俺 自身がガンダムになることだ 作:解毒剤からビームサーベル
「ふぅ………改めてアリガト、助かったよ」
「
ふぃー、一時はどうなるかと思ったぜよ。いやマジで。『例の組織がカチ込んで来る』、って言うからどんなもんかと身構えてたらやって来たのは美少女1名。おいおい、マジかよ、大丈夫かよ、ブラックなんてレベルじゃねぇぞ、とか狼狽えてたらアクション映画よろしくな感じで無双しだしておいおい、マジかよ、最近のJKやべぇよ、ってな感じで唖然とさせられたからな。んで、この様子なら大丈夫そうだな、風呂入ってくる、ガハハ!とか見物決め込もうとしてたら拉致られた人を庇って死にそうになる、っていう落ち着かない展開の連続だったからなぁ。いや、ホント心臓に悪い。
あ、そう言えば何で今は自由に動けているのか?と言うと、デュナメスご自慢のセンサーでこの子を捕捉したらセキュリティなんちゃらが限定的に解放されたんだよね。………謎????
「それで君は何者なのかな?その妙に硬い喋りはキャラ付けだったりすんの?ロボット操縦者くん」
「否定、当機にパイロットは必要ない、当機は完全独立稼働型機動人形であり、自律思考型のAIを搭載しているため外部からの指示も原則必要としない」
(いや、これ勝手に自動変換されるんよ。後、中の人などいない!ディズニーランドにいるミッキーのようにな!!)
「…はぁぁ〜??」
まぁ、疑うよね。でもそこはほら、俺がガンダムだからだっ!で通らない?………ダメ?デスヨネー(´・ω・`)。
でもなぁ、俺自身『俺がガンダムだ!(物理)』以外分かってないんだよなぁ。とりあえず今までのあらまし位しか喋れんが、本当に申し訳ない。(博士風味)
(※ガンダム解説中)
…………………
…………
……
「──……つまり…気がついたらずっと此処に放置されてて、私が来るまで動けなかった、って事?」
「肯定」
「え゙ぇ゙ぇ゙〜〜??なにそれぇぇ???」
そんなこんなで俺の前世(っぽい)話とかは横に置いておいて此処で気がついてからのアレコレを大体喋ったんだが…………コレあれだな!スッゲー胡散臭いな!だって怪しすぎるもん、俺自体が!しかもどこの誰に造られたとか、どんな機能があるとかも尽く都合良く喋れませんの一点張りだもんな!クソガッ!だが実際に俺自身も気になるからあの手この手でシステムを回避して何とか出来ないか試してるんだが、ちょっとでも情報らしき物に触れると『現在のセキュリティ・クリアランスでは許可できません』とか言われて途端に体の制御を奪われてどうしようもないんだよなぁ………。己ぇ!クソNort◯nめ!!………というか何なの?このロック。今は置いておくとして、コレどっかで法則性なり理由なりを突き止めねぇとゼッテー後で尾を引くだろ。ぬぅぅぅぅ………。
「………はぁ、まぁ 今はいいや。それよりも、良く今まで他の人間にバ……────……ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど、ここ最近の電波障害について何か知ってる?」
「…………不明、現在の当機の権限では開示が許可されていない情報である」
(………君は何も見ていない、いいね?)
「いや、誤魔化すの下手すぎか!?それもう自分が原因って言ってるようなもんじゃん!」
「否定、それは貴官による状況証拠からの推測であり、当機と電波障害の関係性の主張は事実無根である」
(それはほら、偶然何かこう、不思議な事が起こったからだよ!決してスペックを確認するためGN粒子をばら蒔いたとかじゃないんDA☆)
「屁理屈だから!それ!!」
ハハッ、返す言葉がないんだZE☆……ヤベェ、ヤベェよ、このままじゃあのデュナメスのイメージが欠陥ポンコツ迷惑マシン系ガンダムになっちまう。(既に手遅れ)そんなのドラえもんから四次元ポケットを取り上げるくらい許されないことだぞ!どうする?何か、他に何か話題を変えねば!ガンダムの話でもするか?(ガノタ脳)いや、この世界ガンダムねぇわ!アバババッ!?
「当機からも質疑応答を求める」
(えーっと、ほらっ、あれっ!!)
