俺 自身がガンダムになることだ 作:解毒剤からビームサーベル
生活パターンの変化や仕事等で少々リアルが立て込む為、暫くの間は更に投稿が遅くなることを此処でご報告します。そして、ついでの様に成りましたが、評価、感想、設定補完等ありがとうございました!
さざめく虫達が小さな楽団となって、素朴な合唱を唄う夜。夏とはいえ、多少の肌寒さが残るのが今の時期だ。そんな夜に店仕舞こそしたが、未だに明かりが点いて、人が居ることを証明している店の外で、ポツリと小さな人影が揺れていた。
何重にも重ねられた罠や、無数の窮地に曝されましたが、誰一人欠けること無く依頼は無事終了。……………いえ違いますね………。無事だったのは
それを私は、まんまと罠に掛かりに行った……千束やミズキさんを巻き込む形で……。
脳裏に過る度重なる私の過ち。
あの時、クルミの言う通りにミズキさんと合流を優先させれば、事態はここまで酷く成る事は無かった。
あの時、私がもっと早くミズキさんを迎えに行けば、あの人が溺れ死にかける事は無かった。
あの時、罠の可能性が少しでも出ていたのだから、もっと思慮深く行動すれば、防げたモノも有った筈だった。
あの時、私は千束から離れるべきではなかった。たとえ別行動をするにしても、直ぐに援護に向かえる距離を保つべきだった。
あの時、私がより素早く対象を無力化出来ていれば、もっと余裕が有った筈だった。
あの時………私が、二人を死なせかけた……。
私が、原因…………………。
考えれば考えるほど、自分の迂闊さが浮き彫りになる。
あの爆発後から私の記憶は曖昧で、気が付けば店の外のベンチにこうして座っていました。直ぐにでも二人に謝りに行くべきなのは分かっています………でも、今、二人に会いに行くのはとても怖い………。
怒っていないか?……そんな訳がない……怒っているに決まっている。当たり前です、あれだけの赦されない失態を現場で繰り返したのですから、見限られたっておかしくありません。……少なくとも、私ならそうする。
自分の技能を過信し、身の丈に合わない事をしでかし、結果がコレだ。
……幾分か考える時間が出来て、何故あんな事をしたのかと理由を探す……。アレに……翡翠に負けたくなかった。翡翠よりも役に立つ事を証明したかった。そうじゃないと私には、
…何が護るだ…何が相棒だ…何が、私に任せて、だ………。役立たずめ。何も……何も出来ていないじゃないですか。
今、ミズキさんに会えば何て言われるのだろうか?“私の事殺す気だったんじゃない?”……………………怖い。
店長には、どう思われているのでしょうか?“やはり、ウチに置くには危険なリコリスか。”……………怖い。
クルミは私の事をどう結論するのでしょうか?“どうにかした方が良いんじゃないか?アイツ?”………怖い。
千束は──────
「──おっ!いたいた!たーーきな!」
───っ!?体が強張る。顔を上げれない。目を、見れない。今、一番向かい合いたくない人が、私を呼んでいる。声こそいつも通りな快活なモノですが、だからこそ怖い。次の瞬間、彼女の口から拒絶の言葉が出てくるかもと想像するだけで耳を塞いでその場から逃げ出したくなる。しかし時間は無情で、私がどれだけ拒絶してもに構わず進んで逃げ場を奪って行く。そして千束も私が顔を合わせないようにしているのに、何の躊躇も無く私の隣に腰を下ろして話を続けます。
「……聞いたよ?あの時何があったのか……皆からね──────」
□
「当機から提案───訂正、ミス・たきなに協力要請」
(私にいい考えがある───とかなんとか言ってる場合じゃねぇっ!?)
