【悲報】岸辺露伴、淫夢にハマる

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岸辺露伴は『野獣先輩』を語らない

 

 

 

 ――初めに言っておく。これは『独白』だ。何時ものような、読者達に読まれることを前提とした『作品』ではなく、ぼく自身が物事を整理するために書き上げた独白だ。あくまで作品の体を成しているが……それを前置きしておく。

 

 それは主題となる『ある男』が、口に出すのも憚られる存在だというのもあるが……一番の理由は、これは『口にしない方が良い出来事』だと思ったためだ。

 

 ……『彼』に関して、ぼくは永久に言及を避ける。ぼくは二度と、『彼』を語ることはないだろう。

 

 

 

 

 

『キャラクターが勝手に動いてしまった』……なんて話がある。

 

 別に物理的に動くわけじゃあない。作者が本来予定していた展開とキャラクターの個性が噛み合わなくなる。キャラクターの個性に引っ張られて、物語の展開が予定からズレていくと言うことだ。

 

 よくそれで『困った』なんて話があるが、ぼくとしては歓迎すべき事だと思う。キャラクターが展開を越えて動き出すと言うことは、そのキャラが『本物』だと言うことだ。本物の人間のように思考して、趣味があって、癖がある。読者にこいつが本物だと感じさせる。それこそが『漫画家』として必要な事だと、ぼくは思う。

 

 ……おっと、自己紹介が遅れたかな。

 

 ぼくの名前は岸辺露伴。週刊少年ジャンプでピンクダークの少年という漫画を連載している漫画家だ。

 だからぼくは、『キャラクター』に関して一家言を持っている。漫画にキャラクターを登場させるときには、必ずそいつの履歴書を書くほどにはね。

 

 だが……『キャラクターが動く』とは言っても、さっき言ったとおり、物理的に動くわけじゃあない。漫画のキャラクターはアニメのようには動かないし、アニメのキャラクターもテレビを飛び出したりはしない。ドラマだって、映画だって、同じ事だ。

 

 ――しかし、ぼくはある『キャラクター』が動く事を知った。

 

 いや……『彼』はキャラクターなのだろうか? 『あの男』はキャラクターと言って良いものなのだろうか?

 

『田所』『鈴木』『サイクロップス先輩』――数え切れないほどの異名、口に出すのも憚られる程の蔑称を持ち合わせる『彼』を、どう定義したら良いのか、ぼくは未だに分からない。だが、あくまで通称として……ぼくが体験した奇妙な『事件』を象徴とする名前として、ぼくはあえて『彼』を、多くの人がそうするようにこう呼ぼう。

 

 ――『野獣先輩』と。

 

 

 

 

 

 真夏のある暑い日――ぼくはネットサーフィンをしていた。

 

 こう語ると驚かれるかも知れないが、別にぼくは人里離れて暮らす仙人って訳じゃあない。人並みにインターネットを活用しているし、何よりぼくは漫画家だ。若者の流行を知り、それを作品に落とし込むことは、漫画家にとって重要なことだ。

 

 しかし、ぼくはそれまでインターネットを『活用する』程度に留めてきた。実地での取材に勝るものは無いし、何より誰とも知れない人間が書いた情報は信頼できない。だから僕の書斎には本が詰め込んであるし、知りたいことがあったら、ネットよりも図書館や古本屋に赴く。

 

 だからこそ、ぼくはその日まで『そいつ』の存在を知らなかった。

 

「『真夏の夜の淫夢』……?」

 

 デスクトップの画面を睨みながら、ぼくは思わず呟いた。一見して安易なパロディだ。かのシェイクスピアが著した『真夏の夜の夢』。それの卑猥なパロディ……しかし、その単語が出た匿名掲示板では、その単語をまるで『存在する』ものだと言うかのように受け止めていた。

 

 ぼくはエゴサーチをする方だ。読者の生の声を――もっとも場末の声など大して気にしないが――知ることが出来る、週刊少年ジャンプのスレッドを眺めていると、『真夏の夜の淫夢』という単語が出てきた。

 

 そいつに返されるレスの多くは否定的で、憤りを露わにするものもあった。『持ち込んでくるなホモガキ』……奇妙な単語だ。まあ確かにホモセクシュアルの少年というのは存在するのだろうが、罵倒としては一般的ではない。加えて『真夏の夜の淫夢』を話題に出した『ID』は、更に奇妙な言動を繰り返していた。

 

『岸辺露伴は絶対淫夢を見てるってはっきりわかんだね。証拠に主人公は百巻も続いたのに姿が変わらない。野獣先輩も何年経っても姿が変わらない。ピンクダークの少年は淫夢のパクリ。Q.E.D.証明終了』

「パクリだとッ……!?」

 

 匿名でしか書き込めないカスのふざけた言葉だろうと、ぼくは憤慨した。こいつはぼくの漫画を読んでいないのかッ。この岸辺露伴がパクリなどするものかッ!

 

 そう書き込もうとして、ぼくは自分を落ち着けるようにゆっくりと深呼吸した。

 

「『落ち着け』、岸辺露伴……匿名掲示板なんて、どこの誰が書いているのか分かったもんじゃあない……いくら『論破』したからといって、みっともなく逃げ出すのがオチさ……それよりも」

 

 ぼくは不愉快な掲示板をタブから消して、検索画面に新しく『真夏の夜の淫夢』と打ち込んだ。

 

「パクリだと言うには、それ相応のものが出てくるんだろうな……! しかし、『真夏の夜の淫夢』だって? どうせ木ッ端雑誌の木ッ端成人向け漫画か何かだろう……」

 

 聞いたことは無いが……とぼくは軽い気持ちでエンターキーを押した。しかしぼくの予想とは裏腹に、検索結果に出てきたものは夥しい情報の山だった。

 

 真っ先に出てきたのは、『ニコニコ大百科』――ぼくも名前くらいは知っている、動画サイトの辞典サイトだ。そこにはこう書かれていた。

 

「『真夏の夜の淫夢』……2001年にコートコーポレーションから発売された……『ゲイビデオ』だって……!?」

 

 何故『ゲイビデオ』なんかが、ぼくの漫画のパクリ元呼ばわりされるんだッ! ぼくは疑問と興味を抱いてページを眺めていった。

 

『真夏の夜の淫夢』……正式な名称を、『BABYLON STAGE34 真夏の夜の淫夢 the IMP』。やはり成人向けのゲイビデオ。しかし特筆すべき事に、このビデオはインターネット上で――理解しがたいことに――多くの人に好まれ話題になっているらしく、作中の台詞、通称『淫夢語録』を真似した『淫夢厨』という輩が蔓延っているらしい。

 

 このビデオが有名になった背景として、『ある野球選手』が関わっている。その野球選手はプロ入り寸前にこのビデオに出ていることをリークされたらしく、それを面白がられて、ただのゲイビデオに過ぎぬこの作品は一気に有名になった。その後、他のゲイビデオも取り上げられて、『真夏の夜の淫夢』という、ゲイビデオを面白がる流れが出来たとされている。

