俺 自身がガンダムになることだ   作:解毒剤からビームサーベル

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 評価、お気に入り、感想等々、毎度ありがとうございます。
 遅投稿でも付いてきてくれる方々に、この場を借りて感謝を申し上げます。これからも、評価や、感想、頂けたら幸いです。

余談:
アンケート文って、文字数制限が意外と厳しくて投稿者はよく困っちゃいます。




ガンダムVS 後編

 

 

 

 

 広々と取られた間取りに豪奢ながらも嫌味にならない内装。実務機能面に於ても計算され尽くしたこの部屋は、まさしく最高責任者にふさわしい執務室だ。

 

 その部屋の主である楠木は眉間にシワを作り、無数の書類を広げた執務席に座って、並々ならぬ眼力をモニターに注いでいた。

 

 

「………最早、コレの調査には創作家を当てた方が早いかもしれんな………」

 

 

 模擬戦の一部始終を観戦し終え、前のめりだった上体を起こして漏れ出た感想は、匙を投げたようなセリフ。そもそもの話、DAにこのような不適当な仕事を割り当てられたのには、ある理由があった。

 

 確かに、DAは組織としての成り立ち上、兵器などに対してもそれなりのノウハウを持ち得てはいるが、本職は対人の治安維持であり、戦闘機や戦車などの大がかりな兵器群の専門家ではない。それでもDA、延いては、そのごく一部だけで『ガンダムデュナメス』の調査を続けられていたのは、()()()()()()()()()()()()()()()()を秘匿する為だった。

 

 

「(……当初はオーパーツ染みた性能に誰もが浮き足だって気づけていなかったが……今なら分かる、コイツの本質が…………)」

 

 

 国家間に於て、嘗められないとは非常に重要な事だ。一見、チンピラのような文言だが理由は至って大真面目。その理由は、国が嘗められると、国、組織問わず全方包囲から有形無形の攻撃対象に成るからだ。

 

 人間は基本的に欲深で独善的で狂暴な生き物。相手が危害を加えてもやり返してこないと分かれば、際限なく付け上がって有りと有らゆる物の搾取に走る。それが集団にもなればより過激に、より手広く、より残酷に、より多くを、と、何処までも(とど)まることを知らない。それはどのような事柄でも変わらず、規模も、表も、裏も、垣根無く全てに言えること。止まる時は大抵 割に合わなくなるか出来なくなった時だけ。

 

 だからこそ、侮られぬように周囲に喧伝する必要が有り、その直接的手段として尤も効果的、且つ、手早く示す方法が『軍事力(暴力)』である。

 

 

「(…………対人用でもなければ、対戦闘機、対戦車用でも無い…………対、()()()()………それも自身の機能をベンチマークに想定した…………)」

 

 

 そして今回の模擬戦は、リコリス達をデュナメスの同型機、もしくは類似兵器として見立てて、いずれ来るであろう鉄火場に可能な限り似せたものだ。それも希望的観測にそった、ある種の神頼みに近い条件で。

 

 ……だが、漸く気づいた。………いや、気付いてしまった。『ガンダムデュナメス』の本来の運用思想に。

 

 既存のレーダーや無線などのほぼ全てを無力化する電子戦能力で、目や耳だけでなく軍としての連携もズタズタにし、視界にさえ入れば回避不能、迎撃不能、防御不能の攻撃を、どんな目標にでも時間が許す限り叩き込める攻撃能力とで、一方的なゲリラ戦を展開。本体は陸海空を縦横無尽に駆け回る機動力に、前述の機能のお陰で従来のFCSや誘導兵器が陳腐化、まず命中させる事自体が困難な回避能力。その上その装甲は戦車以上で、生半可な攻撃ではビクともしない。疲れ知らずの兵士(AI)の為、戦場での様々な負荷をスルー。敵味方問わず無線やレーダー類を根こそぎ封鎖出来る能力前提で超射程、高火力、高機動、制限無しの継戦能力に神出鬼没を合わせて全面に押し出し、周囲一帯の戦術選択肢を有無を言わさず簒奪。戦場の上位者として君臨する。

 

