アイは最強で無敵のアイドルだ。
歌は上手いし、ダンスは上手いし、演技は上手いし、顔はいいし、包丁を持った男にいきなり襲われても余裕で対処できる。

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原作主人公かそれに近しいキャラはいくらでも強くしていいってばっちゃが言ってた



最強で無敵のアイ

 

 

 アイドルグループ『B小町』の絶対的エースであるアイ。

 彼女は最強で無敵のアイドルだった。

 

 彼女は歌が上手かった。

 可愛さと美しさを併せ持った歌声は聴く者全てを心酔させ、CDを出せばオリコン1位は当たり前。また、素の声も非常に魅力的で、ラジオのMCやアニメの声優など幅広い分野でその実力を発揮した。

 

 彼女はダンスが上手かった。

 動きの一つ一つにキレがあり、それでいて息切れをほとんど起こさないほどの強靭なスタミナをその小さな身体に宿していた。素の身体能力も高く、ライブの演出でバク宙を披露した際などはメディアやSNSで広く話題を集めた。

 

 彼女は演技が上手かった。

 アイドルを務める傍らで役者の仕事も同時にこなしており、任されるのは毎回主演か、そうでなくてもそれに近しい役がほとんどだった。役者としてデビューした年に新人賞を獲得し、その数年後には主演女優賞にも選ばれ国内外問わず広く認知されるようになった。

 

 彼女は顔が良かった。

 可愛く、美しく、そしてかっこよかった。経験豊富な大人を彷彿とさせる魅力と箱入り娘のようなあどけなさを同時に備え、太陽のように眩しい笑顔は男も女も子供も老人も人種さえも関係なく視る者全てを惹きつけ一目惚れさせた。

 

 

 歴代最高のアイドルは誰かと聞かれたら、誰もが彼女の名前を答えずにはいられなかった。

 他人に縋らず、奔放で、孤高で、強くて、後悔なんて一度もせず、最強で無敵で唯一無二の、理想の全てを詰め込み体現したような自他共に認める究極のアイドル。

 その名を知らない者は日本におらず、人類という人類全ての『推しの子』が彼女であると言っても過言ではなかった。

 

 

 しかし、そんな彼女の歌を生で聞くことが今はもうできない。

 チケットの争奪戦は二度と起こらないし、握手会だって開かれないし、彼女が出演するドラマや映画作品もこれ以上増えることは永遠にない。

 

 なぜなら──。

 

 

 

 

 

 

 

 彼女はすでに、アイドルを始めとする全ての芸能活動を引退しているからだ。

 

 

 

 ☆★☆★

 

 

 

 アイが20歳の誕生日とドーム公演を一週間後に控えたある日のこと。

 彼女は電話ボックス内からとある男に連絡を取っていた。

 

「ねえ、子供たちも結構大きくなったし一度会ってみない? いや、寄りを戻すとかそういう話じゃなくてさ。この前うちの子たちが『自分たちの父親は誰だろう』って話してたんだけど、最終的に処女受胎って結論になってたんだよ? やばくない?」

 

 その内容はとてもではないがトップアイドルが口にしていいものではない。

 当然、周囲には最大限の警戒を払っている。

 

「いや、『さすが君と僕の子だ』じゃなくてさ。二人とも凄く賢いし、私たちの事情もきっと分かってくれるよ。……うん、新しい住所はね──」

 

 しかし周囲への警戒は怠らない一方で、電話相手への警戒はやや不足していた。

 現住所という最重要機密情報をあっさりと口頭で伝えてしまう。

 

「あ、見て見て、目の前に私の特大ポスターが貼ってある! それに最近Twitterのフォロワー数も100万人を突破したし、来週にはドームで──って切られた!?」

 

 まだ話の途中だというのに何たる暴挙か。

 仕方なく、アイは受話器を元の場所に戻した。

 

「まあいっか、会う約束は取り付けられたし。父親と会ったら、ルビーとアクアはどんな顔するかなぁ。驚くかな? 喜ぶかな? あーでも、怒ったり哀しんだりしたら嫌だなぁ……」

 

 その時のことを想像しながら、アイは最愛の我が子たちが待つ家へと帰宅した。

 

 

 

 それから一週間後。ドーム公演当日。

 これからライブ会場に向かおうと準備をしていたアイの元に、予期せぬ来訪者があった。

 本当ならまず最初にモニターで外の様子を確認するか、あるいはチェーンを掛けた状態で相手を確認するのが防犯上では正しい場面。

 しかしアイはインターホンの音に半ば反射的に従い、特に警戒することなく無防備にドアを開けてしまう。

 

「アイ……ドーム公演おめでとう」

 

 目の前には1人の男が立っていた。

 黒いパーカーのフードで目元まで隠し、胸元には大きな白い花束を抱えている。

 張り付けたような口元の笑みといい、明らかに震えている声色といい、男の持つ要素全てが怪しさによって構成されていた。

 

「双子は元気?」

 

