キャストリアに転生したが原作を壊してしまった 作:霧ケ峰リョク
ハイパー1~2を行ったり来たりしてるんですが何故か一気に難易度が上がった気がする。
アルクスが倒された。
その事実はアルターエゴであるノックスにもマーネにも伝わっていた。
ビーストリングの特性なのか、それともこの世で三体しか存在しないアルターエゴの特異性からなのかは分からない。ただ一つだけ分かることがあるとするなら、今自分達は追い詰められているという事だろう。
「一つ、聞いておきたい」
マーネは向かい合う六道骸、そしてその隣に居る笹川了平に問いを投げる。
身体はズタボロで今にも死に掛け、骸に至っては能力の源である左眼は潰れている。
「お前達は何故抗う。私としても沢田綱吉が全面的に正しいとは思わない。むしろ人として、生物として正しいのはお前達の方だ」
「なら言わなくても分かりませんかね?」
「悪いが、アルターエゴとして造られたこの身は人間では無い。だから人の心は分からん。尤も、人の心を理解出来る力を持っている筈の沢田綱吉があの様だから私が理解出来るとは思わんが…………それでも、思う事はある。何故ここに戦いに来た?」
カルナ、アテナ、ブリュンヒルデのアルターエゴであるマーネは骸の背後に居る者達に目を向ける。
既に倒れた者も居ればまだ戦える者も居る。
しかし、明らかに戦う者では無い者達が居た。
笹川京子、三浦ハル。能力を与えられ戦う為の特訓をしているクローム髑髏ならまだ分かる。
しかしあの二人は誰がどう見ても戦う者では無い、守られる者の筈だ。
「戦えない者を巻き込まないようにはするつもりだ。しかし、必ず巻き込まないとは言えない。何故、非戦闘員を連れて来たのだ。霧の守護者なら兎も角、晴れの守護者がそんな事をするとは到底思えない」
「クフフ、僕ってそんな卑劣に見えますか?」
「私の中にある沢田綱吉の情報から察するに、憎悪の対象を広げ過ぎてバカな事をやらかした愚か者となっているが」
「…………沢田綱吉、機会があれば必ず輪廻を巡らせてやります」
「十中八九自分を曲げないから無駄だと思うぞ」
「クハハ、自分の感情を分けた存在にここまで言われるとは…………六道輪廻を巡っても何も変わらないってどんな自我してるんですか」
「だからビーストになってるんだ。それで、何故連れて来た?」
「…………オレも連れて来たくは無かった」
マーネの言葉に了平は顔を俯かせながら答える。
「本当なら待っていてほしかったし、戦いの場になんか出て来てほしくはなかった」
「そうだろうな」
「危険性も、どんなことになるのかも全て伝えた。だが、それでも行くと言ったんだ。なら、兄として妹とその友人に教えなければならん!」
「…………まさか、気付いている?」
「何にだ?」
「いや、何でもない。忘れてくれ」
恐らく彼は気付いていない。だがボンゴレリングの守護者であるなら無意識化で理解していてもおかしくない。
そう結論付けたマーネは笑みを浮かべ、一つの選択をした。
「私の持つこの槍は英雄カルナが持つ神殺しの槍。たった一度しか使えず、使ったら最後、この身に纏う不死の鎧と共に消失する。だがそれだけの破壊力はある。今の沢田綱吉であっても例外ではない。この槍はその強大な獣の命を一度は奪う事すら可能だ」
正確には今の沢田綱吉なら余計に通じるといった方が正しいだろう。
魔性を、神性を取り込み新たな神に転じようとしている今、神殺しの槍は特効と呼んでも差し支えない程の力を発揮する。
「もし、私の霊格を砕く事が出来たならばこの槍と鎧を貴方達にあげましょう」
「…………良いの?」
「ええ。きっとこの槍の持ち主も、そっちの方が喜ぶでしょう」
もし英雄カルナだったらきっとそうしたに違いない。
心の中でそう思いながら槍を構える。
「さあ、全力で来ると良い! この試練を乗り越えられないようではこの先に待つ獣に会う事すら出来んぞ!!」
「…………おう!!」
「言われなくてもそのつもりですよ…………!」
マーネの宣言にボンゴレリングの守護者達は戦意を漲らせる。
後方で守られていた者達なら兎も角、既に戦い傷付いた者がこれ以上強くなることはないだろう。死ぬ気の炎がいかに感情によって出力の上がる力であったとしても、身体がそれに追いつかない。追い付いたとして、自滅するのが見えている。
裏を返せば死ぬ気でやればこの身に届き得るという事でもある。
ましてや死ぬ気の炎は死ぬ気の力。限界を超える事なんか彼等にとっては朝飯前だ。
沢田綱吉との接続が断たれた今、使える死ぬ気の炎の量も出力も限られているこの現状、今の彼等ならこの程度の試練を乗り越えてもおかしくはないのだから。
+++
「
白い色の死ぬ気の炎をレーザーとして眼から放出される。
マーネが持つ死ぬ気の炎は朝の炎、新しく作られた第9の属性である。
その特性は消滅――――主に消す事に特化した破壊力のある死ぬ気の炎。
この炎の性質上、如何なる死ぬ気の炎も例外無く無効化される。
それは大空や夜であっても例外では無い。
「くっ、その炎…………本当にやり辛いですねぇ…………!」
一方的に攻撃をかき消された骸は顔を歪める。
幻覚はかき消され、防御の為の死ぬ気の炎でさえ打ち消されてしまう。
とはいえ、この炎を突破する方法は既に見つけている。それは相手を上回る死ぬ気の炎だ。
