俺 自身がガンダムになることだ 作:解毒剤からビームサーベル
長い間お待たせしました!
皆様の温かいお言葉、この場を借りてお礼申し上げます!
それと事後報告に成りますが、話自体は変えていませんが、過去話の一部のワードを変更しました。こういうのは余り変えるべきではないと持論では思っていたのですが、後の展開や書きたいテーマと相談した結果、不整合になったり、ズレると判断し変更した次第です。
言い訳に成りますが投稿初期はかなりフワフワ設定で模索していたもので、今後は無いように気を付けて参ります。
変えたワード:
「成し遂げる者」→「祈りの担い手」
光剣と鉄剣の一対が、深緑と蒼の人型砲弾が───広場の中心にて衝突する。
ぶつかっては離れるを独楽のように繰り返す2機。
その衝撃は2機が持つ質量以上の運動エネルギーでフロア全体を震わせ、それぞれ方式の違う科学の魔剣をぶつけ合う度に大気は悲鳴をあげ火花を散らす。
「(──……アンチビームコーティング*1か──)」
そうして幾度かの競合いを繰り返して最初に解ったのは、グフの仕様の一部。
既存の素材ならば秒も掛からず焼き切ってみせるビームサーベル相手に、これほど耐えうる事が出来る冶金技術は現行には無い。となれば、
とはいえ、あくまで
『──チッ──ウザったいなぁ!──』
中々通らない攻撃に、牛歩よりも遅いが確実に削られていく
ソレを嫌ったのか、グフは翡翠を押し退けるように切り払って距離を取り、透かさず右腕部の3連装機銃を浴びせて戦型を変更。対する翡翠も跳躍をもって射撃を回避し、右手でサーベルを把持したまま左手でビームピストルを引き抜き応射。互いに激しい3次元機動を取りながら行進間射撃で鎬を削る。
地を這い、うねるような軌道を取ったかと思えば、突如弾けるように上昇して相手の頭上から鉛弾の雨を降らすグフに、地面を舐めるような超低空飛行で瞬時に加速して敵の足元を潜ると、そのまま空中で体を
2機ともすれ違う時には剣撃を見舞うのも忘れない超高機動戦は、目まぐるしく変わる
互いに攻めに攻めきれないが故の千日手。グフは高負荷と実弾故の制限時間が。翡翠は作戦故の制限時間が。このままではタイムリミットが来る────そう過ぎりそうになった時────戦局が動く。
『AI風情が──生意気なんだよ!!』
何度も繰り返された一瞬の逢瀬で、グフは剣撃ではなく盾撃を繰り出す。刀身以上に分厚い鋼材に、より丹念なコーティングを施された衝角付きの盾は、サーベルを弾くにとどまらず翡翠の体勢を半歩崩した。
『───まだまだぁっ!!』
しかし、伊達にガンダムタイプの名を冠してはいない。そもそも、敵は一筋縄では行かないと知っていたからこそグフは小細工を弄してまで臨んでいたのだ。ほんの少しの
「──ばッ──避けろッ!!──」
固唾を呑んで見据えていたフキの警告は余りに遅く、音が届いた頃にはグフの蹴撃を翡翠がGNフルシールドへ隠れるよう半身になって受けて後退した後だった。
『僕の力をォ──思い知れェッ!』
半歩の遅れが一歩となり、そこへねじ込まれるはシールドに取り付けられた対ガンダムタイプ用重火器。
重く、腹の底まで響く轟音とソレに見合う衝撃がシールドを叩き、本来の威力を発揮した砲弾が翡翠の体勢を更に押し込め、足底でフロアを削らせる。半端な防御が裏目に出る───
『そぉらッ!たっぷり味わえ!!』
そして間髪入れず叩き付けられるのは鎖分銅を彷彿させる白兵兵装──ヒートロッド。回避するには時間が足りず、サーベルで切り払うにも位置と角度も悪かった翡翠は咄嗟に体軸をズラしてビームピストルで受け───
