かのんちゃん留学if 独自解釈に基づく。
どうしてもかのんにりゅうがくしてほしかった
ウィンちゃん加入記念に。かいたのは二期終わってちょっと後。

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夢の先

 

 

「優勝は…、結ヶ丘女子高等学校 の 『liella!」でーーーす!!」

司会の女性の絶叫のような大声と共に、会場中央のモニターに、大会の勝者の姿が映し出された。

ラブライブ全国大会。日本全国のスクールアイドルから1番を決める大会。

わたし澁谷かのんは、ずっとこの大会で優勝することを夢見て、Liella!のメンバー皆と一緒に頑張ってきた。

そして、遂にその時がやって来たんだ…。

 

 

「ゆ、ゆう…しょう…?」

「かの〜〜〜〜んっ!!」「やりました、やりましたよ〜!クゥクゥたち、優勝デスー!!」

クゥクゥちゃんが飛び込んできて、ほっぺたがひっつく。

それを皮切りに皆が私に向かって飛び込んでくる。

ただただ夢中だった、ずっと夢見ていた憧れのステージで、大好きなみんなと歌っていられる。たくさんの人達に歌を届けられる。そんな喜びが全身を伝い、ステージで歌っている瞬間は、

勝つとか負けるとかそんなことすら、何も考えられなかったんだ。

私はこの1日の事をずっと忘れない。

 

ーーーー

 

午前四時 飛行機

 

 

「ん、んん…。」

目が覚めるとわたしは飛行機の席に座っていた。

 

「ゆ、め…?」

ついこの前の光景が夢に出てくるなんて、それだけ、ラブライブ優勝という出来事は、わたしにとって特別な日だったったんだ。

 

「ううん、夢じゃない。本当に優勝したんだ。私たち。」

あの日の興奮を噛み締めながら、私の目が覚めていく。

 

「それにしても、これから本当にウィーン音楽学校に留学するんだな…」

 

わたしは昨日の事を思い出していた。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

12時間程前 午後4時 頃 結ヶ丘高校 校門前

 

「見ての通りよ、留学は中止」

結ヶ丘の制服を着たマルガレーテちゃんは唐突に言い放った。

 

「え?え、えええええええええぇー!?」

「ど、どういうこと?だってそんな唐突に、だってもう準備も終わってるし、いや、そもそも留学が中止ってなに?そんなのあり?そんなあはははは。」

私は混乱していた。あまりにもいきなりの展開に頭が回らなかった。

「ちょ、ちょっと、何を勘違いしているのか知らないケド、あなたの留学が中止になったけではないわ。」

「へ?」

「私があなたの留学について行き、一緒にウィーン音楽学校へ入学する。というのを私が辞めたのよ。私は結ヶ丘に入るの。」

「…あ、あぁあそういうことね!、なぁんだあ、マルガレーテちゃんがややこしい言い方をするから驚いちゃったよ。」

「ゴメンなさい、日本語ってまだ慣れなくて。」

そうだ、マルガレーテちゃんはオーストリアから日本に来てるんだった。なんだか当たり前のように日本語で話してるから何も思って居なかったけど…。

「あれ?でもさっき手紙がどうのって言ってたのは…」

「…もしかして、手紙まだ読んでいないの?」

「うん。」

「そう…。あれは私とお母様からのお詫びの手紙、私たち家族の問題に安易にあなたを巻き込んでしまったと、お母様は言っていたわ。」

「そっか、そんなこと別にいいんだよ、留学の話は私にとっていい機会だったから。」

「まだ読んでないならちょうどいいわ、今ここで直接謝るから。

今までの事、ゴメンなさい。」

「そ、そんな、確かに色々あったけど私だってちょっと熱くなって言い過ぎちゃったこともあるし私の方こそごめんなさい!」

「いいえ、あなたは悪くないわ、それに、ラブライブの事だって。」

「…」

「私どうかしてた、目の前の目的にばかり囚われて、この世界のことが何も見えてなかった。」

そう言ったマルガレーテちゃんの顔は落ち込んでいるようだった。

「ねぇ、マルガレーテちゃんは、まだラブライブのことをつまらないものだって思ってる?」

「…分からないわ、ただ、決勝でのあなた達のステージを見た時、なにか、今までかんじたのとのない何かをかんじた。わたしはそれが知りたくて、ここに来たの。あなた達の過ごしているこの場所なら何かつかめるんじゃないかって。」

