俺 自身がガンダムになることだ 作:解毒剤からビームサーベル
想定以上に読者の方々が、モンハン詳しくて大草原と戦慄しました!そして関係の無いモンハン話で、不快に思われた方には申し訳ありませんでした。以後気をつけさせて頂きます。
次の更新は、投稿者の体調不良と諸事情により、非常に遅く成る事を此処でお知らせさせていただきます。
最後に成りましたが、いつも評価、感想、ありがとうございます。他の作者方も感想や評価が励みになるとよく見かけますが、その効力を身に染みて受けております。
『風が気持ちいいですね。これだけでも来た甲斐がありますな』
『何言ってるんですか!まだまだこれからですよ!』
水上バスに揺られながら、目に映る風景や建物に解説を挟みつつなごやかに会話を続ける。ぽんぽんと弾む話に穏やかな笑顔で依頼人、松下も自慢話を織り混ぜていた。
『おお!じゃあ、アレの建設にも関わったんですか!?』
『ええ。とは言っても、精々出資したくらいですけどね』
そんな具合に千束達が観光案内を楽しげに進めている中、上空、150メートル前後といったところか。付かず離れずの距離を維持しながら、警護任務に当たる翡翠がいた。
『……ふむ、コレならドローンも要らなかったかも知れないな』
『建議。有事の際、当機は戦闘員として行動するため、ドローン等の多目的中継機器は必須だと当機は推奨する』
『分かっているさ。思った以上に優秀だったから言ってみただけだ』
翡翠は、通信相手のクルミに注意喚起をしながらも、自身のセンサーで捉えた情報を次々流していく。その情報量は膨大で、ドローンとは比較にならない程の質と量は、クルミにとって非常に有意義な物だ。本来なら、より情報の確度を高める為に、複数の機器にクラッキングを仕掛ける所を、大部分をカバーする索敵能力は、それだけで確かな戦力だ。とはいえ、こういった事が出来るのはあくまで出力を抑え、情報収集と通信に比重を傾けれる時だけ。ビーム兵器を多用すれば翡翠との通信も繋がり辛くなる上に、それに合わせて取得可能な情報も自身の戦闘用に調整される為、縮小される。当然、戦闘員として移動すれば更に少なくなるので、自身の代わりとなるドローンは必須要項だった。
『………コレ、私いる?』
『気持ちは解るが、万全は尽くさなければならないからな?』
グループチャットと化した場で、文句をブー垂れるミズキとそれを窘めるのはミカ。彼女がブー垂れる理由は、今護衛の戦力比故だ。フル装備のガチ軍人 10人が束になっても勝てない最強のリコリスと、それを支えることの出来る相棒。そして、その気になったら軍事要塞を正面から攻め落とす事の出来るオーバーマシンに、最高峰のハッカーによる支援。一個人に付いている警護としては間違いなく破格の超戦力比である。怪獣でも連れてこない限り、まずターゲットに近付く事すら困難な難攻不落の要塞と化した布陣で、自分の様な凡人は必要か?という思いが彼女の中で沸々と沸いていた。プロとして万全を尽くす事がどれだけ大事なのかは分かっているし、もし、不測の事態に陥り、千束や翡翠が全力で対応せざるを得ないという事になった場合は、それだけ退っ引きならない状況だという事も判る。が、朝早くから、一人だけ狭い車内に鮨詰めに成っている事に、文句の一つでも言いたくて堪らない、っと言った言外の抗議。愚痴を吐ける相手に、ブチブチと文句を言いながらも業務に手を抜かずしっかり対応していると、とうとう怪しい影が見え始める。数はそこそこ、一人を殺るにしてはかなりの大所帯だ。
『……おっと、お客さんだぞ』
『
『──待ってください!…それなら私が打って出ます』
クルミからの報告に、動こうとする翡翠を止めたのは たきなだ。依頼人から離れつつ、聞かれぬように口元を手で隠しながら、声量を抑え、続く言葉で翡翠より前に出ようと提案を出す。
『貴方は目立ち過ぎるのですから、そのまま上空に居てください。私なら問題ありません』
