チート貰って転生した先がfate世界だった話   作:なゆさん

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fate/zero
聖杯戦争の話


――ロンドン 時計塔のとある一室

 

 

「で? どうして私は呼び出されたのかな? ロード・エルメロイ」

 

優雅にお茶を飲みながら、眼前の男性に話かける女性。その表情は穏やかで、男性――ロード・エルメロイことケイネス・エルメロイ・アーチボルトとは真逆だった。

 

「貴様…! 私の聖遺物を盗んでおきながら、とぼけるつもりか!?」

「聖遺物? 何のこと?」

 

怒り心頭のケイネスに対して、まったく心当たりがないといった様子の女性。

 

「ふざけるな! 貴様が聖杯戦争に参加するというのは、貴様の手にある令呪が証明している! そして、この私の参加は時計塔では周知の事実! そんな中、私の聖遺物が紛失したということはだ。貴様が奪ったのだろう!?」

「言いがかりはよしてくれない? そもそも、郵便を最後に持っていたのは君の教え子だっていう話じゃなかった?」

「あんな半人前を暗示にかけることなど、貴様なら朝飯前だろう。幾ら若く視野が狭いとはいえ、ウェイバー・ベルベットがアーチボルト家を敵に回すような身の程知らずとは考えづらい。貴様が奪ったと考えるのが妥当だろう!」

 

ケイネスはプライドが高く性格が悪い男であるが、馬鹿ではない。故に、表面的事実をそのままに信じたりはしない。ましてや、近々自分と同格以上と思われる時計塔随一の魔術師と魔術の競い合いをするというこの時期なら尚更だ。

 

「貴様程の実力がありながら、こんな小細工をするとはな。この私がそんなに恐ろしいか?」

「変に深読みするのは勝手だけどさ。教え子の行方も分かっていないのにいきなり私を呼び出して犯人呼ばわりって、随分と余裕がないね。たかが眉唾の聖杯を争う一魔術儀式如きにそこまでご執心とは、ロード・エルメロイも可愛いとこあるじゃん?」

「――っ!! 私は既に別の聖遺物を手配している! 決着は聖杯戦争でつけるとしよう、クレナ・スミス!」

 

そう言ってケイネスは乱暴に部屋を出ていった。

 

「はぁ。せっかくお茶を入れたのに結局全部私が飲むのね。トホホ……」

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

――日本

 

「さてと、聖杯戦争の準備は粗方終わったかな。買ってた家に殺人鬼がいたのは誤算だったけど」

 

冬木市に購入した一軒家にて、私は儀式の準備を整えていた。ほぼ空き家状態だったからか、空き巣が家にいたので捕縛したのだが、記憶を読んでみると殺人鬼だったのでついでに始末しておいた。

 

「はぁ…。今まで随分生きてきたけど、この巻き込まれ体質は何時までたっても治らないなぁ」

 

神から分かたれた半身である自分は抑止力から世界を守る楔の一つとして、そして人の世を見守る1人の傍観者として、世界を回っていた。

その中で、行く先々で様々な争いや面倒事に巻き込まれ、いつも危険な橋を渡ることになっている。

今回の聖杯戦争も、令呪が発現しそれをケイネスの教え子に見られてしまったが故の参加だった。冬木の聖杯に興味があったのも事実だが、まさか参加者として聖杯を求めることになるとは。

 

「わざわざ触媒確保なんて面倒なことしたくないし、私が英霊召喚なんてしたら誰が来るか分かったもんじゃない。どうしたもんかねぇ」

 

悩んでも仕方がないのだが、これまで会って縁を結んできた英雄達の中には絶対に現代に呼んじゃいけない類の英雄も存在する。故に、慎重にならざるを得ないのだ。

 

「聖杯のシステムに干渉――は、流石にズルか。しょうがない。ヤバいヤツが来たら私自身がケリをつければいい」

 

魔法陣を描き上げ、自らの血を魔法陣に垂らす。

 