 

 ……成る程、先の『ID』は、この『淫夢厨』だったということか。『パクリ』と言ったのも、淫夢が好きすぎて言いがかりを付けたということなのだろう。ぼくにも覚えがある。ファンレターの中には『これは○○先生のパクリですよね?』とまるで覚えの無い言いがかりを付けてくる読者もいるものだ。(もっとも、その『○○先生』というのはぼくのファンを公言している漫画家なので、どちらかと言えばパクられたのはぼくの方だと思うがね)。

 

 とにかく、疑問は解けた。疑問は解けたがしかし、

 

「ゲイビデオが、ネットの流行になるものなのか……?」

 

 その時、既にぼくの中に『パクリ』呼ばわりされた怒りは消えていた。ぼくは新たな疑問と強い興味を抱き、『真夏の夜の淫夢』について調べていった。

 

『ゲイでも無いのにゲイビデオを見るなんて』……なんて普通の人は思うだろうが、ぼくは漫画家だ。それも、『本物』を追求する漫画家だ。必要とあれば盗みだってするし、人を殴ったりもする。『追体験』は、人間の心理を理解する上で重要なことだ。

 

 だからこそ、『知る』事は最も重要だ。知らなければ、体験しようと思うこともない。ぼくは今まで知識として同性愛者を知っていたが……この際、同性愛者向けに作られたビデオを見て、彼らがどのようなシーンに興奮するかを学んでみるのも悪くはないだろう。……もっとも、実際の行為に関しては体験したくはないがね。

 

 ――しかし、ぼくのそういった予想、或いは期待は、裏切られることになった。

 

 ぼくは初め、所謂『ほんへ』というものを一章から順番に見ていった。その鑑賞は退屈だった。チープな映像に、やる気の無い演出、棒読みの役者達……。これならジムでランニングでもしていた方が有意義だと、何の感想も浮かばない三章を見終えてそう思った。

 

 そして四章に差し掛かった。情報によれば、これが一番人気のビデオであり、ぼくの漫画のパクリ元である『野獣先輩』が出演している作品でもあるらしい。

 

 再生して、いの一番に飛び込んできたのは、画面を埋め尽くすほどの赤文字だった。ニコニコ動画というサイトは、その特徴として『コメントが流れる』という機能がある。それまでは視聴者の感想として流れるままにしておいたのだが、流石にこれでは動画を視聴することなど出来なかった。

 

 コメント機能を切り、動画を眺める。登場したのは浅黒い肌の男と、線の細い蜥蜴のような男だった。どうやら浅黒い方が『野獣先輩』らしい。チープなコント染みた会話がなされ、二人は屋上に向かう。こーゆーのをゲイは好むのか? ぼくは胸の内がムカムカとなりながら動画を眺めていった。

 

 そして地下室に向かい、終わった。別に面白くは無かった。それからも、特に件の『野獣先輩』の関連動画を見たが、感想は同じだった。チープな映像に、胸がムカムカする動作。どうやらぼくはゲイではないと分かったのが、唯一の収穫だった。

 

「なんだ下らないッ! どこに流行する要素があるって言うんだッ!」

 

 馬鹿馬鹿しい。実に馬鹿馬鹿しい。僕はパソコンの電源を切った。そうして『真夏の夜の淫夢』の事なんて忘れるつもりだった。

 

 だが――風呂に入り、寝床に就こうというとき、ふと思い出した。

 

「そう言えば……『まずウチさあ』って……おかしくないか?」

 

 普通に言うなら、『ウチさあ、屋上あるんだけど』じゃあないのか? 何故『まずウチ』と言ったんだ? 何が『まず』なんだ。何故『まず』なんだ?

 

 そのふとした疑問に続いて、ぼくの中に様々な疑問が浮かび上がりだした。それはまるで、小さな泡が次々と浮かんで水が熱湯に変わるように、次第にぼくは『野獣先輩』に関する疑問に熱中していった。

 

「それに……何だ? あの『ブリーフも多いんですけど、ふたいたいはボクサー型の』というのは……何故彼はブリーフに拘るんだ。『ボクサー型の、スパッツに近い感じ』って何なんだ……?」

「『菅野美穂』……『かんのみほ』だって? 本当はなんて言ったんだ? 何故突然『ラーメン屋の屋台』なんて事を言ったんだ? 先輩役の男優も困っていたじゃあないか……」

「『おかのした』……不思議な言葉だ。意味は全く通ってないというのに、何となく『分かりました』と言っているような気がする……発音に意味があるのか? 何故だろう……気になって仕方がないッ!」

 

 ぼくの眠気は綺麗さっぱり消えていった。ぼくは再びパソコンを付けて、真夏の夜の淫夢を調べだした……。

 

 

 

 

 

「先生ェ~~寝不足ですかぁ? 珍しいこともありますねっ!」

「ああ……その通り、寝不足なんだ。だからサッサと打ち合わせを済ませようじゃあないか」

 

 翌日……ぼくは珍しく、本当に珍しく目元にクマを作ってカフェに居た。目の前に腰掛けるこのうるさい女は泉京香……ぼくの担当編集者だ。彼女はぼくの目元を指差して「めっずらしぃ~~!」と失礼なことを言ってくる。

 

「ぼくの『クマ』なんてどうでも良いじゃあないか。ぼくだって夜更かしをすることぐらいある。……それで? 話は『連作短編』の事だろう?」

「あっ、はい! 今度先生には単行本一冊分のお話を書いていただく予定になっていますが……話は進んでいますかね?」

「それに関しては前にも言ったろうッ! 書きたいことは沢山ある。有り過ぎてどれにするのか悩むくらいだ。そして、『どれを書くか』は、作者であるぼくが決めることだ。わざわざ会議するまでのことじゃあない」

「それはそうですねっ! でも、ちょっとしたアイデアを考えてきたんです。ほら、最近はネットでの話題が作品の売れ行きにも関わっているじゃ無いですか。そ、こ、で! ネットを題材にした作品なんて……」

「ネット受けする作品がネットを題材にした作品……なわけがあるかいッ! 野球少年全員が野球漫画を買うのか? 政治家は必ず政治漫画を読みふけるのか? 少しは考えてから物を……」

 

 そこまで言って、ぼくはふと『ネットを題材にした漫画』から連想して、結局徹夜して調べていた『真夏の夜の淫夢』を思い出した。彼ら男優の奇妙な動作や言動を思い出して、口の端が変に曲がった。

 

「あれ? 先生、今笑いました? そんなに良い提案でしたかぁ!?」

「……いや、君の提案はまったく悪いものだ。論ずるに値しない提案だ。……今のこれは、単なる『思い出し笑い』というやつだよ」

「へェ~~? 何を思いだしたんです?」

「それは……」

 

 ――言えるはずがないッ。ぼくは喉元まで出掛かっていた『淫夢だよ、真夏の夜の淫夢』という言葉を飲み込んだ。

 

 何を言おうとしていたんだぼくは……。慣れない徹夜――そう、ぼくは漫画家としては珍しく殆ど徹夜をしたことがない――をしたせいで、頭が弱っているのかも知れない。いくらぼくが少し『変わっている』としても、恥というものはある。社会人として、話題に出してはいけないことぐらいは分かる……。

 

「いや……別に、次の漫画に関わることさ」

 

 そう誤魔化したのを彼女は「ふうん」と片付けて、それで話題は次へと移った。

 

 

 

 

 

 家へ帰って、ぼくは寝ようとした。頭が働かない状態は漫画家にとって致命的だ。よく『何日徹夜をした』と誇らしげに語る漫画家がいるが、僕からすれば、そいつは低能だと言わざるを得ないね。そんな状態で本当に面白い漫画が描けるのか?