噎せるミズキさんを介抱しながら唐突に何かの協力を頼み込んできた翡翠。そんな事態の変化に付いて行けず呆けていた私に、前後の経緯を解説してくれたのはクルミでした。
実は、クルミは護衛任務と並行して依頼人の素性を調べていたらしく、それで判明した事がどうやら、依頼人の目的が純粋な護衛では無い可能性が出てきたそうです。こちらの内情をある程度把握した上での罠、孤立した千束、────そこまでに考えが行き着き、えも言われぬ悪寒が全身を駆け巡って喉の奥からヒュッ、と呼気が漏れる。もはや一刻の猶予も無いのは分かっているのに、打開する手段が無い──そこで話が立ち戻る、翡翠は何を頼み込んで来たのかと。
「現状況を打破するために、当機の機能解放が必須と判断。しかし、それを行うには、
「………あなたのマスターは千束ではないんですか?」
『よく分からんが、『セカンドマスター権限』、だそうだぞ』
クルミもつい先程聞いたそうですが、そんなこと私の方が意味がわからない、と、声を大にして言いたいです。
本人が言うには、マスター登録者が増える事によって自身のセキュリティ権限が上昇し、それに伴い制限されていた一部の機能もアンロックされるのだとか。そして、どういう訳かそのマスター認証が可能なのは現在私だけだと。
秘密主義の怪しい鉄の塊を見据えながら、僅かに思い耽る。今でも翡翠には謎が多く、本部の調査でもその機能やフルスペックを測りきれていないのが現状で、ハッキリと分かっている事と言えば、機種名や各武装の名称等くらい…。尤も、それもあくまで自己申告ですが。兎も角、どうしてこんな土壇場でそんな重要そうな手続きを要求してくるのか、甚だ不愉快です。
「………千束の位置が分かりますか?」
「肯定」
何故私なのか?何故今なのか?何をするつもりなのか?そもそもマスター認証者は飾りじゃないんですか?わからない事ばかりで、納得も全く出来ません。
「……私は、何をすればいいですか?」
「不要、後は貴官の裁可のみで可能」
「許可します、早く私を千束の下へ連れていって下さい……!」
「
後悔も苦悩も後で出来る。返答を聞いた翡翠は、私の前で跪き、ほんの数秒、電源が落ちたように全身の発光部から光が消え失せる。その様子は、さながら蝶が繭から孵る姿を幻視させる、奇妙な雰囲気を漂わせていました。実際は高々数秒なのですが、体感では短いような長いような、なんとも言えない奇妙な時間。なにかが出来るわけでもない私は、じっと待ち構えていると、各部の光が戻り、翡翠から何かしらのやり取りが聞こえてくる。
「──マスター認証、登録完了。『セキュリティ・クリアランス レベル4』までをアンロック。…続いて
「〈申請受理、
それに伴い、
「………らす?………トラン?……なん、ですか……?」
一度消えた光は、直ぐ様戻ってはきましたが、翡翠の目は何時ものグリーンカラーではなく、ややピンクがかった赤い色に成っていました。声も、片方は聞き慣れた男性のような合成音声ですが、もう一方は初めて聴く合成音声で翡翠とは違い、女性モデルで翡翠よりも更に無機質な声。恐らく、自身の中の何らかのプログラムとのやり取りなのは分かりますが、その内容は、よく分からない何かしらの機能解放に、重要そうな文言には強烈なノイズが走って、何を言っているのか殆ど分かりません。心なしか、先程よりも纏っている未知の粒子も増大し、じっとしていれば戦闘出力でも相当に近付かないと聞こえない筈の独特の駆動音も大きく成っていました。
そんな初めて見せる挙動に気圧されて、無意識に半歩下がる私に、次の瞬間には何時もの目の色に戻ってさぁ、次の工程だ、と、言わんばかりに自身も立ち上がりながら私やミズキさんに指示を出します。せめて何をするつもりなのかくらいは説明が欲しいですが、時間が無いのも事実な為、指示通りに
「
たった一言だけ何かを発すると、紅い残光だけを残して私たちはその場から消えたそうです。後から他の方にも聞いた話でも、そう表現するしか出来なかったとか。
「……は?」
その場に残されたミズキさんのその声は、それを観ていた全員の心情を表していたと思います─────
「──────ぇ?」
