この黒い
たが、だからといって多頭のヘビのみへの攻撃に集中できるようになったわけではない。
なぜなら――
月の呼吸 壱ノ型
「ギャァアアア!!」
――減った分の生ける屍を補充するように、
一刀のもと斬り落とした頭から血があふれる。
その血は辺りに飛び
この黒ヘビは、どうやら多頭ヘビの眷族かなにかのようで、本体から独立して瘴気の
これがあるから、生ける屍を殲滅しても、敵の数が減った気がしない。
攻撃手段は、濃縮した瘴気を浴びせる毒攻撃と噛みつきの二つのみで、対処はしやすい。
だが、小さな
月の呼吸
――圧縮斬撃は、月の呼吸の型の中でも、二回しか使わない特殊な斬撃。
束ねられた斬撃同士が反発を起こして、離れた場所で刃の
肆ノ型はそんな圧縮斬撃の仕組みを利用した型だ。
放った四本の圧縮斬撃は、私から少し離れたところでそれぞれ四つずつに
離れていく
そうして、分裂を
それが肆ノ型、落天・崩月。
当然、分裂するたび威力が落ちるため、一定以上の実力を持つ相手にはまず使わない。
だけども、いまの状況にはおあつらえ向きだ。
私から放たれ、無限にも思えるほど数を増やしていく斬撃が、そこら中を泳ぎまわっていた黒ヘビを文字通り
さらにダメ押しに――
月の呼吸 肆ノ型 落天・崩月
月の呼吸 肆ノ型 落天・崩月・
――崩月の二連続
「「ジャァアアィァアアアア!!」」
続いて、
月の呼吸 弐ノ型
「「「ァアア!」」」
――斬撃の推進力を利用した
頭の数と同じ三つの強力な斬撃を放ち、斬り落とす。
落とした頭、三つ。これであと頭、三つ。
「「「ァアァアアゥィアアィアア!!」」」
また、続けて迫る三つの頭によるヘッドバッドによる叩きつけの
月の呼吸
「「「――――――ッ!!」」」
――三つまとめて、巨大な斬撃で斬り飛ばす。
加えて頭、三つ。これでもう、頭は残っていない。
しかし、頭を落とされた首は動きを止める様子はない。
(――わかっている。
この六つの頭を落としただけでは、この多頭のヘビは死なない。
これまでも、何度も試したことだ)
月の呼吸
ゆえに、刀から連続で放つ斬撃のほとんどを推進力に変えて、多頭ヘビの首の根もとへ。
落とした頭から生まれた眷族の黒ヘビたちの攻撃も、
多頭ヘビが頭を再生するとき、魔力の流れが、その首の根もとに
この領域を
(――あれか。多頭ヘビ、いや、この領域の
頭を
それは、どくん、どくん、と
それは、ヘビの皮のような色っぽさと
それは、動物の心臓にも見えたし、植物の
多頭のヘビのその根もとには、本来あるはずの
――樹木の
「――っ!!」
あの植物質の心臓が、大地から魔力を吸い上げ多頭ヘビへ
また、あそこから発せられた異質な魔力が瘴気となり地下を通り、大地から湧き出ているのだろう。
(――とても、まがまがしく、
月の呼吸 陸ノ型
月の呼吸 陸ノ型 常夜孤月・無間・水月
陸ノ型は本来、足を
今回は少し工夫して、縦横の斬撃を均等に並べて、細かい賽の目状にした。
しかし、その隙間がない斬撃の面攻撃は、
『『『ァアア゛ァアア゛ア゛ア゛!!』』』
心臓から大地へと根を張っていた、紫色の木の
ただ地面から魔力を吸い上げていたはずのそれらが起き上がって、百を超える黒いヘビとなり、斬撃をかき消した。
(――まだ
大技を
もう、再生を終えてしまったようだ。
まだ
前後左右上下、方向を
(――まさか、
「ハァ……ッ」
私は大きく息を吐き出した。
一瞬、
愛刀、
自身の身体の
それは前世の父の言葉だった。
――武士にとって、体は
――決戦に
――刀が折れそうになるなら、身を
――腹を斬られることよりも、腕を斬られることを
――一人でも多く敵を殺せ。一振りでも多く刀を振るえ。
――命が
――武士が刀を抜くとはそういうことだ。
――
――命よりも大切な、魂を
いかにも
「――ハッッッ!」
直刀の刀身を
青ざめた刀身が、もっと深く暗くなった。
五歳の身体に
しかし、強烈な
全方位から食らいついて、濃縮した瘴気の毒で肉体を腐らせる黒ヘビたち。
「「「ィァアアアアァアアア!!」」」
「「「ァアアアアアアゥァアアアア!!」」」
ようやく
(――私も、同じ気分だっ……!!)
