原作キャラと世界の設定捏造があります。
苦手な方はご注意ください。
エルフにとって
森を
それがエルフという種族のあるべき姿である。
少なくとも、王族として生まれたベアトリクスは、幼い
もっとも、ベアトリクスの年齢を考えればその幼い時分とやらも、十分に昔と呼べるだろうが。
ベアトリクスというエルフ個人の意見として、森は
別に、古臭い思想に
かといって、
(――森は森だ)
つまり、ベアトリクスには思想だとか崇拝だとか、古いとか新しいとかはどうでもよかった。
ただ、ベアトリクスは森のことが嫌いではない。
ともすれば、ライバルか親友に向けるような
――
ベアトリクスはそう呼ばれるようになって、おおよそ
正確には、それよりもしばらく前から、ベアトリクスに
そのときはまだ、自分より上の使い手がいる、自分としのぎを削れる者がいつか現れる、という希望があった。
その希望が
――世界一の
それ以降、彼女に敵う者はおろか、彼女に挑もうという者すらほとんど現れなくなった。
大森林の奥の
魔境には、自分が知らない生きものがたくさんいた。
魔境には、自分が予想もできないような戦い方をする魔獣がひしめいていた。
魔境では、自分を食い殺そうと挑みかかってくる存在が、絶えることなく次から次に湧いて出た。
当時のベアトリクスは、そのことに大きな喜びと感動を覚えた。
足しげく、大森林に分け入るようになり、また、武神と呼ばれるその剣の腕を
その日、ベアトリクスは大森林の奥地へ来たのは、しばらくの別れを告げるためだった。
また、
妹が産んだ娘。
すなわち、ベアトリクスの
現在3歳の、幼き日のベアトリクスにそっくりな女児に、ベアトリクスは新たな希望を見出していた。
期待と言いかえてもいい。
ベアトリクスにはわかったのだ。
姪は、自身よりもさらに
姪の身体つきや身体の動かし方から、自身を超える才能の持ち主であることが。
だから、決めた。
(――この子を私より強くしよう)
剣を教え、戦い方を教え、相対して磨き、経験を積ませ。
そして、いつか自分を倒すくらいの魔剣士に育て上げる。
姪とお馬さんごっこをしながら、ベアトリクスは胸に
「おかしい」
一歩、魔境の土に足を付けて異変を感じとった。
しかし、たしかな
「森で何が……」
森で何かが起きている。
とんでもない
直感だけで、ベアトリクスはそれを確信した。
トンッ、と。
音がしたときには、次の木の枝へ飛び移っている。
あまりに自然に、あまりに速い動きに
ベアトリクスは異変が何なのか、魔境で何が起きているのか確認するため、魔境の奥へと
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
地から吹き上がる黒い瘴気が
まとった魔力に
頭上から突撃してきた屍鳥のくちばしを
躱した先で待ち受けていた、屍狼の
その間に一周して戻ってきた屍鳥のくちばしをまた躱し、今度はカウンターに
――屍狼のうち一頭だけ心臓を斬り
ベチャッ、と屍狼が自らはじき飛ばした心臓が、
(――泥人形のようだ)
心臓に斬撃を飛ばし、斬り
すると、それが
生ける屍は、頭と心臓を同時に
そういう性質をもっているようだった。
――刀を横に振り、放つ斬撃を
――バツンッ!
直後、さっきまでいた場所に、いつかのように食らいつくヘビの頭の一つ。
(――クセは変わっていないようだな……)
気配は違う、力の質も違う。でも、わかる。
このいやらしさ、このしつこさ、この
間違いない。
――まさか、死してなお、
躱した頭に刀を振るう。
月の呼吸 壱ノ型
基礎の壱の斬撃が、ヘビの頭の一つを、縦に割った。
(――
私自身の斬撃の威力が上がったのもあるが、それにしても
ウワバミのウロコはもっと硬かったような……。
斬撃の手応えを私が考えている間にも、当然、生ける屍となった獣や
チラ、とさっき斬ったヘビの頭に目を向けると、生ける屍らがそうであったように、再生を始めていた。
(――斬られても問題にならないほどの再生力か……?)
どうやら、この多頭のヘビにはウワバミにあったようなウロコによる防御能力はない。
しかし、それの代わりなのか、
――バツンッ! バツンッ、バツンッ!!
今度は一つ、二つ三つ、と躱す
それを私はまた躱し、
月の呼吸 弐ノ型
カウンターに三つの頭を同時に斬り落とし、
――バツンッ!
さらに
そのとき
(――なるほど、これは
極めて高い不死性と再生能力。
多頭を生かした、
生ける屍たちの
息もできない、身を蝕む黒い瘴気。
(――斬り