、『取引現場である廃工場地帯にて、ターゲットの捕縛とそれ以外の敵戦力の無力化』、というものだった。任務の規模自体は大きいものの、サード───一番下の階級のリコリスである私でも似たようなのを何度か参加した事がある、それくらいにはよくある内容の任務で、敵との戦力比、実務経験、能力面、何れも問題無く遂行出来る内容だ。寧ろ、今作戦は捕縛対象含めても数名に対し、私達サードが10名、私達より遥かに優れた技能を持つセカンドが5名、前線指揮官にしてそのセカンドが束になっても敵わないファーストが1名、と、過剰なまでの分厚い布陣で、バックアップの入念さも踏まえれば失敗どころか窮地に陥る事自体が有り得なかった。
何せ、私達はこんな仕事に就く以上並々ならぬ訓練を受けていて、多少喧嘩慣れした程度の相手なら大の男でも一対一で圧倒出来る。そんな私達が相手の頭数より倍以上居たのだから。
それが蓋を開けてみればコレだ。途中までは順調だったのに、突然敵の秘匿戦力から逆撃を受け何人もの負傷者を出し、そこから畳み掛けられる様にゲリラ戦に持ち込まれ、満足に通信も出来ないまま気が付くと、私だけがチームから孤立。控え目に言って、想定しうる最悪一歩手前だ。任務失敗とまでは言わなくとも。
何度思い返しても目立つミスは無かった筈。相手から奇襲を受けたとは言え、それまでに敵戦力は着実に削げていたし怪しい動きも無かった。私達を潰す為の罠だったとしても、商品と要人を危険に曝した動きも合わせればリターンとリスクが噛み合わない。
とはいえ、そろそろ逸れに逸れた思考を戻さなければと思うも、そう出来ない事情を見る。
「(……思ったより深い……)」
応急処置を施し、幾らか安静にしていても血と痛みを滲ませる太ももに、ナイフの一本も無い自身の現状。
死。なぶられる私。気を抜けば直ぐ様そういった妄想に走ってしまうほど私は追い込まれていた。分かっている。どれだけ絶望的でも生き足掻かねば可能性は0のままだ。だが、その為の要素を並べる度に道筋がみえなくなっていく。
「(……相手の練度はソコソコだけど重武装且つ大人数。……チームとも本部とも無線は繋がらない……多分ジャミング。……走れる程の体力も………)」
最早 私に為す術は無く、せいぜい出来るのは命乞いくらいだが、当然そんなものは色々な意味で出来るわけがない。つい先程まで殺し合いをしていたのだ。ノータイムで蜂の巣にされるのは目に見えている。
死にたくない、でも助かるビジョンが浮かばない。こうしてL字型の通路の一画で壁に背を預けてへたり込み、態勢を立て直そうと可能な限り息を潜めながら肺の空気を必死に入れ替え傷口を押さえるが、息が整っていくどころか動悸は酷くなるばかり。吐息の震えもジワジワと速くなっていく。
窓から飛び降りるか?ダメだここは4階でまずそれだけで致命傷。仮に無事だったとしても、それなりの音が出る以上、相手に悟られ、負傷して上手く走れない私では少し先伸ばしになる程度だ。
グルグルと暗転する頭の中で、嫌だ 死にたくないと言葉に成らない感情が、今一番必要なのに浮かばない打開策への思考の邪魔をする。
相手に特攻をかますか?と捨て鉢の選択が鎌首をもたげたそんな時、有り得ない物が私の元へやって来た。
突如として真隣の壁が粉砕され、轟音が響いた気がした。
自分の身に降りかかった出来事を他人事のようにそう思ったのはそれは剰りにも突飛すぎたからだ。迎撃や退避を考える間もなく、粉塵が晴れていきその原因が全貌を現す。
まず判ったのは人型で大きい。しかし、大きいと言っても人間の平均身長よりかなり高めかな?といったくらいで、数字に直すと200㎝前後といったところだ。次に肩や膝、胸は分厚い。いや、分厚いというよりも異形と言った方が正しい。それらの部分は大きく張り出しており、どう視ても『人間がプロテクターを着けている』と言った形をしておらず、深く鮮やかな緑色に染めらていた。そして人型だと判ったのは、人間よりは太いがスマートで均整のとれた白く塗装されている四肢と、メリハリの有る胴や頭があったからだ。
