ダンジョンでチートを振るうのは間違っているだろうか 作:投稿不定期侍
更新遅くてごめんなさい!!
「……ぜぇ……ぜぇ……」
数分経過しアーディさんは梅紫色のストレートヘアの女性を連れてきた。彼女が僕の嘘を見破る嘘発見器もとい女神様だろう。なるほど、さすが超越存在と言うべきか恐しいまでの美貌だ。……おっぱいも、うん、デカイ。
神の権能を封じてる間はあまり体力がないのか、アーディさんに手を引かれ走らされて来た女神は肩で息をしながら呼吸を整えている。
巻き込んだ原因が僕側にある為申し訳なく思いつつ、少しばかりの時間お世話になるので、せめてもの礼儀としてお辞儀をする。
「初めまして麗しき女神様、僕はラインハルトです。今回忙しい中お呼びさせて頂いたのは、僕の発言に偽りがあるかを見極めて欲しいからです。もしよろしければ――」
「……はぁ……ふぅ……そういうことなら……わかったわ。協力します」
今のところ暗黒期であることを疑ってしまうくらい運と周りに恵まれている気がする。とりあえず僕のお願いに潔く了承してくれた女神に感謝の意を伝えるために唇を開ける。
「ありがとうございます。えーと、なんとお呼びすれば……」
名前を尋ねれば彼女は僕と同じ濃さの蒼い瞳をパチパチと瞬かせ微笑んだ。
「私はアストレア。秩序と正義を司る女神よ」
「アスッ……トレア様ですか」
まさかダンまちの主要人が目の前に居るとは思わず驚く。
アニメじゃまだ姿が描写されてないから分からなかったけど、そうなのか。
彼女こそリューさんの主神なんだな。
僕の素っ頓狂な反応にアストレア様は首を傾げる。
「あら、私のこと知っていたのかしら」
「いえ、そうではなく畏れ多いですが僕のファミリーネームと同じでしたから……」
「そうなの?」
「はい。改めまして僕はラインハルト・ヴァン・アストレアと申します……あの、不敬じゃなければ今後も、こう名乗るのを許してくれませんか……?」
「もちろんいいわ。……というか嬉しいわね。下界の子供に自分の名前が使われているなんて」
「重ね重ね、感謝致します」
頬を緩ませ言葉通り喜んでいる様子のアストレア様に僕は心の底からホッと安堵する。
拒否られなくて良かった……。
アストレアが付かないラインハルトとか考えられないからな。
「……今更だけど堅苦しいのは慣れないから素に戻すよ。さておきお互いの自己紹介は終わったみたいだし、本題に入らせてもらっていいかな?」
「ええ」
「はい。お待たせしてすみません」
ずっと僕らの会話を聞いていた、何故か急に口調が変えられたアーディさんの言葉に僕とアストレア様は頷く。
これが本来の喋り方なんだろう、彼女の敬語は何処と無くぎこちなく感じてたしな。
ちなみに商人さんはアストレア様に会釈だけ行い、それ以降口を挟むことなく無言を貫いている。
「じゃあまず、――君に神の恩恵は刻まれてる?」
「ありません」
率直な質問に事実だけを告げると、アーディさんはアストレア様に目を向ける。
――、アーディさんと僕、商人さんの六つの視線に貫かれる真実の審判者たる彼女は頭を横に振る。
「彼の言葉に嘘はないわ」
「うん。それだけ分かればもう聞くことは……。あ、そうだ。今の危険なオラリオに来たのはなんでなの? もちろん言いたくなければ答えなくても良いんだけどね! ちょっと気になったんだ」
その唐突な問いに考え込む。
……なにをしに、か。
ベルくんの冒険は見たいけど、原作開始は何年も先の話だ。
であればせっかくダンまちの世界に転生出来たんだし、醍醐味の迷宮に潜るのもありかもしれない。
「アーディ。彼を困らせること言わないの」
「でもアストレア様も実の所は知りたいでしょ?」
「……たしかにそうですが」
そしてなにより胸糞にも破壊者ジャガーノートに壊滅させられたリューさんの所属する『アストレア・ファミリア』の救済をしたい。原作を歪めることになるけど、リューさんの回想シーンで『アストレア・ファミリア』のメンバーが登場したのだが誰もが個性豊かで、それぞれが考える正義がある――そんな彼女等を、まあ端的に言えば好きになり、だから死なせたくない。故に『アストレア・ファミリア』に死を招く原因を作った闇派閥は秘密裏に処分する予定だ。
確か『ルドラ・ファミリア』だったか。覚えとけよ、アニメで鬱攻撃を与えられた怨みを直接返してやるよ。もし修正力が働くようならその都度抗うだけだ。
あとはそうだな。
……リゼロでフェルトの騎士にラインハルトが就いたように誰かに仕えてみるのも良いかも。
ついでに五条悟でお馴染みの最強は孤独ムーブを一度だけしてみたい気持ちもある。
……………………いや、めっちゃあるな!