───火器の1つを失う。許容量を軽く超えた電流がビームピストルへ流れ込み、即座に翡翠の電脳内に浮かび上がる
ダメージを最小限に抑える為投棄をせざるを得なかった翡翠は、速やかにビームピストルを
「───あのポンコツ…! 何喰らってやがる……! テメェなら避けれた攻撃だろ……!」
「……違う…避けなかったんじゃない…」
「あ?……───」
それを負傷者の治療を行いつつ遠くから見ていたフキは、もどかしさ故の静かな気炎を溢すが、ソレに対して共に治療を行っていた千束が苦々しい表情で訂正した。
千束には
人間サイズで在りながら並の航空機を凌ぐ機動力と戦車に匹敵する火力を有する2機。
そんな人型戦闘機とも言うべき存在が、本気で争って被害範囲が
それこそ、千束達が身を潜めている場所も本当ならとっくの昔に吹き飛んでいる筈で、それが実際に起こらないのはフキが見えている以上に
無論、作戦上の都合も有るだろう。だがソレよりも、加減してもらわなければ、真っ先に被害に遭うのはこれ以上は離れたくとも離れられない自分達だ。
「………………」
遅ればせながらそれを理解したフキは、奥歯を噛み締め、広場の戦闘を睨みつける。悔しい。不甲斐ない。そんな感情を飲み込んで───
『────ハハハハ! 何だぁ、その動きは!? これならシミュレーターのAIの方がまだマシだったぞ!!』
───
『クク……そう、そうさ! どれだけ持て囃されようと所詮はAI! 道具風情が、人間様に敵う訳が無いのさ!!』
───それを翡翠は、不味い攻撃はビームサーベルや無事な手足で往なし、受けれる攻撃はシールドや肩等の装甲の厚い部位で堪えてやり過ごす───
『ましてや僕は、世界最高峰のハッカーにして選ばれし新人類! 幾ら未来を征く世界最強の兵器だとしても、マシンが僕に敵う訳が無い!! 土台からして違うんだよォッ!!!』
────しかし、致命打こそ受けて無いものの明らかに後手後手になっていっており、それをグフは、全身のスラスターを更に吹かせ、踊る火の風となって猛然と畳み掛ける。
間合いに入れば剣を縦横無尽に振り回し、振った後の間隙には
脈絡のない自分語りをベラベラと垂れ流しながらもその動きに淀みはなく、人機一体とも言うべき激しく切れ目のない暴威は、眺めているだけの者にも心胆寒からしめた。
『だと言うのに──無能な愚図共は僕という存在を解ろうとしない──いや、認めようとしない……!───』
対する翡翠も守勢へと比重を傾け、コンパクトかつ的確な回避運動で凌ごうとするが、それでも捌き切れなかった打撃が少しづつ体を掠めさせ始めてゆく。
カウンターの意味合いも有るサーベル受けはシールドかソニックソードを合わせられ、ダメージにこそ成らないが人外所以の見た目以上に重い打撃は、掠る度に小さな衝撃を翡翠の体へ蓄積させる。
『ああっ…度し難い………!! …怯えろォ──竦めぇッ……──機体性能を活かせぬままァ──壊れろォォッ!!!』
そしてとうとう重なりに重なった負荷と、ダメ押しと言わんばかりに翡翠を踏み台にした飛燕の如きグフの跳躍が、ガンダム・タイプに片膝を突かせる。
『───ドイツもコイツもォ───』
鋼鉄の膝でフロアを割り、輝く光剣を力無く垂れ下げた翡翠。
走馬灯のように引き延ばされる時間感覚。
『──この、僕をォ──』
一瞬の静止を挟み、悪夢を振り払うように機体重量とスラスター推力を落下速度へ変えたグフが、ソニックソードを逆手持ちして烈気の刺突を敢行。
回避──不可。
防御──不能。
『──讃えろォォォッッ!!!!』
物陰から見守っていたリコリス達が目を見開き───
照明を反射してギラリと薄ら寒い光を発する切先が翡翠へ迫る───