だが、『ソレ』を人と認識する事は出来ない。何故なら、各部の人間にとって関節と呼べる場所は、人の形や構造をしておらず、もし中に人を詰め込もうとすると、五体をバラバラにしなければ入ることも出来ない形状。今とっている跪くような体勢からも、そこから見える継ぎ目がそれを強く主張している。
頭部もよく見れば、幾つものプレートを取り付けたヘッドギアやヘルメットと言った形で、額にはVの字を横へ大きく広げた黄色いブレードアンテナ。顔の大部分は鋭角なマスク型に、その顎下からは口の様にも見える赤い飾りがあり、目は切れ長でクリアグリーンに発光して人間のように2つ並ぶ。全身は金属質で各部からは鈍色のフレームが見え、クリアグリーンの燐光が薄く舞い 静かな駆動音を響かせていた。
統括すれば『ソレ』は人型ロボット。それもSF世界から飛び出して来たような現実に有る物から大きく逸脱した外観だ。そんなあり得ない物に意識を持っていかれた私は、通路の陰から大きく飛び出すという致命的なミスに
構えられる軽機関銃、相手の数は3、距離は白兵戦に持ち込むには遠く、射撃戦を行うなら近い。フルオートなら素人でも余裕で当たる間合い。無警告で放たれる大口径の弾丸の掃射を、走馬灯のようにゆっくりになった世界で観ていることしか出来なかった私の視界の端から『ソレ』は射線に割り込んで来た。相手も何かが割り込んだのは気づいたがそんな物は関係無い、そのまま纏めて蜂の巣にすれば良いし、それが出来るだけの火力が有るはずだった。
現代の兵器事情において、攻撃用兵器の進化に装甲材などの進化が追い付いていないという話は、ある種の常識だ。何せ攻撃用兵器は、相手の堅牢な装甲や防具等を破壊した上で中身の対象に致命傷を負わせれるように計算、設計されてきているのだ。それこそ、世に出で来た当初の戦車は、絶対的な装甲と圧倒的な砲弾によって無敵の存在として君臨していたが、すぐに歩兵でも戦車に致命傷を負わせれる兵器が出てきた。勿論、戦車も様々な改良が施してその堅牢さの維持しようとしていたが、それ以上に攻撃用兵器の進化の方が早く、逆に防御用兵器は物質や重量などの制限に絡め取られ、直ぐに限界が来た。そういった事から、現代でも戦車は陸上戦力として極めて強力な兵器ではあるが無敵の存在という訳ではなく、状況や対処次第では十分に破壊可能な陸上戦力である、というのが通例だ。
当然、人型ロボットの装甲なぞ、天井知らずの複雑な内部機構に大量の容積を奪われ、戦車と比べれば遥かに限りられたペイロードでは、その装甲はベニヤ板の様なものだろう。
割り込むと同時に両肩端に取り付けられた装甲板が機体前方の大半を隠す様に可動。劈く
先ほどまでの騒音が嘘のように静まり帰り、カチカチと虚しい音しか聞こえなくなった廊下で────攻守が反転する。
「………前方の対象を、反社会的武装組織構成員と断定。
マスターの安全確保の障害と判断。
速やかな排除の為、限定的に兵装ロックを解除。
デュナメス、敵戦力を無力化する」
「逃げっ──っ゙あ゙あ゙ !!」「あがっ!?」「ぃぎっ!!」
宣言と同時にGNフルシールドが開放、両脹脛側面に装備されたホルスターから勢いよくGNビームピストルが起き上がり、それぞれを左右の手で腰溜め撃ちの構えで的確に撃ち抜いていく。一切の淀みもブレもなく正確にマゼンタ色の光弾が男達の四肢を撃ち抜き、相手の選択肢を瞬時に奪う。
反撃から僅か数秒の攻めで、奪う側から奪われる側へと入れ替わった者たちを唖然としながら眺めていた私に、『ソレ』は向き直り、クリアグリーンの視線と重なる。
