VR初心者ゲーマーが往くシャングリラ   作:ガリアムス

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調達は何時だって大切だ




歌よ響け、英雄譚を讃え 〜其のニ〜

シグモニア前線渓谷(フロントライン)が近付き、ツァーベリル帝宝晶が陽光で翡翠に輝く空の下、ドーナツ状に刳り抜かれた谷底で列車砲搭載大百足と要塞蜘蛛が今日も今日とて生き残りを賭けた熾烈極まるドンパチ大合戦。

 

そして漏れ無く下層連中の騒音(闘争)にブチギレた輝ける冠塔丘に在住する帝晶双蠍(アレクサンド·スコーピオン)達が翡翠の大火力や3WAYビームを振り下ろし、ヘイトが目まぐるしく移ろい変わる大混乱と大乱戦をプレイヤーが走り、ビームに飲まれたり質量で押し潰されて悲鳴を上げる様を目視。

 

帝晶双蠍達が下の面々に夢中ならば此方から手を出す真似はしない、藪を突いて蛇を出す様な見え透いた愚行(地雷)は此処では死にたがりか、余程自信が有るかの二択以外無いので兎に角外周移動で地下駐屯地入口まで走り、地下駐屯地に転がり込んで代表者のマフティーに会いに行く。

 

「おぉ、ペッパーさん!っげぇ、ペンシルゴン!?」

「んー?私の事を汚物みたいな反応するって、今此処で死にたいのかなぁ〜?代表者君のマフティーさーん???」

「ペンシルゴン、ステイ。マフティーさん、ペンシルゴンがランドマーク更新したいのでベッドルームを御借りします」

 

元PKerで廃人狩り(ジャイアント·キリング)の異名で知られるアーサー・ペンシルゴン、そして天音(あまね) 永遠(とわ)本人が天音 永遠そっくりのフルスクラッチアバターで天音 永遠の姿を騙る不届き者を本人が演じる悪趣味プレイをしているのだから、本質を理解して無いと理解らない事も沢山有る。

 

何よりマフティーが下手にペンシルゴンを刺激して彼女の怒りを買ったが最後、此の地下駐屯地に火を放って一酸化炭素中毒や爆発地下地盤崩落生き埋め等々、えげつない殺し方を即興でやらかしかねない。

 

帝晶双蠍や列車砲百足に要塞蜘蛛の素材の一部を卸し、駐屯地のランドマークやリスポーン地点を借りている手前、長い目を見て関係悪化は後々の素材調達周回やレベリングにヴォーパル魂の上昇含めて此処は手放したく無い場所だ。

 

ペンシルゴンを諫めつつベッドルームに案内、ランドマーク更新後にヴォーパルバニー達を征服人形(コンキスタ・ドール)とリュカオーンの分け身のノワに任せ、ペッパーとペンシルゴンはシグモニア前線渓谷の谷底に入る岩戸の前に移動する。

 

「さぁて、行くか」

「そうだねぇ」

 

兎御殿に居る一羽と二人の鍛冶師達のブートキャンプに必要なモンスターの素材調達依頼を達成するべく、常在戦場で常に死の気配が張り付き続ける危険な此の戦いに、自らの意思を持って身を投じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

谷底で巨体を畝らせ走り毒液砲撃を掛けるトレイノル・センチピード・グスタフと、ドッシリ構えてアーミュレットフルバーストのカウンターで戦うフォルトレス・ガルガンチュラ、其の二体を上から見下ろしてビームの雨を降らせる翡翠の輝きを放つ帝晶双蠍達。

 

グスタフが巻き付く際に地雷原となる張り付いたのアーミュレットの撤去を此方が請け負い、帝晶双蠍のビームの雨霰を誘導し、フォルトレスという巨大な城を攻め落とすべく裏工作に奔走し。

 

或いは巻き付き張り付かんとするグスタフにアーミュレット達を誘導させ、脳天や顎をぶん殴って無数の脚達に麻痺や縺れを齎し、帝晶双蠍のビームやフォルトレスの全門アーミュレット砲撃が最大級に着弾する様に、不確定と不確実が漂う戦場にて相手の動きを誘発させる。

 

何時の時代も戦争による経済活動は、消費する側では無く回す側になれるかが大事で、ゲームならば死んでもやり直しは出来るが、現実はそう簡単にはいかないのが鉄則であり…………だがだからこそ、挑む価値が有る。

 