 それに加え、アイにとって最大の秘密を口にする始末。

 ここまでお膳立てされてしまえば、警戒するなという方が無理な話だ。

 

 相手が距離を詰めてきたことで、小柄なアイは男の顔を見上げる形になる。

 狂気に塗り潰された表情。不気味な鈍い光を宿した眼光。

 悪意を凝縮して固めたような顔に気を取られている隙に、男は隠し持っていた包丁でアイの腹部を深く突き刺していた。

 

「あっ、えっ…………なん……っ」

 

 否。突き刺した──つもりだった。

 結果だけを見るならば明らかに失敗。男が強く握り締めていたはずの包丁は、いつの間にかアイの手の中に収まっていた。

 いつ手放したのか。いつ盗られたのか。全く分からなかった。

 

「もう、ダメだよ? 包丁を剥き出しで持ち歩いたら危ないでしょ?」

 

 包丁の刃先をゆっくりと指でなぞりながら、アイは子供を叱るような口調でそう諭した。

 たとえ寝込みを襲われようと、背後から狙撃されようと、無傷でやり過ごすのがアイという人間である。

 正面から──それも素人の拙い刺突に対処するなど、欠伸が出るくらい容易なことだった。不意をつかれようが、花束で死角を作られようが、大した影響はない。

 

「ふっ、ふざけんな……!」

 

 アイを自らの手で殺すという野望があっさりと阻止され、男は激昂した。

 

「ふざけんなよっ! このクソビッチが! アイドルのくせに子供なんて作りやがって……ッ! ファンのことを蔑ろにして……ッ!」

 

 男の咆哮を真摯に聞き留めながら、しかし身体は冷静にこの場の最適解を選び取る。

 

「どうせ裏ではずっとバカにしてたんだろ!」

 

 まず一つ目。同じ階の人が偶然通り掛かってしまう可能性に対処する。

 包丁を奪い返そうとしてくる男を躱しながら、開きっぱなしになっていた玄関のドアを閉める。包丁を巡って争う男女の姿など、一目見られただけで通報待ったなしだ。ドーム公演を予定通り行うためには、外部の人間に今の状況を知られるわけにはいかなかった。

 

「散々好き好き言って釣っておいて……!」

 

 二つ目。第三者の安全を確保する。

 この空間にはアイと男以外にアクアの姿もあった。幸い男の視線はアイが独り占めしており、今のところアクアに矛先が向く様子はない。

 アクアの姿がなるべくアイの陰に隠れるように立ち回った甲斐もあって、ルビーの待つリビング──扉を隔てた安全地帯へと避難させることができた。

 

「結局全部嘘っぱちじゃねぇかッ!!」

 

 三つ目。男を落ち着かせる。

 いくら玄関の扉を閉めたからといって、これだけ大声で騒ぎ続けらたら近くの部屋の住人が様子を見に来てしまう可能性もある。

 包丁を奪うのを諦め、直接首を絞めようと伸ばされた両腕を掻い潜りながら、アイは人差し指を男の唇へと優しく添えた。

 

 大声に対して大声で返してしまうと、さらに大きな怒鳴り声として戻ってきてしまう。

 

 故に小さく、優しく、丁寧に。

 脳に直接響くような甘い声を意識して、アイは男の耳元で囁いた。

 

「そうだよ。ぜーんぶ嘘」

 

 男の動きがピタリと止まる。

 アイは乗り出していた身を戻し、男の両手を自らの両手で優しく包み込んだ。

 数秒前まで持っていた包丁は、動きの流れの中で服の中へと隠していた。

 

 至近距離から相手の瞳を真っ直ぐに見つめ、言葉を続ける。

 

「でも、私にとって嘘は愛なの。ううん、嘘こそが愛なの。私なりのやり方で、私なりの言葉で、ずっと愛を伝えてたつもりだよ」

 

 男はアイの瞳の輝きから目を逸らせずにいた。

 距離を取ろうにも全身は硬直したように動かない。瞬きさえも行えない。

 

 じわじわと。ずぶずぶと。

 男の瞳に根付いていたはずの狂気がアイによって書き換えられていく。

 

「君たちのことを愛せてたかは分からないけど、愛したいと思いながら、愛の歌を歌ってたよ」

 

 だが、別に正気に戻っているというわけではない。

 また別の狂気によって強引に上書きされているのだ。

 

「いつかそれが、本当になると信じて」

 

 耳から入ってくるアイの声が。網膜を焦がすようなアイの視線が。指先から伝わってくるアイの温もりが。

 抵抗する余地さえ与えぬまま、男の脳を侵食していた。

 

「今だって君のこと、愛したいと思ってる。愛せたらいいなって願ってる」

「……嘘つけ……俺のことなんて、覚えてもないくせに……!」

 

 男の最後の抵抗にも、アイは蠱惑的な笑顔で答えてみせる。

 

「リョースケくん、だよね? よく握手会に来てくれてた。お土産でくれた星の砂、今もリビングに飾ってあるんだよ?」

「…………なんだよ、それ……」

 