 

 とにかく、ぼくは寝ようとした。軽くシャワーを浴びて、まだ明るい窓外を厭うようにカーテンを閉める。とっくに瞼は重たく、枕に頭を置けば一分以内に寝付ける自信がある。

 

 ――『枕』。『枕』、だ。

 

「『枕』……『枕』が『デカすぎる』……ククッ!」

 

 思い出し笑いをして、これではいけないと頭を振った。ぼくは疲れているんだ。笑っている場合じゃあない。サッサと寝付いて、スッキリした頭で漫画を描かなければ。

 

 しかし、ぼくはまったく眠れなかった。頭の中に、プカプカと情景や単語が浮かぶんだ。例えば、ぼくは今頭を枕に乗せている。その光景は、上から見れば丁度『野獣先輩』が『イキスギィッ!』と喘いでいる場面で……。

 

「クク……クククッ! アッハッハッハッハッ!」

 

 思わず目を閉じたまま笑ってしまった。まったく眠れない。ああ、こういう時……つまり何かに夢中で眠れないときにどうすれば良いのか。ぼくは知っている。

 

 ぼくは笑ったまま起き上がってパソコンを立ち上げた。検索するのは、当然『真夏の夜の淫夢』だッ。

 

「何時かは限界が来て寝ることが出来る……だからこそッ! 眠りに就くまで興味のままに行動するッ! 漫画と同じだ。『切りの良いところ』を終えるまで、眠ることは無い……しかし、『野獣先輩』はなんて面白いんだッ! こんなものをぼくは今まで知らずにいたなんてッ!」

 

 そう、ぼくはすっかり『真夏の夜の淫夢』に夢中になっていた。

 

 

 

 

 

 考えてみれば、『三人組』というのは作劇にとって最も基本的な組み合わせだ。

 

 有名な映画……例えば『ハリー・ポッター』でも、主人公は同じ寮の三人組だし、ジャンプで言えば『銀魂』や『NARUTO』なんかも『三人組』だ。

 

『三人組』は、物語に起伏を生んでくれる……『2で割れない数』というのが重要だ。別行動をするにも、どちらに多く数を振るのかが重要となるし、意見が分かれた際にも仲裁役を立てることが出来る。物語を転がす上で、『三人組』は便利な数だ。イラストにした際にも見栄えが良い……。主人公を中心に、ライバル、ヒロインと左右に置ける。

 

 つまり、ぼくが何を言いたいかというと……。

 

「『野獣先輩』に『MUR』と『KMR』……! この『空手部』の面々は、とても面白い関係性になっているッ!」

 

 それに加えてヒロイン役の『遠野』。師匠役の『AKYS』ッ! たかが素人の創作と侮っていたが、『BB先輩劇場』は中々に面白いじゃあないかッ!

 

 ――ぼくが『真夏の夜の淫夢』を知って一週間、ぼくは遂に『ほんへ』だけではなく、『それを元にしたMAD』まで見るようになっていた。ニコニコ動画に四六時中張り付いて、ニヤニヤと笑いながら淫夢動画を鑑賞していた。勿論、原稿を書き上げた上でのことだが……しかし、それ以外の時間は全て淫夢動画に捧げていた。

 

 この一週間で、僕は随分『真夏の夜の淫夢』に詳しくなった。『BB先輩劇場』『本編改造淫夢』『淫夢実況』『音MAD』……ッ! 十四万程もある関連動画は、見尽くすことが出来ないほどだ。

 

「しっかし……この『KBTIT』ってあだ名はケッサクだね! 一体何処が『久保帯人』に似ているって言うんだ。それを言うなら『野獣先輩』も言うほど野獣じゃあないが……」

 

 ゲラゲラと笑いながら、会ったことがある同業者と画面の中の男優を見比べる。見れば見るほど似ていない。サングラスを掛けていただけで、こうまで言われるかね。

 

 そんな事を思いながら毎時ランキングを眺めていると、ふと、底の方に見慣れたものを見た。白黒の、漫画の切り抜きと思しきBBには『あの有名漫画の問題のコマ』と題されていた。

 

 所謂『問題シリーズ』『風評被害シリーズ』……淫夢とは関係の無いアニメや動画を、淫夢に似ているとあげつらって、茶化して楽しむ内輪向けのネタだ。しかしぼくの目を引いたのは、それが漫画のコマだったから、と言うだけでは無い。

 

 その『画風』……切り取られた『キャラクター』の描き方が、ぼくのそれにそっくりだったからだ。

 

「これは……フフッ、トレースかな? ぼくの漫画を真似して……」

 

 ぼくが笑いながらその動画を開いたのは、ぼく自身、そんな『ポーズ』を描いた覚えなど無いからだった。そいつのポーズは、まるで四章で野獣先輩が「こ↑こ↓」と野獣邸を指差すように、左を向きながら左手で上を指していた。

 

 こんな露骨な場面、描くはずが無いだろうッ! そう思いながら、ぼくは『これマジ?』というコメントの波を目にしつつ動画を見ていった……が……。

 

「な……なにィ――ッ!?」

 

『動画』が再生して一番最初……それは『キャラクター』が切り取られる前の漫画のページ――そいつは確かに、ぼくがつい先日書き上げたはずの原稿だった……ッ!

 

「なッ……『キャラクター』だけを、差し込んだのか? 『コラージュ』……手の込んだことを……ハハ……」

 

 ぼくは寝不足の頭でフラフラとしながら、今週発売のジャンプを開いた。そこにぼくの『本当の』原稿が載っているはずだ。そこにはこんな『ポーズ』は描いていないはずだッ!

 

 パラパラと本を捲って、該当のページに辿り着く。そこでぼくは、今度こそ驚愕した。嫌な汗が背筋を伝った……。そこには、そこには、ああッ! ――『動画と全く同じページ』があったッ! ぼくが提出した原稿に、『野獣先輩と同じポーズをしたキャラクター』が描いてあったのだッ!

 

「こ、これは……ッ!?」

 

 ぼくは言葉に詰まった。こんな物を描いたのか? このぼくが? 編集部が勝手にやったのではなく……いやそもそも、誰であろうと『野獣先輩』のポーズを差し込もうなんて普通は考えない……誰かがやったとすれば、それはぼく自身……!