「そう考えると英霊召喚ってガチャみたいだよね。誰が来るかな〜? なんてね。

『素に銀と鉄。礎に石と契約の大公

祖には我が半身たる神、クレナ

降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

繰り返すつどに五度。ただ満たされる刻を破却する」

 

魔法陣は光を発し、漂う魔力がより濃くなっていく。

 

「告げる

汝の身は我が下に。我が命運は汝の剣に

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

誓いを此処に

我は常世総ての善と成る者

我は常世総ての悪を敷く者

汝三大の言霊を纏う七天。抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!』」

 

詠唱が終わると同時に閃光が辺りを包み、室内に満ちた魔力が一瞬にして弾けた。

 

 

「召喚に応じ参上したよ。キャスター、都市神クレナ。一時の間だけど、君に―――あれ? 私?」

 

 

「……そう来たかぁ」

 

召喚されたのは、まさかの英霊として座に渡った私。想定外の事態に頭を抱えるしかなかった。

 

 

 

――数分後

 

「で? どうして聖杯戦争なんてしてるの?」

「仕方ないじゃん。これにはちゃんとした事情が――」

「どうせ成り行きと好奇心でしょ?」

「うぐっ…」

 

図星である。

 

「流石に容姿が全く同じの私が参加しちゃ不味いでしょ。私は座に帰るよ」

「え? サーヴァントがいないと困るんだけど」

 

流石にここまで来てサーヴァントがいなくて参加できないのは嫌だ。

 

「うーん、それじゃあ……今の貴方って降霊術使える?」

「うん。時計塔で使えるようになった」

「じゃあ今回は憑依召喚でキャスター呼んだってことにすればいいよ。擬似サーヴァントって存在もいるし、前例もある理論上可能な召喚方法だからさ」

「でも、貴方がいないと令呪がなくなっちゃうんじゃない? それに聖杯って7騎のサーヴァント全ての魔力を使うらしいから、やっぱり貴方がいないと困るよ」

「令呪なんてそっちで聖杯のシステムに干渉すればいくらでも誤魔化せるでしょ。こっちで聖杯にサーヴァント一人分の魔力くらい入れといてあげるから、後は一人で頑張ってよ。じゃあね」

 

そう言って英霊の私は座に還ってしまった。

 

「はぁ…。私の方が長く生きてる筈なのに、向こうの方が大人びてたな。結局聖杯のシステムに干渉することになっちゃったし。何事も上手くはいかないものだね」

 

とりあえず、令呪の繋がりから聖杯に干渉して令呪については誤魔化しておく。

 

「――これでよしっと。後は教会に行ってキャスターの登録をした上で開戦まで待つだけね」

 

今回の監督役である言峰璃正とは昔会ったことがある。聖堂教会の敬虔な信徒であるが、時にはルールを多少ねじ曲げてでも聖堂教会の目的を果たす人物であった。また八極拳の達人であり、純粋な技量なら私に迫るレベルだった。もう高齢の身であろうがまた相見える機会があるのなら純粋な立ち合いをしてみたいものだ。

 

「――さてと! 最近はあんまり休む時間も無かったし、サーヴァントの登録が終わったら久々の日本を堪能するとしますか!」

 

そうして私は、教会へと出向いた。

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

side遠坂時臣

 

「厄介な…。まさか彼女が日本にまでやって来るとは」

 

遠坂邸の地下にて、遠坂時臣と言峰綺礼は作戦を練っていた。

 

「彼女――クレナ・スミスですか?」

「ああ。君のお父上は彼女と面識があるそうだが、君は彼女のことをどれくらい知っている?」

「クレナ・スミス。時計塔所属の魔術師であり、通称【万能の魔術師】。あらゆる魔術に精通し、自らと系統の違う家系の秘術まで扱うことができると言われている。彼女本来の魔術である【停止】によって不老の肉体を得ていて、時計塔内での地位はロードにも匹敵すると」