 アイに男がいた事実は変えられない。アイに子供がいる現実も覆せない。

 それでも男は、これ以上何かをしてやろうという気にはなれなかった。

 猜疑心も、抵抗心も、根こそぎ奪い取られていた。

 

 

「こんな嘘にまみれた私だけど──それでも愛してくれる?」

「…………は、はいぃ……!」

 

 アイへと向けていた好意は、かつて真実を知った時に悪意へと裏返った。

 悪意は成長し、膨れ上がり、やがて殺意にまで進化した。

 

 そんな負に振り切れた感情が、今再び裏返った。

 正から負へ。そしてまた正へ。

 結果、男がアイを推したいと思う気持ちは、以前の何倍にも増幅していた。

 

「ああ、そうだ。私これからドーム公演があるんだけど……リョースケくん、チケットは持ってる?」

「いや、持ってない……けど」

「あー……まぁ、そりゃそうだよねぇ」

 

 そもそもリョースケはアイを殺すつもりだったのだ。

 ライブが中止になると分かっていて、わざわざチケットを用意するはずもない。

 

「じゃあはい、これ。ライブのチケット」

「……えっ?」

 

 アイがポケットから取り出し、渡してきたもの。

 それは紛れもなく、今日行われるドーム公演の入場チケットだった。

 

「リョースケくんのために用意しておいたんだよ」

「……嘘、だよな?」

「あちゃー、さすがにバレるかぁ。うん、実は他の人を呼ぶつもりだったんだけど、なんか予定が入っちゃったみたいでね。代わりみたいで悪いんだけど、よかったら貰ってくれない? 今手持ちがこれしかなくてさ」

「いや、それは別に、気にしないけど……」

 

 アイの信者──狂信者となったリョースケにとって、今やその程度のことは些事でしかない。

 たとえこれが夫に渡すためのチケットだったとしても、推し本人から招待して貰えた嬉しさに比べれば鼻くそみたいなものだ。

 

「本当に、俺なんかが貰っちまっていいのか……?」

「うん、私はリョースケくんに見に来て欲しいな」

「でも……」

「そんな遠慮しなくても。プレゼントのお礼でもあるんだから、ね?」

 

 そんなことを言うアイの両手には、襲いかかった拍子に落としたはずの花束と、いつの間にかどこかへ消えていた包丁の姿があった。

 花束はまだいいとして、自分を殺害するための凶器として使用された包丁をあろうことかプレゼントとして受け取ってしまうあたりがアイのアイたる所以である。

 

「花束は部屋に飾るとして、包丁はどうしよう。私、料理はできないんだよなぁ。んー、これを機に少し勉強してみようかな? これでも二児の母なわけだし、お弁当作ったりとかも必要になってくるもんね」

 

 宇宙のような懐の広さと常識に囚われない奇想天外な言動にリョースケは感動を覚え震えていた。

 これこそがファンの極地。

 彼はアイの自宅を訪れた時とはまた別の意味で限界だった。

 

「私、ライブの時は観客全員の顔が見えるんだ。もし来てなかったら分かるから、その時は覚悟しておいてね」

「あ、ああ、行くよ……絶対行く……っ!」

 

 最後に、まるで親しい友人に対するような気安い態度と仕草で、アイはリョースケを玄関から見送った。

 

 

 扉が閉まる。静寂が訪れる。

 アイを視る人間がいなくなると、彼女は途端に真顔になった。

 作り物の笑顔が崩れ落ち、本音が少しだけ滲み出る。

 

「……はぁ、まだ諦めてなかったんだ。いい加減分かりそうなものだけどなぁ。これで何回目だろう? もう数えるのもバカらしくなってきちゃった」

 

 そして、鈍い光を放つ瞳で外へと繋がるドアを見つめながら、小声で呟く。

 

「──私を殺せたことなんてないくせに」

 

 だが、今はあの男のことを考えている余裕はない。子供たちに会って欲しいという純粋な想いを踏み躙られたことや、大切なファンを巻き込んだことには腹が立つが、これから大事なライブが控えているのだ。

 

 気分を切り替えて、アクアとルビーの待つリビングへと戻る。

 扉を開けると、すぐ近くに2人の姿があった。心配しているような、困惑しているような顔でこちらを見上げている。

 能天気な笑みに戻っているアイと違い、その表情は真剣そのものだった。

 

「……大丈夫なの?」

「ん? 何が?」

「その、怪我とか……」

「ああ、そっちか。大丈夫大丈夫。この通り何ともないよ」

 

 アイは全身を見せびらかすような動きで自らの無事をアピールした。

 事実、かすり傷の1つすら負ってはいない。

 

「……なんで、あの男を逃がしたの?」

「そうだよ、警察に通報とか……!」

 

 続く問い掛けにも、アイは何でもないように答えた。

 

「んー、だって特に何もされてないし……。あ、プレゼントは貰ったか」

 

