俺 自身がガンダムになることだ 作:解毒剤からビームサーベル
書き始める前はもっと短く、適当に終われるだろう思っていたのに、最近、書けば書くほど話が延びに延び始めた今日この頃。まるでそれはお湯を入れて半日ほど放置されたカップ麺のようだ………。
そんなこんなでいつもブックマーク、感想、評価は勿論、誤字、脱字報告ありがとうございます!過去の自身のコメント欄や後書きとかでも、失言、ツマラン返しだとか多い投稿者ですが、お付き合いありがとうございます。
『目標との距離、100メートルを切ったぞ』
クルミから情報を受け取り、不自然にならない程度に足早に対象に接近する。次第に掃けていく人気の中、たきなは進む。今回も変わらない、静かに気取られないよう敵に接近し、クリーンに無力化。他に問題にすべき点は精々、複数の相手を非殺傷で仕留めるという事だけ。自分一人でも十分対処可能な案件で、あんな
『先進国は治安が良い』と、外からは思われがちだが実情は少々違う。確かに、発展途上国の様に宗教観や隣接する他国との摩擦や軋轢、内政の過度な汚職等によって治安やインフラの不安定化したソレに比べればずっと落ち着いてはいるが、それでも悪意と無縁とはいかない。富むということは、莫大な金銭のうねりが在るという事で、それに肖ろうと、多くのドス黒い思想を持つ人間達が集まって来る事でもあるのだ。そしてそんな者達を放って置けば、好き勝手に国という市場を荒らし回り、直ぐに国全土がボロボロになるのは明白。そんな者達を取り押さえ、治安維持力を体外にまで誇示して見せる力は並大抵ではなく、それを行える組織の力はそれだけ大きいという証明だ。現に今回の襲撃犯も、装備が限定されるのは、日頃からのリコリス達の勤勉な働きが在るからこそで、相手方もその警備網をすり抜けながら事を起こさなければいけないからだ。
たきなはそんな国家の治安維持の一翼を担う者達の一員。組織の末端とはいえ、なにも知らない民間人よりもずっと国内の裏側を知っているし、それ相応の訓練を積んで来た事実と自負がある。確かに、最上位クラスのリコリスであるファーストに比べれば、まだまだかもしれないが、それでも自分の努力と実績で勝ち取って来たセカンドという肩書は伊達ではない。子供扱いも手弱女扱いも真っ平御免だ。
そもそも、千束を助けるのも守るのも相棒である自分の仕事だし、突如現れて我が物顔でリコリコ内を動き回る
『…もうじき、ミズキも来る。準備が終わるまで待て』
「いえ、問題有りません。むしろあの人は戦闘員では無いのですから、下がらせた方が良いのでは?」
『はぁ…確かにそうだがバックアップは多い方が良いだろう?』
最近ピリピリしていたが今回は特段にそうだ。見えない何かを必死に追い払おうとも見える焦り方は、端から見ているクルミからしても不安を覚える。……なんとなく、理由もとい、原因はぼんやりと察しが付く。それは、外から見ていたクルミからすれば言葉で形作る事が難しいだけで、ひどく分かりやすかった。時間を稼ぐためにも、余り採りたくない手段だが少し突っ込んだ話をする。
『……なぁたきな、少し冷静になれ……』
「?、 私は取り乱したりしてませんが?」
『そうじゃない、翡翠の事だ』
「──!!」
翡翠の名前を出した途端に息を呑み、強張るたきな。現場でこういったデリケートな話をするのは非常によろしくない事だ。人間は機械と違い、非常に感情に左右される生き物。普段ならどれだけ体のコンディションが悪くてもサラリと出来る事が、どれだけ下準備や体調が万全でも出来なくなるなんてザラだ。それでも今のままの方が危うく見えるたきなを、自分らしくないなと思いながらも、少しでも引き留める為に語りかける。
『……翡翠は敵じゃないだろ?』
「……なぜ、
『……はぁ、だからこそ冷静に成るべきだろ?翡翠が来るまでとは言わないから、せめてミズキが来るまで待てないか?』
「…………………」