「そっか、それならマルガレーテちゃんもここでもう一度スクールアイドルやってみればいいんじゃないかな?」

「…私にはもうスクールアイドルをやる資格はないわ。みんなの前であんなに言ってしまったんだもの、例えやりたいと言っても誰も許してはくれない。」

「でも…、」

「いいのよ。それもわかった上でここに来たの。

私は私自身の力で歌を追求する、それが出来ればいい。誰の力も頼らない。

だから貴方について行くのも辞めたの。やっぱりそんなのかっこ悪いしね。」

「…そっか。それならお互い頑張らないとだね。」

「ええ、あなたもね。それじゃ。」

そう言って立ち去っていったマルガレーテちゃんの姿は少し寂しそうに見えた。

 

…さっきのマルガレーテちゃんを見た感じだと、今はスクールアイドルの事にも興味がありそうだった。

どうにかしてあげたいけど、これからここを離れる私じゃあきっと力になってあげられない。

「…皆には後で、メッセで事情を話しておこうかな。」

あの時(東京大会の後)だって皆怒っていたし、確かに簡単には受け入れられないのかもしれない。

でも、この学校も最初は普通科と音楽科で対立していたこともあったけど、1つになれたんだ。

だからきっとマルガレーテちゃんだって大丈夫、だよね。

 

 

 

ーーーーー

 

「はぁ、そういえば皆に追い出されたんだったけ…」

なんだか少し冷たかったな皆、一緒にいられる最後の日なのに。

ピロリン!

「あ、メッセきてる。」

 

クゥ 〔かのん、大事な忘れ物があるのですよ。戻ってくるです!〕

 

「忘れ物?」

なんだろう、とにかく急いで戻ってみよう!

 

 

午後4時15分 部室

 

「あれ?部室真っ暗だ」

 

あかりの消えた部室に入ったその時、部屋が明るくなった。部室はいつの間にか、華やかに装飾されていた。

壁の上の方に掛けられている垂れ幕には『かのんちゃん留学祝 壮行会!』と書かれていた。

「壮行会?」

「そうだよ! 今日はかのんちゃんの前途を祝して、壮行会を行いたいと思います!」

と、ちぃちゃんが部室の奥から元気よく飛び飛出てきて言った。

その後に続くように皆も現れた。

「かのん、さっきは追い出すようなことして申し訳なかったのです。」

「どうしてもサプライズでかのんさんをお祝いしたかったのです。すみません。」

「全く、そんなやり方、わたしは反対したのよ。でも皆がどうして持って言うから…」

「そういうすみれ先輩だって、なんだかんだノリノリで準備していたんですの」「なっ!?」

「そんなわけなんだけど、何だかごめんね勝手に進めちゃって。」

「…ううん、皆、ありがとう。私本当にうれしいよ。 」

私は皆の気持ちに涙が溢れそうだった。

「時間とかは大丈夫?」「うん、準備はもう出来てるから。」

「よぅし、それじゃあ今日は皆でおやつ食べたりゲームしたりしてたのしもー!」

とちぃちゃんが高らかに叫んだ。

「「おー!!!」」

続いて皆が元気に叫んだ。

 

ーーーーーーー

 

「今日の為に新しい発明をしてきた。 ジャンケンマシン。簡単chocolate製造機。超ホレ薬。」

「なんかとんでもないものが混じっていないか?…四季」

「四季さん、この小さい子犬さん?はなんでしょうか」

「恋先輩。それは子犬型メカ、本当の犬のように動くことが出来る。」

「まぁ!可愛いですね、チビの傍に置いておいたら喜ぶでしょうか。あっ待って〜」「時に元気すぎるのが玉に瑕。」

「このクッキーとっても美味しいっす〜!かのん先輩もどうぞっす。」「ありがとうきな子ちゃん。パクっ。

本当だすっごく美味しい〜!。」

 

ーーーーーーーー

 