 あはは、と誤魔化すように笑う。けれど子供たちの表情は変わらない。

 アクアとルビーは聡明だ。こんな言葉では納得しないことなど最初から分かりきっている。

 

 それでもアイは表情を引き締めることなく、呑気な態度を貫いた。

 

「私のアンチだった人が、些細なキッカケで熱心なファンになってくれた。今あった出来事は、ただそれだけのことなんだよ。心配しなくても、もう人様に迷惑を掛けるようなことはしないと思うよ?」

 

 そう信じたいだけなのか、それとも確信があるのか。

 どちらにせよ、襲ってきた男に対して恐怖や不安といった感情をアイは全く抱いていなかった。

 

 それでもやはり、それもそうだねと共感するには流石に無理がある。

 アクアはぐちゃぐちゃになっている思考を冷静に整理し──1つ、不自然な点に気がついた。

 

「いや、でも……そうだ、おかしい。何であいつはこの住所が分かったんだ? 最近引越したばかりなのに!」

「えっ、あ、そうじゃん! なんでバレてんの!?」

 

 その疑問について、アイは気まずそうに頬をかいた。

 

「あー、ごめん。それに関しては私のせいだ……」

「……え?」

 

 アイのせい? まさかアイが外部に漏らしたというのか? 

 しかしおかしい。妊娠している事実を周囲に悟らせず、子供の存在をずっとひた隠しにしたままアイドル活動を続けてきたアイが、そんな簡単に個人情報を漏らすような真似をするだろうか。

 危ない発言はしても、それが致命的になるところは見たことがない。

 入院していた際も、最大限の注意を払っていたことをアクアは知っている。間違っても、ただのファンや一般人に知られるような愚行は犯さないだろう。

 

 ──あの男に情報を流した人物がいる。

 その人物は、アイにとってかなり近しい間柄の者だ。

 

 社長やミヤコさん……違う。

 社長はアイを溺愛していたし、ベビーシッター役を通してミヤコの性格も把握している。築いてきた信頼に嘘はなかったし、殺人教唆を行えるような思い切りのよさを持ち合わせているとも思えない。

 

 B小町の誰か……違う。

 B小町とアイの仲はそれほどよくない。その他に友人らしい人や、プライベートで付き合いのある相手を見た記憶もない。

 

 親戚の誰か……違う。

 アイに親戚がいないのは分かりきっていることだし、もし遠縁がいたとしても、その人物によっぽどの問題がなければ真っ先に頼っているはずだ。きっと存在そのものを把握していないか、連絡先を知らないのだろう。

 

 そうして、一つ一つ候補先を消していく。

 すると、最も可能性の高い可能性が頭の中に残った。

 それは──。

 

「……もしかして、俺たちの父親?」

 

 アクアに真実を言い当てられ、アイの顔に驚愕の色が浮かぶ。

 

「は? 何言ってんのお兄ちゃん。私たちに父親とかいないから」

「ルビー、今はそんな冗談を言っている場合じゃない」

「冗談じゃないんですけど?」

 

 本気で言ってるならそれはそれでやばい。

 頼むから今だけは黙っていてくれと、アクアは心の底からそう願った。

 

「……うん。たぶん、アクアの言う通りだと思う。昔っからそういうところあるんだよね。好きな子に意地悪したくなるやつの究極系みたいな? 私たちももういい大人だし、治ってるかもって期待してたんだけどなぁ。……あれさえなければいい人なんだけど」

 

 一連のアイの発言は、アクアとルビーにとって理解に苦しむものだった。

 殺されそうになったのにこの余裕。子を作るほどの仲の相手に殺意を向けれたのにさして気にしている様子もない。

 それが当たり前とでも言いたげだ。嘘がつくのが上手なアイだが、今の言葉はどこまでも本心から来るものであると感じられた。

 

 それが分からない。

 あまりにも緊張感に欠けた軽い物言いが、どうしても現状に対して不適切であるように思えた。

 

「真犯人まで分かってるなら、やっぱり警察に言った方がいいんじゃ……。ほら、アイは大丈夫でも、他の人が襲われるかもしれないし……」

「うーん、それもたぶん平気じゃないかな? なんか私だけに執着していて、他の人に手を出す気はないみたい。私の周りには迷惑かけないって、かなり昔だけど約束してくれたし。だから──」

 

 私が生きているうちは大丈夫だよ──と、アイは2人を安心させるように笑った。

 

(……違う)

 

 その発言が嘘であることを、アクアは──アクアだけは知っていた。

 

(前世の俺はあのストーカー男に殺された。同一犯だ。今回ウチの場所を教えたのが俺たちの父親だとしたら、たぶんあの時も……)

 

 アイ以外は狙わない。そんなの全くのデタラメなのに、アイは律儀にも信じてしまっているらしい。

 嘘をつくのは大得意でも、他人の嘘を見抜くのは苦手みたいだ。

 そもそも子供の不可解な行動を『やばいくらいの天才』で片づける女である。苦手というより、常軌を逸して適当なのかもしれない。

 