やりたいことが多すぎて簡潔に纏められない。
前世の記憶や、ここが創作物の世界であることを示唆する単語も話せない。『保険』はあるとはいえ、なるべく嘘を見抜く神の権能に引っ掛からない言葉を脳内に浮かべ口を開く――。
「そうですね。今のオラリオは犯罪が日常化され、平和は程遠い理想へと遂げた。悪という名の流行り病が蔓延し、暮らしている人々は死の恐怖に常々怯えている。まさにダンジョンに負けに劣らない地獄だ」
「……ええ、悲しいことに」
「……だからこの都市で産まれる悲しみと絶望を少しでも多く減らすために。これまで悪党を鎮火してくれた数々の冒険者の努力が報われてほしくて微弱ながら尽力しにきたわけです」
「……なるほどね! イケないことをしちゃう悪い人をお縄につかせる私達を助けに来てくれたってわけでしょ? 嬉しいね、アストレア様!」
「そうね」
――違う、違うんだ。
実際は見知らぬ人が死んだとしても『へー、そうなんだ。ご愁傷さま』程度にしか思わない。ましてや感情を揺さぶれなどしない。
感嘆してくれている彼女らには非常に申し訳ないが、今話したことのほとんどがペテンならぬハッタリだ。
そもそも前世生粋のコミュ障で家族以外とロクに話せない、語彙選びも苦手だった僕に神を誤魔化せるほどのトーク力があるはずないだろ。
なら如何にアストレア様を騙せたか、手口は単純。
アーディさんが神を連れてくるとこの場を離れているうちに絶対に嘘を見破られない『
神に効果があるか、そこだけが唯一の不安要素だったけど、どうやら通用してくれたようだ。大きな博打に勝ち、緊張していた身体から力が解れていく。
もう二度とこんなリスクを負うような賭けはしたくないもんだ。…………フラグじゃないよ。
「よーし。長く付き合ってもらっちゃってごめんね! もうオラリオに入っていいよ。それとハンケルさんには、
「承知しました。……ラインハルトさんとはここでお別れになりますね。今後会う機会があれば、是非ともそのときは我が商会をご贔屓に」
「はい。色々ありがとうございました」
ハンケルという名前の商人さんと別れの挨拶を交わす。
いまや危険地帯のオラリオで襲われないか心配だけど、そこはアーディさんの仲間の実力を信用する事にした。
商人さんが操縦する荷馬車と複数の
「それじゃ私はまだ仕事があるから、アストレア様のことは腕が立つらしい君にお任せしていい? 彼女はこの街の秩序に欠かせない神様だしね、比例して狙われやすいんだ」
「……まったく、あの子達と同じで過保護なんだから。そういうわけだから、お願いするわね」
「頼まれました。……では、いきましょうか」
「バイバイ。また会おうね!」
「はい。また」
そんなこんなで、僕はとうとう『世界の中心』と謳われる地に足を踏み入れた。
展開が遅いよね……。早く戦闘シーンを読みたいひとはもう暫くお待ち頂けると……。
『偽正の加護』
・スキル、魔法、権能により嘘が暴かれなくなるだけ。
顔色や表情、外的要因によっては嘘だとバレることがある。