単純にして明快、分かりやすいまでの力押し。
それが唯一マーネを打倒する方法だ。しかし、不死を与える光の鎧がそれを阻む。
ならばどうするべきか――――その答えは。
「関係無い! 向こうの炎を、不死の鎧を貫く一撃を放てば良い!!」
「それが出来たら苦労しないんですよ…………これだから脳筋は…………」
「だがそれしか無いだろう」
了平の言葉に骸も内心では同意する。
アンチ死ぬ気の炎と言っても過言では無い朝の炎とダメージを軽減する上に霊格が破壊されなければ再生される不死の鎧。そして沢田綱吉のアルターエゴであるせいか有している搦手殺しの超直感。
これらがあるせいで自ずと選択肢は限られてしまう。
「ならこっちが援護します。必ず当てなさい――――行きますよクローム」
「はい! 骸様!!」
骸とクローム、二人の霧の守護者はここ半年で磨き上げた必殺技を繰り出す。
アルコバレーノであるヴェルデが作り上げたアップデートを重ねた幻覚を本物にする装置、最高峰の二人の術師、エデンリングと統合した霧のボンゴレギアにパワーアップした二つのヘルリング。これらが組み合わさった事で発動出来る究極の奥義。
「究極
骸とクロームの二人の前に六つの瞳を有する骨のような装甲を身に纏った巨大なカラスのような怪鳥が出現する。
有幻覚では作り得ない強固な身体に加えてヘルリングの力を暴走する事なく呼び出した怪鳥に引き出させている。
現在の二人の霧の守護者の到達点と言っても過言では無い絶技。
それを更に強化した合体技だ。
「サポートするのではなかったのか!?」
「行け…………六無夢《ム》
了平のツッコミを無視して骸は呼び出した怪鳥を突撃させてマーネに攻撃を開始する。
「
向かって来る怪鳥にマーネは容赦なく眼から死ぬ気の炎のレーザーを放つ。
消滅の力を持つ新たな死炎をインド神話における名だたる英雄達の弓の奥義として穿つ。
その威力は最早並みのサーヴァントでは防御することも出来ず命を落とす一撃だ。
しかし、六無夢《ム》
「なっ…………」
「六無夢《ム》
突撃してきた怪鳥の嘴が槍の穂先のように変化しマーネの身体を貫く。
そして内部で形状が変化し、じくじくと肉を内側から喰らい始める。
当然、それだけでは終わらない。六無夢《ム》
「がふっ…………成る程、これは厄介だな」
肉体を貫いたままの状態で身体を固定し、内部と外部の両方からダメージを与え続ける。
常人なら即死、超人であっても死は免れない絶技と言っていい。
この技の真骨頂は不死じみた再生力を持つ者に継続的なダメージを与えつつ拘束する事にこそある。
だが、同時に欠点も存在している。
その事実をマーネは理解し、この怪鳥を倒さなければ自分が敗北すると結論付ける。
「
マーネは死ぬ気の炎を鎧に込め、一気に開放する。
「
英雄カルナが父であるスーリヤーから賜った至高の鎧。
所有者に不死を齎すこの鎧に死ぬ気の炎を付与し、自らを矢に見立ててブラフマーストラを発動する。
それがマーネのオリジナル宝具だった。
「ギャアッ!」
「っ、ぐぅ…………」
「うぐっ…………」
不死の鎧に覆われたマーネそのものを矢として穿つこの奥義によって六無夢《ム》
強大な幻獣を使役していた骸とクロームは呻き声を上げてその場に力なく倒れる。
それが究極
それを分かっていて、骸と凪は使った。
「…………すまん、二人とも!!」
限界まで死ぬ気の炎をチャージした了平は解放されたマーネに向かって拳を振るう。
晴のボンゴレギアに溜まっている力は既に満タンで、消耗しきった今のマーネに直撃させれたならば勝利する事が出来る。
「まだ、だ…………」
マーネは了平に向けて人差し指を向ける。
自分自身を矢に変えて穿つなんて馬鹿な真似をしたせいでダメージを負ったが、それでも返り討ちにするだけの力は残っている。
「残念だが、私の勝ちだ」
小規模な力の行使、ブラフマーストラと呼ぶ事も出来ないような炎のレーザーが了平の眉間を撃ち抜く。
瞬間、了平の姿が掻き消え、背を低くして向かって来る了平が姿を現した。
「っ、幻覚…………っ!?」
幻覚の中に別の物を隠す。超直感をも欺く幻覚隠し。
土壇場で行われた行動にマーネは驚愕し、それでも何とか了平の攻撃を回避しようと身をよじろうとする。
だが身体に走った電撃によってそれは叶わなかった。
「なっ、雷の死ぬ気の炎…………!?」
何故、一体、誰が――――疑問を抱くマーネだったがすぐにその疑問は氷解する。
笹川京子と三浦ハル。戦えないと判断した二人の指にマーレリングがあり、二つとも死ぬ気の炎が灯っていた。
「ああ、成る程――――」
勝手に戦えないと判断し、思考の外にやっていた。
それじゃあ超直感は機能しない――――否、彼女達の覚悟を見誤っていた時点でこうなる事は必然だった。
「見事。私の負けだ」
「
敗北を認めたマーネの胸部に了平の拳が突き刺さり、霊核が砕け散った。
京子ちゃんが霧でハルが雷。
確かフェイトオブヒートでの属性がそうだった筈です。
あのゲーム戦わないキャラでも匣に死ぬ気の炎を注入するモーションがあって個人的に好きでした。
次回はこの作品で二番目にやばいパワーアップした山本の出番です。
最後のアルターエゴを倒した時、山本が最終形態になります。