ソードアート・オンライン 〜英雄の槍〜   作:オトマトペ

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はい、また二週間!!
継続して投稿できてることはいいことかなー。
最近は少しずつ涼しくなってきて過ごしやすくなってて良き

P.S.

予約投稿完全にミスってた!
それと誤字報告ありがとうございます!


夜の森

オレ達が黒(ダーク)エルフの野営地に戻ってきて早くも3日が経った。この三日間、クエストを無我夢中で進めてきてオレやキリトのレベルは16に、ミトやアスナは15に上がっていた。しかし、その中でも驚いたのはパーティーに加わっていたキズメルのレベルも上がったことだ。レベルアップのエフェクトが出た時オレ達はギョッとしたのだが、キズメルのレベルアップのことを理解しているのか、我が剣の腕も上がったな、と呟いていた。この世界のNPCは従来のMMORPGに比べ、高度なAIが使われているのがはっきりと見て取れる。それはさておき今は何をしているかというと・・・

 

「目が冴えちまったな」

 

天幕で全員眠っていた。時間としては深夜2時。日が昇る前の時間だ。横を見ればミトがぐっすりと眠っていた。この三日間クエストを連続でこなしていたのだ。疲れが出るのも致し方ない。

 

「・・・二度寝する・・・か?」

 

何かが足りない。そう思って辺りを見渡す。ミトの横にはキズメルが眠っておりその隣はアスナがピシッとした寝相を見せていた。本来ならば、その隣にキリトが眠っているはずだ。だが、そのキリトの姿がなかった。

 

「あいつ、どこに行きやがった?」

 

オレは天幕の外に出る。野営地を探し回るがその姿は無かった。仕方なく夜の見張りをしているNPCに聞いてみる。

 

「夜遅くにすまない。人族の剣士を見なかったか?」

『ああ、見たぞ!司令官殿から司令を出されてな。ついさっき夜の森に入っていったぞ!』

 

司令官・・・まさか、あいつは連続クエストの続きをクリアしに行ったのか!?となるとあいつ下手したら1人で森(フォレスト)エルフに囲まれることになるぞ!

 

「あの馬鹿は!」

 

マップを開くと既にクエストは進行していたのか森(フォレスト)エルフのキャンプの場所が光点で表されていた。それを頼りに夜の森を走り始める。ここの森はプレイヤーを迷わせる霧が発生するが既に四日程滞在していれば地形は否が応でも頭に入っている。記憶を頼りに森(フォレスト)エルフの野営地に近づいてくる。その途中の河原に差し掛かった時キリトと1人の人影が向き合っていた。

 

「見つけたぞ」

 

オレは近くの木の幹に隠れて様子を伺う。人影のカーソルを見れば、それはプレイヤーを示すグリーンだ。そのプレイヤーは鱗片鎧(スケイルアーマー)を着込み左腰に片手直剣を吊っている。そして、頭を覆っているのは鎖頭巾(コイフ)だった。

 

「あいつは・・・確かDKBの・・・」

 

プレイヤーは数日前リンドとエルフクエストを受けていたパーティーメンバーの1人だった。プレイヤーはにっこりと笑みを浮かべ、場違いともいえる明るい声を響かせる。

 

「いやあ、バレちゃいました!流石ですね!自分この距離、この暗さで看破(リピール)されたの初めてですよー。しかも、目じゃなく勘ですよねこれ!」

 

プレイヤーは無邪気ともいえる声で舞台がかった様子を見せながら捲し立てる。しかし、声量は近くにある森(フォレスト)エルフのキャンプには届かない範囲だ。そして、あいつの話的にモルテは恐らく隠蔽(ハイド)していたのだろう。何が目的かは知らないがタチが悪い。そんな様子のプレイヤーにキリトは口を開く。

 

「アンタ、DKBのモルテだな」

「おー、主街区にはいなかったのにもう自分の名前知ってるんですかー。いかにも、自分モルテといいます。名前の由来は・・・・とってもモテるから、なんてね?自分そんなモテてませんでした!」

 

あははー、と笑いながらのモルテの姿は一言言うなら不気味だな。軽妙に見せているが内面は見せようとはしてこない。

 

 

「こっちは名乗らなくても良さそうだな。俺がここに来ることも想定していたんだろ?」

「あは、それだと自分がキリトさんを待ち伏せしたみたいじゃないですかー」

「みたいじゃなくて、事実だろ。リンドの指示か?」

 