アーミュレット・ガルガンチュラ百十数体、フォルトレス・ガルガンチュラを二体、トレイノル・センチピードとトレイノル・センチピード・グスタフを各二体ずつ、ペッパーが三回にペンシルゴン七回と他プレイヤーは無数のリスポーンを繰り返して討伐。

 

夕食休憩を挟む為、地下駐屯地のベッドルームでセーブをしてログアウト、夕食に照り焼きチキン丼を作り上げて食べ終えた後、食器を洗い→軽い筋トレ→シャワー→水分補給&トイレ休憩の黄金ムーブで思考を整え直し、再びシャンフロにログインすればホクホク笑顔のペンシルゴンとゲッソリ顔のマフティーが居た。

 

「ペンシルゴン、一体何したんだよ…………」

「ちょっとした『ビジネス』をね。別に駐屯地の財政破綻させたりとかしてないから、あーくんは安心して良いよ」

「…………其れ聞いちゃ駄目なパターンな奴でOKね?」

 

聞かなくても『グレーギリギリの取引』か何かをしたと思わざるを得ない状況だが、突如として地下駐屯地全体が大きく揺れて家具がゴトゴトと鳴り、別のベッドからプレイヤー達が起き上がって慌てた様子で装備やアイテムを揃え出した事で、ペッパーとペンシルゴンの二人はシグモニア前線渓谷に『何が現れた』かを一瞬の内に理解し。

 

谷底の岩戸まで一気に向かって隙間から外を覗き見れば、トレイノル種の女王個体の『トレイノル・センチピード・ドーラ』とガルガンチュラ種の女王個体の『フォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレス』が現れ、此処で逢ったが百年目とばかりに超と超に超が付く超巨大な身体を動かし、大乱戦開幕のゴングがツァーベリルの輝く紅蓮夜光の下で鳴り響き。

 

そんな夜の時間で日光浴ならぬ月光浴をしていた帝晶双蠍達は、当然ながら騒音にブチギレならぬバチバチにキレ散らかして、ドーナツ形状の大王冠の各テリトリーに居る蠍達が普段は個人主義にも関わらず、水晶群蠍(クリスタル·スコーピオン)特有の一糸乱れぬ高エイム射撃で騒音を打ち鳴らす二種の女王個体に撃ち込む様や、独裁国家の反政府組織や国民を弾圧する軍団の機関銃一斉射の其れであった。

 

「よし、あの中で女王個体両方共にブッ飛ばして来る」

「「「「「「胡椒さぁん!?」」」」」」

「いや正気ですか!?勝機とか有るんですか!?」

「まぁ色々と、ね…………」

 

女王個体同士の大乱戦、あの中で成果を上げたくば神代の大いなる遺産を使うのが一番だが、オルケストラとの戦いも控えている状況に置いては『神代の大いなる遺産を使わずに討伐』が最適解。

 

そして今迄やった事が無い事にチャレンジするのも一興、であるならばオルケストラとの戦いで『対再現ペッパー・天津気(アマツキ)で神代の大いなる遺産の切札の超過機構(イクシードチャージ)が使えない状況(シチュエーション)』を想定して動く、其れを今此処でやるべきと決めて実行に移す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尚ペッパーは此の後、エンプレスとドーラの大乱戦に恐れる事無く飛び込んで行き、帝晶双蠍や二種族の特性や特徴に攻撃方法、シグモニア前線渓谷の地形的特色の全てを利用して戦い。

 

不意の事故でのリスポーンを四回挟んだ総リスポーン数十ニ回の果て、フォルトレス・ガルガンチュラ・エンプレスとトレイノル・センチピード・ドーラを見事討ち取り。

 

二体の女王個体討伐でテンションがハイになったのか、或いは自身の脳内の歯車がフルスロットルで回転しているからか、はたまた己が満足するまで止まるつもりは毛頭無かったのか、壁を駆け上がって帝晶双蠍にも喧嘩を吹っ掛けて。

 

此方は一体に絞り込んでノーコン討伐を果たし、大王冠から空中を駆け抜けて新たに現れたトレイノルとガルガンチュラの新たな戦争に乗じ生還した事で、ヴォーパルバニー達からは尊敬の目で見られ、契約した征服人形と恋人はドヤ顔を噛まし、他プレイヤーは全員例外無く唖然となる顛末を迎えたのだった………。

 

 

 

 






縛りの中で最大を


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