 統括すれば、有視界戦に於て無敵の性能を誇る兵器が、問答無用で有視界戦を強制させてくるという身も蓋もない机上の空論を、完璧な形で実現した物。

 

 

「(………戦術級領域支配機(エリア・ドミナンス)………)」

 

 

 人類史が今まで積み上げてきた戦場のドクトリンを根底から破壊し尽くす特大の爆弾(革命)。それが、『ガンダムデュナメス』だった。

 

 

「(従来兵器が相手なら飛行能力と砲撃能力だけで事足りる………。

 人型である必要も、あの異常なまでの運動能力も格闘能力も要らん………。

 ()()()()()()()()()…………)」

 

 

 ………もし、この兵器が表に出ればどうなるか?……決まっている。この兵器の数=軍事力が常識に成る。未だにこの機体の持つジャミング、及びセンサー類妨害能力の突破口どころか原理の入り口すら見付かっていないのだ、現行戦力では時間稼ぎにしかならない。仮に表に出なくとも諜報活動に専念されれば、本体サイズも手伝って機密情報をコンビニに寄る感覚で掠め取られる。考えたくは無いが更に時代が進み、世界中でこの機体、もしくは類似兵器が巷で溢れかえれば、ゆくゆくは弾道ミサイルすらも無用の長物と化すだろうと、多くの識者達も頭を抱えながら結論を出した。

 

 そして兵器に限らず道具というものは、限られたリソースを元に設計されるものだ。戦闘機が戦車のような分厚い装甲に出来ないのと同じ様に、構想の段階から目的も運用方法もガッチリと決めなければ完成出来ない。……戦場の仕来りが変わる前から、白兵戦能力まで完成されている異常性に目を瞑ればだが、ガンダムデュナメスのスペックも、恐らくそういうことなのだろう。

 

 軍事面だけを見てもコレだけ異常なのだ、この現物が元々は国外(そと)から来た可能性が高い以上、『無かったことにする』なんて選択肢は取れない。コレは人間(千束)とは違い、条件さえ揃えれば量産も再現も可能な物なのだから。

 

 そしてもう1つ、DAを悩ます問題がある。

 

 

「(………G()N()-()0()0()2()………)」

 

 

 この型番もあくまで自己申告でしかなく、本当は1号機なんて存在しないかも知れないし、在ったとしても設計図だけなのかもしれない………幾らでも書き換えれる名目。だが、もし、自分達の敵として現れれば?というどうしようもない懸念が、今も尚、吐き捨てられたガムのように楠木の脳裏にこびりついていた。

 

 

「………お言葉ですが、少し休憩を入れられてはどうですか?」

 

 

 そんな出口の見えない思考迷路でさ迷う楠木を引っ張り上げたのは助手だった。一緒に模擬戦を観ていた筈だがと、考えたところでカタリと、白い湯気が立ち昇るカップを置かれる。

 

 

「極度の疲労は能率的な仕事の敵ですから」

 

 

 苦笑しながらそう言って置かれたのは、珈琲だった。どうやら、部下の行動も把握出来ないほど考え込んでいたらしい……。そこまで言われれば、次第に五感にも意識が戻り始め、淹れたてであろう珈琲から香ばしくも芳醇な香りが漂って来るのが分かった。

 

 

「…………そうだな……ありがとう……」

 

 

 ハッキリ言って、この案件はDAだけでは手に余る話だが、首を横に振る選択肢はもっと無い非常に辛い話。だが楠木は一人ではない。頼りになる部下達に、味方をしてくれる人も居る。助手もその一人。相手が不透明な以上、呑気にしていられる時間は無いが、無いわけではないのだ。幸いと言って良いか非常に迷うし腹立たしいが、元凶ともある程度の協力関係は維持出来ている。そして元々、アレを手元に押さえ付けて監視したいがそれは恐らく不可能だろうと結論が出た為に今に至っているのだ。ならば地道に出来る事をやっていくしかないだろう。何だかんだと言っても楠木も千束の事は信用しているのだから。

 

