どうもです。
大変お待たせしました。
リアルでどちゃくそ忙しくて執筆時間が取れなかったり、メンタルとモチベがガタ下がりしてして遅れました。
二学期が始まり一週間、スターリーに新しいメンバーが加わり、楽しい時間が過ごしている中、結束バンドのメンバーの夢も近づきずつある。最初は皆んなからちやほやされたくてギターを始め、ギタリストとして結束バンドを最高にするひーちゃん。姉である店長さんの分まで人気のバンドになって、スターリーを有名にする虹夏ちゃん。それとリョウちゃんと喜多さんの夢、それが叶いつつある中、僕は焦っていた。
僕だけが...、僕だけが皆んなのような夢を持っていない。
結束バンドのメンバーの夢を叶える為にお手伝いする、それは紛れもない事実。でもそれが達成したら、僕の叶えたい夢がなくなる。じゃあ新しい目標を立てればいいと思うと、そう簡単に思いつかない。ひーちゃんのようにちやほやされたい、虹夏ちゃんのような有名になりたい、皆んながそれぞれ掲げる目標が、僕にはない...。
「はぁ...」
らしくない溜息を吐く。僕にとってギターを続ける理由とは何だろう......。
「後藤!今日は空いてるか?」
「え?」
ふと、背後から僕の名前を呼んでくる男の子が居た。それはよくライブに来てくれていた同級生の只野英太郎くんだった。
「今日?アルバイトはお休みだけど...」
「なら放課後付き合ってくれ!頼む!!」
手を合わせて必死に頼み込んでいる只野くん。もしかしたら何か大切な事なのだろうか...。もしそうだとしたらお手伝いしなきゃ!
「分かったよ、僕でよければ...『達也くーん!』」
「放課後、私とひとりちゃんと付き合ってほしいってさっつーが」
僕が言い終わる前に喜多さんが乱入してくる。その内容は只野くんと同じ内容だった。しかも喜多さんの後ろにはひーちゃんが...。それに『絶対来てくれるよね...』と言いたげな表情...。
困った...。予定が被っちゃった!
「えっと...その...『悪い喜多さん!』」
「実はこっちが先に約束してな、どうしても後藤が必要なんだ!頼む!今回だけはお許しを!」
「そ、そう...。分かったわ、此方こそごめんなさいね」
「すまん!恩にきる!」
なんと只野くんが押し切って喜多さんに約束を断った。それと同時にひーちゃんがこの世の終わりみたいな顔をしていた。これ、断って大丈夫なのかな........。そんな不安が残り、お昼休みの時間は終わりを告げた。そして、あっという間に放課後になってしまった。
〜放課後〜
「すまないな、いきなりで」
「ううん、気にしないで」
学校が終わり、只野くんと一緒に東京の街へ歩いていく。喜多さんと別れる前にひーちゃんが僕にくっついて着いて行こうとしてたけど、喜多さんに引き摺られて何処かへ行ってしまった。帰りにコンビニで甘いスイーツでも買ってあげよう。
「それで、何処に行くの?」
「それは着いてのお楽しみって事で」
???一体何が起こるのだろうか........。そんな疑問に思いながら只野くんに着いていくと、只野くんはある建物の目の前に止まる。其処には『アモーレ法律事務所』と書かれていた看板だった。
「えっ、えっ........?」
「さっ、此処だ。入ろうぜ」
「ちょちょちょっと待って!」
何も躊躇いも無く、法律事務所に入ろうとする只野くん。僕は慌てて中に入ろうとするのを阻止する。
「待って!本当に此処!?此処で間違いないの!?」
「は?」
「もしかして今回の件って、そんな大事な事なの!?」
「?........まぁ大事っちゃあ大事だな」
これは流石に予想外!これって僕で解決出来そうにないけど!?
「そんじゃ行くぞー」
「あっ、待ってよ!」
何でそんな平然としてられるの!?そんな只野くんの後を追う、けど一緒に入った建物は例の法律事務所ではなく........、その隣のカラオケ店だった。
「................カラオケ?」
「そうだけど?」
「........ほ、法律事務所は?」
「未確認なんとかってやつのお疲れさま会だよ。何勘違いしてんだ?」
........あれぇ?
〜カラオケ店内・103号室〜
ガチャ
パン!パン!
