ゴルゴ13-鉄火激るロアナプラ-   作:範馬勇太郎

17 / 17
PART17『ビッグ・セイフ』

 

 サンクトペテルブルク──ロシア──

 

「バラライカの会計士が死んだか……」

 

 レニングラードという旧体制の名を古都の名に戻してからも、この街はバルト海の玄関口、そしてロシア第二の都市として隆盛を保ってきた。

 当然、裏社会もまた街に根を張っている。

 

 ホテル・モスクワはレニングラード支部を預かるアンドレイ・イヴァニーコフは、前職──国家保安委員会(KGB)時代からの部下からそのような報告を受けていた。

 

「それで、“あちら”の金の流れはどうなった?」

 

 そして一番の関心事を尋ねる。

 部下は淀み無く応えた。

 

「内通者によればエストニアからの送金が途絶えており、今後の資金繰りは厳しい見通しのようです。例の資金は完全に凍結されたと見て間違いないかと」 

「タイ支部はこちらの動きに勘付いた様子はないか?」

「ありません。本部に在籍する同志からもそのような様子は無いと報告を受けています」

「そうか……だが、大統領選が終わるまで油断はするな」

 

 はい、と最低限の返事を返し、部下の男はオフィスから退室した。

 一人となったオフィス。

 イヴァニーコフはギシリと椅子を軋ませながら天井を見つめ、呟いた。

 

「流石だ、ゴルゴ13」

 

 彼は依頼を出した時──世界最高のプロとの邂逅を思い出していた。

 

 

 

 

 

 トウキョウ──ジャパン──

 

 新宿歌舞伎町という街が内包する混沌(カオス)は一言では語れない。

 地元のヤクザ者を始め、福建マフィアを中心とした中国マフィア、彼らのシマを奪うように進出してきたロシアン・マフィア、不法滞在を斡旋するフィリピン人ブローカー組織、おまけに違法薬物や偽造テレカを市民に売りつけるイラン人。

 治安そのものに関しては極悪都市ロアナプラと比較にならないほど安全ではあるが(ロアナプラのように往来を歩いていたらいきなり銃撃されるような事態は発生しない)、それでも国際色豊かな無法者達がひしめき合い、住民の治安を脅かし続けている。

 行政はこの惨状に大した打ち手を打たず、司法もまたそれに引きずられるように根本的な治安対策を打てずにいた。

 

 この街が幾分か浄化されるには、裏社会の利権に切り込む力強い都知事の登場を待たねばならなかった。

 

「……わざわざヤクザの企業舎弟に偽装してまで、ロシアン・マフィアが一体何の依頼だ?」

 

 歌舞伎町にいくつもある雑居ビル。登記上賃借契約が結ばれている部屋でも、実態は反社組織が特殊詐欺などで使用する為に空き部屋と化している場所が多い。

 関東和平会の末席に名を連ねる中小暴力団が借りているこの部屋もまた同様であり、がらんどうの部屋の表札には“一ツ橋インターナショナル商会”と記されていた。

 

「ミスター・デューク・トウゴウ、まずこちらの素性を偽装したことを謝ろう。だが、これから依頼する内容は標的(ターゲット)はもちろん、誰にも、どの組織にも……たとえ組織(ホテル・モスクワ)の同志達にも知られるわけにはいかなかったのだ」

 

 約束の時間ちょうどに現れたゴルゴ13に、アンドレイ・イヴァニーコフは開口一番そう釈明した。

 

 関東和平会に所属する暴力団は表向きは共助共生の関係ではあったが、水面下では互いの利権を虎視眈々と狙う間柄。これはどこの世界でも同じなのだろう。なにせ、兄弟盃を交わした組織ですら難癖をつけて完全支配化に置こうとした程だ。

 故に、新宿に橋頭保を築きたい外国組織に便宜を図ろうとする者がいてもおかしくはない。

 無論、イヴァニーコフは便宜を図ったヤクザ者、そしてホテル・モスクワ日本支部の同胞達ですら欺くべく己の素性の何もかもを偽装していた。この辺りの手腕をみるに、彼の元KGBという肩書は伊達ではなかったのだろう。

 

 イヴァニーコフは部下は連れていない。ただ一人でこの場に赴いていた。

 硬い表情を浮かべながら続ける。

 