────左半身を覆っていたフルシールドがガバリと開かれ────
其処に在ったのは失った筈の────否、右側のホルスターから隠し抜いていたビームピストルが握られていた。
『───!!?───』
そのまま不意撃ちで乱射される光弾。しかし、相対する敵とて普通ではない。不格好ながらも咄嗟に剣を盾にして防がれる───が、問題は無い。
「(──ホイ、オマケ!──)」
そうして続けざまに投げられるビームサーベル。真っ直ぐではなく円盤状に回転して飛来するソレは、グフの次への余裕を奪い、
『──このッ…! 悪あが───』
───数発の光弾で光剣を狙撃、眼前で
『───は!!?───』
ビームコンフューズ。
高速運動するビーム刃にビームライフル等の弾が接触する事によって、ビームが乱反射する事象を利用した技*2。
拡散されたビームは実行者の目論見通りにグフの視界を奪い、シールドから突き出た火砲の所々を融解させ使用不能へ追いやる。
『───な、何が───』
それだけでは終わらない。一瞬視線を外すグフ───そんな秒にも満たないが、明確な隙を曝した粗忽者に眼前の相対者は当然のツケを請求。
「(──あ、ソレ持ち出し禁止だから───)」
瞬時にグフと同高度まで上昇した翡翠は、飛翔した勢いをぶつける様にグフへ膝蹴りを叩き込んで体を開けさせ、押し付けきれなかった慣性をGN粒子の姿勢制御も併用した捻転で運動エネルギーを束ねて転換、袈裟斬り気味の回し蹴りをブチ中てる。
インパクト時には質量軽減効果もカットして打ち込まれた蹴りは、華奢なシルエットを裏切るガンダム・タイプに相応しいマシンパワーも上乗せして繰り出され、桁違いの衝突力でグフを叩く。
『ぬォォッ!!?』
多量のレアメタルを含ませた頑強な筈のフレームが軋み、フロア目掛けて傾斜に吹き飛ぶグフ。
体勢を立て直すべくスラスターを吹かし、剣と踵をアンカー代わりにフロアへ荒々しい電車道を作って耐え抜いた頃には、サーベルを回収してビーム刃を再展開した翡翠がグフへ突貫していた。
『──〜〜ッッ、調子に乗るなよ! どんな状況下でも最高得点を叩き出せたのは僕だけだったんだぞッ!!』
流れが変わったのを感じる。しかし、損壊具合自体がイーブンなのは変わらない。
なにせ先程の
現に威力保証の為 数発分拡散させたとはいえ、至近距離の火砲以外はグフの表面を焦がした程度の損害。蹴りのダメージも歪みこそ出来たが内部へはほぼ無しに等しく、戦闘続行には何の問題も無かった。
しかも奪えたのは後1、2数発で弾切れになる残り寿命の少ない火器。開発者は兎も角 操縦者はこの
グフは直ぐ様使い物にならなくなった兵装をシールドごと爆砕ボルトでパージし、自由になった左腕でもう一本のソニックソードを引き抜いて猛々しく迎え撃つ。だが────
───漸く
グフが繰り出す鋭い逆袈裟の剣閃。
ソレを翡翠は、速度そのまま、振るわれる剣の方向にバレルロールで合わせて横へすり抜け、回転方向に逆らわずビームサーベルを振るい───
『───は?』
「(ふぅ、漸く
───グフの右前腕半ばから斬り飛ばす。
「(───雑い狙いでバカスカ撃ちやがって…
実際の所、操縦者の動きは悪くなかった。AIのアシストが有るとは言え、元来
砲を放つ以外に殴る蹴ると言った攻撃手段に、機能的に飛ぶだけで無く跳ねたり走ったり等の複雑な3次元機動。それらを特殊システムによって下駄を履かされていたとは言えど、初の実戦でここまで動かせたのは賞賛に価すると言っていい。
『(───ッッ!!? は、破損は───)』
そしてこのグフは、マシン由来のパワーとスピードに、人型由来の柔軟で多角的な戦闘を可能としたモビルドールとしての一種の到達点。