「そうだ。彼女の生きた長い時の中で練られた魔術は、何代も続いた魔術の家系のソレを上回る。そして、ただ長寿というだけではない。時計塔で実際に会ったこともあるが、アレはただ長く生きただけの凡夫ではない。我々とは一線を画す才覚を持った化け物だ。彼女程の天才が、不老によって百年、ともすると数百年以上も生きている。恐ろしい話だよ。」

 

時臣の脳裏に、初めて彼女と相対した時の衝撃が蘇る。彼女の宝石魔術を見ただけで、己では敵わないと思わされた。

あの時の記憶は、決して色褪せることはなかった。己が後にも先にも唯一、心の底から勝利を諦めた瞬間である。

 

「一時は封印指定されかけたにも関わらず、時計塔にそれを止めさせているという事実一つで、彼女の凄まじさが分かるというものだ。先に説明した【魔術師殺しの衛宮】や【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト】も脅威足り得る存在だが、彼女は別格だ。サーヴァント並の戦力と考えて対処にあたるべきだろう」

「サーヴァント並……。それは直接戦闘において我々では敵わないということでしょうか?」

「その通りだ。真正面からぶつかれば、我々に勝機はないと考えていい。此度の聖杯戦争は、今までより一層戦略が重要となるな。――巻き込まれた形の君には申し訳ないが、君が令呪を宿してくれてよかった。正直私1人では、最強のサーヴァントを引き当てたとしても勝てるかどうかは大博打だったからね。サーヴァントを二騎動かせるというのは、大きなアドバンテージだ。これを最大限活かした戦略を組むことができれば、クレナ・スミス相手でも負けることはない」

 

遠坂時臣は内心の恐怖を覆い隠しながらも、余裕のある振る舞いで言峰綺礼との作戦会議を進めていく。

『常に余裕を持って優雅たれ』この家訓を胸に刻んでこの戦争に臨む。遠坂家当主として、根源を目指す魔術師として、例えトラウマを植え付けられた相手であろうとも勝たねばならない。

もし、自分が倒れたとしても凜がいる。憂いはない。迷いはない。そう自分に言い聞かせ、覚悟を決めるのだ。

 

「万全の準備と計略で以て、必ず勝ち抜いてみせよう」

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

――同時刻

 

「――それじゃあ、最も警戒すべきは言峰綺礼ってこと?」

 

アインツベルンの城の中。聖杯戦争参加者である衛宮切嗣とその妻アイリスフィールもまた、他参加者の情報を集めていた。

 

「言峰綺礼については、僕の個人的感情による警戒だ。客観的事実で言うなら、最も警戒すべきはコイツだろう」

 

切嗣はたった今印刷された資料を取り出す。

 

「クレナ・スミス。時計塔の魔術師だ」

「また時計塔? でも、それならさっき言ってたロードの方が手強そうだけど」

「普通ならね。だけど、コイツは話が別だ。何せ、何百年も生きていると噂されてる『不老の魔術師』だ」

「何百年って……そんなことあり得るの?」

 

魔術師として、不老(ソレ)がどれだけの代価を払っても成し得ないものであるというのは知っている。にわかには信じがたい話だ。

 

「少なくとも、僕が幼い頃に会った時と容貌は変わっていない」

「彼女と会ったことがあるの?」

「あぁ、今までに2度。噂の真偽はともかく、実力は確かだよ。2回目に会った時、ヤツと獲物が被ったんだ。中々手強い相手だったんだが、ヤツは苦もなくそいつを殺してみせた。正面からね」

 

あの時は一瞬だったが、万能の魔術師の通り名が示すように多彩な手数を持っていると考えられる。対策もたてづらい難敵だ。

 

「――でも、貴方なら大丈夫。でしょ?」

「……ああ。魔術師である以上、殺り方はできている。勝つさ」

 

自らの悲願の為、自らの愛娘の為、自らの過去の贖罪の為。この世総ての悪すら背負わんとする彼は、例え相手が()()()()()であったとしても銃口を下ろすつもりなどなかった。

 

「……さて、そろそろ行くよ。準備を整えないと」

 

 

◆◇◆◇◆

 

――各々思惑を胸に秘め、第四次聖杯戦争は幕を開ける

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