(証拠がいる。ストーカー男の近辺から何か情報が出てこないか? あるいは前世の俺の死体が見つかれば何か分かるかも……)

 

 即通報即逮捕が理想的だが、すぐに釈放されてしまってはあまり意味がない。

 疑いがあるだけではダメだ。死んだけどアイドルの子供として生き返ることができたなどという与太話、とてもではないが証言としては使えない。

 

 アイがそのつもりなら1番話は早かった。

 しかしそうでない以上、犯人を追い詰める役は他の誰かが代わりにやる必要があった。

 

(……一先ずはアイ本人に聞くのが1番早いか)

 

 この状況で父親が誰なのか気になるのは当然の流れ。変に疑われることもないだろう。

 アクアは直球勝負でいくことにした。

 

「ねぇ、俺たちの父親って誰なの?」

「はぁ? だからそんなもの最初から──」

「気になるなぁ。ねぇねぇ、名前は? 写真とかないの?」

 

 ルビーの口を押さえつつ、アクアは何でも知りたがる好奇心旺盛な子供に見えるように連続で質問した。

 

「写真は持ってないかな。名前は……ナイショ。直接会った時にびっくりさせたいからねっ」

 

 しかし、アイは口を割ってはくれなかった。嘘と秘密はアイの最大の武器だが、使い所は絶対に今じゃない。

 一本指を自らの唇に当て、パチリと悪戯なウインクを決める姿は様になっているが、やはり殺人犯を庇う仕草としては、どう考えても不適切でしかなかった。

 

「……そっか。じゃあ、会えるのを楽しみにしているね」

 

 深追いせず、アクアは引き下がった。今のところは。

 ドーム公演が終わった後か、アイが落ち着いたタイミングで、改めて話を切り出すつもりではある。アイは1度こうと決めたらかなり頑固なので、結果が変わるかは微妙なところだが。

 

 アクアはアイの絶対信者だが、何から何まで言うことを聞くわけではない。本人が気にしていないからといって、今回見聞きした内容は素直に受け入れられるものでは到底なかった。

 殺人を教唆した人物と、実行犯。この2人が野放しになっているなど、考えただけでも恐ろしい事態である。

 仮に自分たちが狙われでもしたらそれこそ大変だ。子供の身体ではどうやったって太刀打ちなんてできっこないのだから。

 

 何より、アイがこれから先もずっと命を狙われ続けるかもしれない──その事実がアクアは許せなかった。

 

「ルビーも将来は気をつけるんだよ? アイドルになったら似たようなことが起きるかもしれないけど、絶対に怪我なんてしちゃダメ。アイドル活動に支障をきたしちゃうからね。人混みで急に襲われても、仲のいい友達とトラブルになっても、冷静に対処するの。当たり前だけど、死んじゃうなんて以ての外。私が大泣きした挙句復讐犯になっちゃうからねぇ」

 

 色々とツッコミどころが多すぎる。

 ルビーは真面目な顔で頷いているが、本当に理解できているのだろうか。

 アイが包丁を奪い取る瞬間を目で追えなかったアクアとしては、とても人間に真似できる技術とは思えなかった。

 

「というか俺は? 気をつけなくていいの?」

「アクアは、そうだなぁ…………恋人をたくさん作って、女の人に刺されないよう気をつけるんだよ?」

「どんなイメージだよ! 俺そんな風になると思われてんの!?」

 

 隣のルビーが思わずといった様子で吹き出した。

 納得いかない。アクアの顔が苦虫を噛み潰したように歪む。

 

「ああ、ごめんごめん。そうだよね。優しくて頭のいいアクアが、パパみたいな大人に育つわけないよね」

 

 一体そいつはどこまで人として最低なのか。

 まだ会ったことさえない父親への好感度は、すでにマイナスを極めつつあった。

 

「護身術はルビーにもアクアにも徹底的に叩き込むつもりだから安心してね」

 

 理由は不明だが突然の寒気に襲われ、幼い2人は身震いした。

 

 

 

 その後は特にこれといったアクシデントもなく、B小町の初めてのドーム公演は大成功のまま幕を閉じた。

 

 

 

 ☆★☆★

 

 

 

 それからおよそ10年近くもの間、アイはトップアイドルとして君臨し続けた。

 

 歴代最高のアイドルは誰かと聞かれたら、ほとんどの人がノータイムで同じ名前を答える。

 世界中の人間がその人物の偉大さを知っていた。

 

 まさに生ける伝説。CDの総売上枚数やライブの総動員数など、今後超えることのできないだろう記録をいくつも打ち立てた。

 

 しかしそんなアイドルの申し子にも、いつかは終わりがやってくるもの。

 人生がいつか終わりを迎えるように、アイドルにも寿命はある。そしてそれは、生物としての寿命よりもよっぽど早く訪れてしまう。

 年齢を重ねても見た目が変わらず、1人、また1人とグループのメンバーが引退する中で最後の独りになるまでアイドルをやり続けたアイであってもそれは例外ではない。

 