 

「な……何かの……間違いだ……ッ!」

 

 ぼくは震える手で動画と漫画を見比べた。コメントの中には『これマジ? 幻滅したわ……』『岸辺露伴って淫夢厨だったの?』『ホモ特有の錯覚かと思ったけどこれはちょっと……』などという、ぼくの評判を傷付ける言葉が数々含まれている。このままでは、ぼくは『淫夢厨の漫画家』になってしまうッ! 『淫夢厨の漫画家岸辺露伴』……なんて最悪なんだッ!

 

「これは……『ミス』なのか……? この岸辺露伴は、無意識にポーズを真似るという『ミス』を犯したのか……!? ああ、クソッ!」

 

 こんな事は、生まれて初めての経験だ……こんな屈辱は、生まれて初めてだ……ッ! この岸辺露伴が、よりにもよって淫夢から『パクる』なんてッ! それも意識的にでは無く――勿論、意識してパクるなど断じてしないが――『無意識』に、だッ!

 

『無意識』では、どうすることも出来ない……。これからぼくは、無意識に『パクリ』をしていないか……気にしなければならない……。それも『無意識』に見逃していないか、『無意識』に見なかったことにしていないか、それを気にしなければ……ッ!

 

 その時、『ヴィィイイイイッ』と電話が鳴った。

 

 ……ぼくは力なくそれを見つめた……泉くんだろうか。この『パクリ』に関して、何か言われてしまうのだろうか……そう暗澹たる気持ちで取った携帯電話の画面には、見慣れない番号が記載されていた。

 

「ン……なんだ……泉くんじゃあないのか……じゃあ誰だ……」

 

 ぼくは正直な気持ち、知らない相手との通話など遠慮したい気持ちでいっぱいだったが、しかし今は目の前の現実から逃れたく、戯れにその誰とも知れぬ電話を取った。

 

「ああ、もしもし……」

 

 口に出した声は、自分の物とは思えぬほど弱々しかった。それに対して、電話口からは、男性のモノにしては甲高い声が響いた。

 

「岸辺露伴先生、ですね?」

「ああ……そうだが? 君はぼくのファンかい? どうやって番号を知ったかは分からないが……」

「――貴方、今週のジャンプに、『野獣先輩』……出しましたよね?」

「――――ッ!?」

 

『その単語』を出された瞬間、ぼくの頭は真っ白になった。

 

「困るんですよォ……『野獣先輩』を出されると……」

 

 マズい――既に知られて――こうして電話まで――もう少しで、ぼくは電話を取り落とすところだった。ぼくは嫌な汗をダラダラと流したまま、平静を装って言った。

 

「いやッ……『野獣先輩』だって? ……それはなんだい? もしかして、何か有名な……」

「とぼけても無駄だッ! あんたは『野獣先輩』を知っているはずだッ! じゃなきゃこんな『ポーズ』描くはずが無いんだッ!」

「ッ!」

 

 男は急に声を荒げた。

 

「困るんだよ『野獣先輩』を有名にされるとッ! あんた分かってンのか? これは立派な『肖像権の侵害』なんだぜッ! 『賠償金』だって取れるんだッ! ピンクダークの少年だって、『連載中止』にしてやるッ!」

「まッ……待ってくれッ! これは……何かの間違いで……ぼくは……」

 

 言い訳をしようとして、ぼくはふと、ある『違和感』に気が付いた。

 

「――『困る』? 『困る』だって? 『野獣先輩』を有名にされると、貴方は困るのか?」

「当たり前だろうがッ! 何せ、俺は――」

 

 男は心底忌々しそうに、不快感をたっぷり込めて言った。

 

「俺は、ネットで散々おもちゃにされている『野獣先輩』の元ネタ――野獣先輩『本人』なんだからなァ――ッ!」

「ほ……『本人』だってェ――ッ!?」

 

 

 

 

 

 ぼくは……焦燥した状態で、行きつけのカフェに赴いていた。正面には、浅黒い肌をした四十代程の男性が、怒りを露わにした表情で座っている。

 

「――まさか、間違っても『アイスティー』なんて頼まないでしょうね? この『俺』を前にして……」

「頼まないよ……流石に……」

「フンッ! どうだかな……なにせあんたは『淫夢厨』だからなッ!」

 

 男……名を『酒井利明』は、ぼくをビシッ! と指差した。

 

 あの後……彼が自分を『本人』と言った後、ぼくは是非とも話がしたいと思った。インターネットで晒されて有名になった人間と言えば、他には『syamu_game』なんかもいるが、『野獣先輩』は格が違う……。是非とも当人がどう思っているのか、ぼくは現状を忘れて知りたくなってしまったのだ。

 

 相手の方も、「直接顔を見て頭を下げろ」と傲慢に言ってきたので、この会合は互いにとって渡りに船だった。そういうわけで、ぼくは彼……『野獣先輩本人』と対面した。

 

 初見での印象は、まるで普通の中年男性だった。多少普通よりは肌が浅黒いか、と思うくらいで、動画の中で活躍する『野獣先輩』の面影は無い。頬にも腹にも肉を付け、細長のややつり上がった目が神経質に辺りをジロジロ眺めていた。

 

 彼は自分の『本名』を酒井と名乗った。酒井利明……これがこの男の『本名』だ。『田所』も『鈴木』も役名で、『浩二』と『浩治』に関しては知ったこっちゃ無いとの話だった。

 

「とにかく……あんたには謝ってもらわなきゃならない……。あんたは俺を傷付けた……有名な『漫画家』……ジャンプに連載しているような漫画家まで、『野獣先輩』をネタにしやがったんだッ!」

「それは……素直に謝ろう……」

「フンッ! 当然だッ!」

 

 ぼくは珍しく……本当に珍しく、頭を下げた。どんな理屈を並べたって、ぼくがミスをしたことは事実だ……。

 しかし……気になることはある。

 

「ナア……貴方はどうしてぼくに電話することが出来たんだ? ぼくの電話番号は、公開なんてしていない……一体どこで知ったんだ?」

「ご注文のコーヒーですゥ~~」

「ああ、どうも……。それで、どうして? まさか違法な手段を使ったのか? 集英社に忍び込んだりして……」

 

 酒井は不快そうにコーヒーをグビグビ飲み干すと、唾を飛び散らかせながら激昂して言った。

 

「ハア~~ッ!? あんた、それで『謝罪』を済ませたつもりなのかァッ!? 俺がどうしてあんたの電話番号を知ったかなんて、どうでも良いことだろうがッ! 挙げ句の果てに、俺を盗人呼ばわりだとッ! 『俺』を盗んだのはお前の方だろうがッ! この『淫夢厨』ゥ――ッ!」

「ウッ……それは……そうだが……」

「あんたに俺の気持ちが分かって堪るかッ! 毎日毎日、若気の至りをネタにされて、笑われてッ! もううんざりなんだよッ! 何が野獣先輩だ……何が『セックスするだけで面白い男』だ……! 俺はちっとも面白くないッ!」

