【完結済み】怪力な聖女様は伝説の魔王に愛されている~追放と称してダンジョンで突き落とされた私、最下層に封印されていた美少女魔王を力技で救ったので一緒に旅をしようと思います~ 作:早乙女らいか
「これで全部終わったんだよね……」
「あぁ……」
エージェントは捕まえた。
アクト戦闘員もほとんど倒した。
やらないといけない事は……一つを残して終わらせたのだ。
「ムーナ……」
「ん?」
「その……ね」
残された一つを今から片付ける。
だけど、
(なんて言えばいいんだろ)
伝えたい事が多すぎる。
自分の思いとか、謝らないといけない事とか。
全部いっぺんに言うとわかんなくなりそうだから頭の中で整理して、本当の気持ちをムーナに……
「言わないといけない事とか、いっぱいあってさ」
「おう」
「伝えないとって、ここまで来て……だからね」
「うむ」
「えっと……」
ダメだ、余計にこんがらがっちゃう。
考えれば考える程、言わないといけない事が多くなって。
そもそも受け入れてくれるのか? 怒っていたら話を途中で打ち切られそうだし。私だって悪い事をしたんだ、許される保証なんてどこにも無い、全部が上手くいくとは限らない。
だから……だから……
「……ひぐっ」
「っ!? 何故泣くのじゃ!?」
「だってぇ……だってぇ!!」
結果、感情がぐちゃぐちゃになって泣き出してしまった。
「ムーナがいなくなるから!! ムーナが変なことするからこんな事になるんだよぉ!!」
「は、はぁ?」
「ずっと傍にいるって言ったのにいなくなってさ!! 手紙一つ置いてどっか行くなんて薄情者だよ!! こっちはキスした時の温もりに飢えて辛かったのに……ばか!! あほ!! ばか!!」
ああ、ダメだ。
一番やっちゃ行けない逆ギレをしてしまった。泣きながらキレ散らかす私にムーナは呆れちゃってるし。
「お、お主こそなんじゃ!! わらわを求めていた癖にベッドで他の女と寝おって!! 後は妹達からやけに慕われて鼻の下伸ばしてたではないか!!」
「伸ばしてなんかない!! 嬉しかったけど!!」
「嬉しかったのではないか!! だったらわらわなんて必要ないではないか!?」
「っ……!!」
ムーナまでヒートアップしてしまった。
仲直りをするつもりが悪化したではないか。
お互い感情的になりすぎて、抱えている事を全てぶつけた結果がこれだ。
でも、さっきムーナが言った言葉……
「そんな事ないもん!!」
必要としてないという言葉にカチンとくる。
「私をここまで引っ張ってくれたのはムーナだよ!! 誰かといる楽しさを与えてくれたのもムーナだよ!! いっぱいいっぱい自信を分けてくれたのも、ムーナだよ!! 私はムーナにいっぱい助けられたし、いっぱい感謝もしてる!!」
「……」
私はムーナがいなければここまでやっていけなかった。
村を出て、周りに恵まれずいい様に利用され続けた私。そんな私に手を差し伸べて、色んな世界や体験、自信をくれたのがムーナだ。
「そんなムーナが……そんなムーナが……!!」
色々言ったけど、私が彼女に対して一番抱えている想いというのは
「世界で一番愛してるの!! ムーナがずっと傍にいて欲しい!! 一生私から離れて欲しくないよ!!」
「っ!!」
心の底から大好きだっていうことだ。
「私だって悪い事いっぱいしたし、情けない所もいっぱいあるよ……でも、ムーナが傍にいて欲しいよ……ワガママだけど離れ離れはもう嫌なの……」
「ショコラ……」
「……ごめん」
全部を吐き出して、燃え尽きたかのように感情がリセットされる。
冷めた心に好き放題言ったことに対する自己嫌悪が重なり、膝が崩れて再び泣き出してしまう。
「……ありがとう」
「……っ!!」
泣いてうずくまる私を優しく抱きしめるムーナ。私が魔力欠乏で苦しんでいた時と同じようだ……暖かくて、優しさに溢れている。