「確認、機密組織、『DA』所属、リコリスの隊員で間違いないか?」
「──はぇ?」
「再度確認、現状況と容姿、装備からリコリスと推測するが間違いないか?」
「─っは、はいィっ?!?」
ズズイ、と迫りながら抑揚の無いマシンボイスで問われ、上擦りながら思わず素直に答えてしまう。現実感の無い一連の事象に、その時の私は完全に思考停止しており、秘匿の事や作戦の事も、明後日に行ったまま帰ってこず、流されるままだった。
■
想定外の敵の反撃を辛くも退け、なんとか膠着状態に持ち込めたが状況はあまり良くない。
此方は何人もの負傷者を出したのに相手の増援は無傷で
「マガジンも余りありません、次の撃ち合いが限界でしょう」
「おいおい、たったこんだけっスか?」
「急ぎだったのと、流石に持ってこれる予備にも限界があります」
「無い物ねだりしてもしょうがねぇ、今有る分で切り抜けるぞ」
まさか増援が
即座に動けて、期待できる戦力と成れば、落ち着いて考えれば直近のDA支部である喫茶リコリコ以外居ないのは自明の理だが、過去の作戦やその後のイザコザもあり、暫くは一緒に行動することも無いだろう思っていた矢先に今回の件だ。尤も、仕事で公私を分けるのはプロとして大前提である以上、文句は無い。無いったら無い。
とはいえ、開けたフロアの一画、廃材と投棄された作業機械を盾に、相手と睨み合っている現状は長続きはしないだろう。戦闘可能なのは、現相棒 乙女 サクラ、増援の井ノ上 たきな、そして
現状で時間を掛けるのは愚策だと分かっているが、怪我人が居る此方から打って出るのはリスクが高過ぎる。だが相手の方が装備の火力も頭数も多く、このままでは回り込まれ十字砲火を食らいかねない。はぐれた後輩の事もある。もう決断するしかない。そんな時。
天井が爆発した。
上という予想外の場所からの異変に敵も味方も目を向ければ、更なる異変に見舞われる。天井を突き破って現れたのは、
相当な高さが有るにも関わらず、重力を無視したかのようにフワリと着地し、この場にいる全員の時間が止まる。
今リコリス達を殲滅せんと包囲するように動いていた者が、それを打開しようとしていたリコリス達が、足を止め、目が裂けんばかりに見張り意識が集中する。そんな中、我関せずと動き続けるロボットはリコリス達の居る方に歩を進める。
「推奨、速やかな友軍との合流」
「ど、どうも?………??……?????」
身をやや屈め、抱えた少女を丁寧にエスコートするロボットに、漸く我に返った傭兵達は静かに殺気立つ。敵対していた少女達に味方の様に振る舞ったのだ、自分達の敵だと結論を出したのだろう。そんな空気でも変わらずロボットは傭兵達の方に向き直り、リコリス達の盾に成るように立っていた。
「警告、テロリストに告ぐ。貴様らの行動目的は完全に潰えた。直ちに武装を解除し、投降せよ。これに従わない場合、実力をもって貴様らを排除する。繰り返す───」
「っ──伏せろ!!」
淡々としたマシンボイスの勧告は、傭兵達にとっての合図になった。
繰り返す途中に叩き込まれる複数人からの鉛玉の返礼が野蛮なオーケストラを奏でる。相手が人ではない以上それだけでは足りないだろうと、念入りに殺意のこもった手榴弾を幾つも放られ、加えて本来ならリコリスへの止めの為にと回り込んで準備していた携帯対戦車擲弾発射器、所謂 ロケットランチャーも2階の簡素な踊り場から加わる。
爆音に次ぐ爆音、戦車でも壊すかのような勢いで、傭兵達から一身に敵意を受けたロボットは爆炎と煙に巻かれその姿が掻き消える。
傭兵達の射撃と同時に正気に戻ったリコリス達は、巻き込まれぬよう慌てて身を隠しながら事態の推移を見守る。完全に木っ端微塵だろう、と、この場に居る全員(頭の中が未だに疑問符で埋め尽くされている後輩は除いて)が予想し、各々が次の行動への算段をつけていたその時。