 

 当然の……怒りだろう。ぼくもちょっとばかし有名だから分かるが……『有名税』なんて言葉は、犯罪を誤魔化す言い訳に過ぎない。誹謗中傷を正当化するための……ストーカー行為を正当化するための……醜い言い訳だ。

 

 酒井はフウフウと興奮そのままに息を荒げ、血走った目でぼくを睨んでいた。しかしふと、ドッと疲れ切ったように椅子に座り込んで、頭を抱え込んだ。ダラダラと汗を流し、泣きそうになりながら呟いた。

 

「もう限界なんだ……弁護士に何とか出来ないか相談したら、精神科を紹介されたよ……フフ……当たり前だよなぁ……野獣先輩が俺だなんて……誇大妄想か、キチガイの戯言としか見なされない……」

「ああ……その苦しさは察するに余るが……」

「分かるわけが無いだろうッ! なあ? 『淫夢厨』の岸辺露伴先生ィ!?」

「その……『淫夢厨』っていうの……止めてくれないか? 周りに聞こえる……」

「うるさいッ! あんたの『謝罪』は全然足りないッ! 俺は……もう逃げることを止めたんだ……これからは……俺が野獣先輩だと公表してやるッ! 公表して、そして――ッ!」

 

 そこで酒井はバッグの中から一枚の書類を取りだした。恨みの籠もった眼でその書類をネットリと見渡してから、ぼくに向けて突き付けた。

 

「こ、これは――ッ!」

「『損害賠償』だッ! 『慰謝料』だッ! 野獣先輩をネタにした……俺に苦痛を与えたことを謝らせてやるッ! まずはあんただ、岸辺露伴ッ!」

 

 ぼくは嫌な汗が背を伝うのを感じていた。『慰謝料』……勝手に漫画のネタにした『慰謝料』……ぼくが決して払わないと思っていたもの……。し、しかしこれは……!

 

「な……なんだこれはッ! 『野獣先輩』という単語を使った者に対し、一言『一千万円』ッ!? 『ポーズ』を使った者にも『一千万円』だってェ――ッ!?」

「それだけじゃあないッ! 『音声』にも、『パーツ』にも、『その他俺が野獣先輩だと思った物』にもッ、一律『一千万円』だッ! ……本当は金なんてどうでも良いんだがな……『謝罪』が口先だけの物じゃあないと……本心から『罪』だと思っている事を証明するための……そのための金額だ」

 

 ぼくは目の前に出された書類を読み、その内容に愕然とした。

 

「しかしそんな……な、なあ……なあなあなあなあ……これ本気かい? こんな子供じみた契約書……まさか本気で書いたわけじゃあないだろう……? 第一どうやって請求するつもりなんだ……世の中には法的拘束力ってものがあってだね……」

 

 ぼくがそう言うと、酒井は憤慨したようにバァンッ! とテーブルを叩いた。ガチャガチャッとコーヒーカップが倒れる……ぼくの注文したコーヒーが床に溢れる……。

 

「お、おい。きみ……」

「法的拘束力だとォ――ッ!? そんなふざけた言い訳で、野獣先輩をネタにした『罪』が消えると思ってんのかァ――ッ! 『謝れ』岸辺露伴ッ! この『俺』に、土下座して靴を舐めて『謝れ』ェ――ッ!」

「ウッ……!」

 

 ……何故だろうか、ぼくはその時、『そうすべき』だと強く思った。

 

 野獣先輩をネタにすることは『罪』だと……殺人よりも許されない『罪』なのだと……そう思って、もう少しで頭を地面に付けるところだった。

 

 だが……椅子から立ち上がり、何か目に見えない強い『力』に押されるように背を曲げる寸前で、ぼくが動きを止めることが出来たのは……ぼくの強いプライドのおかげでもあったのだろうが……もう一つ、『奇妙』な出来事があったからだ。

 

「お客様ァ~~?」

「ああ……店員か……すまないね、騒ぎを起こしてしまって……」

「いえいえェ~~。でも自分も、早く『謝った』方が良いと思いますけどねェ~~」

「――なに?」

 

 ドクンッ! と心臓が跳ねた気がした。この店員は、今何と言ったんだ? ぼくに『謝れ』だって……? 聞いていたのか? 話の内容を……。

 

「私もッ、『謝った』方が良いと思いますわよッ!」

「そうですわよッ! 『謝り』なさいよッ!」

「なッ……なんだきみ達は……」

 

 今度は、向かいの席に腰掛けていた、いけ好かない成金ババアまで話しかけてきた。ついさっきまではピーチクパーチク騒いでいて、こっちの会話なんか聞いていた素振りも無いってのに、急に立ち上がって怒ったように……。

 

 ガタガタッ! とカフェの至る所から、椅子が動く音が響いた。カツカツと靴音がぼくの方に寄ってくる。その表情は一様に怒りに満ちて、ぼくに唾を飛ばして怒りをぶちまけてくる。

 

「『謝れ』よあんたッ! 社会人として当然の義務だッ!」

「あんた……有名な漫画家なんだろォ……『謝った』方が良いんじゃないのォ~~?」

「儂としても、『謝る』べきだと思いますがねェ……」

「なッ……何だこれはァ――ッ!?」

 

 何が起きているッ!? このカフェにいる全ての人間……ぼくたちの会話を聞いていなかった人間まで、全員がぼくに『謝罪』を求めているッ!

 

 ぼくは咄嗟に酒井を見た。酒井は憤りを更に深めて、ぼくに叫んだ。

 

「ほら見ろッ! みんなだ。みんな、お前が悪いと言っているッ! 『謝れ』ッ! 『謝れ』よ岸辺露伴――ッ!」

「『謝れよ』ッ!」

「『謝りなさい』ッ!」

「『謝れ』ッ!」

 

 謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ

 謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ

 謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ

 謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れ謝れェ――――ッ!!!

 

 これは――『奇妙』だ。

 

 明らかに、常識では説明できないことが起きている。そして原因はおそらく……目の前のこの男ッ! 酒井こと、『野獣先輩本人』が起こしているッ!