刀を構える。
(――敬意を表する)
(――いまの私が弱いことを認めよう)
(――貴様が魂を
(――だから……)
月の呼吸
月の呼吸 拾肆ノ型 兇変・天満繊月・水月
月の呼吸 拾肆ノ型 兇変・天満繊月・
(――私の
自らを中心に。
巨大な斬撃を三百本、らせん状に
「「「ァ?!?!?!?!」」」「「「?!?!?ィ!?ァ!?!」」」
超高密度の斬撃が物も命も空気も殺し、発生した
食いついていた子ヘビらも、大口を開けて笑っていた大蛇の頭も、
代わりに届いたのは、キィキィと
「はぁ……ふぅ……! はぁ……ふぅ……! はぁ……」
ふらつきそうになる足でなんとか、深い地面に降り立つ。
残心。
勢いを殺しきれず、よろけかけても周囲に気を
クレーター。
もともとあった
何かが
何かが
何かが
そこここから煙が立ち
「はぁ……、ふぅ……! はぁ……、ふぅ……。はぁ……、ふぅ……。ふぅ…………。はぁ……、ふぅ……」
ゆるやかに肉体をほぐす……。
息と共に力を抜いていく……。
「ふぅ……。はぁ……、ふぅ……。はぁ……ふぅ……。
すぅーー……はぁ……ふぅ……。すぅーー……」
身体に溜まった
いい加減、
「すぅーー……はぁ……ふぅ……」
また、しばらく、まともな呼吸を続けてやっと、
シュゥーーッ、と枝分かれした刀の刃も、一本の直刀に納まった。
「はぁ……ふぅ……。すぅーー。はぁ……ふぅ……」
そして、私は残心を解いた。
捏造月の呼吸紹介
・月の呼吸 肆ノ型
……斬撃と斬撃を重ねて放って、斬撃同士を反発させて、離れた場所で刃の風車を展開させる、圧縮斬撃とかいう捏造した謎の技術を利用して放つ技。
放った斬撃が、離れるごとに四倍ずつに増えていって、斬撃で空間を制圧する技。
原作に登場していないけど、
今世では魔力で超強化されているけど、前世での血鬼術としての出力は低く、柱レベルの剣士が剣を振れば風圧だけである程度防げた、という設定。
・月の呼吸 拾壱ノ型
……移動技。移動の障害になるものを斬り飛ばしながら、打ち出した斬撃を推進力に高速移動する技。
原作登場初期の善逸が繰り出す雷の呼吸の壱ノ型と同じくらいの速度。
今回は致命傷になる攻撃(障害)以外をすべて無視して、その分のリソースを推進力に回したため、それよりも速い。
・月の呼吸 ○ノ型 ○○○○・
……○ノ型を、斬撃を推進力にした高速移動を行いながら放つ技。
・月の呼吸 ○ノ型 ○○○○・
……一つ前に繰り出した型と同じ型を続けざまに放つ技。二連撃目。
水月とは、水面に映った月のこと。つまり、同じ景色に月が二つ現れることになるから、二連撃目に採用。
普通に、○○○○・二連、って感じでまとめればいいじゃんと思ったけど、黒死牟さんなら無駄に格好いいネーミングしそだな、と思ったらこうなった。強いていうなら、前の型に続けて次の型を放つ(二連)というよりも、前の型の隙間を埋めるように次の型を重ねて放つ(水月)から、二連とは別のもの扱い。
・月の呼吸 ○ノ型 ○○○○・
……一つ前に繰り出した型と同じ型を続けざまに放つ技。順番が違うだけで、水月と内容は同じ。三連撃目。
三夜とは、三日月の夜のこと。また、三夜さま、は月読神社の祭礼。三、という語が入っていて、なにかと月と関わりが深い言葉だったから、三連撃目に採用。