「その、思う事はあるがお主といた日々は楽しかった。わらわもここまで惹かれる者というのは会ったことが無かったし……えと……」
「つまりどういう事?」
「へっ……?」
我ながらいじわるだと思う。
私もムーナも答えが分かりきっているからか、お互い顔を赤くしているし。
でも、ムーナはちゃんと言ってくれるって信じてる。
「ちゃんと言わないと、わかんない」
「っ!! あぁ、もう!!」
ムーナは私に向き直り、恥ずかしそうな表情を浮かべながら
「わらわも、お主の事が大好きなんじゃよ!!」
「っ……!!」
ヤケクソ気味に自らの想いを叫んだ。
「ムーナ……!!」
「へ? わ……んっ」
再び跳ねる心臓。
感情が爆発し、勢いでお互いの唇を重ね合わせる。
「んっ……ふぅ……」
「ショ、コラ……」
「ムーナ……」
魔力供給ではない。
自身の空気や魔力を分け与えない、お互いの唇を味わい合うだけの行為。
だけど……幸せな気持ちを確かめ合える。
「ぷはっ……」
「はぁ……はぁ……」
少したった後、唇を離す。
熱っぽい表情はそのままに、互いの視線を外さず見つめ合う静かな時間が訪れた。
「いきなり何をする……」
「つい……」
「大胆すぎるぞ……お主」
「だって……ムーナの事が愛おしすぎて……」
「ばかもの……」
こういう所は成長してないと思う。
感情的になってムーナを傷つけたと言うのに、同じような事を繰り返している。
「けど……これが愛というものなんじゃろうな……」
「そうだね……」
良いこと悪い事全部ぶちまけて、キスで色々とうやむやにして。
かなり無茶苦茶な愛情表現だと思う。
「ムーナ……」
「ん?」
「ずっと一緒だよ……」
「あぁ、今度こそ約束する」
「ありがとう……大好き」
「わらわも大好きじゃよ……」
けど……これが私達らしいのかも。
微笑み合って少しした後、夕日と共に再び唇を重ね合わせる。
いつまでも愛してるよ、ムーナ。
〜〜〜
「さーて、次の国が楽しみだね」
「亜人やエルフ等、色んな種族が暮らす国じゃったな? わらわもワクワクしておる」
再びデモニストに戻り、少しの時間が過ぎた後。私達は馬車の中で揺られながら、次の目的地へと向かっていた。
「で、なんでボクまでいるんですか!?」
「どーせお主はぐーたらするじゃろ。だから無理やり連れて来た」
「うっ……うう……」
「まあまあ……ウチもおるし、な?」
「エメさぁん……」
勿論ステラとエメラルも一緒に。
ステラは大賢者スライムから「世界の視察って事でいいんじゃないですかねー」と言われてしまった為、むしろ帰る理由を無くしている。悲しいね。
で、ステラが旅をするからとエメラルもくっついて来た。
「ふふっ」
「ん? どうした?」
「いや、幸せだなぁって」
「……そうじゃな」
騒がしいのは好きだ。
見ていて飽きないし、ギスギスしているよりは楽しい方がいいと思うから。
何より
「ムーナ……大好きだよ」
「っ!! わらわも……大好きだ」
愛している人が隣にいてくれる。
それが何よりの幸せだ。
「こーいう時は可愛らしくていいのに……なーんでいつもは頑固ババアなんですかねー」
「ステラよ……お主は一度死を味わった方が良さそうじゃな?」
「ひいいいい!? 許してくださいお願いします何でもしますからー!!」
「誰が許すか!! このバカ者がァ!!」
このやり取りも見慣れたものだ。
だけど見慣れたものこそ大事で、離れ離れになって改めて実感する。
「ムーナ……手、つなご」
「へ? あぁ、うん……」
怪力な私ですが、今は伝説の魔王に愛されて幸せです。
〜終〜
ここまで見ていただきありがとうございました!!
一度ハイファンタジーで文庫本一冊分の物語を書きたいと思っていたので完結出来てほっとしています。
次回作は未定ですが、遅くても再来月までには投稿したいと思います。
それではまたノシ