 

「『謝れ』ッ! 『謝れ』ッ! 俺は野獣先輩だぞッ! 俺に『謝れ』ェ――ッ!」

「『ヘブンズ・ドアァ――――ッ!!』」

「なッ……なにィッ……!」

 

 酒井は、その激昂が嘘だったかのように膝から崩れ落ち、ストンッと椅子に納まった。そして……それまで騒いでいた周囲の人々も、まるで熱が引いたかのように治まって、不思議そうな顔をしながら自分の席に帰って行った。

 

 酒井の顔には、『ページ』がある……。いや、酒井の顔自体が『本』になっている。……ぼくがそうした。

 

 これは、ぼくの『能力』だ。

 

「悪いな……恐らくあんたにもそういう『能力』があるんだろうが……生憎、ぼくにも『能力』があるんだ。名は『ヘブンズ・ドアー』……能力は、『人間を本にする』。そして本になった人間は、その全ての来歴を『ページ』として表わすことになる。……読ませて貰うぞ」

 

 この『能力』は、普通の人間に認識することは出来ない……。ぼくはゆっくりと酒井の本を読んでいった。

 

「酒井利明……47歳、男……職業はトラック運転手……元劇団俳優……夢破れて転職……この職業なら人目には付かない……俺は人目についてはいけない……ふうん、やはり『野獣先輩本人』なのか? 如何にもな来歴だが……」

 

 一通りのプロフィールを読み終えてから、ぼくは直近の出来事から確認していった。

 

「今週のジャンプに『野獣先輩』が載っていた……あり得ない……こんな大っぴらに載せられるなんて……恥ずかしくて堪らない……『謝罪』させてやる……『野獣先輩』はこの世から消さなければならない……あの過ちは残してはならない……」

 

 一見して……聞いたとおりの話だった。ならば、やはり先程の奇妙な出来事は、この男の強い感情が無意識に発現させた、ぼくと同じような『能力』だったのだろうか? 自分の過去の過ちを多くの人間に笑われ、晒され、玩具にされているという現実……きっと強い『力』を生むことだろう……。

 

 そう納得しようとして……ぼくはある事に気が付いた。いや……気が付かなかったことに気が付いた、と言うべきだろう。

 

 ぼくはこの時まで、スッカリ酒井が『野獣先輩』だと疑わないでいた。何故だろうか……? それを証明する物など、本人の証言しか無いというのに……ぼくは言葉だけで、この男が『野獣先輩』だと納得していたのだッ! 一番最初の『奇妙』な出来事……『何故ぼくの電話番号を知っていたのか』という疑問さえ忘れてッ!

 

 その『答え』は本にあった……正確には、『答え』への手掛かりを、ぼくは発見したんだ。

 

「ン……? 見た目より、薄っぺらいんだな……?」

 

 ぼくはパラパラとページを捲って、酒井の人生を読み終えた。そこには世間への恨みと苦しみとがタップリ刻まれており、興味深い取材となった……筈だった。

 

 しかし、ぼくはこれまでの経験から、どうにも妙だと思った。『奇妙』ではなく、妙な違和感……不条理に理不尽なことが起きるのでは無く、『何かが隠されている』という感覚があった。

 

 そして……ぼくは気が付いた。仕事柄、書籍を捲ることには慣れている。特に週刊少年ジャンプの紙質に関しては、指触りで何枚捲っているのか分かるほどだ。

 

 ぼくは、思考ではなく感覚で分かったのだ。――この男の『ページ』は、異常に分厚いッ! 内容の薄さに比べて、まるで何枚もの紙を貼り付けて一枚にしたかのように分厚いんだッ!

 

「……『ヘブンズ・ドアー』の能力は『絶対』だ……。どんな人間にも、隠し事は出来ない……。しかし……もし本人がそれを『認識していなかったら』……いや、『認識していないと思わされていたのなら』……ッ!」

 

 ぼくは一番最初のページに手をかけて、ゆっくりと紙を剥がしていった。ベリベリと、悲鳴のように紙が剥がれる音がする。紙が剥がれていくッ。この男の記憶は、やはり『隠されていた』ッ!

 

 そして見えた、本当の記憶は……。

 

「酒井利明……年齢は42歳……? 番組制作会社に勤務……そして……オイオイオイオイッ! 趣味は、『淫夢動画の制作・投稿』だって……ッ!?」

 

 確信したッ! こいつは『野獣先輩』なんかじゃあないッ! こいつはただの、『淫夢厨』だァ――ッ!

 

「だが、何故だ……? 何故『野獣先輩』を騙ったんだ……? 新手の詐欺だろうか……」

 

 ぼくはゴクリと息を呑みつつページを捲って、「ウッ!?」と思わず戦いた。彼の人生……30歳までは普通の人生だったが……その後からは一変している。その変化は30歳のある日、『真夏の夜の淫夢』を知ったところから始まっていた。

 

『【淫夢との出会い.mp1】今日、ネットで淫夢とかいうネットミームを知った。中々面白い。以前から語録の存在は知っていたが、こうしてMADを見てみると、うぜー上司に命令されたまま動画を作ってるより楽しめるような気がするなあ』

 

『【初投稿!.mp2】音楽はやったことがないので、BB先輩劇場に手を出してみた。投稿者名は色々迷ったけど、思いっきり下品にしよう。ズバリ! 「ウンコチンコマンコマン」ッ! 下品スギィ! AviUtlは不便だが、まさか会社のパソコンで作るわけには行かないしな。反応は中々良い。承認欲求が満たされる。淫夢という要素を加えることで、こうも注目されるとは。自分にやりますねぇ! と言ってやりたい気分だ』

 

『【祝!5万再生突破!.mp3】Foo↑気持ちいいィ~~! 結構有名になってきましたねぇ! これを機にTwitterも開設するゾ。しかしこの程度の技術でチヤホヤしてくれるとは……。ま、これでも一応プロだから、多少はね?』

 

「これは……ある時点から、こいつの経歴は全て、『淫夢語録』で記されるようになっている――ッ!」

 

 こいつ、筋金入りの『淫夢厨』だ……ッ! それにこの『投稿者名』……『ウンコチンコマンコマン』だって……? 有名投稿者じゃあないか……ぼくもこいつの動画を見てゲラゲラ笑った覚えがある……まさかこいつだったなんて……。

 

 その後も『淫夢語録』は度々登場する……最早、この男の日常になってしまっている。上司に怒られたときも、取引先に挨拶するときも、内心は『淫夢語録』に彩られて、殆ど病気のようになっている。

 

 正直な話――ぼくはゾッとした。内容が恐ろしいからじゃあない。こんな人間が、沢山いるかも知れないと思ったからだ。内心に『淫夢語録』を抱えたまま、表面上は普通の社会人として生きている……そんな人間が沢山いるかも知れない……。

 

「しかし……こいつはただの『投稿者』だ。間違っても『野獣先輩』じゃあない。あんな『能力』を持っているような感じもしない……どういうことだ……?」

 

 ぼくはページを捲っていく。日常的な『淫夢語録』の濫用は、段々と文章に暗号染みた物を見せるようになっていく。ぼくも『淫夢』を知らずにいたら、気が狂った人間の文章としか思わないだろう。だが……不幸にも、ぼくはこれを理解できていた。

 

『【怒られた。投稿者:変態糞社畜.mp69】昨日の取引先との挨拶で、思わず「そうだよ(便乗)」と口走っっちゃっったぁっ! あー(指導が)ハイルハイルハイル……。(罵倒が)気持ち良いですね(建前)。いや気持ち良くはない!(本音)。説教中もヘラヘラ笑っていたら精神科を勧められちゃったゾ。俺キチガイだよ。俺ナチスだよ』

 

『【こ↑こ↓(精神科)入ってどうぞ.mp81】別に悪いところなんて無いんだよなぁ……。寧ろ仕事が一番のストレス元だってはっきりわかんだね。野獣先輩は現代社会のストレスを緩和する女神だって、それ一番言われてるから。それよりも精神科を見たことで、また新しい動画のネタが思いついちゃったゾ。早く帰って動画作らなきゃ(使命感)』