キリトは背にある剣を握りながらモルテに問う。

 

「いやいやー、自分の独断ですよー!同じエルフクエストをしてる憧れのキリトさんに会えるかも?なんて思ったり・・・と言っても信用しませんか?」

「当たり前だろ。そこを・・・」

 

キリトはイラついてるのを抑えている様子でモルテに一歩詰め寄る。それを見たモルテは片手をあげてキリトを静止して言葉を紡ぐ。

 

「あ、いやいやなにも用もなく立ってた訳ではないですよ!自分がお願いしたいことはひとつ・・・エルフクエストのことを完璧に忘れることは出来ません?」

 

エルフクエストを忘れる。つまり、ここでクエストを放棄するということか。それをすればオレ達の数日間の努力は水の泡になるだろう。それをキリトは選択するわけもなかった。

 

「お断りだ。俺達の背負うリスクが多すぎるから・・・といったら?」

「うーん、それじゃあ、仕方ないですね。キリトさんには悪いですけど・・・死んでもらいましょう」

 

そう呟いた瞬間、木の上から殺気を感じた。その殺気を感じた瞬間オレの身体は木の影から飛び出していた。上を見れば1人の男が舶刀(カトラス)を振り下ろしながら降下してくる男のプレイヤーがいた。

 

「ヒャッハー!!その首もらうぜェェェェェええ!!」

「チッ!伏兵か!」

 

オレは両手槍スキル突進技《トラスト》を繰り出す。だが、ソードスキルを発動するとジェット音の様な甲高い音が鳴る。当然プレイヤーにら気づかれるが、それが狙いだった。

 

「あん?来るなよ。クソが」

 

男は槍をギリギリで交わす。しかし、その行動でキリトに刃が振り下ろされることはなかった。

 

「た、タキ!?どうして、ここに!」

「今はそんな場合じゃねぇ!構えろ!」

 

オレは油断なく槍をカトラス使いに向けながら動揺しているキリトに叫ぶ。カトラス使いのカーソルはオレンジだった。状況から見てモルテの仲間だろう。キリトもそれで、動揺は収めたのか背中合わせでモルテを見る。モルテはというとカトラス使いを見てやれやれ、と言わんばかりに首を横に振る。

 

「エリックさん失敗してるじゃないですかー。作戦前のあの自信はどこに行ったんです?」

「うるせえな!横槍入ったんだよ!言葉の綾とかじゃなくマジもんの!」

 

エリック・・・カトラス使いの正体に行きつきオレは内心ため息をついた。まさか、こんな形でこいつに会うとは思いもよらなかった。

 

「まさか、お前が人殺しの真似とはな。エリック」

「はあ、俺のことを知ってるってことはお前もベータテスターかよ!なんだ、名前を言ってくれ!」

「・・・タキだ」

 

エリックは頭を掻きながら名前を口の中で繰り返していた。

 

「タキ・・・タキ・・・ああ、思い出した!お前俺とベータテスト時代に臨時で組んでいたタキか!いやぁ、こんなとこで再会するとはツいてるぜぇ!」

 

エリックはオレを思い出したのか、ハイテンションで叫ぶ。その声量は先ほどのモルテの比ではない。

 

「エリックさん、うるさいですよー。このままじゃリンドさん達に自分らのことバレちゃいますって」

「バレて困るのはお前だけだろ?俺には関係ねぇ。人をぶった斬れるんだったら何でもな」

 

モルテは笑顔を消してエリックに問い詰める。しかし、エリックは知ったことではないと言わんばかりに返した。

 

「エリックってタキが前に言ってた・・・」

「ああ、エルフクエストの時に臨時で組んでた奴のひとりだよ」

「んー、お前ミトはどうしたよ?そこにいる黒ずくめがミトってことは獲物を変えてる以上は考えられねえ。まさか、死んじまったか?」

「あいつは、元気に生きてるよ。まあ、居場所なんざ言うわけねえが」

「だろうなぁ・・・まあ、いいや。そろそろ、こんな腹の探り合いは勘弁しようぜ」

 

久々の再会だというのにエリックはカトラスを構える。エリックのカーソルはオレンジだ。加減等を気にする必要はないだろう。

 

「キリト。モルテのことを頼めるか?殺す必要はねえ、足止めでいい」

「それはどういう・・・」

「はあ、自分はキリトさんと決闘させてもらいましょう。デュエルですよ!」

 