黒煙が緑に煌めく風に乗って吹き飛び、予想が覆される。
「───現行動を勧告拒否と判断。
デュナメス、鎮圧行動に移る」
高らかに宣言されたそれは決定事項。無傷に驚く暇も無く事態は動き出す。
いつの間にか展開していたGNフルシールドを再び解除し、20メートル以上離れた傭兵達との距離を瞬時に潰す。クリアグリーンの輝きを発しながら飛翔すれば、それはそのまま巨大な人間大の砲弾と化した。同じ体格の人間同士でも全力でぶつかれば、それだけで大怪我に成る可能性があるのだ。それを人間より遥かに重くて硬い物が、人間とは比べ物にならない速度でぶつかればどうなるかは想像に難くないだろう。
射撃の為に身を乗り出し、二人で固まって居た傭兵達の片割れに、ぶちかましが敢行。
「ごぇ゙ぇ゙ぇ゙っっ!!?」
咄嗟にライフルを盾にしたようだがその銃身ごと体をひしゃげさせてピクピクと痙攣してる様はどう見ても戦闘不能だろう。
「おっ、────おおおおおおおおおおっっ!!」
半ば動転しながら直ぐ側にいた仲間を吹き飛ばした下手人に、ライフルを発砲しようとするがその前に優しく銃身を手で上へ流された。その武骨そうな外観とは裏腹に、滑らかで滑るように相手の懐に入る姿は現実感の無さをさらに加速させる。
「お゙ごお゙お゙っ!?!?」
そのまま押さえた手と反対の腕から、人外の膂力によって鉄拳が叩き込まれる。ボディアーマー越しからでも人体を容易く破壊する拳を受け、また一人倒れる。
「しっ、死ねっ!死ねぇぇぇぇぇっ!!」
二人からやや離れた男に至っては、もはや悪足掻きですらない。子供が怖いものを遠ざけようと、必死に物を投げつけるような様相で、軽機関銃を乱射するがその恐怖の対象が消えることはない。仕留めた傭兵達を背に移し、銃弾を装甲が弾く音を響かせながら、一歩一歩とどこか軽い金属音を鳴らして男に近付いていく。怪物が腕を振りかぶる。それが男の記憶が途切れる最後の光景だった。
鈍く、あまり体に善くなさそうな音と共に、1階に居た最後の者が倒れる。
「クソッ!?クソックソックソクソクソッォォ!!何だよそれぇっ!!??」
その一部始終を視ていた2階の踊り場の傭兵は、次弾を撃つべく震える手を動かすが、明らかに精細さを欠いて手順が上手く行っていない。さっきのは偶然だ、偶々当たり処が悪かっただけだ。そんな都合のいい現実、いや悪夢を認めたくないと意固地になり、この場においての
「GN ビームピストル、『
片側のホルスターからGN ビームピストルが引き抜かれ、余裕をもって照射。打ち出された弾丸は実弾とは異なる発砲音と共に男の全身に着弾し、重低音の破裂音が空電音混じりに連発。悲鳴すら上げることが出来ず、ぐにゃぐにゃになって最後の一人も倒れる。
当たったであろう場所は、人体なら骨が砕け、手すりや手に持っていた火器は歪み、その威力を視覚で観た者に伝えた。
「……こっ、光線銃っ!??」
「………はあぁっ!??」
「いやいや、あり得ねぇっしょっ流石にっ……!??」
1分も掛からず終わった蹂躙劇、傭兵達は全員倒れたが事態はまだ終わっていない。
何故か此方を庇うような動きを見せたが相手は機械。プログラムに沿って動いているのか、それとも遠隔操作されてるのか判断が付かないが、敵かどうかは相手の主観次第。
そもそもこんなアンダーグラウンドな場所や状況では、仲間の一人を助けられたというだけで、味方判定が出来るほどの頭お花畑な者はここにいない。
今度はゆっくりと此方に向かって歩いて来る脅威に対して、対策と対応が迫られる。
どうする?破壊するのはまず不可能。逃げる?あのスピードを何時まで維持できるか判らないが、時間を稼がなければ無理だ!会話で時間と注意を引く??そもそも話が通じるのか!?