「もしこれが貴方の(ルール)に背き、有罪(ギルティ)というのなら……それは覚悟の上だ」

 

 事情があろうがなかろうが、ゴルゴ13は依頼人の嘘を好まない。

 場合によってはそれは死という制裁を科されるほど。

 

「……」

 

 おもむろに、ゴルゴ13は懐へと手を入れた。

 駄目か。

 イヴァニーコフは瞬時に己の命運が尽きた事を悟り、目を瞑る。

 

 だが、聞こえてきたのはフリップライターのカムキャップから鳴る甲高い音だけだった。

 

「もうこうして会っている……用件を聞こう……」

 

 紫煙を吐き出しながらそう言ったゴルゴ13。

 依頼人の覚悟を汲んだのか。それとも、何かしらの理由があっての事なのか。

 彼の(ルール)を推し量れるものはいない。

 

「ありがとう、ミスター・トウゴウ。私はホテル・モスクワ、レニングラード支部の頭目アンドレイ・イヴァニーコフ。貴方にしか頼めない依頼……とある人物の狙撃(シュート)を依頼したい」

 

 それから、イヴァニーコフは依頼の背景を説明し始めた。

 といっても、ゴルゴ13は突発的、偶発的な依頼以外は事前に依頼人の観察、調査を終えている。本来は長々とした説明は不要だ。

 しかし、依頼人本人の口から事情を説明させる事は、事前の調査では計れない依頼人の覚悟や誠意を確かめるという意味があった。

 これも、ゴルゴ13の(ルール)のひとつである。

 

「近々予定されている我が国の……ロシアの大統領選は、存じているだろうが現職大統領が極めて不利な状況だ。しかし、我々としては現職に再選してもらう必要がある」

 

 イヴァニーコフが語った通り、ロシア連邦史上二度目の大統領選挙は混沌とした様相を呈していた。

 先の下院選挙では左派政党が第一党に躍り出ており、現職大統領の対立候補である左派政党党首の勢いは凄まじかった。このままでは現職が敗北しかねないほど、ロシアの民意は現政権から離れていた。

 

 とはいえ、現職はメディアコントロールを駆使し自陣営が有利になるよう偏向的な報道を繰り返させており、各地の有力者には飴と鞭を用いた現職への投票圧力を強めつつ、更にダメ押しと言わんばかりにアメリカから選挙戦のプロを招聘するなど、金と権力にモノを言わせた選挙戦を展開している。

 札ビラと脅迫を用いた殴り合いに持ち込めば、余程民度が高い国家でなければ大抵は持たざる者が敗北するのが道理なのだ。

 

 しかし、その有利すら失われかねない事態が発生した。

 

「対立候補は“ある資金”を得る事で盤面を引っ繰り返そうとしている。その資金が」

「旧共産党資金、か」

 

 ゴルゴ13の言葉に、イヴァニーコフは僅かに眉根を寄せた。

 

「……旧共産党の秘匿資金は政府高官でも知る者は少ないのだが」

「俺がどんな情報源(ソース)を持っているのか、あんたには関係ないことだ。話を続けてもらおう……」

 

 さもありなん。

 この男は裏の世界、それもかなりの深度にその身を置き続けている。

 歴代KGB議長ですら知りえない国家機密を知っていてもおかしくはない。

 イヴァニーコフは続ける。

 

「ソビエト連邦が崩壊し、旧共産党の数百億ドルにも及ぶ巨額資金もまた闇に消えた……だが、その一部を管理する者が、ロアナプラ、それもホテル・モスクワのタイ支部にいる事が判明したのだ。そして、その管理者が現職ではなく対立候補のシンパなのは、既に少なくない金が()()()へ流れている事実が証明している」

 

 計画経済を主導したソビエト連邦共産党は、事実上国家の資産を党の資産として扱っていた。その豊富な資金力を背景に米国との覇権を争っていたのだが、結局はその経済モデルは破綻し、ソビエトの終焉へと繋がっている。

 ソ連崩壊に伴う経済的な混乱により、共産党が管理していた資金の殆どが“行方不明”となっていた。

 

「だがその管理者が誰なのかは、これ以上調べることはできなかった……依頼内容は、天秤が傾く前にその”大きな金庫(ビッグ・セイフ)“の管理者を消去して欲しいのだ」

 

 その闇の資金が表に出ようとしている。それも、大統領陣営が望まない形で。

 それを阻止するための依頼。

 