 

『【クビだクビだクビだ!.mp191】ちょっと上司に「お前の自意識過剰なんじゃねえか?」って言っただけじゃんアゼルバイジャン。クビにするとか騒いでいるけど勤務態度はお前より立派なんだよなぁ……(呆れ)。お前の分の仕事を毎日残業して片付けているのは誰だと思っているんですかね?(嘲笑)ぬわああああん色々あって今日は疲れたもおおおおん! 帰って淫夢、見よう!(直球)』

 

 頭が痛くなってくる……。こいつは異常者だ。異常に『淫夢』に取り憑かれた人間だ。ページを捲る手が重くなる……。だがふと、ぼくはある一文に目を引かれた。

 

『【病気?.mp364】最近、おかしい。違和感がある。何だか、俺が俺じゃ無いような気がする。本当に病気になったのか?』

 

「病気……?」

 

 その次のページから、酒井は段々とその『違和感』を綴るようになっていった。

 

『【記憶喪失?.mp514】完成寸前だったはずの淫夢動画が、滅茶苦茶になっていた。誰がやった? まあ、俺以外このパソコンを触るような奴は居ないんだけどさ……一人暮らしで独身だし……恋人もいない童貞だし……』

 

『【異常.mp810】本当におかしい。俺が俺じゃない。何だこの動画は。「淫夢厨は死ね」だって? 投稿後数時間で気付いたが、既に遅かった。TwitterにDMが沢山届いている。何が起こった? ハッキングか? ……しかし、制作過程の動画ファイルは、俺のパソコンにある』

 

『【狂ってる.mp1919】淫夢は引退したはずだ。正確には引退に追い込まれたのだが……。だが知らない間にまた動画を投稿している。「淫夢厨は謝罪しろ」……稚拙な動画だ。野獣のBBを一枚貼り付けて、字幕を垂れ流すだけの説教動画……。本当に、俺がやったのか? 医者の言ったとおり、俺は精神病なのか?』

 

 そして……張り付いた最後のページの一文に、こう書かれていた。

 

『最近夢を見る。俺が野獣先輩になる夢だ。野獣先輩は憎んでいる。世界を憎んでいる。だから俺は、野獣先輩に……』

 

 そこから続くのは、先程読んだとおりの内容だ。自分が『野獣先輩』だと確信し、恥じ、世間に恨みを抱く人間像……。酒井じゃ無い、『何者か』の思想だ。

 

 その『何者か』……いや、ぼくは半ば確信を抱いていた。

 

「『野獣先輩』……か? お前は『野獣先輩』なのか?」

 

 本になった酒井は声を返さない。

 

 ドッドッドッ……沈黙に心臓が早鐘を打つ。まったく『奇妙』な考えだった。だが、しかし……そうとしか考えられない。こいつは『野獣先輩』になったのだッ! 恐らくは、『淫夢』を見過ぎたせいでッ!

 

「しかし……だとすれば……だとすれば――ッ! 『ヘブンズ・ドアーッ!』」

 

 ぼくは焦りながら自分の腕に『ヘブンズ・ドアー』を使用した。何度も見たぼく自身の記憶が本となって現れる。その最新のページには『淫夢』があるッ! ぼくがここ一週間、『淫夢』に嵌まっていた記録がある……!

 

 だが……それだけだった。別におかしな所は無い。ぼくの頭は、まだ『淫夢語録』に侵されてはいない。恐らくは……『毒』のような物なのだろうか? 許容量を超えると『毒死』する……情報としての『毒』……。なら、これ以上見なければ、事は済む……。

 

「いや……待て……ッ!」

 

 ぼくはある事を思い出した。ここに来る羽目になった理由……ぼくが無意識に犯した『ミス』の事……。あれと同じように、ぼくは『異常』がある事に気が付いていないだけなんじゃあないか? ぼくの頭は、とっくに『野獣先輩』に乗っ取られていて、それに気が付いていないだけなんじゃあないか?

 

 こんな事は――こんな事は初めてだッ! この岸辺露伴が、自分を信じられないだって? ふざけている……ッ!

 

「ぼくは……『全て』を忘れなければならない……そうしなければ、ぼくは自分を信じられない……!」

 

 だが、ふと思った。記憶を消したとして、ぼくがまた淫夢に嵌まらない保証は無い。所か、もしかしたら、ぼくはもう既に淫夢に嵌まったことがあって、それを忘れているだけなのかも知れない。だからぼくは……ぼくは……。

 

 ――ぼくは『この事件』を覚えたまま、『淫夢』を忘れなければならないッ!

 

「そんな事は、不可能だ……ぼくはどうやっても知りたがるだろう……『危険だから止めろ』なんて……言って聞かないのは自分が一番よく分かっている……いや、まて」

 

 ぼくはもう一度酒井の本を丹念に調べてから、自分の腕に文字を書き込んだ。その内容は……。

 

 ――ここで一つ、言っておかなければならないことがある。

 

 これは『独白』だが、ぼくは一つだけ嘘を吐いていた。それはぼくが野獣先輩を呼ぶときの『名前』だ。

 

 『野獣先輩』には数々の異名、あだ名があるが……ぼくはその内の一つを好んで使っていた。彼を思い浮かべるときには必ずその『名前』を使っていた。ドイツ語風の……軽妙な雰囲気がある……いや、これ以上思い出すことはよそう。

 

 酒井の本を読んで、ぼくはある事実に気が付いた。それは、彼が以前から淫夢を知っていたと言うことだ。彼が日常的に淫夢語録を使い始めたのは、実際に動画を投稿してから……淫夢に愛着を抱き始めてからだ。

 

 この『愛着』が原因だとぼくは直感した。思えば、淫夢は人口に膾炙して、その知名度も日本だけでなく世界各地に轟いている。しかしこの酒井のようになる事例が露見していないのは……単に気付かれていないと考えるよりも、精神科を勧められるほど『淫夢』に愛着心を持った人間がいないから、と考えるべきではないだろうか?