幾つもの考えが浮かんでは即座に否定し、貴重な時間が無為に過ぎていく。余りにもイレギュラーな『ソレ』に、今まで積み上げた経験と訓練が成す術無く空回る。
迫られる選択、あの時と同じだ───脳裏に過るのはたきなに選択させたあの───
傭兵が倒れた2階 踊り場の奥の扉が勢いよく開き、現れた一人の人物に、この場に居る全員の視線が集まり、たきなが声を上げる。
「千束っ!」
錦木 千束、現役にして歴代最強と名高いファーストリコリス。
人間離れした動体視力と観察力で銃撃を見切るという、非現実的な技能と年不相応以上の身体能力と格闘センスを持ち、それらを十全以上に発揮でき、且つ、咄嗟の判断力も有る 現 、井ノ上 たきな の相棒。
本来で在れば、頼もしい援軍だが今回は余りにも相性が悪すぎる。
千束はリコリスでありながら不殺を信条とし、フランジブル弾という殺傷能力(貫通能力を無くした弾)が極めて低い弾を好んで用いるのだが、そんなハンデすらも 物ともせず敵を圧倒できるほどの実力者だ。
しかし、相手は軽機関銃の掃射はおろか対戦車用火器すら跳ね返す文字通りの人外。
当然、非殺傷弾ではどれだけウィークポイントに何十発と叩き込もうと牽制にすらならないし、格闘戦なぞ素手で合金をも砕く膂力でもない限りリスクしか無いだろう。
このまま戦闘に成れば、どれ程の被害になるのか。せめて千束だけでもと、たきなの頭にはそれしかなかった──
「だめです!ここはに「なーんか妙に、死にかけのが大量に転がされてると思ったら、何でこんな所に居るのさ、
──そんな中、周りを一瞥し周囲の状況確認を終えた本人は、ロボットに話しかけた。千束がパルクールの要領で降りて来ながら、此方に向かって駈けてくるのに合わせて、翡翠と呼ばれたロボットは、千束の方を向き、武装を仕舞いつつ主君に頭を垂れる騎士の様に、片ヒザを突いて座り始めた。
「マスター、 錦木 千束 の無事を確認。心より「そんな話いいから、どうして此処にやって来ているのさ!」…… 」
「ちっ、ちさとー」
「当機の根底プログラムはマスターの心身の安寧であり──」
「いやいや、私がそんな簡単に死ぬわけ無いって知ってるでしょ?第一、翡翠が出てきたら余計に話が拗れるからね?」
「ちさっー」
「進言、当機と違い人間は極めて脆弱な肉体である。ならば当機が前線に立つことで、より多くの安全性や生存率を保障出来ると宣言する」
「うん、私達の事心配してくれるのも、他の子達を助けてくれたのもありがたいんだけど、こっちの段取りもあるからね?」
「ちさっ、ちさっ─」
「というか、やたら通信環境悪くなったと思ったら翡翠、またなんかやったでしょ?」
「……報告、当機が確認した時には既に劣勢状況だった故に速やかな武力介入は必要不可欠だったと思われる。その為、この緊急行動は正しかったと主張」
「ちっちっちっ「言い訳しない!後、幾ら何でも物を壊し過ぎ!……全くこれじゃ素直にお礼も、誉めることも出来ないでしょうが──」」
「千束っ!!」
一際大きく響いたその声で、漸くたきな達の方に意識を向けた二人?(仮)は視線を投げる。
見ればフキとサクラは普段であれば『バカ面』等と言いたくなる表情をし、たきなは名状し難き顔で、形のいい柳眉をぐにゃぐにゃの八の字にしていた。
「なんっ、何ですか??ソレ?????」
そう問われると千束と『ソレ』はほんの少しだけ再び顔を見合わせると、千束は苦い顔しながらたきな達に向き直り、『ソレ』はゆるゆると立ち上がりながら此方に向いた。
「当機は、