モルテは芝居がかった様子でキリトにデュエル申請を送る。どうやら、モルテの方はカーソルをオレンジにするのはいやらしい。キリトも送られてきた申請をウインドウに表示する。だが、それに不満を持つものがひとり。

 

「おいおい、モルテ!テメェ、デュエルで決着たぁ、随分甘いんじゃねえのか?」

「自分は、エリックさんと違ってギルド所属ですから。それで、キリトさんどうします?」

「・・・わかった。受けるよ。俺が勝ったらここから引いてもらう」

 

キリトはウィンドウに現れたデュエル申請を承諾する。すると、キリトとモルテの二人の中間にデュエル表示が現れ、開始までのカウントダウンが始まる。

 

「んじゃ、オレ達も・・・なんて訳には行かねえよな?」

「あったりまえだろうが!俺はそこの黒いのを殺しに来てんだぜ?それをむざむざ引き下がれってのは冗談きついぜ」

 

エリックは・・・恐らく引き下がることはないだろう。その眼は狂気の色に染まっていた。

 

「そうかよ・・・キリト、モルテのこと頼んだぞ」

「待て!そいつは・・・」

 

オレはキリトの言葉を無視し、エリックに突っ込んだ。ソードスキルを使わず連続で突きを放つ。

 

「どわぁ!?」

 

エリックは受け切れず、数回槍の穂先を喰らいHPが減少する。しかし、彼のカーソルはオレンジ。オレンジのカーソルを持つプレイヤーを攻撃してもオレのカーソルがオレンジになることはない。

 

「チッ!ここじゃ、アイツらが邪魔だ。場所を変えるぞ」

 

エリックはオレを見ながら森の奥に走り出そうとする。オレは一瞬追うのを躊躇った。オレがここから離れた場合、キリトにまだ姿を表していない伏兵が襲いかかる考えが浮かんだ。だが、キリトを観察している視線は感じなかった。

 

「言っておくが俺以外に伏兵は居ねえぞ。俺の楽しみが減っちまうからな」

「そいつはどうも」

 

エリックの言う通り、もう気配は感じない。エリックの性格上ここで、嘘を吐くこともないだろう。オレは槍の刃先を地面に摺る。エリックもカトラスを手のひらでくるくる回し始める。オレ達は決してふざけているわけではない。これはオレ達が殺し合うための・・・儀式だ。だが、エリックの目は何かを狙っている。考えていること自体は・・・ある程度読めていた。

 

「さあ、おっ始めようか!」

 

エリックは河原の石をオレに向かって蹴り飛ばす。所謂目隠しだ。だが、それをしてもエリックの殺気は消えていない。

 

「シャアァァァァアア!!」

 

エリックは曲刀スキルの単発技《リーバー》を放つ。オレは冷静に後ろに仰向けで倒れ込む。

 

「な!?」

「ゼァ!」

 

体術スキルの《弦月》が発動しエリックを蹴り飛ばす。エリックは突然のことに首筋にモロに蹴りを受ける。現実だと、首筋に蹴りが来ると意識を落とすことはあったが、ここは仮想世界。痛みで気絶なんてことはなかった。

 

「面倒だな。それに見え見えだ、お前の魂胆は。お前は決して武人ではなく殺しが好きなだけ、だろ?」

「テメェ・・・それで勝ったつもりかよ!俺の考えを見透かしたからか!ナメてんじゃねえ!」

 

エリックは反転し走り始める。ここで放置するのもありだが、あいつをほっとけば何をするかも分からない。キリトの方を見ると、モルテと互角か少し押し気味だ。

 

「お前はオレよりも強い。信じるぞ、キリト」

 

オレはそう呟くとエリックを追いかけ始める。エリックのアジリティは早い。しかし、余裕のつもりか時々振り返り、オレの方を見る。オレ達の目線が交差した時エリックは止まり、体ごと振り返った。

 

「余裕だな」

「・・・ここまで来れば横槍は入らねぇ!思いっきり暴れられるわけだ!」

 

エリックはそういいながらカトラスを振り回す。その斬撃はオレの予想よりは速い。オレは槍でカトラスを受け流す。袈裟斬り、唐竹、薙ぎ払いとエリックはカトラスを振るうが、当たらない。オレもまた槍で刺突を放つがアジリティを生かして回避する。