「……その金は、()()()()にとっても重要じゃないのか?」

「金の由来が由来だ。現職であれ対立候補であれ、我が国がそれを占有しようものなら、旧ソ連構成国が黙ってはいないだろう。彼らにも“遺産相続”の権利があるからな。特にウクライナやバルト諸国の機嫌を損ねるのは、“我々のビジネス”に支障が出てしまう。ならば、いっそのことそのまま闇へ葬った方が良い」

 

 ゴルゴ13の疑問に、イヴァニーコフは淀みなく応えた。

 彼は補足するように続ける。

 

「加えて、我々が行うビジネスは旧共産党資金に手をつけるよりも()()()()、そしてそれ以上に稼ぐ事ができる。なにせ我がロシアには、全ヨーロッパの需要を満たす莫大なエネルギー資源が眠っているのだから、な」

 

 ロシア全土に眠る豊富な地下資源。それはソ連時代から続くロシアの重要な外貨獲得手段だ。

 1960年代にウクライナ領内を経て欧州各国へ向けて敷設された天然ガスパイプラインは、ソ連崩壊後も各国へロシア産のガスを供給し続けており、環境問題が叫ばれる昨今、原油資源よりも環境負荷が少ないとされる天然ガスは増々その需要を高めている。

 更にバルト海に海底パイプラインを敷設し、ドイツに直接ガスを供給する計画も立ち上がっており、これが実現すれば欧州の需要を一手に引き受ける莫大な利権になる。

 そのパイプラインの起点はイヴァニーコフの縄張りであるレニングラード州であり、彼が率いるレニングラード支部はそう遠くない内にホテル・モスクワ一番の稼ぎ頭になるだろう。

 

 ソ連崩壊後のロシアはそこら中に儲け話が転がっているのだ。もっとも、それはロシア国民の豊かさに直結するものとは限らないが。

 

「だからこそ、今はその金が表に、対立候補へ流れるのはまずいのだ。標的はソ連崩壊以前から旧共産党の資金管理を秘密裏に行っている。今も、あのアフガンツィに気付かれないようにして。そして、我々がタイ支部……ロアナプラに乗り込んでその資金管理者を見つけ出し、消すことは困難なのだ」

 

 当然、イヴァニーコフはこの問題を自前の武力で対処しようとした。が、タイ支部はイヴァニーコフをはじめとした元KGB構成員を目の敵にするあのバラライカの牙城。

 例え自分の部下が隠れてアルバイト(この場合は本業を隠しているとも言えた)に勤しんでいたとしても、彼女は元KGBに己の縄張りを荒らされる事は決して許しはしない。

 加えて、ロアナプラという魔都は例え大国の情報機関ですら碌な諜報活動が出来ないほど、その魔境ぶりを発揮し続けている。

 だからこそ、ゴルゴ13という最終手段(切り札)

 

「大統領選が終わるまで時間が無い。標的を今、確実に捉える為に、標的の偽装も行う必要がある」

 

 それから、イヴァニーコフは一枚の写真を差し出した。

 ゴルゴ13の“習性”をよく理解しているので、その動作は極めてゆっくりとしたものだった。

 

「……偽装をバラライカに指定する理由は?」

 

 受け取った写真に写るのは火傷顔の戦乙女の姿。

 己の力では達成困難な依頼とはいえ、イヴァニーコフはその全てを丸投げするつもりは無かった。

 

「これは心理戦でもあるのだ。そこらの殺し屋がバラライカを狙っているのならば、標的は普段と変わらず、粛々と送金手続きを進めるだろう。しかし自分のボスが超A級のスナイパーに狙われているとなれば……」

 

 この手の駆け引きは元KGBならではといったところか。

 標的に心理的な動揺を与え、その秘匿性を損なわせる。

 いわば、あぶり出しだ。それも、短期間で絶大な効果を見込める程の。

 そして、それはゴルゴ13というネームバリューがあるからこそ成立する。

 

「もちろん、彼女は我がホテル・モスクワにとって必要不可欠な存在であり、大頭目のお気に入りでもある。本当にバラライカを標的にするわけにはいかない。まことに心苦しいが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、ということにして欲しいのだ。難しい注文に加え、貴方の名声に傷がつくことにもなるが……」

 