『……進言、当機ならば、より速やかに目標を無力化した上で、短時間で警戒任務に戻ることが可能。ついては、ミス・たきなには引き続き護衛任務の継続を願いたい』
(いや、子供に前に出させて、自分は後ろってあり得ねぇから。(鼻ほじ))
『ダメです!私だったら──『今回の敵戦力は、火器を使用しなくとも十分に対処可能な範囲と判断。そして貴官には、依頼人:松下の周囲に追随し、護衛する任務がある。コレは、当機では出来ない任務であり、貴官らにしか出来ない案件である』
続く提案を、理路整然とした理由で塞き止められ、押し黙るしかなくなる。無線越しでも伝わる程の不平の感情は、一言も喋っていないのにも関わらず聞こえて来る様で、それだけで たきなの心情を雄弁に語っていた。それは現場に居ない筈のミカ、ミズキ、クルミにも判る程で、掛ける言葉を言い倦ね、ほんの少しの沈黙が続く。すると、たきなの通信機越しから別人の声が聞こえて来た。
『たーきな!……大丈夫』
名前を呼びながら たきなの肩に手を置き、力強く、たった一言だけを千束は伝える。顔を綻ばせ、真っ直ぐ目を見て、何処までも優しく、穏やかなその声色で、相手を想う万感のモノを込めて。
『翡翠、分かってると思うけど、“命大事に”だからね?』
『
『任された、サクッと終わらせて来い』
『
身を翻し、迷彩を起動したまま目標ポイントへ向かう翡翠。たきなはその方角の空をずっと見上げており、後ろからはその情動を読み取れない。千束はそれを、時間が許す限りそっと待っていた。
■
都心から離れた人気の無い廃ビル。普段なら割れた硝子やら流れ着いた何かのチラシ等位しか転がっていない筈の場所に、多数の男が転がっていた。更にその近くには、踏み砕かれた銃器やナイフも散乱しており、つい先程まで争いが有ったことを如実に示す。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぉっ、…………何で?何が?!何なんだよ!!?誰かぁ、教えてくれよぉっ!?!?」
しかし、実際の内容は対等なモノではなく一方的な出来事だった。そのビルの一画で、ある男は、壁を背にしながら血走った目で頻りに周囲を窺っており、明らかに挙動不審の様子。
今、思い返しても何もかもが理解できない。依頼を受けた時も、いつもと変わらないはずだ。良くある普通の襲撃依頼を受け、いつも通りに裏取りと下調べをし、得物と足の準備をして、後は普段と変わらずに熟すだけだった。異常が起きたのは襲撃予定時刻間近というタイミング、簡易セーフエリアで各々が最終点検を行っていたその時だ。
突然、仲間が宙に浮いたと思えば、高速で飛来して他の仲間に衝突した。飛んでった奴らの状態はどう見ても再起不能で、白目を剥き、怪しい痙攣を起こして手足も脱臼した様な状態に成っているのが服の上からでも判った。仲間に起きた冗談のような現象にフリーズしていると、次は隣に居ていた仲間が壁まで飛んで行き、それを近くで見ていた奴も天井に向かって飛んで行った。
そこから先の記憶はあやふやだ。その場で起きた怪奇現象に、仲間の一人が発狂した様にナイフを振り回し始めると、直ぐにそいつも空を飛んで、その光景から他のメンバーにも恐怖が伝播していき、全員が恐慌状態に為るという地獄絵図が展開。俺は気が付けば走り出していて、その階から転がる様に逃走。
それを合図に、彼方此方から悲鳴と銃声と肉が潰れるような音がフロア全体に沸き上がる。俺はひたすら走った。ビルの中を上も下も関係無く滅茶苦茶に移動する。気がつけば木霊していた悲鳴も銃声も聞こえず、俺は仮初の絶海の孤島に取り残された事にようやく気が付いてしまった。
何でアイツらは飛んで行ったんだ?
ワカラナイ。
何でアイツらは死にかけたんだ?
ワカラナイ。
何で誰の声も聞こえないんだ?
ワカリタクナイ。
何が起きているんだ?