 

 だからぼくは、自分が『愛着』していたその『名前』を忘れることにした。

 

「『ヘブンズ・ドアー』……ぼくは、『■■■■■■■■■』を忘れて、それへの愛着心も消え失せる……」

 

 それと同時に、ぼくは酒井の張り付いたページも破った。後には彼本人の記憶だけが残った。そうしてもう一つ、『二度と淫夢を見ない』と書き込んでから、ぼくは能力を解いた。

 

 酒井は目を覚ました。彼は狼狽えているようだった。自分が何故ここに居るのか、そもそもここがどこなのか、分からないようだった。

 

「え……ええと……」

「精神科には通い続けた方が良いだろうね。貴方は先程まで、訳の分からないことを言っていたよ。野獣先輩がどうだとか……」

「あ……ああッ……! そ、そんな……済みません……! 最近、おかしくて……本当に……こうしてたまに正気に戻ることはあるんですけど……」

 

 一転して、おどおどと周囲を気にするように縮こまりながら、酒井は言った。

 

「や……野獣先輩ってのはですね……忘れて下さい……間違っても調べないで下さい……! あれは忘れるべきなんです……『彼』もそれを望んでいるんです……」

「……忘れるべき? それに『彼』って……変なことを言うね」

「言っても信じられないかも知れないんですけど……でも本当です。彼は……『忘れてくれ』と言っていました……。勝手に知られるようになって……勝手に自分を宿されて……迷惑だから『忘れてくれ』って……」

 

 そこまで言って、酒井は突然誤魔化すように笑った。

 

「あ……アハハ……。何を言っているんでしょうかね……本当に俺は頭がおかしくなっちゃって……初対面の人に……」

「……そうかい」

「こ、ここは喫茶店ですか? よければ支払いをさせて下さい……迷惑されたでしょう? 忘れて下さい……何もかも……ここでの会話は全て忘れて下さい……それが『彼』への、償いなんです……決して消え去ることのない、『罪』に対する贖罪なんです……」

 

 そうして酒井は、酷く病んだ表情のまま、先に支払いを済ませて出て行った。ぼくはその後を追いかけなかった。

 

 ただ、帰宅した後も、彼が言ったことと、彼の中に見たある『ページ』について考えていた。

 

『Twitterのフォロワー達と、次の流行について話し合った。今はAIが流行しているが、次は何だろうと……。そこで「マットマニア兄貴」が面白いことを言った。「ガ板のAA」から「ニコニコのBB」と来たなら、次は「CC」だ。「CC」……キャラクターコピー……つまり、「淫夢」という「キャラクター」が、ミームとなって全人類に感染していくのだと……。SFのような予想で、面白かった。もっとも、単なる言葉遊びではあるが……』

 

「……『キャラクター』の『コピー』……か」

 

 ……覚えは、ある。生きた『キャラクター』というものは、読者に強い影響を残す物だ。『人生を変えられた漫画の名言』なんて本もザラにある。ぼくも漫画を描くときは、読者を殺してやるつもりで、或いは生かしてやるつもりで物語を書いている。

 

 だが……『キャラクター』が、影響の域を超えて、『人間を乗っ取る』なんて事が、あり得たのか。恐らくは、ウイルスの様なもの……情報というウイルスが人間に感染し、人間の情報を乗っ取って、『野獣先輩』になる……。

 

 だからぼくの電話番号も知っていたのだろう。ぼくもまた、野獣先輩に感染していた。後ろの穴を掘られて、顔にかけられていた……この言い方は下品だが、しかし野獣先輩がエイズのように感染する物ならば、ぼくの電話番号を教えたのは、他ならぬぼく自身であったということか。

 

 あの『ミス』も……恐らくは、無意識に野獣先輩を広く感染させようという働き……人間を操る情報ウイルス……恐ろしいことだ。

 

 ――しかし、当のウイルス本人は……野獣先輩は、『忘れて欲しい』と言っていた。

 

 これは、悲しい矛盾だ。生態としては人間に感染するというのに、感染するウイルス自体は、感染を望んでいない。だから『忘れて欲しい』というのは、叫び声なのだろう。世界に対する哀叫……慟哭……際限なく自分を広めながら、自分を殺そうとする矛盾。

 

 ぼくは不思議な感傷に襲われた。ぼくは漫画家として様々なキャラクターを描いているが、そのキャラクター本人は、どんなことを思っているのだろう? 戦わされて、恋愛させられて、殺されて、有名になって、それで……。

 

 ――ぼくはペンを手に取って、漫画を描き始めた。

 

 

 

 

 

「凄いですよ露伴先生ェ~~! この前の『連作短編』、めちゃめちゃ好評ですッ! 単行本になるのはいつですかぁ~~って、編集部に毎日電話が来てますよ!」

「当然だろうッ! この岸辺露伴が描いたんだ。人気にならないはずがないね」

「流石先生ッ! 自意識過剰になりませんね!」

 

 あの事件から数ヶ月後……ぼくは一つの漫画を完結させた。その漫画はとても話題になって、ぼくの名声を更に高めた。

 

 だが……そんな事は、どうでも良いことだ。ぼくはその漫画を確かに描きたくて描いたが、描かねばならないとも思ったのだ。そして、人気にならなければならないとも。

 

「でも、ちょっと変なことがあったんですよねぇ。この漫画、『真夏の夜の恋』ですけど、タイトルと下書きを編集長に見せたら、『本当にこれでいいのか』って言われたんですよ。変ですよね!? 主人公の名前も、『田所から変えた方が』って遠慮がちに言われたんですよ。そんなに強い反対では無くて、反対の理由を聞いたら口ごもったのもまた変ですよねぇ……」

「全くだ。一体、タイトルが『真夏の夜の恋』で、主人公が『田所』、ヒロインが『遠野』、二人は『水泳部』に属している、それの何が悪いというのだろうね?」

「ですよねえッ!? 実際、物語はとても綺麗なラブストーリーで……私、先生がこんな綺麗な物語も描けるんだって、尊敬しちゃいました! あっ、いえ、普段が汚いって訳では無くですね、こうなんというか、少女的だなぁ~~って感じで……」

「いいさ。ネットでも、『いつもの岸辺露伴とは違う』って意見が多かったしね。ぼく自身、普段の少年漫画とは違った雰囲気を目指してみたのさ」

 

 まあ、ネットの意見の中で最も多く占めていたのは、『これ野獣先輩がモデル?』という声だったのだが……連載が進むにつれて、その様な茶化しも無くなった。ぼくが描く漫画の素晴らしさに、そんな声は消えていったのだ。

 

 ――内輪ネタというのは、内輪だから盛り上がるものだ。内輪の事情を知らない人間まで巻き込んでしまえば、内輪は崩壊する。今ではこの漫画を、『淫夢のパクリ』と呼ぶ人間は殆どいない。ぼくの漫画が素晴らしすぎて、淫夢と関連付ける前に、漫画その物の話題になる。

 

 これで少しは、『田所』と淫夢を関連付ける声は減った。『水泳部』で、『遠野』と恋人になる『田所』は、ぼくの漫画のキャラクターになった。

 

 それを計算して、ぼくはこの漫画を描いた。

 

 ……これは、ぼくなりの『謝罪』だ。ぼくは、『彼』を素晴らしいと思ったんだ。世間に誹られ、笑われ、遂には矛盾した在り方になり、世界を憎むようになりながらも……彼は決して、世界を破滅させようとは思わなかった。

 

 彼はただ、『謝罪』を求めていた。その身に受けた仕打ちを考えれば、感染させた人間を破滅させることだって出来ただろうに、彼はただ、『謝って欲しい』と言ったのだ。『自分に謝って欲しい』……それだけを求めていた。

 

 だからぼくは、こう思った。――彼のような人間こそ、『人間の鑑』と言うのだろう。

 

 

 


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