「露骨に話題変えてきたな、コヤツ」
「貴官の現在の健康状態、及び心臓部の機器について───」
(そっ、そうそう、ずいぶんといいマシンだけど何処製なんだい?君もアナハイム?(ニチャァ))
「んっ?分かるの?あーーコレね───────
────っとまぁ、そんな感じかな」
…オウフ…おっ重い、重すぎる………。
軽率に聞くんじゃなかった。こんな善い娘が後数年しか生きれないって……普通に鬱過ぎるんだが?しかもこの子、さっきもそうだけど自分の人生が残り少ないって判ってるのにも関わらずこんな危険な仕事で人助けとか菩薩かよ。いや、この場合天使だな。(自身もデュミナスだけに)
「オーイ、急に黙ってどうした~~?さすがに何か反応ないと千束さんも対応に困っちゃうなぁ~?」
その上で、自身の不幸を嘆かず、当たらり散らさず、全力で生きてるとか………。………ンーー……よし、良いか…。特にやりたい事も無いし、どうせ暇だしな。後、この子から離れるとまた止まりそ──ゲフンゲフンッ………ん゙ん゙、───これからお兄さん………いや、ガンダム頑張っちゃうんDA☆
■
コンテナ落下事故後、千束はグループの仲間らしき男の拘束と拉致された女性の容態を確認しながら、闖入者に一応の形だけの事情聴取を行っていた。幸い、女性は薬か何かで眠らされていただけのようで急を要するものではなく、合流予定時間迄には多少の間も有ったのでザックリと話を聞いていたのだが、成果は芳しくなかった。
まず、第一印象は怪しいの一言に尽きる。何故ココに居たのか?何故私達を助けたのか?と聞けば、要約すると『気が付いたら此処に放置されていた。そしてたまたま目に入った私達が危なそうだったから介入した』という、あまりにもあんまりな回答だった。“いや、こんな派手な外観のロボットを偽装してまで放置してた以上絶対何か有るだろ!とか、助けた理由も日常場面ならまだしもこの場所とこのタイミングなら穿った見方をせざるを得ないし!とか、そもそも口調は兎も角、ここまで人間臭い受け答えが出来るAIなんて聞いた事も無いし怪しすぎるわ!”と、内心で激しくツッコんでいた。
かと言って、今回捕縛した連中や此処でコソコソしていた奴らが持ち込んだとも思えないのも確か。何せそうなると護衛か商品かは判らないが『勝手に動き出した挙げ句自分たちを襲った』という事になってしまい、そんな不安定過ぎるマシンなぞどちらにしても利用出来たものではない。
だがそうなると今度は誰が何の為に用意したのか?という話になってくる。先程見せた加速性能に、あれほどの超重量のコンテナを支えた機体のパワー、それを人を庇いながら実行可能な柔軟性、周囲にある入り乱れた物資や体内の機械の有無等を瞬時に走査したセンサー類など、非常に多機能且つ高性能。そして今は静かに片膝をついて佇んでいるが、それまでの挙動は民間用ロボットでよく見る何処かカクカクとした動きは一切無く、シームレスで力強く安定感のある足取りからまず民生品では無いのは間違いない。
(ん~~、でも実際にあるしなぁ。目の前に。何処かの秘密組織が用意したとか?いや、何の為だよ?こんな目立つの使い道限られ過ぎるし。それに助けてくれた相手をあんまり疑いたくないしなぁ)
そんな謎過ぎる不審物に千束はウンウンと唸って整った
「──当機から貴官に要望」
「うん?──」
身の上話からずっと沈黙を保っていたロボットの声に、何のことか?と顔を向けると、千束はその内容に思案顔から疑問顔へと変わった。
「当機のマスター認証者を貴官に願う」
「?…なんぞソレ?」
「当機の所有権及び、今後の活動を裁定、要否を決めるものである」
「ぅぉおう…唐突に重要そうな話をぶつけてきたな?どうした?急に」
唐突な要求に何故、そのプロセス行き着いたのか?と続きを促せば、目の前の怪しいロボットは滔々と語りだす。
「───……日本国に住む人々にはすべからく、人権の基本オプションとして『人間らしい生活』、という名目で様々な支援や援助を享受する権利を有する。
これに例外は無く、諸事情により戸籍を喪失した者や様々な理由で自己意思を表現出来ない者も含めた、この国の基礎理念と当機は認識している。
現に、喫緊の状況下の犯人においてもある程度の人権を認められている以上、この権利は貴官らリコリスにも適用されるべきモノであり、未成年である者なら尚の事と、当機は強く主張。
よって当機は、社会維持を担い、多くの障害と対峙する貴官らにはより潤沢な支援と保護を受ける必要があると判断する。
当機は貴官を援助、及び支援する用意がある───
──貴官は善人である」
「……………───」
───面を食らった。今の千束の心境はそうとしか表現出来なかった。
淡々とした声色は、抑揚も無ければ情動も感じられない機械らしい無機質一色の語りだったのにも関わらず、綴られた言葉には確かな人肌のような温かさが在った。褒め上げて此方を懐柔するつもりか?とも考えられそうな話ぶりだったが、不思議と千束自身はそう思えなかった。騙すにしては迂闊でメリットが無さすぎる、というのもそうだが………なんというか…甘のだ、目の前のコレは、全体的に。今までの会話も何処か抜けていて無駄が多く、隠し事をするわりにはバレバレだったりなど、何処か気の抜ける怪しいロボット。そのくせに自身に対して明らかに憂うような物言いが節々から洩れ出ており、それは千束の身の上話以降からは特に顕著。詰問していた筈が何とも言えない擽ったさに逆に此方が言葉に詰まる始末。絆された、と指摘されれば同意せざるを得ない今の心情に、千束は思わず苦笑を零していた。