 無論、バラライカを始めとしたロアナプラの悪党共は陰謀に対し異常なまでに察しが良い。彼等の前ではこの建前は程なく看破されるだろう。

 しかし、建前を建前のままにする程の狡猾さも備えている。

 バラライカをはじめとしたロアナプラの巨頭達が、下手にゴルゴ13の仕事の裏を探る程愚かではない事をイヴァニーコフは知っていた。

 

「俺の評価に対する気遣いは無用だ」

 

 ゴルゴ13は短く応えた。

 その表情は機械のようであり、その心情は推し量れない。

 イヴァニーコフはその返答を依頼の受諾と受け取ったのか、やや高揚とした調子で言った。

 

「我々裏稼業の利益は表の経済規模に比例する。だから、生まれ変わったロシアは今の大統領が進める資本主義経済を維持しなければならないのだ。対立候補の当選は絶対に阻止せねば──」

「それがあんたの本当の雇い主──新興財閥(オリガルヒ)の意向か」

 

 イヴァニーコフの表情は凍り付いた。

 先ほどの死を覚悟した胆力はどこへいったのか、今まで見せたことのない動揺を露わにする。

 

「な、なぜそれを……ッ」

「……旧KGBのみならず、旧共産党高級党員(ノーメンクラトゥーラ)さえも取り込んでいるホテル・モスクワが、現職大統領にそこまで肩入れする理由は無い。政権がどちらに転ぼうが今まで通り()()コネクションは残せる」

 

 ホテル・モスクワは麻薬や武器の密売、売春のみならず、官公庁を相手にした各種利権に食い込む等、手広くそのビジネス(犯罪)を展開している。

 そしてそれは旧ソ連時代末期から始まっているので、言い換えれば政体がどう変わろうが彼らにとってそれほど重要な事態ではない。今この局面で、片方の陣営を敵に回すリスクは負わないのだ。

 

「サンクトペテルブルクはオリガルヒのエネルギー分野における本拠地だ……オリガルヒもホテル・モスクワと同じように旧ソ連残党を取り込んで勢力を広げている。元KGBのあんたも例外じゃああるまい……」

 

 更に、ゴルゴ13は事前の調査に基づいた指摘──イヴァニーコフの正体を含め、依頼の隠された背景を看破し続ける。

 ロシア新興財閥は主にエネルギー分野に於いて急成長しており、国家の基幹産業といっても差し支えない規模になりつつある。

 ロシアに於いて、これが純粋な経済活動による成長ではない事は言うまでもない。

 

「対立候補は大統領とオリガルヒの癒着を指摘し、腐敗を正す名目で選挙戦を進めている。加えて、オリガルヒをロシア市場から排除する為に欧米資本との結び付きを強めようとしている……()()()()が焦る理由としては十分だろうな……」

 

 核心を突いたゴルゴ13に、イヴァニーコフはまともに言葉を返す事ができない。

 かろうじて口を開く。

 

「い、今の私は、正真正銘ホテル・モスクワの頭目だ」

 

 自身の身分偽装は完璧だった。それこそ、KGB時代──ソ連崩壊時からの積み重ねた擬態。

 ホテル・モスクワの大頭目ですら、イヴァニーコフの真実は見抜けていない。

 だからこその動揺。今度こそ、イヴァニーコフは“有罪(ギルティ)”を覚悟した。

 依頼人の嘘を、ゴルゴ13は許さない。

 

「あんたがホテル・モスクワで行っている身分偽装(カバー)は俺には関係ない。組織内外の勢力争い(パワーゲーム)も、な……」

 

 だが、ゴルゴ13はイヴァニーコフへ制裁を科さなかった。

 その理由は不明。

 とはいえ、何事も例外は存在する。あるCIA局員などは、自身の身分を退職済と偽って依頼を出していたが、特にそれについてのペナルティは発生していない。

 ゴルゴ13との個人的な関係が考慮された可能性はあるが、とはいえゴルゴ13が己の(ルール)をその程度で捻じ曲げるかと言われれば疑問である。

 

 ひとつだけ言えるのは、ゴルゴ13は既存世界のルールの外側にいる存在だという事だけだった。

 

「……頼む、ミスター・トウゴウ。情けない話だが、我々がどれだけロシアで力を誇っても、あの分厚いヴェールがかかった街……ロアナプラでは無力なのだ。この難しい依頼は、貴方にしか頼めない」