「ねぇママ。ほんとにもうアイドルはやらないの?」

「うん、やらないよ」

「えー、なんでさ! 親子で共演したいって昔言ってたじゃん!」

「よく覚えてるねそんなこと」

 

 ルビーはそう言うが方針を変えるつもりはないし、そもそも今更後戻りもできない。

 卒業ライブはとっくの昔に終わっているのだ。

 

「私もルビーとの共演は楽しそうだなぁって思ってたよ? でもさ、私の全盛期は、ちょっと前にはもう過ぎちゃってたんだよ。ここから先は衰えていくだけ。だからこれが正しい判断だったと思うんだ。ファンをガッカリさせないために──私が一番のアイドルとしてみんな記憶に残り続けるためには」

 

 アイの言葉には元トップアイドルとしての自負、責任、使命、誇り、そして重みがあった。

 

「駄々をこねるなよルビー。2人同時に一番星にはなれない。それくらいお前だって分かってるだろ?」

「知らないよそんなの。電球は1つより2つあった方が部屋は明るくなるじゃん!」

「光が強ければ大して変わらないだろ」

「変わるもん!」

 

 アクアの言葉にはこれっぽっちも納得できないようで、ルビーは鋭い視線で兄を睨みつけていた。

 

「いいよねお兄ちゃんは! ママと共演したことあってさ!」

「あー、それは思ったな。アイドルは年齢的に厳しくても、役者までやめる必要はなかったんじゃないか?」

「アイドルだって余裕でいけるよ! ママ若いから!」

「確かに見た目は大学生……いや高校生でも通用しそうだが……」

 

 アイの容姿に衰えは見えない。しっかり手入れしているのは知っているが、それを加味しても異常なくらいだ。

 元医者としての知識がある分、アクアは相当困惑していた。

 

「アイドルも、役者も、モデルも、芸能界も──もう十分。私は満足しているし、ファンのみんなだって退屈はしない。だって、私を超えるかもしれないスターが、これから2人も誕生するんだもの」

 

 1人はルビー。

 最近になってようやくアイの全てを引き継ぎ終えた彼女は、近々満を持して二代目B小町としてデビューする手筈となっていた。

 歌の上手さも、ダンスのキレも、魅せる技術も、優れた容姿も、すでにアイに匹敵するレベルまで仕上がっている。

 1つだけ明確に母親と違う箇所があるとすれば、アイが嘘で自分を塗り固めていたのに対して、ルビーはありのままの姿しか見せる気がないという点だろう。

 芸能界で生き残るには、あるいは名を挙げるには、権力に媚びへつらったりずる賢く立ち回ったりと様々な知恵が必要になってくる。

 しかしそれは、あくまで並の人物だったらの話。ルビーの場合、面倒な過程は丸ごと全て消し飛ばすことができる。アイの後継者というだけで相手側から勝手にルビーの顔色を窺うようになるし、世間も好意的な目で見てくれるようになるからだ。

 そうなればあとは簡単だ。小さな綻びが生まれる前に、全人類を虜にしてしまえばいいのだから。

 それが好きな相手ならば、欠点すらも魅力となる。アイとはまた別の方向で、ルビーは究極のアイドルになれる才能を秘めていた。

 

 もう1人はアクア。

 アイの演技力と嘘をつく技術を完全に受け継いだ彼は、本格的に役者としての活動を始める気でいた。

 アイに勧められたから──というのもあるが、最大の理由は多くの芸能人と関わりを持ちたいからであった。

 アクアは未だに自分の父親と顔を合わせられていない。あれからアイが襲われることは1度もなかったが、10年以上ずっと平和だったからといって、それが一生続くという保証はどこにもない。

 後手に回らないためにも情報収集と対策は必須事項。

 アイが教えてくれない以上、父親の正体には自力で辿り着く必要があった。

 父親が芸能界にいること。それなりの地位を持つ存在であること。アイに演技指導を行った人物であること。容姿が自分に似ていることなどはすでに判明している。

 追加の情報があればすぐにでも正解に辿り着ける可能性だってある。最終的な判断にはDNA鑑定でも使用すればいい。

 アイを超える役者になりたいという嘘の中に、アクアは本当の目的を潜ませていた。

 

「あとはあれかな。これからは普通の母親みたいなこともたくさんしてあげたいなって思ったんだ。今まではずっと忙しくて、育児もほとんど任せきりだったからねぇ」

 

 手始めとばかりに、アイは朝早くに起きて作ったお弁当を2人に手渡した。

 

「わぁ、ありがとうママ!」

「……これって、まさかアレ使って作ったのか?」

「うん、そうだよ」

 

 アクアのいうアレとは調理器具のことだ。

 アイたちの住む家のキッチンにはありとあらゆる調理器具が揃っている。しかも種類が豊富なだけでなく、その全てが職人の技巧を凝らした高級品だった。

 