「「「「「後藤!何とかかんとかお疲れさん!!」」」」」
「皆んな........」
「つーわけで、サプライズ大成功!」
カラオケ店内にある103号室に入ると、クラッカーが一つ二つと放たれる。そしてテーブルには色んなお料理とドリンク、沢山の男の子が集まっていた。
「後藤お疲れさん!」
「ライブ観に行ったぞー!」
「実質優勝!実質優勝!」
「サイコーだったぞ!」
沢山の友達が僕の........、僕達結束バンドの功績を讃えてくれた。嬉しさと同時に心臓が止まりそうだった。
「び、びっくりした〜........」
「へへっ、実はこっそり企画してた訳よ。ささっ、座った座った!」
そう言って只野くんは僕を席へ誘導して座らせると、テーブルに置かれていたジュースを差し出す。
「んじゃ、改めて後藤!未確認なんたらお疲れさん!乾杯!」
「「「かんぱーい!」」」
只野くんの一声に他の皆んながグラスを交わす。僕も一緒に近くの男の子とグラスを交わす。
「改めてお疲れさん!凄かったぞ!」
「ネットで配信されてたからぜ?その時見たんだよ!」
「そうだったね、皆んな見てくれてありがとう!」
「今日は無礼講だ!思う存分楽しんでくれ!」
「んじゃ一曲歌いまーす!」
それから場の空気は盛り上がり、一緒に参加してくれた男の子がマイクを片手に映像の前に立って歌い始める。あ、ちなみにアカペラです。男の子が歌うアカペラはわざと歌詞を間違えたり、音程を外したりと面白おかしく歌って、その他の子達も笑いながらタンバリンやマラカスを振ってリズムに乗っていく。僕も笑いながら手を叩いて他の子たちに合わせる。
こうして友達と遊んだりするのは中学校振りでとても楽しい...。お昼休みに悩んでいた事がいつの間にか忘れてこの時間を満喫していた。
「あっ、ごめん。僕ちょっとお手洗いに」
「あっ、なら俺も」
飲み物の飲み過ぎで尿意を感じた僕はお手洗いに行こうとしたら、只野くんも行くと言ってきたので一緒にお手洗いに行く事に。そして僕が手を洗ってる時に只野くんが僕に質問してきた。
「なぁ後藤、お前なんか悩んでる事あんのか?」
「........えっ」
「ここ最近元気ないつーか...、何というか......。なんか無理して笑ってる顔してるなって」
どうやら只野くんに見透かされてるようだった。そんなに分かり易かったの?
「........まぁ、別に大した事じゃないよ」
「それ大抵悩んでる奴のセリフだぞ?ソースは漫画」
うぐっ...。やっぱり僕には隠し事は向いてないや........。でもこのままじゃ何も変わらない、思い切って言ってみよう。そう思った僕は抱え込んでいる事について話してみる事にした。
「個人的な事でね......。僕の将来について」
「将来?」
「僕がギターを始めた理由はね?最初はひーちゃんと一緒にギターやりたかっただけなんだ。ひーちゃんは最初からバンドを組みたいって思ってたけど、僕はそんな事は無かったんだ」
「あー......、成り行きで始めてなんやかんやあって今に至ると」
「うん........。ひーちゃんは色んな人からちやほやされたくてギター始めて、僕はそのひーちゃんを応援する為にサポートしてきた。そしてバンドに入って、虹夏ちゃんやリョウちゃん、喜多さんと一緒に活動して、ライブやったり、この間の未確認ライオットに参加したり、色んなバンドの人達を会った」
「そうだな」
「それでね、皆んな色んな夢を持って音楽に打ち込んでるんだ。お店を有名にしたり、自分の作った曲で売れるようになりたい、何よりも一番になりたいって」
「........まさか」
「そう、僕は皆んなと違って........。
正直、ひーちゃんが羨ましかった。ひーちゃんだけじゃない、虹夏ちゃんやリョウちゃんにだって今にも嫉妬してる。皆んなそれぞれ夢を持っているのに、夢を持ってない僕がこのままバンドを続けても意味はあるのだろうか......?