 

 優秀な狙撃手、諜報に長けた者、どのような悲惨な状況でも生き延びる事が可能で、強烈な拷問を受けても決して口を割らない者。

 どれかひとつに秀でた者は己の子飼いにもいる。しかし、全てを兼ね備えた者はそういない。

 魑魅魍魎が跋扈するロアナプラという魔境。

 そこで不確定の標的を突き止めて、こちらのリクエストに確実に応える形で狙撃(スナイプ)を果たせるプロ中のプロは、目の前のゴルゴ13以外いないのだ。

 

 イヴァニーコフは力なくそう言った。

 己の心境をそのまま吐露する事でしか、この場での誠意を示す事が出来なかった。

 

「……スイス銀行の口座に入金が確認され次第取り掛かろう」

「おお!」

 

 誠意が通じたのか。

 ゴルゴ13は依頼を受諾した。

 

「ありがとう、ゴル──いや、ミスター・デューク・トウゴウ……!」

 

 早々に立ち去るゴルゴ13の後ろ姿に、イヴァニーコフは改めて感謝の意を表していた。

 

 

 

 

 

 無事依頼を果した後、イヴァニーコフはKGB時代のネットワークを駆使し、多方面にゴルゴ13の標的がバラライカである事をそれとなく流した。

 その効果は目論見通り。

 焦った標的は予定外の送金をインターネットを介して行い、イヴァニーコフが敷いた網に引っ掛かった。

 

 その後の顛末は、彼が望む通りの結末だった。

 この狙撃の真相は決して明らかにならないだろう。

 ゴルゴ13は、完璧な仕事を果していた。

 

「とにかく、これで旧共産党資金については片が付いた。これも全て、()()()()のおかげとでも言うべきか」

 

 そう言いながら、イヴァニーコフはおもむろに受話器を手にした。

 KGBで国家に忠を尽くしていたイヴァニーコフ。

 そして、ホテル・モスクワの頭目に擬態するオリガルヒの走狗であるイヴァニーコフ。

 だが、彼が真に同志と認める相手は、ホテル・モスクワの大頭目、ましてや新興財閥の経営者達ではない。

 

 イヴァニーコフが電話をかけた先。

 秘匿回線を通して繋がった先は、モスクワ──クレムリンだった。

 

「イヴァニーコフです。はい、ゴルゴ13は依頼を完璧に遂行しました。対立候補の資金は完全に凍結されております……ええ、もちろん、まだ油断はできません。ですが、これで現職の再選に目が出てきました。貴方の助言(プロット)のおかげでね……ええ、分かっております。オリガルヒやホテル・モスクワ、そしてゴルゴ13にも、貴方の存在は全く漏れていません。もっとも、貴方はただ助言をしただけですから、もしゴルゴ13が貴方の存在に気付いていたとしても、彼の法には抵触しますまい」

 

 詭弁だろうか。しかし、真実でもある。

 難局を前に“Gのカード”を切るように助言したのは事実。これがゴルゴ13の法に触れるとしたら、そもそも彼を紹介した者が全て殺される羽目になるので、ゴルゴ13の仕事が成立しない。

 

 それに、如何にゴルゴ13と言えど、彼を消去(デリート)するにはかなりの困難を伴うはずだ。

 イヴァニーコフは独り言ちるように思考を巡らせる。

 

 KGBにいた頃から感じてはいたが、彼は政界に進出してからも底が知れない。

 氷のように冷静でありながら、虎のような獰猛さを備える、彼の秀でた才覚。今は大統領府の総務局次長でしかないが、いずれはこの国の──。

 

 そうなったら、我がロシアは失った覇権を再び取り戻すことが出来るのだろうか。

 それとも、帝政ロシアやソビエト連邦の終焉が如く、三度(みたび)ロシアに破滅をもたらすのだろうか。

 

 今はまだ分からない。

 彼が権力に近付くほど、その答えは見えてくるのだろうか。

 ひとつだけ分かるのは、それを特等席で見続けるには、より一層の努力が必要だという事だけだ。

 

 さて、忙しくなるが楽しみでもある。まあ、あの戦争中毒(ウォー・モンガー)のアフガンツィにこれは分かるまい。

 

 表と裏の凄絶な権力闘争(パワーゲーム)

 眩しい光と暗い闇が混在するこの世界に身を投じる自分は、世界一の不幸者か。

 あるいは、世界一の幸福者か。

 