「リョースケくんがプレゼントしてくれるものってどれも使いやすいから凄いよね。特にコレとコレ。初めて見た時はビックリしちゃった」

 

 アイが両手に持つのは二振りの包丁。

 片方には持ち手の部分に宝石のルビーが、もう片方にはアクアマリンが埋め込まれている。

 こんなもの普通に売っているはずがないので、まず間違いなく特注だろう。

 1本あたりのお値段はおいくら万円なのか。ちょっと考えたくないレベルの品であることは間違いなかった。

 

「まさかあの男との関係がこんな形で続くとは……」

 

 アイを殺そうとしたあの日から、彼はずっと熱心なファンであり続けた。

 ライブや握手会には必ず参加するし、定期的に貢物も贈ってくる。しかし肝心のプレゼントが包丁を始めとした調理器具に限定されているため、ファンというより怪しい商売人という認識の方が強かった。

 

「あー、それとアイ、せっかく作ってくれたとこ悪いんだが……今日は弁当は必要ないぞ」

「えっ、そうなの!?」

「そうなのって……プリント渡しただろ? 初日だから午前中には全部終わるんだよ」

「え〜、頑張って作ったのにぃ」

 

 残念そうに弁当箱を回収しようとするアイ。

 しかしルビーとアクアが避けたことで、アイの伸ばされた手は空を切った。

 

「いいよママ、これは持ってく。どっかいい感じの場所探して食べてくるから。ね、お兄ちゃん」

「……まぁ、そうだな。校内を散策するついでに、良さそうな昼食スペースでも見つけておくか」

 

 2人の言葉を聞き、アイは嬉しそうに目尻を下げた。

 

「それじゃあいってくる」

「ママ、いってきます」

 

 新しい高校の制服に袖を通したアクアとルビーの後ろ姿を見送りつつ──途中で駆け出してその背中に追いつき、2人の肩を抱え込むように飛びついた。

 

「いってらっしゃい。それと……」

 

 何事かと顔だけで振り返る最愛の子供たちに向け、万感の思いを込めて告げる。

 

「──愛してるよ」

 

 今までずっと、息をするように嘘を吐き続けてきたアイだが、その言葉だけは決して嘘ではなかった。

 

 

 

 





・星野アイ

前作主人公。最強お母さんキャラ。アイドル引退後はアクアとルビーの母親兼マネージャーのような活動をしている。アクアに恋愛リアリティショーの仕事を持ってきたり仲間が欲しいというルビーの言葉を聞いて有馬かなとMEM(25歳)を直接勧誘したりする行動力の化身。推しに直接スカウトされてビックリめむちょ。最近の楽しみは息子のアクア、有馬かな、黒川あかねの三角関係を近くでニヨニヨしながら眺めること。たまに「私はアク×メムもありだと思う」などの発言で場を盛り上げている。ビックリめむちょ。真実を知ったらたぶんアク×ルビ派になる。近親相姦?アイたちの関係よりは健全だから別にいいよね?なお、あかねのアイ憑依モードを初めて見た時は普通に驚いた。ただいま二代目B小町の4人目のメンバーとして勧誘中。

「世界中のみんなー! 愛してるよー!」


・星野アクア

主人公その1。看板兼実力派俳優として活躍しつつ自分の父親を探している。アイを殺されたわけでもないので原作より殺意はかなり低め。ルビーも星野流護身術を身につけたので一安心。最悪カウンターパンチでパパを撲殺することができる。複数の女性から好意を向けられている気がするのが最近の悩み。かなは幼馴染枠。あかねは当然の流れ。MEMに至っては気の所為だと信じたい。最終的に妹のルビーが加わることになるのはまだ知らない。遺伝子は強かった。二代目B小町完全制覇も近いかもしれない。母はハーレム推奨派。最大の敵。

「あーあー、どんどんパパに似てきちゃってぇ」
「その言葉が1番傷つく」


・星野ルビー

主人公その2。二代目B小町不動のセンター。全てのアイドルがアイの劣化と言われる中、それを打ち破れるのは彼女しかいない。アイの後継者という冠は激重。しかしルビーはアイドルを目一杯楽しめている様子。デビューが遅れた最大の理由は歌声。だがそれも克服済。アイデンティティの消失?否、完璧なアイドルに歌下手属性など不要!母のことは今でも尊敬しているが、世界中のファンを根こそぎ奪い取るつもりでいる。死を超える。それこそが最大の恩返しなり。兄がモテるのはちょっと複雑。恋愛NGの妹の前でイチャイチャすんな。

「確かにルビーはすごいけど、まだまだ昔の私の方が上かな?」
「いつか絶対超えて見せるから!」


・有馬かな

役者兼二代目B小町のメンバー。ロリ枠。幼馴染枠。負け属性とか言ってはいけない。アイの演技力は素直に尊敬している。たまに演技指導や歌のレッスンを頼むこともある。将来の娘候補にアイはめちゃくちゃ乗り気。役者に専念したいからとアイドルを辞めようと思った時期があるが、アイの説得、もとい挑発によって考えを改めた。アイがアクアの母親であることは知らないが本能で堕とすべき相手であることは理解している。なんなら最大のライバルとまで思っている。アクアは歳上好き?なら私も当てはまるじゃない!