どう言えば伝わるのか、まだまだ たきなとの交流の浅い現状では彼女に届く言葉を紡げず、会話が停まりそうになり、少しの間、重い沈黙が生まれる。それを今まで黙って聞いていたミカが、今度は口を開く。
『たきな……大丈夫だ、何も変わらない』
「………………私は───────
優しく、穏やかに、ゆっくりとたきなに伝えるミカ。その言葉に漸く口を開けそうに為るが、たきなの返答は最後まで続く事はなかった。
『………不味いぞ。連中、僕達の事に気付いたかもしれない』
『何?』
「──ッ!?」
襲撃犯らしき一団を見張っていたクルミから急報で、悠長にしていられる時間が無くなった事を知らされる。続くクルミの話では、バレたと言っても此方の数や居場所迄は分かっていない様で、潜伏場所で突然物々しく為り、その場でガードを固め始めたとのことだ。場所は小規模な改装工事中の大型高層ビルの一室、数は3、装備は消音器付きの短機関銃。
「行きます、敵の配置を教えて下さい」
もはや迷っていられる時間無い。たきなの目付きが鋭くなり、雰囲気が切り替わる。
■
「クソッ、そんなにお偉いならもっと役立つ情報寄越しやがれってんだ」
改装中のビルの一室で、襲撃犯の男達はどうするかを決め倦ねていた。対象の暗殺決行まで間近というタイミングで、スーパーハッカーと名乗る男から、一方的に情報を叩きつけられた為だ。何でも、その場所に対象のガードマンが迎撃に来るそうで、早いとこ逃げるなり、迎え撃つなりどうにかした方が良いぞ?とのこと。突如自分達の通信機器をハックして、言いたい事を一方的に話した後に通信を切った相手は、非常に不愉快な喋りだった上に、肝心の襲ってくる相手の情報は殆んど寄越さなかった。常に上から目線で此方を軽んじる話し方は、男達の神経を面白いくらいに逆撫でにする。しかし、その情報が真実だった場合、そんなことにかかずらっている場合ではなく、今すぐに行動を起こさなければ依頼どころの話ではなくなるのは間違いない。怪しく信用ならない相手ではあるが、間違ってもタダの悪戯目的ではないのは確かだ。
「どうする?、リーダー。逃げるか?」
「……まずは移動する、話はそれからだ」
どのみち自分たちの居場所と目的が第三者に漏れている以上、その場に留まるのは悪手。直ぐに指針を決めたのは良い判断だったが、残念ながら、情報を投げられたタイミングも、相手との距離も既に手遅れだった。
直ぐに行動しようと、仲間の一人が腰を上げようとしたその刹那、入口付近で見張りをしていた仲間に右肩、左足、に一発づつの弾丸が着弾する。
反射的に残りの二人は直ぐ様、各々手近な建材を盾にし身を隠す。悪態が口から出そうになるのを抑え込み、冷静に状況を観る。この部屋は、フロアの大部分を使ったような構造で、壁を取り払い、ホールの様に見晴らしのいい状態に成っている。そして自分達は最奥部端に陣取っており、この部屋の侵入経路に成る入り口は三ヵ所、全てここから見える位置だ。自分たちに一番近い入り口を窺う限り、ソコからの銃撃ではない。倒れた仲間の位置、微かに聞こえた発砲音から逆算して一番離れた入り口から進んだところか、残りの入り口付近からか?と、そう導きだす。
「クソッタレがぁぁぁぁぁぁッ!!」
だが冷静に分析していたリーダーと違い、残りの一人は既に我慢の限界だったようだ。先程の腹立たしい会話も合わせて、その不満を襲撃者にぶつけるかの如く居るであろう場所に、銃だけを出し盲撃ち。咄嗟に止めようとするが、既に遅かった。空気の抜けるような音が三回程鳴ると、小さなうめき声を発して残りの仲間も倒れた。
「マジでクソッタレだな、バカ野郎め………」