抱き抱えられた次の瞬間には見渡す限りの青空。たきなの視点ではそうとしか表現できなかった。首を動かし、遠くに視線を投げれば、高層ビルの屋上が見下ろす形で目に映り、足元の道行く人々は、服の色すら判別出来ないほど小さく、蟻の行列を眺めている様だ。高所特有の風切り音も耳に届くが、その割りには肌を撫でる寒風は殆んど感じず、代わりに軟風が髪を撫でる。たきなはやや紅みを帯びた薄緑のベールに包まれ、超高層ビルでも中々に観ることが出来ないほどの絶景を、一切の隔たりもなく肉眼で観ていることに漸く気づき─────
「───GNフィールド、粒子整波率、指定値で安定。
TRANS-AMによるGN粒子消費量、予測値以内。
全システムオールグリーン。
ブースト機構、セーフティ解除─────
──デュナメス、目標へ飛翔する」
───世界が後ろに向かって吹き飛んだ。
瞬間、多少の圧力を受けつつ、白色の大気の壁を突き破ってカッ飛ぶ。それは地上から見れば空に突如現れた、たった一角の紅い折れ線グラフを描く流星。真昼間に出現した流星は、
「──────~~~~ッ!!?!?!?」
(──こ───れ、───音─そ──っ!?)
たきなは、目を白黒させながらビデオの早送りの様に成った世界で、断片的に自分がどうなっているか理解。常軌を逸した事象、生まれて初めて体感する音速の世界の中で、たきなの思考は生存本能に刺激されてか、極限までに圧縮する事で適応しようとする。しかし、それでも時間は足りず、たきなの脳内は『今』の世界と同様に、関係あるものから関係ないものまで、ありとあらゆる情報が超高速で行き交うパニックを起こしていた。
「報告、及び要請」
そんな状態を知ってかは判らないが、『今』を必死に理解しようとするたきなに、翡翠は徐々に高度を落としつつ普段より早口で情報と作戦を伝える。
「ミスター・松下は爆薬を用いて、襲撃者と無理心中を行う模様。詳細不明。速やかにマスター・千束と合流し、ミスター・松下から可能な限り離脱されたし」
「───っ!!?」
作戦と呼ぶには余りにも端的且つ、シンプルな行動予定。その上一部分には明記されていない内容もある、だが、次の場面ではたきなの体は思考を介さずに動いていた。すぐに見えてきた少し金色がかった美しいプラチナブロンドの後ろ姿、それに合わせて翡翠は更に高度を落とす。
「GNフィールド、局所展開。『
目測にして約5メートル。下を向いた水平の体勢になり、ほぼ減速せずたきなを投下。翡翠の腕から離れ、クリアグリーンの薄い膜を纏ったままのたきなは、転がりながら着地し、勢いを殺さず自身を包んでいた煌めくベールを散らしながら千束に向かって全力疾走。普通なら間違いなく肉の煎餅に成る程の衝撃が彼女を襲うが、打撲すら無い全くの無傷。そんな異常も気付けないほど狭まった視野には千束しか映っておらず、千束を引き倒して覆い被さり、そこで漸く出来た欠片ほどのゆとりと視野スペース。その視界の端で、紅い輝きを放つ翡翠が男二人を小脇に抱えつつ、車椅子を後ろへ蹴り飛ばし───直後、閃光が弾け───ほんの十秒とちょっとのたきなの空の旅はそこで終わった。
□
「────って、無茶苦茶やないかーーい!?というか何やってんの?人抱えて音速飛行って!?」
赤く光ってたのも気になるけど、マスター登録の話なんてもっと聞いてないんですけど!?と、隣で百面相をしながら今日の翡翠の行動にツッコミを入れる千束。その声には私に対して聊かも忌諱するモノは混ざっておらず、今朝と変わらない相手を慮る温かさしか無くて───
「………んで、ですか?」
「ん?」
「何で何も言わないんですか?───」
───気が付けば、そんなケラケラと笑うだけの千束に、険のある声を向けていた。
──みっともない────分かっています…………───悪いのは自分でしょうに────分かっています……─────救いようが無いほど愚かですね────分かっています!────
「───私はっ!!………わたしは…───忠告を無視しました……!──千束やミズキさんを危険に曝しました!────……………わたしは………私情を優先しましたっ!どうして私を「──それは違うよ?たきな──」