 バラライカよ。

 ソーフィヤ・イリーノスカヤ・パブロヴナよ。

 貴様には──いや、あのロアナプラに棲まう全ての悪党には、この妙味は絶対に分からないだろう。

 教えてやるつもりはないし、この楽しみを分けてやるつもりもない。

 

「では、大統領選後にまた……同志ウラジーミロヴィチ」

 

 

 この世には鉄火場に身を置くことよりも、もっと(たぎ)る悪徳があるのだ。

 

 

 

 

 

 

 1996年に行われたロシア大統領選挙は、第一回投票では過半数を獲得する候補がおらず、約35%を得票した現職大統領と約32%を得票した下院第一党党首の決戦投票にもつれ込んだ。

 強引なメディアコントロールや各方面への買収工作等、大統領陣営のなりふり構わない選挙戦は新興財閥の多大な支援の元で行われており、結果として約53%を得票した現職大統領が辛くも勝利を収めた。

 

 再選した大統領は金融支援や国営企業譲渡等、引き続き新興財閥を優遇した政策を推し進めており、新興財閥は政商としてロシア政府内における一大派閥を形成する事となる──

 

 

 

 

 ゴルゴ13-鉄火激るロアナプラ-

 完

 

 

 

 

 

 

 




あちき頭悪いから政治の話全然わかんない。おのが唯一理解できるのは、やっぱロベガル純愛濃厚傷舐め合い共依存おねショタ主従ックスがナンバーワン!(カマラサ隊長に脳を灼かれるガルシアくんを眺めながら)

以下ぶち込みたかったけど無理だったやつ
・景山部長
・アルフレード
・レガーチ
・竹中
・チャカさん※故人
・トー・チー
・ブレン
・フィラーノ
・馬上校
・柳中将
・葉煐少尉
・イザック
・イザックの店にいた収穫者さんみたいな用心棒(本人か?)
・中指ちゃん
・エリンケ
・アンバー
・ガンマー
・元サウジの富豪
・バニー
・ジェシカ
・ジャクリーンくんちゃん
・ニャン
・キャサリン
・陸韜
・甲賀デスシャドー流グレーターニンジャ
・まつざか先生みたいなロベルタ
・ヒューム卿
・マンディ
・村本記者
・塚山代議士
・黒井長老
・フェイス
・藤堂
・ウノ
・山岸常務
・ライリー
・スミルノフ※武器屋の方
・相川代議士
・ザビーヌ兄弟
・アッシュ
・リンダ嬢
・ノイマン夫人
・ピルゼンスキー書記官
・燐隊長
・クーンツ※ゴルゴファンボーイ
・梶本記者
・深沢記者
・韮澤刑事
・実雲老師
・イヴァノバ
・ファネットちゃん※まだ生まれてない
・引っ込みつかなくなって撃ち殺されたナチハンター所長のカキタレ
・社会カオス理論で自爆した淫乱博士
・無人ステルス戦闘機で付け狙うメンヘラ女
・ドールオタ大臣
・切手集めてるガキ
・標本集めてるエロガキ
・ハッカーのガキ(デバッグ)
・ハッカーのガキ(ファイアレス)
・ハッカーのガキ(爆弾魔)
・ハッカーのガキ(殺人マニュアル)
・ギランバレー症候群
・スペツナズナイフ
・スコップ
・ハンコ
・アファトのダサいポーズ
・セックス中に何故か死体と同じ色になるゴルゴ
・見ろ…レスボスの女(レスビアン)が潜在的に恐れているROD(男根)だ…
・牛乳
・養命酒
・キャラメルコーンチョコレート味
・たびレジ※女にフラれるやつ
・ふふふ…森の精霊ニオコマドが現れた、というわけか!
・ふふふ…逃げウマ娘ツインターボが現れた、というわけか!
・ふふふ…エロ同人の顔役竿役おじさんが現れた、というわけね!
・さあ…ここでお別れだニオコマド。この森で達者で暮らせよ
・ところでニオコマドってよく見ると柳月の防風林に似てるね!(北海道ローカルネタ)
・ジャングル背景素材
・クオモだモ?
・「全員Dカップ以上」「なんかいける気がしてきた!」
・ドラゴンカーセックスも十年後には一般性癖※荒木様曰く2014年6月頃のコラ
・おにぎりダブルアップチャンス!※デンマーク名物おにぎり
・「目は2です。レイプから恋が始まりました」「ちょっと待てモロー」
・隣の人、オナニー止めてください
・そもそも人と獣人が共生なんて不可能じゃ
・俺の単行本なんで小学館じゃなくてリイド社から出てるの?
・ゴッド・ブレス・ユー♥※cv.舘ひろし
・マジで!?アナル・スレイヴ・ナイツの作者さん!?(5年くらいエタってますよね?)
・「確認は結構、貴方の本なら即買いですよ!貴方程の人ならば無粋な展開は描かないはず。例えばショタが友達呼んでおね輪姦!なんてゴミ展開とかね。それじゃ!」「…………」
・ペシャンコになった陽気な狙撃者と一緒に帰ってくるゴルゴ
・ほんとに24時間以内に届けてくれるとは思ってなかったゴルゴ
・エレベーターのドアに挟まれるゴルゴ
・「初めましてミスター・東郷。滞在中のお世話をさせていただきます西住しほと申します」
・のじゃ口調ロリお嬢様大好き会会長フーバー(グループメンバー3000人)「バイなのじゃ!」
・ワキガ系お嬢様ファンクラブ創設者キニスキー(グループメンバー700人)「楽しくワキガ談義できる人間もクラブ内にはもうほとんどおらん」
・汚男に犯され願望持ちお嬢様愛好会幹部ヒューム(グループメンバー2500人)「汚れてこそ美しさは引き立つ」
・四肢欠損お嬢様好きチェンソーのオマイリイ(1人)「申し訳ない、次はもっとうまくやります」
・日本極道史昭和編
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

