シャカール⇆ファイトレ…ファインモーション こんなのね 作:ふぁらんどーる
あの世界のアイルランド王国ってなんなんだろう
カトリック信仰してるんだろうけども
どんな血統の王族なんだろう
個人的にはクロムウェルの時に大陸に残っていた親アイルランドのアイルランド貴族の血筋を持ってる貴族が対英制作でカトリック系の王国から送り込まれて、反乱成功、以後アイルランド王国を名乗る
とか妄想してます
華奢な女性の体温を背中に感じる。
もう少女とは言えなくなってしまったが学生の頃とその背丈は変わらない。
168cmと女性にしては長身。
だが線が細いからか千鳥足の俺でも充分におんぶできる。
「…んんぅ、飲み過ぎた。ロジカルじゃねぇ。」
「本当に珍しいなシャカール。」
おぶられそう独り言るシャカール。
ハローさんがさり二人きりになって飲み直したのだが、彼女にしては珍しく許容値ぎりぎりまで飲んでしまい、俺がおんぶする羽目になってしまった。
普段とは違うかわいい彼女が見れた反面、すこしばかり心配になってしまう。
「なぁ…?一つ聞いてもいいか?」
ふと彼女が俺の耳元で囁いた。
「お前はオレの事をどう思ってるんだよ?」
なんだか危うい雰囲気で。
「え?」
「お前が本当に好きなヤツは誰なのか知ってる…。」
彼女の放った一言に心臓を打たれた感覚がした。
「おいおい…?どうした急に?お前の事が好きじゃなかったら給料3ヶ月分の指輪なんか送らないだろ?さっきのハローさんの件で怒ってるのか?悪かったって本当に。」
すぐさまそう言い謝る俺。
でも、シャカールの危うい独白は止まらなかった
「解ってるんだよ。本当はアイツが好きだったって…でもアイツがいなくなって…オレとお前の二人になって、最初は正直つまらなかった。だけど、アイツ抜きでのお前と二人だけってのも悪くないなって思えてきて…それでこうなった。」
酔っている割に…いや、酔っ払っているからこそ彼女の小さな口は饒舌に動く。
「正直、嬉しかった。だけどよ…どうしても不安になっちまう…。"オレ"がそうであるように、お前だって本当は…」
「シャカール…それ以上はやめよう。」
俺は彼女の言葉を無理やり止める。
でないとズルズルと続いてしまいそうだったから。
「シャカール。俺はキミがキミがエアシャカールだから一緒にいたいと思ったんだ。ファインの事は関係ない…彼女の事は愛おしいけど、あくまで教え子としてだ。それに、もうファインは思い出になってしまったよ。」
「思い出?」
「あぁ、だから安心してほしい。俺の手を取ってくれた事はキミにとっては妥協的産物なのかもしれないが、俺にとってはシャカール、キミしかありえない。」
「…なっ妥協なんかじゃっねぇっ!」
妥協。
「変な事言うんじゃねぇよ…。」
俺がその二文字を言った瞬間。
さっきまでの危うさが吹き飛んだかのような大声を上げた。
「なら、良かった。」
真夜中の繁華街。
周りの視線が一瞬、俺達二人に振り注ぐ。
「大声出して悪かった。その不安になっちまったんだ。やっぱりオレなんかよりもああいう女っぽい方が好みなんじゃないかって。アイツもそんな感じだったから。」
シャカールの俺の首へ回された腕の力が強まった。
「今日の事は本当にごめん…でも、インチキ神父の前で言ったろ?もうシャカールしか見えてないって。」
「はっ…調子のんなよ。ふんっ!」
「イテッ!!」
彼女は一言そう言って俺の首にかみついた。
………
続いてのニュースです。
かつて日本トレセン学園に在籍し、現役時は秋華賞やエリザベス女王杯など多数の重賞レースにて勝利を収めたウマ娘。
アイルランド第二王女のファインモーション殿下が姉の第一王女と共に日愛両国の親善外遊の為来日する事が発表されました。
ファインモーション第二王女は今年初め、遺伝子的に受胎する事が極めて困難とアイルランド王室から発表されて以来、始めて国家行事に出席するという事です。
その為か、アイルランド、日本、また隣国イギリスなどからの関心が高まっています。