「でも成り行きでアイドルとかして、そのまま続けてる人だって居るぞ?」
用を済ませた只野くんは、ズボンを調整して隣の洗面台で手を洗う。簡単に手を洗ったら手拭き用のペーパーで雑に手を拭いてゴミ箱に捨てる。
「そうだね、でもそうじゃないんだ。やるんだったらそれなりに大きな目標が欲しいんだ」
「サポートする事でも充分大きいぞ?」
「確かにね......。でもやっぱり、ひーちゃんみたいな大きな目標が欲しいんだ。『結束バンド』としてではなく、『後藤達也』として」
「................不吉なこと聞くけど、バンド辞めるってことはないよな?」
「うん、辞める気はないよ?ギター弾くのは好きだしね」
音楽は好きだ。仮に僕が結束バンドを辞めても、ギターはずっと弾き続ける。時々ふーちゃんも聞きたいって言ってくれるし、動画投稿もあるからね。
「........なんかすまん。まさかそこまで悩んでいたとは思わなかった」
「ううん、僕の方こそごめんね?折角のお祝いなのに」
「別に気にしちゃいないけどさ、愚痴くらいなら聞いてやるからあんまり思い詰めるなよ?」
「うん、ありがとう」
只野くんのような子とお友達になれて良かったと思う。お陰で少し気持ちがスッキリした。
「んじゃこの話しは終いだ、つーかこの話しトイレでするもんじゃないだろ」
「あっ」
そういえば此処がトイレだったの忘れてた........。
「今日はありがとう!とっても楽しかったよ!」
「そう言って貰えるとこっちも開いた甲斐があるってもんだ」
「それじゃ、また明日ね!」
そう言って後藤は手を振ってカラオケ屋から出ていくのを俺たちは手を振り返して見送る。当の本人は満足そうだったので、今回のサプライズは大成功に収めた。他のダチもやってやったと顔をしてるが、俺だけは満足してなかった。
先程の後藤の話し........、後藤個人の夢について。
ぶっちゃけ俺も将来の夢がないし、後藤みたいにギターを弾けるような特技もない。ただダチと楽しく時間が過ごせればそれで良かったと思ってるが、後藤の場合は違う。他の結束バンドのメンバーはそれぞれ夢を持ち、それに向かって日々頑張ってるが、後藤は生憎とその夢を待ち合わせていない為、現状焦っている。結束バンドのメンバーを支えるのも立派だと思うんだが、やはり後藤なりの拘りがあるのだろう。毎日適当に生きてる俺とは大違いだ。
「........只野、さっきから浮かない顔してるぞ」
「えっ?」
おっと、自分の世界に浸ってた所為で怪しまれてしまった。そう指摘したのはダチの一人、琵琶宝助である。
「........別に何もないが?」
「知ってるか?大抵そのセリフ言う奴は何かしらあるもんだぞ。ソースは漫画」
「漫画知識に期待してんじゃねぇよ」
「まさか後藤関係か?」
なんでそんなに鋭いの?えっ、何?トイレのやりとりを覗き見した?やだコイツ変態じゃん。........まぁこれに感じては後藤自身も問題だし、俺らでどうこう言えるような事...、ってあるのか?後藤より頭が悪い為、なんて言ったら良いのか分からん俺は、思い切ってコイツらにトイレのやり取りを打ち明ける事にした。
「実はカクカクシカジカで」
「「「「それトイレでやりとりする内容か?」」」」
「うっせ、俺だって後悔してんだよ」
「しかしあの後藤に悩み事とは」
「そう言うのは気にしないタイプだと思ったんだが、ちょっと意外だな」
「まぁ分からん訳でもない」
後藤の意外性に静かに驚く中、腕を組んでうんうんと頷くのはダチの一人である出口祐也だ。
「周りが決まった目標があるのに自分だけがないってなると、取り残されてる感じがしてそれが嫌なんだろうな。後藤は生真面目だからその点に関しては敏感で、自分も個人的な目標が欲しいってなるのも無理はない」
「........確かに、後藤はやる時はやるからな。なんてたって文化祭の時寝不足でぶっ倒れるまで演奏してたしな」
「でもこのままウジウジしてたら、バンド活動に支障が出るんじゃないか?話し聞く限りだとなんか深刻そうみたいだし」
「あぁ、仮にだぞ?超超超最悪バンド辞めるって事も可能性だってある。後藤に個人的な夢を持たせるきっかけがありゃ、あいつ自身も何か見つかるんだがな」
きっかけか........。きっかけがありゃ、後藤も個人的な夢を持たせる事が出来る可能性がある。しかしこれは後藤自身の問題なので部外者である俺たちが首を突っ込む訳にいかないが、少しでもあいつの力になってやりたい。しかしどうやって........。
「それどういうこと?」
なんか今聞きたくない声が聞こえた気がする。それに何故か手が震えてきた。それは俺だけでなく他の連中も同じだった。皆んな顔真っ青ってレベルじゃないぐらい追い詰められていた。全員揃いも揃って錆びたネジを無理に回すように首を後方へ向ける。
其処にはめちゃくちゃ目を見開いてる喜多さん。真顔の佐々木にその他の女子メンバー、そしてピンクジャージが床に落ちていた。
「ねぇ、さっきの話しどういう事?」
すまん後藤、俺らの所為で面倒事が起きてしまった。
あと4、5話で終わる予定です。
最後までお付き合い頂けると幸いです。