敵に言ったのか、それとも味方に言ったのか、どちらともにもとれそうな悪態を静かに吐く。残りが自分のみとなり戦況は非常に劣勢だが、打開策が潰えた訳ではない。仲間がヤられる間際に見えた影、相手は小柄で獲物はハンドガン、恐らく日本の街中での護衛故の装備だろう。奇襲から未だに攻め上がって来ない事と、一回目と二回目も似た場所からの攻撃だったということは相手は少数、又は単独の可能性がある。護衛人数が少ないと事前情報も有ったことを考慮に入れれば、その可能性は高い。今の攻防でより正確に居場所も特定出来た、此方の方が射程と火力も上、殺られる前に殺る。
盾にしていた建材に掛かっているシートを剥ぎ取り、それを適当な小振りの端材に括り付け、自身の進行方向と逆に投げて同時に移動。相手の射角にかならず障害物が挟まるように素早く走り抜ける。相手を視界に捉え、撃ち合いに持ち込めば確実に勝てる。
獲った。
そう確信した時、自身の背後からの物音に小指程の意識を割かれ、前方から三発の発砲音。激痛に体の自由が奪われ、力なくリーダー格の男がゆっくりと倒れる。余りの痛みに少しずつ視界が狭窄して行き、意識が遠退いて行く中。全身から脂汗を流しながら視線を動かせば、自身の後ろからフヨフヨと漂って来たやや大型のドローンと、予想したよりも遥かに離れた位置から銃を構える少女の姿が映る、それが意識を手放す前に見た最後の光景だった。
■
「……………」
『……お見事、流石だな』
油断せず、当たりを睥睨するたきなに、純粋な称賛を送るクルミ。先程の不安を感じさせる会話を全否定するような仕事ぶりは、モニタリングしていた者達の懸念を見事にひっくり返して見せた。
元来、拳銃での交戦距離は非常に短い。これは、弾が届く距離と狙って当てれる距離は、全くの別物だからである。単純に弾が届く距離は何百メートルも飛ぶが、それはあくまで届くだけの数字。銃弾とは発射されたその瞬間から推力を失いつつ、風や重力、地球の自転等、ありとあらゆる外的要因にさらされ続け、そもそも真っ直ぐ進む事自体が難しい。その上使う人間側の問題もあり、筋肉の収縮やら重心の揺れやら様々な要因も加味され、その有効射程距離(殺傷力や命中率を維持可能な最大距離)は短機関銃が50~200メートルに対し、拳銃は25~50メートルと言われている。レンジが他の銃と比較的に短い部類のサブマシンガンでも、これだけ大きな差があるのだ。そしてその数字も高度な訓練を受けた者が射撃場のような、外的阻害要因を可能な限り排除した環境下での命中率で、実戦のようにありとあらゆるモノを考慮しながらの射撃に成れば、ほんの一握りの腕利きの者でも十数メートルと更に短くなる。
それをたきなは、動く目標、且つ、限定された照準時間とやや不安定な体勢で、ピンポイントに全弾命中させるという離れ業をやって見せた。クルミのサポートが有ったとはいえ、ファーストリコリスである千束を唸らせた射撃技術は伊達や酔狂で身に付くモノではない。
「これから拘束処理に入ります。至急、クリーナーに連絡を」
『了解、直ぐに………何!?』
「!?、何があったんですか?」
『また現れた!今度は一人だが………』
「な!?」
『……かなり厄介な相手だ。………本物の腕利きだぞ……』
クルミとたきなの通信にミカが割って入り、相手の情報を伝えてくる。その昔、一緒に仕事をしていた者らしく、相当な腕利きだとの事で、今でこそ第一線を退いているが、千束やたきなの師事役をやっていたミカをして腕利きと賞される程の者。生半な相手ではないのは確かだ。事態の更なる急変。騒然となる通信の向こう側で、千束も割って入ってくる。
『……私も出る。ミズキは松下さんをお願い』
「待ってください、私で対処します!千束こそ松下さんを連れて離れてください!」
千束の提案をノータイムで強く棄却するたきな。頑なに千束の提案を受け入れずに事を進めようとしており、二人の間で暫し、押し問答が繰り広げられていると、次第に千束の側の通信にノイズが混じり始め、軈て切れる。明らかな分断作戦。現場に居るたきなやミズキだけではなく全員に悪寒が走り、もはや一刻の猶予もないと全員の思考が一致。たきなは直ぐにクルミから情報を聞き出し、走り出した。