「クゥー!このステージは大得意です、負ける気がしないです!」

「なんのこっちだってー。ヨッシャー!!スターでごぼう抜きったらごぼう抜きなのよん!!」

「く、くそー、まけないですよすみれー。」

「オーッホッホッホ!レース界ナンバーワンクゥィーンはこの平安名すみれがいただきなのよー、って、わああああ!なんななのよこの穴わあああぁぁー、ギャラクシーー。」

「ふっふっふん、やはりクゥクゥが1位なのですよ。やはり日頃の行いが良い人には運も味方してくれるのです。」「な、なにおう、私だって普段から神社で働いてるのだから神様の御加護があるはずなのよ!」「すみれがどれだけ善き人でもクゥクゥはさらにその上をゆくのです。クゥクゥの愛は全てをつつみこむのです。」「何言ってるかわかんないわよー!次は絶対負けないんだからー!」

わーぎゃー!わーぎゃーー

「…相変わらず凄いんですのあの2人」「このレースゲーム可可先輩とすみれ先輩のデッドヒートが凄すぎて誰も追いつけないっす。」

「あはは…」

 

 

それからも私たちは日が暮れるまでずっと遊んでいた。

楽しい時間は過ぎるのがあっという間だな。

 

ーーーーーーー

 

午後8時30分 部室

 

「ふぁ…。」

皆は遊び疲れて眠っていた。

私も少し眠ってしまっていたのだけど、ママからの連絡で目が覚めた。

空港に向かう時間にはまだ少し余裕があるけど、そろそろ行かないといけない。

「無理に起こすのもかわいそうだし、このまま帰ろうかな。」

 

私は部室を出て皆より先に一足先に帰路につく。

校舎から出ると辺りは既に真っ暗くなっていた。

 

「こうして見ると、夜の学校ってちょっと怖いな」

暗いところは苦手だけど、これから1人でウィーンへ行くんだ。

こんなことではへこたれてちゃいけないと思いつつも、やっぱり少しだけ不安な気持ちに包まれてしまう。

「わたし、ちゃんとやって行けるかな…」

そう呟きながら、校門に近づいていったその時。私の後方から大きな声が聞こえた。

 

 

「かのんちゃーーーーーん!!」

「え…?」

 

 

ちぃちゃんの声に振り返って見る、暗くてはっきりとは見えないけど、校舎の屋上にちぃちゃん達の8人の姿が薄らと見える。

 

そして、屋上から歌声がひびき出した。

 

「きみがくれたメロディ 僕の歌を重ねて歩いていこう〜」

 

「みんな…。」

この曲は私達がラブライブ決勝でも歌った曲。

この曲の歌詞には未来への旅立ちに向かう事へのを背中を押してくれるような前向きな想いが込められている。

「…」

これは、エールだ。歌を通して皆が私にエールを送ってくれているんだ。

8人の美しいハーモニーが学校中に響き渡る。

「…あははっ。」

私は、何を不安に感じていたのだろう。liellaの皆はいつだって隣に居てくれるんだ。例えどこにいても、この歌で繋がっているんだ。

だから何も恐れるものなんてない。

 

……、

歌が終わった。

皆の気持ちを受け取った私も、この想いを返すべく、今度は私から歌い始めた。

 

「ねえ果てしなく広がる空 どこまで続いてくの〜」

 

私は歌う、思いを風に乗せて。

 

「「知りたい、だって旅は、まだ始まったばかりさ~」」

 

そして、1人の歌声はやがて、9人のハーモニーとなり学校中を満たした。

 

「「もっと笑顔でいてほしいから はるか遠く目指すんだ〜」」

 

ラブライブを通して世界に届けられたこの歌も、今は、今このときだけは、この9人だけの歌だった。

この瞬間は一瞬のようでもあり永遠のようでもあった。

 

「「聴こえてきたよ さあ駆け出そう 手を繋いで未来へ」」

 

……。

いつしか音はやみ、私たちはお互いに手を振りあった。

表情は見えないけれど、きっとみんな、とびっきりの笑顔だったんだ…。

 

私立結ヶ丘女子高等学校

音楽で皆が結ばれる、ひとつになれる。そんなすてきな場所。

私はこの学校が、大好きだ。

 

 

ーーーーーー

 

 

午前10時 飛行機

 

「んん、 … また眠ってたみたい。」

目が覚めた私は窓を覗いてみる。その先には青と白で染められた雄大な空が広がっていた。

「もう少しで到着するみたい。」

「これから、どんな世界が待っているんだろう。ちょっと緊張するけど、ワクワクするな。」

歌で世界を、みんなを笑顔にしたい。

そんな私の夢を叶えるために踏み出した1歩。

ここからまた、新しいわたしが始まる。

 

 

 

 

♪〜〜

 

 

ーーー

K H N

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