型式番号:GN-002、
機体名:ガンダムデュナメス、
完全独立稼働型機動人形、
マスターは、錦木 千束である」
クリアグリーンの目をチカチカと明滅させて、恐らくは自己紹介であろう発せられた言葉の羅列は、大半が意味の判らない事ばかり。しかし、唯一ハッキリした部分も有るため、たきなは千束に聞くことにした。
「……どこで購入したんですか??コレ????」
この混沌の元凶に指を指しながら渋面で聞けば、本人もどういった物かと、渋面で目頭を押さえながら「拾ったというか、懐かれたというか」などと呟いていた。
そしてそれを観ていたサードリコリス達は、ファーストの装備ってあんなんなんだ、とか、ファーストの装備ってすごい、とか考えているが、何も問題はないだろう。そんな中、いち早く正気に戻ったのはフキ。
「って!?呆けてる場合じゃねぇ!まだ作戦中だぞ!!」
それは自分に言ったのだろうが、他の者達にも聞こえる声量だったのと当事者である事が本人達に突き刺さり皆、我に返る。しかし、そんな中で最も早く口を開いたのはリコリス達ではなく
「確認。作戦目標は現在逃走中のターゲットの捕縛で間違いないか?」
「──あ?ああ、そうだが 何かあんのか?……」
とりあえずは敵では無さそうと判断出来たが、突如此方に聞かれた事と、今一どう対応していいか判らずおっかなびっくりになるフキ。そんな先輩の珍しい姿を見ていたサクラを他所に、またもや勝手に翡翠は動き出す。
「
任務遂行のため、現場より一時離脱する」
言うや否や、煌めくクリアグリーンの輝きが増すと、再び重力を無視した様にフワリと上へ上へと上がっていく。止める間もなく飛んでいったソレを、リコリス達は眺めながら───
「ええぇ……???」
「嘘ーーん……」
「はあぁぁぁ……!????」
「飛んだー……」
「うわぁ………」
「ファーストの装備ってすごい………」
───等と、思い思いの感想が漏れ出ていたとか出なかったとか。
上がった翡翠はそのまま真っ直ぐ上空200m付近にて、静止していた。元よりある程度対象の位置は把握していたし、そして元来この
機構音と共に、頭部のブレードアンテナがデュアルアイを隠すように降りると額の精密射撃用ガンカメラが顕になる。
「目標捕捉、対象との距離算出、
および、目標の逃走ルート予測、
GN粒子残量 確認完了、
気温、湿度、風速を始めとした各種環境データ収集完了」
次々と膨大なデータを処理していく。
既存の科学技術では精査するのは勿論、集める事も難しいものすら秒も掛からず演算し終わる。対象を死なさずかつ逃げれないようにしなければ成らないという、ハンデすらもデュナメスには障害にすらならない。
重い擦過音と共に右肩部端にマウントされたGNスナイパーライフルを右腕に装備し、左腕部でフォアグリップを持ち半身になって構え、売人達を完全に詰ませる為に王手をかけた。
「デュナメス、目標を狙い撃つ」
一射目が逃走用の車を爆発炎上させ、出力を絞った次弾からは、売人、護衛の傭兵達を分け隔てなく次々と足を貫き、この騒動の終わりを告げた。
投稿時間について。どの時間帯の方が良いか、もしよろしければ投票をお願いします。1※短時間手打ち切る可能性有り2※聞いておきながら実際は違うこともあることをご了承ください。
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朝
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