■
『急げミズキ!このままだと二人とも孤立してしまうぞ!』
「分かってるわよ!あ゙ーっクソッ、道を開けなさいよ、リア充どもっ!!」
クルミからの指示を受け、法定速度をギリギリ、いや、それを超過した速度で車を飛ばすミズキ。警官に目を付けられない様に動く余裕は無く、最短ルートでたきなと合流しようとしており、此方を狙い撃ちにして来たような相手の分断作戦に、当初のダラケた思考はとっくに吹き飛んでいた。やや無茶な動きをした甲斐もあって、何とか たきな との合流ポイントが見えてくる、が、しかし、罠に掛けられたのは、たきなや千束だけではなかったという事を直ぐに思い知らされた。突如ミズキの運転する車が進路を変え、ポイントから外れていく。
「ちょっ、なにこれ!?ハンドルが利かないんだけど!!?」
突然、車の全操作が不能に成り、道から外れ始める。車から見える景色からは、程なくして東京の誇る巨大な河川が見え始め、いつぞやの仕事と非常に似た
「
荒々しく水飛沫を上げながら川に飛び出す車。勢いの付いた落下と着水時の揺れが、車の中のミズキを激しく揺さぶり意識を奪う。ほんの少しの間、意識を飛ばしたミズキが目を覚まし、車の外を見れば薄暗く濁った水が全てを覆っていた。入水時の揺れで頭を打っていたようで、額が少し切れていたが、そんな事に構っていられないと、乱暴に手で拭い、再びドアを蹴り破ろうとガンガンと全力で足蹴にする。だが、疲れとともに脱出行為そのものもが衰弱していき、やがて止めた。こうなれば何とか窓を割って脱出するくらいしか方法は無いがそれも無理だろう。有事に備えてこの車は全面防弾仕様にしている為、ミズキの持つ携帯性に特化した小型拳銃ではヒビが入るだけ。
死が確定するまでの時間としては長く、脱出する為の残り時間としては余りにも短い速度で浸水する車内で、ミズキはどことなく落ち着いていた。“ああ、こんなもんか”と。元よりこんな血生臭い仕事に携わっていたのだ、平々凡々な死に方は難しいだろうし、今までだって直ぐにでも無惨な殺され方をしても可笑しくなかったのだ。それを考えれば今回の死に方はまだマシな方。唯一の心残りは結婚出来なかった事と、千束やリコリコの行く末を見れなかった事くらいか………。
思いの外、穏やかにつらつらと考えながら、今なお、水底に引き寄せられている車は、彼女の残りの寿命とも言える空気を無慈悲にも豪快に吐き出しながら昏い、冥い、闇い底へ進んでいく。
『存外、深く潜れる女かもしれないぞ?』回。
ラジアータの機能や役割がイマイチ判っていない、問題投稿者。それが私だ!(意訳:設定違いだとか、詳しい解説とかやんわり教えて頂ければ、出来る限りそれを書き加えていく所存ですので、有難いです。)
次回から、また投稿時間が延び延びし始めます。
投稿間隔と文章量について:今回のアンケートは文章が短く切りが悪くても良いから少しでも早い投稿が良いか、がっつり読みたいから時間が掛かっても切り良く読みたいか、のアンケートです。他にも、単純に短い方が読みやすいか、長い方が良いか等でも選んでいただければ、と。ただ、リアルでの生活の状況でどうしても遅れたり、ストーリーの進行具合の関係で、一気に投稿したいが為に書き留めする事が有るのをご了承ください。
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切り悪くても早い投稿の方が良い
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時間が掛かっても良いからガッツリ読みたい
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単純に短い方が良い
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単純に長い方が良い