「………なんと言うか、そこまで想ってくれると流石の千束さんも恥ずかしいなぁ」
「回答、当機は事実を述べた迄である」
苦し紛れに茶を濁そうとするが、返される言葉は相も変わらず一切感情が乗らない声での歯の浮くようなセリフ。寧ろコッチがむず痒くなるくらいだ。
「あーハイハイ、その話は終わり!とにかく、要約すると、私に協力してくれるってことで、そのためにマスターなんとかが要るってこと?」
「肯定」
こっちは少々恥ずかしい思いをしたのに相手は何も感じてなさそうなのはちょっとズルい、と、目の前の奴軽く避難の視線を浴びせつつより詳しく話を聞く。
「で?なにしたらいいの?指紋認証とか網膜認証とかやんの?」
「不要。貴官の
「……おい貴様。何勝手に妙な情報収集してる?私、乙女ぞ?」
「……返答、これは貴官や要救助者の容態、および拘束した捕虜の状態を確認するために必要な医療行為であり、決して貴官が想像するような行為ではない」
ずいぶんと人間地味た言い訳をする、と、出てきかけた言葉を大きな嘆息で流して続きを聞く体勢に戻す。本人は決して遠隔操縦ではなくAIだと申しているが、そこだけは本当にAIなのかとますます疑念が増した。
「マスター認証……登録中……。
……登録工程を完了するため、
「ん?名前?」
すると続く要望は意外なモノ。ここまでハッキリとした自我を主張しているのだから既に自分で決めているか、不必要だと思っていたのだが、どうもそういう訳にはいかないらしい。聞けば、機種名とは別の個体を示すモノが要るらしく、それを付けてもらえないと終われないのだとか。戦闘機とかに付ける
「……ん~~、じゃあコロとかは?」
「却下。その名称は一般家庭で飼われる犬や猫などに対するモノであり、当機には不適切であると強く抗議」
流石に適当過ぎたかぁ、ゴメン ゴメン、と続け、期せずして先程の意趣返しが出来た事にうっすらと満足感を得ながら、再び思い耽る。ペットに対する名付けは有ってもこういった物やマシンに対する経験はなく、今一ピンと来るものが浮かばず唸っていたその時、視界の端からキラキラと薄緑に光る燐光が映り、思考の迷路からの出口が見えた気がした。
「………ねぇ、この綺麗な光って君が出してるものなの?」
「肯定」
そういえばと思い、何気なく聞けばあっさりと白状した不審物。機能や主な運用方法に関しては喋れないの一点張りだったに、明らかに関係の有りそうな『コレ』は認めるのかとズッコケそうになるが直ぐに舵を戻す。
「ふーーん……。じゃあさ───
「…………
これにより、『セキュリティ・クリアランス レベル3』までのアンロックを確認。
当機の機体情報を開示、
型式番号:GN-002、
機体名:ガンダムデュナメス、
完全独立稼働型機動人形、
マスター:錦木 千束で登録完了」
今度の名前は文句や小言もなくすんなりと通り、恙無く終了する。此方の名前も少々安直な気もしなくもないが、だからこそ見た目やこの謎の燐光とイメージカラーと結び付き、しっくりと来た。高らかに宣言された情報については追々聞いていこうと思い、合流ポイントに向かおうと未だに眠る女性を千束は背負う。
「マスター、錦木 千束に感謝の意を表する。これより当機の最優先プログラムは、貴官や貴官の友人、家族を護衛及び支援する事に決定された」
「ハイハイ……後、千束でいいよ。あっ、そっちのデカイの持てる?私はこの人運ぶから。このまま先生達と合流するよ」
さて、先生にはどう言おうかな?いや、その前にミズキに説明と説得が必要か、車で待ってるだろうし。あー、でも先にコイツらの後始末が先かぁー、等と思考は事後処理に向かっていたのだが、ソレをぶった切る話を持ち出された。
「………報告、マスター・千束に緊急伝達」
「ん?どうしたの?」
「当機の権限が上昇したため専用兵装群の位置情報が今、開示された。
情報の秘匿と不慮の事故を防ぐ為、迅速な回収が必須。
故に、捕虜の移送迄は同行可能だが、その後は暫くの間貴官と離れることになる。……謝罪」
ミカやミズキにどう紹介しようかと思った先 出鼻を挫かれ、やや呆れやら、もの申したく為ったが同時に気になる情報も含まれてた。
なんとなくそうじゃないかと思ってはいたが、どうやら戦闘用で間違いないらしい。そしてこのロボット、ガンダムデュナメスだったかな?の専用装備となれば既存の武器とは違うのだろうと自然と思え、どのような武器かは分からないが危険物であるのは間違いないので、仕方なく了承する。
「はぁ……まぁ確かに、管理は必要か………どれくらいに時間がかかるのか知らないけど、帰ってきたらその回収した物も、さっき言ってたセキュリティやら型番やらもしっかり説明する事!判った?」
「
そう言って、捕虜と被害者を運びながら言葉と一応の連絡手段を交わし、リコリコのメンバーとの顔合わせも無く、一人と一機は暫し別れた。
もうストックが切れる………無念………。
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