【完結済み】怪力な聖女様は伝説の魔王に愛されている~追放と称してダンジョンで突き落とされた私、最下層に封印されていた美少女魔王を力技で救ったので一緒に旅をしようと思います~   作:早乙女らいか

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第3章
第24話:あれから一週間


「そっち行ったよ!!」

「任せなー!!」

 

 ダンジョン内での戦闘。

 複数存在する蜘蛛型モンスター、デススパイダーの討伐を私達四人で行っていた。

 

「せりゃああああ!!」

 

 エメラルの連続斬りが逃げるデススパイダーの身体をバラバラに引き裂く。

 残るは四体。

 

「ッ!?」

「ふっふっふ、入口は全部トラップで封じました……逃げ場はありません!!」

 

 逃げ惑うデススパイダーがトラップによって動きを止める。

 その隙にムーナが魔力を込め、炎の魔法を放出を開始。

 

「ヘルフレイム!!」

「「「キシャアアアアアア!!」」」

 

 三体のデススパイダーが炎に包まれ、灰と化した。

 残るは一体。

 

「キシャッ!!」

 

 その一体が私の方へと突撃してきた。

 口元から自慢の毒針をチラつかせ、今にも私の身体を突き刺そうと試みている。

 だが

 

「ふんっ!!」

 

 自慢の盾で防がれ、逆に動きを止めた。

 

「これでおーわりっ!!」

 

 先端をメイスにしたチェーンロッドでデススパイダーを叩きつけ、血肉を爆ぜさせる。

 デススパイダーはピクピクと僅かに動いた後、やがて静止し魔石と化した。

 

「やたー!! これで終わりだー!!」

「えらい長かったなぁ……デススパイダー何匹おるねん」

「最初は五、六十匹くらいいましたね……あれはグロすぎますよ……」

「ま、なんとかなったからよかろう。それより」

 

 くるっとムーナが私の方を見る。

 

「これで城の弁償は終わりじゃな」

「だねっ!!」

 

 城をぶっ壊してから一週間。

 遂に私達は必要な金額を集めることが出来た。

 あー、長かったなぁ!!

 毎日ダンジョンに潜ったり依頼をこなしたりで、かなりハードなスケジュールだったよ……

 

「おめでとうございます!! これでボクも解放されるぅ……」

「まーだサボりたいのかお主は」

「引きこもり魂を舐めないでください!!」

「ステちゃん、そこは誇る所やないで……」

 

 エメラルはともかく、ステラはムーナに無理やり連れ出される形で参加していた。

 曰く、少し目を離せばぐーたらな生活にすぐ戻ってしまうらしく、それを見かねたムーナが引っぱり出しているのだとか。

 本人はかなり嫌そうだったが、エメラルと一緒なら余り文句は言わなくなったので、基本的に二人か四人でダンジョンは潜るようになっていた。

 

「取り敢えず地上に戻って大賢者スライムの所に行こっか」

「そうじゃな」

「あー……ボクも久しぶりに顔出さないと……」

「そういえばウチも会ってないなぁ。一緒に行こ」

「エメさーん!!」

「ステちゃーん!!」

 

 まーた始まったよバカップル劇場が。

 何かといちゃついたりギューギューし合う光景。

 見慣れた物だ。

 

「あやつらめ……全く」

「まだ慣れないの? ウブすぎじゃない?」

「……うるさい」

 

 ムーナが照れるのも相変わらずのようだけどね。

 

「ふぅ……」

 

 取り敢えず、抱えていた問題は一つ解決できそうでよかった。

 これで自由、好きな事もいっぱい……あれ

 

(私って何の為に冒険してるんだっけ?)

 

~~~

 

「これで全部ですね……ありがとうございます」

「いえいえ、こちらが全部悪いので」

 

 大賢者スライムにお金の入った袋を渡し、精算が完了した。

 

「まさか一週間もかかるとは思わんかったがのう……」

「あぁ、それは私が改築費用を上乗せしたからですよ」

「はぁ!?」

「何!? そんな事をしておったのか!?」

 

 何それ初めて聞いたよ!?

 このスライムさんさらっと恐ろしい事をやってますねぇ!!

 

「まぁ被害者側なのでさらっと盛っても大丈夫かなぁと」

「う、うーん……」

「中々えぐい事しとるなぁ……」

 

 確かに悪いのは私達だしパッと見で気づかなかったけどさぁ……ずる賢いなこいつ

 

「じゃが気に食わんな……そうじゃ、改築費用のお返しにステラをしばらく借りるとしよう」

「あ、全然構いませんよ」

「なんでボク!? やっと開放されると思ったのに!!」

 

 急に自分へと話題が切り替わった事に驚くステラ。

 

「ま、とりあえず外に出るか。世話になったのう」

「あ、ありがとうございましたー……」

「ううう……なんでぇ……」

「まぁまぁ、ウチもなるべく一緒にいるから」

 

 落ち込むステラを引っ張りつつ、私達は執務室を後にした。

 

~~~

 

「う、うう……」

「まーだ引きずっておったか」

「だって……だってぇ……」

 

 そんなに嫌なのか働くのが。

 別にムーナも私も無理な任務は入れてないし、休みの時間もかなり多めにあげたつもりなのだが。

 エメラルからも「こんなダンジョン生活なら永久就職したいわー」とお墨付きを貰っているくらいだし。

 

「おー、どうしたんだいステラ様」

「あー!! 飲み屋のおっちゃん!!」

 

 声をかけられた途端、見知らぬおっさんの方へと駆け寄るステラ。

 え? 知り合い?

 

「楽園から引きずり出されたんですよぉ……ううう」

「はっはっは!! 相変わらずだなぁステラ様は!!」

「笑い事じゃないですっ!! おっちゃんの方は最近どう?」

「んー特に問題はねぇが最近北の石橋が壊れて通行範囲が狭くなったんだよー……元からボロい土地だけどよぉ」

「あーそっかぁ。あそこあんまり改革できてないからねぇ」

 

 改革できてないとかこの国の王がぶっちゃけて良いのだろうか?

 しかし、それでも構わず仲良さそうに会話を続けるステラ。

 

「あ、ステラ様だー!!」

「やっほー!! こんにちわです!!」

「最近大変なんですよねぇ、気温が上がって蒸し暑くてさぁ」

「えーおばさんのとこもそうなんですね。ウチの城も暑くて暑くて仕方ないですよー」

「税を上げるのはいいけど少し上げ幅が……」

「え? 税なんて上げました? 大賢者スライムに聞いてみますねー」

 

 気づけばわらわらと民衆がステラの周りに集まってくる。

 大人気じゃん……普段はあんなんだけど、一応魔王らしく慕われてはいるんだ。

 

「ステちゃんはみんなから愛されてるんやで―。誰に対してもフランクで色んな事ぶっちゃけるし」

「最後は国に関わるものとしてどうなのじゃ……」

「あはは。まあステちゃんは色んな声を聞いては大賢者スライムにそれとなーく話してるし、全く仕事してない訳ではないんやで?」

「「へ、へぇ……」」

 

 あれ? 結構重要な役割じゃない?

 日常会話の中から問題点を見つけ出し、それを大賢者スライムに報告して改善を促す。

 民衆の考えを自らが見て聴いて感じ取る、というのは立場が上がれば上がるほど難しいというのに。

 彼女はサボるという大義名分こそあるが、無意識にそれを王という一番偉い立場で成し遂げている。

 

「ステラって……」

「案外この国にとって大事な存在なのじゃな……」

 

 伊達に500年以上魔王をやっている訳じゃないんだなぁ。

 この時ばかりは私とムーナはステラに関心していた。

 

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