VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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下準備は怠るべからず




歌よ響け、英雄譚を讃え 〜其の一〜

赫蒼海剣(かくそうかいけん)アスカロンの剣身に雷輝の冥王 アトランティクスレプノルカ"三位一体(トリニティ)"の血を注ぎ、其の名を覇濤海剣(はとうかいけん)アスカロンに改めて神化可能な状態に至り。

 

其れを見た致命兎(ヴォーパルバニー)の大親分ヴァイスアッシュによって、直し手で鍛冶師の魚人族ル・ジニシィを極星大賢者(スターラウズ)のポポンガの助力で兎御殿に招き、彼からの警告を聞いた後にビィラックとイムロンと共にヴァイスアッシュに鍛冶修行を付けて貰う事が決まった。

 

基本的にシャンフロという世界(ゲーム)の生産系職業(ジョブ)の経験値量は、作った武器や防具にアクセサリーの量と質に直結しており、当然だが武器防具作成やアクセサリー生産、延いては大工関係も作った物の量が多く質が高くなる程に、匠や頭を冠する職業に近付きやすくなっていく。

 

現実世界(リアル)では匠や頭を名乗るのに人生の半分は費やすらしいが、此処はゲームの中であり、やろうとすれば誰にでも転機(チャンス)が在るのがゲームという物の面白い所でもある。

 

 

オルケストラ攻略戦:第一候補(X1 Day)たる10/21まで後四日。

 

 

午前中の講義を終えてアパートに帰り、昼食を作って食べた後に食後休憩を挟んで筋トレ後にシャンフロへログイン。

 

三位一体の血を手にする為に無茶をさせたマクティスシリーズ一式の修繕を世界を知り得し旅兎王装(モポルシィーヴ・リフトゥルー)で行ったペッパーは、ヴァイスアッシュ直々のブートキャンプで鍛える運びになった一羽と二人に、彼からの依頼で渡す素材を考えていた。

 

「一番良いのは全員同じ素材を渡して、其々の持ち味を引き出させるのが今後の育成の観点からすれば良いんだけど………。コーラルホエールは一頭分の素材しか無いし、他の素材もドンと出せるだけの量は保有出来てない。とすれば、だ………やっぱり『狩り』とか『漁』に出るのが一番だよなぁ………」

「やぁやぁ、私(・)の(・)あーく〜ん?何やらヴァッシュの兄貴から面白い依頼を受けたらしいねぇ〜???」

『グルルルルル…………!!!』

 

幸い三人に渡す素材は此方の判断に委ねてくれたので、最良を追求&出来るならば最高を目指す事を主眼とし、続いてX1 Dayまでに自身で集められるモンスターを脳内でピックアップせんとした其の時。

 

何時の間にか居た恋人であるペンシルゴンが、にこやか笑顔と独占欲全開の何時もの台詞を放った事で、リュカオーンの分け身のノワが喉を鳴らして威嚇し、両者共にバチバチの火花を散らし合う光景が巻き起こる。

 

「ペンシルゴンか。アスカロンがある程度の強化段階に入ったから、ヴァッシュ先生がル・ジニシィさんを兎御殿に連れて来てくれって言ったから連れて来て、イムロンさんとビィラックさんと一緒に先生直々のブートキャンプする運びになってね。で、ブートキャンプをするのにモンスターやらの素材が必要だから、三人に何を出すかって考えてたって感じ」

「フムフム………、なぁるほどねぇ〜………。三人共、シャンフロの鍛冶師であり名匠かつ古匠、そして今回のヴァッシュの兄貴直々のブートキャンプ、上手く行けば三人纏めて神匠に転職可能な状態になれるって事だね?」

「其の通り」

 

相変わらず察しが良い。

 

鍛冶師達は武器防具の製作経験を重ねて名匠へ、魔力運用ユニットを用いて稼働中の機装(デバイス)を解体(ロスト)する事で古匠へ、そして名匠と古匠として更なる経験を重ねた先にリビルドかリバース状態、或いは其れよりも更に先の段階に到達している英傑武器(グレイトフル)を神化させれば、晴れて其の鍛冶師は神匠を名乗る事が出来るのだ。

 

「ブートキャンプの観点から考えて、出すなら同じ素材にした方が良いかなって思ってね」

「素材調達候補地は有る?」

「シグモニア前線渓谷(フロントライン)・水晶巣崖(すいしょうそうがい)・海の中」

「じゃあシグモニアで。一応噂の地下駐屯地にもランドマーク更新したいからね」

 

水晶巣崖は統率が取れ過ぎているので論外、海中は専用装備やアクセサリー無しでは五分と持たない、乱戦と紛争でカオスの空間で戦う事に置いて自分が優位に働く場所となれば、消去法で其処になるのは既定路線だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ペンシルゴンがシグモニア前線渓谷・地下駐屯地にランドマークを更新するのにセーブポイント更新が必須の為、彼女が現在行けるファストトラベルでシグモニア前線渓谷に最も近かったのが、鉱人族(ドワーフ)の国・地下都市ホルヴァルキンだったので其処を経由する事にして。

 

一度鉱人族の国王・ミダス28世の許可を得てから、勇者武器(ウィッシュド·ウェポン)のユニークシナリオにも関係有りの黄金のマグマを皇金桶(おうごんとう)カイザーバケット二つに掬い上げ、シグモニア前線渓谷に向かう道中にサイガ-0が以前テイムしたアルマアロゴ・ヘタイロンと遭遇。

 

此の個体はペッパーとレベルが同じだからか、リュカオーンの愛呪の影響で戦闘回避を選択し、地面を踏み鳴らして何処かに去って行くのを見送り、再びシグモニア前線渓谷を目指してペッパー達は驀進して行く。

 

道中アロゴ・ヘタイロンの群れ(クラスタ)やコンバスティッカーメレオンに遭遇し、前者はペッパーよりもレベルが低いからかリュカオーンの愛呪によってUターン、後者はペッパーよりレベルが上なのか愛呪の気配に圧される事無く襲い掛かったので、敬意を払い全力を以て打倒し御礼向上を述べ、ドロップアイテムを一つ残さずインベントリアに回収する。

 

「あーくんの戦闘は何時見てもダイナミックでフルスロットルだよねぇ〜」

「サンラクの戦闘に比べたら、速度の方は全然だけどね…………」

「ペッパーはんは生存力と継戦力に秀でてるのさ。戦いの中で生き残る事、即ち好機を勝機を引き寄せる事に繋がるのさ」

「『強大なる敵に対して、急所を打って勝機を生み出し討つ』………其れが私達が父さんから教わった事だからね」

「そうでしゅ!」

 

アイトゥイルにディアレ、そしてゼッタ含めたヴォーパルバニー達が掲げるヴォーパル魂、最近は此のヴォーパル魂が『心意気以外の別の何かを指しているのでは?』と思わなくも無いが、何時かは不滅のヴァイスアッシュと戦わなくてはならぬ時が来た時に、其の真なる意味を知る瞬間は訪れるのだろう。

 

もし願うならば、ジークヴルムやクターニッドの様に『ユニークシナリオEXが世界を知り得し旅兎王装の所持と条件達成で特殊ルートに突入し、ヴァイスアッシュがリスポーン可能になればアイトゥイル達が父親と別れる事になるのを防げないかと考える』が、仮に彼が冠する不滅の意味が『文字通りであった場合』はそうはならないのだろうが…………やはり未だに解らない部分が多いのが不滅のヴァイスアッシュという最強種なのだ。

 

そんな一幕が有りながら、一行はシグモニア前線渓谷の地下駐屯地を目指して歩を進めるのであった。

 

 






目的地を目指して


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