ワカルワケガナイ。
落ち着かない鼓動。未だに震える手足。身体中に伝う不快な汗。自分はイマドコにいる?今、この空間はドコなんだ?アレからドレダケの時間が経った?自分はナニに追われている?何かもワカラナイ。こんな後ろ暗い仕事をしているのだ、命の危機に陥った事位ある。だが、こんな何も訳の分からない事が起きるなんて予想も付かないし、経験なんて有る訳がない。走り回った筈なのに、体の寒気が取れず、理解不能の恐怖が脳内を埋めつくす。兎に角ニゲナケレバ。そんな思いが体を突き動かそうとした時、背にしていた壁の一部が弾けた。
特に効果も成さないと分かっているはずなのに、祈るように、刺激しないように、ゆっくりと、そうっと、視線を動かす。するとソコには、薄く微かな放電音を鳴らす、ボヤけたナニかがあった。
「(……ターミネーターごっこしようぜ、───)」
ソレから視線を離せず、カラダモウゴカナイ。
「(───俺、ターミネーター役な!!)」
そこから先の記憶は無い。
■
襲撃犯グループ、最後の男が無力化されると、そのボヤけた影は男の体をまさぐっていた。
「(………英世が三枚、諭吉が一枚………かーっ、シケてんな!)」
……これは追い剥ぎではない。歴とした戦闘ドロップ報酬だ。より詳しく言えば、持ち物検査。翡翠は千束達とは違い、拘束用装備を持てないし使えない。一応、使うことも隠し持つ事もやろうと思えば出来なくはないのだが、それをすると翡翠側の装備や性能に影響が出るので、余り好ましい手段では無い。その為、襲撃犯本人だけではなく、装備も含めて徹底的に無力化する必要が在る、と結論に至った。相手はアンダーグラウンドの人間、そのまま野放しには出来ないし、千束の理念で殺害する事も出来ない以上、生かして解放するには金銭の掛かる方法を採らざるを得ないので、本人達から徴収も兼ねた非常に建設的なプランを実行。
「(チッ、使えねぇなぁ。人の時間奪うのだけは一人前ってか?このストリップマンどもめ!!)」
文句を言いながら、工場マシンの流れ作業の如く男達をパン一にして縛り上げていく。使う道具はエコを考えて、“男達の服を裂いてロープ状にした物”という、とても環境に優しい物を使用。その過程で出て来る武器の類いは、一つ残らず丁寧に折り畳んでいく真心込めたサービスも忘れない。
「(ケッ、ドロップアイテムショボ過ぎだろ。やっぱ変質者はダメだな!!)」
へっ、『パンツだけは慈悲で許してやる』と、内心で言いながら後は事前の打ち合わせ通り、後始末を業者に任せて風に巻かれて舞うタンポポ綿毛の様に上昇する翡翠。そこには量産された変質者の群れだけが残った。
■
──時間は少し巻き戻り、翡翠が向かってから少し時間が経った頃。
『……ん?まだ居たのか?』
「?…どうしたんですか?クルミ」
予定通りに、クルミが警戒網を敷いていると、再び怪しい影が引っ掛かる。最初の連中に比べて大分少ないが、だからこそ怪しい。
複数からの依頼のバッティングか?…いや、そうだとしても妙だ……丁度 翡翠と入れ替わるように現れたな……。タイミングが良すぎる?……まさか、さっきの奴らは陽動か?
クルミが静かに思案に入っていると、何となく事態の予想に付いた たきなが再び提案という決定を出す。
「敵ですか?場所を教えて下さい、私が出ます」
『まぁ、待て。ちょっと気になる事が出てきた、もう少しだけ調べる時間をくれ』
「いえ、此方には護衛対象が居る以上、少しでも安全を確保する為には、離れて処理すべきです」
『それは判ってるが、せめて翡翠に連絡するくらいの時間をくれ』
有無を言わさぬ要求を出し、クルミに情報を求めるたきな。言っている事はその通りなのだが、かなり強引な物言いは、明らかに余裕の無さが現れている。どうしたものか、と思いながら翡翠との通信を開こうとするが、どういう訳か繋がらず、暫くの間、無言の時間が続く。一向に繋がる気配の無い様子に、たきなが痺れを切らす。
「……待っていられませんね、早く場所を教えて下さい」
『…………タイミングといい、翡翠に連絡が着かない事といい、ハッキリ言って怪しすぎる。罠の可能性だって有るぞ』
「だとしたら尚の事でしょう、このままでは後手後手に回ってしまいます」
頑として折れないたきなに、仕方がないか、と渋々情報を流す。確かに、相手がどうであれ、このまま受け身に回り続けるのは相手の思う壺で状況が悪化するだけだろう。そして翡翠は未だにポジションを何処にするか決めかねる、新メンバーだ。こういった不測の事態も十分予見されていた。それを見ていた千束が何かを言おうとする前に、たきなが先に千束に言葉を送る。
「私に任せてください」
柔らかく微笑みながら、一言だけ伝えると足早に去って行くたきな。その笑顔と言葉は、先程の千束と同様のモノが込められていたが、千束はそれをそのまま受け止める事が不安だった。咄嗟に引き留めようと手を伸ばすが、空しく空を切り、行き場をなくした手がその場で漂う。すでに水上バスは目的地に到着しており、乗客達も順次降りて行くその人混みの中に、返事をする暇もなく消えて行くたきなの背は、何処か危うげに見えた。
投稿間隔と文章量について:今回のアンケートは文章が短く切りが悪くても良いから少しでも早い投稿が良いか、がっつり読みたいから時間が掛かっても切り良く読みたいか、のアンケートです。他にも、単純に短い方が読みやすいか、長い方が良いか等でも選んでいただければ、と。ただ、リアルでの生活の状況でどうしても遅れたり、ストーリーの進行具合の関係で、一気に投稿したいが為に書き留めする事が有るのをご了承ください。
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切り悪くても早い投稿の方が良い
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時間が掛かっても良いからガッツリ読みたい
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単純に短い方が良い
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単純に長い方が良い