 

「お前がベータテストの最後に最上階に居たと聞いた時はたまげたぜ!まさか、オレ達より上に居たとはな!」

「元々、オレとミトとはエルフクエストの時だけのパーティと決めていただろ?」

「おいおい、勘違いすんな?別にそれはどうでもいいぜ。たださ、そん時はミトも一緒にいただろ?それで、デスゲームとなってるここでも一緒に攻略してるらしいじゃねえか?」

 

そう言いながらカトラスを振るエリックは楽しそうに嗤っていた。嗤いながらカトラスを振るう。オレは槍を回転させ、エリックを間合いの外に押し出す。

 

「しかも、アイツ本当は女だったとはな!いやぁ、傑作だぜ!前線に出ればアスナちゃんと並べば喝采の声が上がる・・・あんな美人と一緒に攻略してるテメェと黒ずくめは相当恨まれてるぜ?」

 

恨まれているか・・・攻略会議やボス戦の時にある程度は知っていたがそれもそうだろう。ミトとアスナはこのゲームどころか現実世界でも、並ぶものはそうそういないと思える美貌だ。それが分かれば、オレ達に批判の目が向くのもどうしようもない。エリックはオレに攻撃が当たらないことにイラついてるのか口でオレを動揺させようとしているのだろう。だが、動揺せずに攻撃を捌き、少しずつ槍の刃先が擦り、ダメージが蓄積していった。

 

「アイツら裏では、あんなにモテてることに鼻にかけてんじゃねえのか?お前みてえなイケメンに力を借りながら攻略集団のトップに立ってる。そんな奴と一緒にいる理由はあるか?」

 

カトラスが右足に迫るがオレは槍を地面に立て、踵落としを喰らわせようとする。エリックは左上腕で受け止め、バックステップで距離を取る。だが、その口は止まらない。

 

「女達からいいように扱われて攻略集団からは邪魔者扱い。お前、そんな頑張る理由あるか?」

「・・・・」

 

オレは槍を構えて《トラスト》を放つ。だが、それをみたエリックもは曲刀跳躍技《レイジング・チョッパー》で迎え撃つ。

 

 

ギャリィイン!!

 

オレ達の間に火花が散り獲物を振り抜いた姿のまま背中合わせになる。暫く、この場に静寂が支配するがそれはすぐに崩れることとなる。

 

「ぐぁ!?」

 

エリックの横腹に血のようなダメージエフェクトが現れる。それと同時に、オレの頬にも一筋の傷が出来る。しかし、お互いのHPは半分も切っていない。オレが八割、エリックが、六割ほどといった感じか。エリックは笑いながらなんでもないように口を動かす。

 

「確か、裏じゃ?傷野郎って渾名が付いているな?そんな不細工で間抜けな傷、どうやってついたんだか?」

 

エリックはまだ続けるが、その表情に余裕はもうない。オレの変わらない態度にエリックは不気味に思えていたのだろう。それが、奴に判断を誤らせた。

 

「ああ、そうだ。あのミトの首を切り落としたらさぞ気持ちいいんだろうなぁ!!どんな悲鳴を上げるのか!どんな顔で泣き叫ぶか見てみた「もういい」・・・は?」

 

オレは冷たい声を出した。もはや、我慢の限界だ。この傷(・)についても不細工と言った。それまでだったら、オレの過去の罪だ。そこに他者から何を言われようがオレが背負うべきもので気にしない。だが、あいつは言ってはならないことを言った。

 

「お前の御託はもういいって言ってんだよ。ミトを殺すだ?お前もオレの大切を奪うってのか?・・・テメェ、そんなことを宣って、自分は死なねえ。なんて、思ってんじゃねえだろうな?」

 

オレの全身から怒りが溢れる。とても熱い怒りが。その様相を見たエリックは一歩後ずさる。だが、それを自覚したアイツもまた、恐れながらも怒りを見せる。

 

「テメェが俺を殺すってのか・・・出来るのかよ!テメェ見たいな人を殺したこともない奴に?オレは既に三人の首を落としてんだぜ!殺し童貞のお前じゃ、俺を殺すなんて無理な相談だぜ!!」

 

殺し合いは・・・終わらない。否、オレ達の間にはお互いの命を奪うことでしか止められない。それは、オレの昔を嫌でも思い出させる。そんな瞬間だった。

 

 

 

 

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