詳しい日程等は不明ですがファインモーション第二王女は、今月開催予定のエリザベス女王杯に記念ゲストとして招待されており同レースのメモリアルイベントに出席される見込みです。
次に為替と株の値動きです。
今朝の東京証券取引所は前日に引き続き、堅調に…
………
「ねぇ、どちらが良いかしら?」
「はぁ、殿下ならどちらでもお似合いかと思いますが。」
「もーう、そういう事を聞いてるんじゃありません。」
「ご機嫌ですね殿下?」
「それはそうです。だって久し振りの日本ですもの。というより、日本どころかお外へ行くのもこのところあまりなかったですから。で、どちらが似合うと思うかしら?」
ドレスを2着手に持ち姿写しの前で品定めを行うファインモーション。
その2つはどれもカラフルで可愛らしい装飾が施されていて、一般人が想像するいかにも王族といった雰囲気とはすこし違った。
まるでまだ幼い少女が、晴れの日に着ていく様なあどけなさが残っている。
「殿下、あくまでも公務で行くのですからそれに相応しい格好が良いかと。私の私見ですが…。」
それを傍らで見守る黒衣を纏ったウマ娘、SP隊長はそんな彼女に危うさを感じた。
鼻歌交じりに服を選別するその様は一見微笑ましい。
しかし、その姿は一国の王女ではなくまるで女学生。
無論ファインの齢は二十を超えて既に数年。
しかし、今の姿はかつて日本で過ごしていた、王女ではない事を許されたファインの僅かな時間に重ねって見えたのだ。
ねぇ?どちらが似合うかしら?
そうですね。…そちらの方がトレーナー様好みかと思います。
ふふっ、ありがとう。ではこちらを着ていくわ。
かつて、そのようなやり取りはファインと隊長との間で幾度となくあった。
だが…今は…
「殿下、お言葉ですが日本へは休暇を取りに行くのではありません。」
「…。」
隊長の放ったその諫言にファインの浮足立った雰囲気は霧散した。
「…解っています。」
一瞬の沈黙の後、その鹿毛色の耳を絞ると横目で隊長をねめつける。
いや実際にはファインモーションの目は依然として柔和な雰囲気を醸し出してはいた。
だが、spという職業上、隊長はそう言った気配に敏感である。
だから、横目で微笑むファインモーションがその実、明確なる失意と苛立ちを自身に照射しているのだという事が理解できてしまった。
付き合いの長い隊長は自らの失言を後悔する。
「でも、良いじゃない。日本にいる間は夫からも離れられます。そんなの私にとっては休暇と同じです。」
柔らかな語気で、されど、淡々と第二王女ファインモーションは言葉を続ける。
「私にとってこの地に君臨し、首脳部の推薦する彼の国の貴族と籍を入れる事が最大の公務です。ですから、休暇と同じ…同じなの。だから良いでしょう?滞在はたったの一週間。エリザベス女王杯の前日に入国して、次のマイルCSの時にはもういないの…。だから、許して…ね?隊長?駄目かしら?」
「…殿下?」
眼前に佇むのは王女か少女か、隊長にはそれが解らなくなる。
「しかし、殿下、例え日本に行かれたとしても既に彼は…。」
彼。
その代名詞を聞いた途端、ファインの絞られた耳はくるりと元の形に変容した。
「どうして、そこでトレーナーが出てくるのかしら?既にって…?彼に何かあったのかしら。」
隊長は彼としか言ってない。
しかし、この場で二人の間でその代名詞が誰を差すのかは明白だった。
「彼に何かあったとして、どうして隊長、貴女がしっているのかしら?」
「いえ、ただ…」
「もしかして心配しているのかしら?私があのヒトのところへ行ってしまうのではないかって?」
ファインモーション第二王女は嗤う。
「なら、安心して、私とあのヒトの間にはもう何もありません。あるのはささやかな約束と思い出だけ…案外心配性なのね隊長って?」
「御身をお守りする立場ですので。」
「ふふっ…ありがとう。ところでドレスの件なのだけど…。」
職務上身につけたポーカーフェイスでなんとか誤魔化すsp隊長。
(やはり、言えないあの事は…。)
だが、平静に装おった彼女の顔。
その裏で、隊長の心拍は今日最大の高鳴りを更新し続けた。