「私はアイドルしながら役者のお仕事もやってたよ?」
「ぐうの音も出ない」


・黒川あかね

尊敬する役者はアイとアクアと有馬かな。天才役者にして名探偵にしてアイドルの才能も秘めている普通の女の子。アイ憑依モードは無敵のモード。この状態なら黒幕に襲われても一安心。アクアから相談を受けたことで黒幕の正体に最初に気がつくし、アクア、ルビー、アイの血縁関係にも気づいちゃうし、なんならアクアとルビーの最大の秘密にも勘づくという、世界の真実について神の次に把握している存在。お前は知りすぎたのだ。いやマジで。作品のジャンルが違えばたぶんこの子が主人公だった。役者探偵あかねちゃん。アイから勧誘を受けているがアイドルになる気は今のところない。それより演技を見て欲しい。なんなら共演したい。交換条件なら考えますよ、お義母さん?アイ憑依モードはアイ本人にとても人気でたまに何でもない時にもねだられる。娘というより妹。

「いくよぉ、幽体離脱! からの憑依!」
「いぇい☆」


・MEMちょ

二代目B小町の広報担当兼まとめ役。小さい頃から推してるアイドルに直接スカウトされてめちゃくちゃビックリした。年齢は言い訳にならない。何故なら三十路近くまでトップアイドルで居続けたアイがいるから。アクアのことは好ましく思っているがあかねやかなを押し退けてまで彼女になりたいかと言われるとそれほどではない。たぶん。結婚すれば推しのアイドルの娘になれることはまだ知らない。世界で1番可愛い25歳。

「MEMちゃんの配信にゲスト出演するのって楽しそう。どうかな? 知名度はかなりあると自負してるよ?」
「ありすぎるから困るんです! 確かに物凄く楽しそうですけど!」


・社長

アイが生きてるので闇堕ちしてない。社長も続けている。原作と比べて1番幸せになったまである人物。ドームの夢は叶えたし、アイと盃は交わしたし、他にもやりたいと思っていたことは全てアイが実現してくれた。常に人生の絶頂期に身を置いている。これから二代目B小町が活動を始めるので休んでいる暇はない。

「ドームツアー成功を祝して〜、かんぱーい!」
「うぅ、幸せすぎて逆に怖い……」


・ミヤコさん

仕事ができる有能社長夫人。アクアとルビーの第二の母親。アイが自由奔放で放任主義なため子供が3人いるようだと本人は思っている。美少年と仕事するという望みは叶えられた。イケメン俳優と再婚する夢は最近ではどうでも良くなりつつある。アイの活躍を間近で見られたことを誇りに思っている。大丈夫、これから息子と娘も大活躍するぞ。

「本当に私の母親になっちゃわない? もしくは娘?」
「どっちにしても重いわ!」


・リョースケくん

アイを殺そうとした人。しかし失敗に終わり信者となった。黒幕に消されてはいない。消すとアイ以外を狙うことがバレてしまうから。収入のほとんどをアイのために使っているため極貧生活を送っている。実際には医者を1人殺しているのに捕まっていない。刑務所で暮らすくらいならアイを推したい。確かに刑務所と同等の生活レベルだがそれでいいのか。よくない。

「私は引退しちゃったけど、今度私の娘がアイドルになるんだ」
「はい! 死ぬまで推し続けます!」


・黒幕

くろまくー。アイを殺したいけどできない人。最近ではちょっと諦めつつある。しかしその辺の人間を殺してもあまり満たされない。やはりアイしか勝たん。アイ以外を狙う時は決して証拠を残さない慎重派。しかしある男はあろうことかアイの息子に転生してしまった。特大ガバ。そんなの知らん。予想できるはずないやろ。アイ以外を狙っていたことがアイ本人にバレると大変なことになる。殺されはしない。殺人は悪いことだから。ただ一生監禁&幽閉ルートに入るだけ。これでもう犯罪はできないね。世界は平和になった。

「ねぇ、それでも君を愛してるよ」
「嘘をつくのが下手になったね」


・その他の初代B小町メンバー

全員がアイの信者。厄介ファン。アイが理想のアイドルを体現し続ける姿を間近で見れてニッコニコ。自分が引退した後もライブは見に行ったし、何ならアイの握手会にも参加した。これにはアイとMEMちょもビックリ。私たちアイの隣で歌って踊ってたことあるんだぜ!え、アイが引退?そんなわけねぇだろ!ルビー?あんなやつアイの足元にも及ばねーよいい加減にしろ!

「今度久しぶりにみんなで集まってカラオケとか行かない?」
「……いいけど、私たちは歌わないからね」




*短編なので続きはありません


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