『(───右腕だけ!──なら、問だ───)』
「(───おっそ───)」
────それ以上に翡翠は────
後ろへ回られ、無視できない破損に動揺しつつも止まらず動けたグフは、残った腕で振り向きざまにソニックソードを横薙ぎに振るう───が、ソレを翡翠は、着地と同時に再び揺らめくように回って躱し、ピストルを持つ手で鉄剣を進行方向へ合わせて叩いて不本意に加速させる。
『───こッ、この僕はッッ!!?───』
想定外の挙動に体を振り回されバランスを崩すグフ。ソコへ間断入れずグフの伸びた膝へローキックを見舞い、関節部を破壊。
『───ロッ、ロボ太様でェ…!───』
バチバチと異音を出して拉げる膝。スマートかつ正確に狙い穿たれた蹴脚は、先程よりも遥かに小さいエネルギーでグフの左足を殺し、回避の選択肢を消す。
『───シミュ、レーターでェェ…!!───』
更に止まらず振るわれるビームサーベル。ソレを間一髪に鉄剣を滑り込ませ受け止めようとするが──────
─────当たる直前にダガーサイズにまで圧縮されたビーム刃が、一瞬の抵抗の
勢い余って振り抜かれた光剣に浅い切り傷を負い、反射的に剣を手放して後退しようとするグフ。だが、直ぐ様槍の如き前蹴りを腹部へ突き刺され、続け様にビームピストルの連射を浴びる。
『────新ッ、人類でぇぇぇッ……!!?────』
吹き飛び、宙を往く際にも容赦なく放たれた光弾は、精確にグフの各部の推進器を破壊、せめてもの受け身すらさせてもらえない。
最早完全に後を無くしたグフは、自身の要望で強引に増設した予備のヒートロッドを起動。ガリガリと床を削らされつつ自棄糞気味に射出────
「(───んな遅いモン当たるかバーカ───)」
───しかし、体を僅かに横へ反らすだけで躱され、ソレどころか返す刀でワイヤーを切断される。実力によって全武装解除が成された。
無様に滑り終え、ヨロヨロと、死に体の様で立ち上がるグフ。ヤル気だけは一丁前な眼光を灯す一つ目が最後に映したのは────悠々と片腕で向けられた、光を集めるGNスナイパーライフルの銃口───
『───最高得点なんだよォォォォ〜〜〜ッ!!!!』
「(何で負けたか、明日まで考えといてください。答えは聞いてないけど)」
───放たれる手向けは、この時の為だけに調整して製造された、謂わばビームで構成された徹甲炸裂弾。
胸のど真ん中へ着弾したGN粒子の塊が不出来な塗膜を抵抗すら許さず焼き貫き、内部までめり込んだ光は文字通りに光速で膨張、そして破裂。
グフの上半身はマゼンタの光で爆裂し、遺されたのは若干よろけて立ち竦む下半身。
ゆっくりと、後ろへ倒れる鋼鉄の二脚の倒壊音が、この勝敗の決着のゴングとなった。
名前通りにビームを弾く、又は拡散させる塗膜で、ビーム飛び道具へのポピュラーなメタ技術の1つ。呼び方も若干の揺れが有る。
性能は気休め程度からガッツリ無力化させる物など幅広く存在し、シリーズや年代も加味すれば(技術系統や環境等の問題も有る為)、効力や制限も変わってくる安定しない防御手段。
ガンダム世界のビームサーベルは特殊な粒子で構成され、更にそれらのビームを剣の形に抑制 出来る特殊フィールドを用いた結果、純エネルギーでありながらビームにも質量物にも反発作用が有る。
ビームをビームではたき落とせるのもコレが理由。
尚、シリーズや媒体によって原理が違ったり設定が食い違ったりややこしい事もしばしば。ガンダム界隈では良く有る事だが。
一応次話で、このショッピングモール編は終わりの予定です。オリエピなのもありますが、アクション描写って書くのにとんでもなく時間がかかりますね………(今更感)。