 助手の淹れてくれた珈琲を手に取り、一息つく。口の中で波のように優しく広がるのは、程好く強い苦味と、豆を深く丁寧に焼いたからこそ出る、香ばしい香り。それは次第に口から胃へ、鼻へと抜けていき、微かに混じるフルーティーな風味がより一層心地よい余韻を引き立てる。ささくれ立った神経が、しっとりと落ち着いていくのを楠木は感じながら、二口目と珈琲を穏やかに啜りつつテレビを無意識に点け────

 

 

 

 

『───ほ、本当に多機能ですね………!?』

 

『──鳴らない言葉をもう一度描いてー、赤色に染まる時間を──』

(疾走感のある謎の曲を流しながら、清廉さの欠片も感じられない素人ダンスをキレッキレで踊るガンダムの図)

 

 

 

 

ブフッ!!??、ゴフッ!!──エホッ、エホッ!!……」

 

「司令っ!?!?」

 

 

 

 ───噎せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───某日、廃れたある港にて───

 

 

 

 コンクリートを叩く二人分の靴の音が聞こえる。人が全く居ないせいで大して大きくない筈のその足音は、イヤに響いて二人の存在感を強く主張していた。前を歩く黒コートの男は、肩で風を切るようにズンズンと大股で進むのに対し、その男の後ろを付いて来ているロボットの被り物をした人物は、ビクビクと小動物のように周りを警戒しながら進んでいた。

 

 用事がなければ先ず誰もやって来ないようなこの場所は、言うなれば灰色の世界。潮風に直接さらされ続けた建物やコンテナは、実際の経過時間以上に朽果てており、酷くもの悲しげだ。少しでも日陰のある場所に行けば、錆びきった鉄材やフォークリフトが寂しく陰鬱な雰囲気を助長する。しかし、全体を見渡せば視界自体は非常に開けていて、太陽がまだまだ高く昇っている時間と心地よい潮風が、怪しい気配を吹き散らしている、といった背景だ。

 

 そんな場所で、真島は真っ直ぐ進みながら何かを探すように視線をさ迷わせていると、軈て何人かの人影を見つける。目当てを見つけた真島は口角を吊り上げて躊躇いなく歩進め、件の人物達へ目指す。そして、その人物達も真島達を認識し、彼らは向かい合った。

 

 

 

「───よぉ、此処がパーティー会場でいいんだよな?」

 

 

 

濁り水が、ゆっくりと流れだしていく。

 

 

 

 






 デデーン、楠木、アウト。


※ガンダム作品を知らない人向け解説
ガンダムが剣を持っていたりカラーリングが派手な理由に付いて:

 メタメタな話になりますが、ガンダム作品はテーマの1つとして『巨人同士の殴り合い』?みたいな話があります(うろ覚えのためかなり怪しい、間違えていたら申し訳ない)。その為、あの手この手で飛び道具や通信だとかレーダーとかに対してメタアンチ装置的なんかが溢れかえっている世界なんDA☆。
 例えば、GN粒子なんかは作中でも書きましたが、レーダーや通信類とかも無差別にダメにするもんだから、敵味方の識別信号すらも限定的で使えず、勿論そうなると発見自体も遅れるため遭遇戦からのフレンドリーファイヤ、も、しばしばある世界なんDA☆。(一部の特務機とかは視覚でもバレないよう迷彩カラーで塗装。但し、表沙汰に出来ない案件とかに当たる機体なのでバレたら当然……といった具合。)
 という事で、不意の接近戦対策と自軍を視覚による識別する為の手段とその他の理由諸々、と、投稿者は解釈しています。



投稿間隔と文章量について:今回のアンケートは文章が短く切りが悪くても良いから少しでも早い投稿が良いか、がっつり読みたいから時間が掛かっても切り良く読みたいか、のアンケートです。他にも、単純に短い方が読みやすいか、長い方が良いか等でも選んでいただければ、と。ただ、リアルでの生活の状況でどうしても遅れたり、ストーリーの進行具合の関係で、一気に投稿したいが為に書き留めする事が有るのをご了承ください。

  • 切り悪くても早い投稿の方が良い
  • 時間が掛かっても良いからガッツリ読みたい
  • 単純に短い方が良い
  • 単純に長い方が良い
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