そこで漸く聞こえた否定の言葉に、グチャグチャになっていた私の頭の中が一瞬で静まり返る。それは、
「あの時、誰も強くたきなを止めなかったのは、たきなの言う通りでそれしか方法が無かったから。
私やミズキが危なかったのは、私たちの誰もが対応出来なかったから。……実際、最後の奴が現れた時は私、食い下がったでしょ?」
「……………」
たきなが翡翠の事を警戒して良く思ってなかったのは知ってる、と苦笑しながら続ける千束に、目を見開いて口をパクパクさせるだけで何も言えない私に続ける。違う、ワタシがしたのはただの自分の後始末で──
「それでもたきなは私を優先してくれた。……たきなが選択してくれたから最悪の事態は避けれた……。これは歴とした、リコリコの皆が知っている事実────」
チガウ。ワタシはそんな善行溢れた人間じゃない。ワタシはただ───
「──たきなのお陰で、私も松下さんも生きていた……。胸を張れよ相棒。間違いなく今日のたきなは、私の救世主だった────
──だから、たーきな……ありがとう。私達を助けてくれて」
私の中の、何かが崩れる音がして、気が付けば私は千束の胸に優しく抱き留められていた。
「─ぅ、ぅぅ゙ぅ──ぅぁ゙──っ───」
「おーしおしおしおし、千束さんの胸で泣くといい。……この泣き虫さんめ………」
しばらくして……我に返って羞恥に苛まれるのは──また、別の話です。
独自設定、という名の輸入品。
:GNフィールド『繭(コクーン)』
OO外伝コミカライズ版にて、とあるキャラが高所からノーロープバンジーをした際に、同じ様に自身にGN粒子を纏わせてやり過ごしたトンデモ手段から輸入植林した設定。
このSSでの設定では、他人にもGNフィールド同様の防御効果も付与可能なチート機能。ただし、本体(デュナメス)から離れるとほんの数秒しか持たず、防御効果も本来の物に比べれば紙。
:オーバーブーストモード
ガンダムエクシアリペアIIに搭載されてたヤツ。ただし此方も無理やり載っけた物のため、エクシアより制限が厳しい代物。
裏設定、という名の説明しきれなかった部分の捕捉。
作中、何で現場に居なかったのに翡翠が色々知ったいたのかという話。通信自体は各員それぞれずっと発信していたけど、本人達には全く届いておらず、代わりに翡翠には断片的に一方的に届いていたため、そこから類推してたから。
音速飛行によるソニックブームとかについて。
GN粒子の効果+人間大サイズのお陰でほぼ無発生に成っている、という設定。更に言えば作中で出した速度も遷音速(マッハ0.9~1.1くらいの速度)くらいだったのも理由に在る、という設定。
ちなみに、戦闘機が音速を出すと良くそれが証のように表現される、機体にまとわりつく白い傘状の雲の事をベイパーコーンというそうで、別に音速を越えなくても出る事も在るそうです。逆に音速を越えても出ないときも在るとか。そこら辺の話はとっても難しいので(投稿者も知らない)、作中でまた出てきたらそんなもんと流して頂ければ幸いです。
投稿間隔と文章量について:今回のアンケートは文章が短く切りが悪くても良いから少しでも早い投稿が良いか、がっつり読みたいから時間が掛かっても切り良く読みたいか、のアンケートです。他にも、単純に短い方が読みやすいか、長い方が良いか等でも選んでいただければ、と。ただ、リアルでの生活の状況でどうしても遅れたり、ストーリーの進行具合の関係で、一気に投稿したいが為に書き留めする事が有るのをご了承ください。
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切り悪くても早い投稿の方が良い
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時間が掛かっても良いからガッツリ読みたい
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単純に短い方が良い
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単純に長い方が良い