フリュネを起こさないでやってくれ、死ぬほど疲れてる(作者:色々残念)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

現代日本から生まれ変わり、ドラゴンクエストモンスターズの世界でモンスターマスター兼波紋使いとなって、ポケットモンスターの世界で波導使いにもなった波紋と波導の使い手が、新たに生まれ変わったダンまち世界で生きていく話▼ちなみに今生ではフリュネが幼馴染みであったりする


総合評価:4173/評価:8.37/短編:10話/更新日時:2026年01月01日(木) 22:07 小説情報

悪徳の都に浸かる(作者:晃甫)(原作:BLACK LAGOON)

 何の因果か二度目の生を受けた男。▼ 立っていたその場所は、世界屈指の悪の都だった。▼ 輪廻転生モノ、若干の勘違い成分含。


総合評価:57579/評価:8.9/連載:55話/更新日時:2020年11月30日(月) 23:30 小説情報

某魔法界でFateを布教する奴(作者:爆裂ハンター)(原作:ハリー・ポッター)

【簡易的なあらすじ】▼ビンボー気味な主人公(♂)が金稼ぎのためにFateシリーズを小説という形で執筆する話。▼なお、その小説は後々魔法界に多大なる影響を与えるとか。


総合評価:20188/評価:8.39/連載:9話/更新日時:2026年02月19日(木) 12:01 小説情報

七崩賢『強欲の魔女』エキドナ(偽物)(作者:魔女の茶会のお茶汲み係)(原作:葬送のフリーレン)

 フリーレン世界にエキドナ憑依系TS転生者をぶち込んで、ただただエキドナロールプレイさせるだけの愉快なお話。▼「ボクはただ、君の全てを知りたいだけさ」▼ なおスペックは、種族が魔族になった以外まんまエキドナと同程度の力を扱えるが、頭が少しばかり残念になってます。▼「お前はその好奇心を満たすためにどれだけの人間を殺したんだ」▼ ちなこの転生者は人殺したことはあ…


総合評価:4731/評価:8.37/連載:2話/更新日時:2026年04月05日(日) 22:18 小説情報

最低系チート禪院扇(作者:田所1919810級術師)(原作:呪術廻戦)

【概要】▼ 禪院扇とは、呪術高等専門学校東京校に通う禪院真希と京都校に通う真依の父親。また、呪術界御三家の一角『禪院家』第26代目当主禪院直毘人の弟にあたる。▼ また、現状登場する中で最年長の特級術師である。▼                      ピ〇シブ百科事典より抜粋▼


総合評価:13194/評価:8.8/連載:5話/更新日時:2026年02月26日(木) 01:15 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>